呪われた侯爵は猫好き伯爵令嬢を溺愛する?

葉柚

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第76話 ファントム

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 するとアンジェリカに私の気持ちが通じたのか、アンジェリカの目から涙が一筋こぼれ落ちた。

 どうやらアンジェリカに私の気持ちが伝わったようだと安心したのも束の間。

「クリス……。クリスは私のせいでストレスが溜まってしまっているのに、それでも私を慰めてくれようとしているのね。ありがとう、クリス。クリスはとても優しいのね。」

 ダメだ。やっぱりアンジェリカに伝わっていない。私は、アンジェリカに気持ちが伝わらないもどかしさから、アンジェリカと目を合わせるのが辛くなってふいっと横を向いた。

「……アンジェリカお嬢様。わかってくれたようでなによりです。クリス様も、こちらにいらっしゃるよりは侯爵邸にお帰りになった方がストレスなく気楽に過ごせるのではないでしょうか。」

「……そうね。そうよね。」

「にゃっ!?(なにっ!?)」

 アンジェリカに気持ちが伝わらないことに落ち込んでいると、ロザリーが追い打ちをかけるようなことをアンジェリカに提案しだした。アンジェリカも渋々と言う様子だが、クリスのためだと意を決したようでしっかりと頷いていた。

 私はアンジェリカと離れ離れにならなければならないのか……。

 思わず寂しさにため息がこぼれる。

 猫の姿になってしまうようになってから毎日欠かさずアンジェリカの元に通っていたのに。アンジェリカと会えない日があるだなんて私は正気でいられるのだろうか。アンジェリカに会いたくて狂ってしまわないだろうか。

 アンジェリカ。アンジェリカ。私はアンジェリカに会わない日々を我慢できるような気がしない。その笑顔をいつも見て居たい。優しく撫でてくれるアンジェリカのぬくもりをいつも感じていたい。

 どうか。どうか私に会わないなどと言ってくれるな。

「にゃぁう……。(アンジェリカ……。)」

 今度だけ。どうかこの切ない思いだけ伝わって欲しいと、アンジェリカの膝の上にのり、アンジェリカを見つめて訴える。

「ク・リ・ス・様ぁ?」

 その瞬間、ロザリーに殺気を込めた視線で睨まれたのを感じた。

 なんだっ。この侍女っ!?なんで侍女なのに殺気を放つことができるんだっ!?

「にゃ、にゃあ……。(怖いっ。私が他者に恐怖を覚えるだなんて……。)」

 想像以上にロザリーの視線が恐ろしくて私は逃げるようにアンジェリカの膝の上から飛び降りた。そうして、このままここに居たらロザリーに殺られるような気がして、情けないことに私はアンジェリカの部屋から一目散に逃げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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