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第62話
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「ううっ……。」
ローゼリア嬢が何かをしたのか、ローザの瞳がとろんとした熱を浮かべる。ローザの瞳は侯爵を見ていた。そんなローザを見てしまった侯爵は、自分の身体を戒めるかのようにギュッと抱きしめた。侯爵の肩がガクガクと震えている。
なにかを耐えるように時々侯爵は呻く。
「ふふっ。呪いの効果よ。」
ローゼリア嬢は面白そうに笑いながら侯爵の姿を眺めている。
呪いの効果。先ほど、ローゼリア嬢が説明してくれたが、侯爵に好意を持っている女性に対して襲い掛かってしまうという呪いだったはず。侯爵は今、その呪いの衝動と戦っているのだろうか。
このままだと、ローゼも侯爵も傷つくことになることはわかりきっている。
この呪いを解けるのは侯爵の初恋の人だけ。侯爵はそれが私だという。でも、私は心当たりがない。でも、もし、侯爵の言う通り私だったら?
もし、そうだとしたならば、二人が傷つくことを止められるのはこの場で私だけ……?
「ダメッ!!」
思わず衝動で身体が動いた。
呪いの衝動を耐えようと、今にもローザに襲い掛かりそうな衝動を堪えて苦しんでいる侯爵の前に躍り出る。そうして、私は侯爵をギュッと抱きしめた。意外とがっちりとしている男の人の身体。侯爵からほのかに香ってくる清潔な匂い。
大丈夫。ちょっとキスをするだけ。本当は好きな人と、って思ったけれどももし私がキスをすることでローザと侯爵を救うことができるのならば……。私の気持ちなんて……二の次よっ!
「……っ!?」
私は意を決して侯爵にキスをした。
ローゼリア嬢が何かをしたのか、ローザの瞳がとろんとした熱を浮かべる。ローザの瞳は侯爵を見ていた。そんなローザを見てしまった侯爵は、自分の身体を戒めるかのようにギュッと抱きしめた。侯爵の肩がガクガクと震えている。
なにかを耐えるように時々侯爵は呻く。
「ふふっ。呪いの効果よ。」
ローゼリア嬢は面白そうに笑いながら侯爵の姿を眺めている。
呪いの効果。先ほど、ローゼリア嬢が説明してくれたが、侯爵に好意を持っている女性に対して襲い掛かってしまうという呪いだったはず。侯爵は今、その呪いの衝動と戦っているのだろうか。
このままだと、ローゼも侯爵も傷つくことになることはわかりきっている。
この呪いを解けるのは侯爵の初恋の人だけ。侯爵はそれが私だという。でも、私は心当たりがない。でも、もし、侯爵の言う通り私だったら?
もし、そうだとしたならば、二人が傷つくことを止められるのはこの場で私だけ……?
「ダメッ!!」
思わず衝動で身体が動いた。
呪いの衝動を耐えようと、今にもローザに襲い掛かりそうな衝動を堪えて苦しんでいる侯爵の前に躍り出る。そうして、私は侯爵をギュッと抱きしめた。意外とがっちりとしている男の人の身体。侯爵からほのかに香ってくる清潔な匂い。
大丈夫。ちょっとキスをするだけ。本当は好きな人と、って思ったけれどももし私がキスをすることでローザと侯爵を救うことができるのならば……。私の気持ちなんて……二の次よっ!
「……っ!?」
私は意を決して侯爵にキスをした。
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