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二章
2ー101
しおりを挟む「黄緑色の卵?」
何故、目の前の茶トラの猫が卵なんて持っているのだろうか。
テーブルに置かれた黄緑色の卵と思われる物体を鑑定してみる。
「はえ!?精霊の卵!?」
鑑定結果は精霊の卵だった。
精霊の卵ってそんなにころころ転がっているのかな。
これで、精霊の卵は三つ目なんだけれども。
「あらぁ~。黄緑色のぉ~精霊のぉ~卵なんてぇ~初めてぇ~見ましたぁ~。精霊のぉ~卵はぁ~ピンク色のぉ~ことがぁ~ほとんどなんですよねぇ~。まあ~ピンク色のぉ~精霊のぉ~卵もぉ~滅多にぃ~お目にぃ~かかれることなんてぇ~ありませんけどぉ~。」
「ありますよ?ピンク色の卵。」
「え?」
「え?」
驚いたように固まるベアトリクスさん。
その横でザックさんも驚いたように声を漏らしていた。
私は鞄の中から卵を取り出した。
まずは一つ目の卵。
「これはピンクの精霊の卵です。マーニャたちがどこからか持って来ました。」
ピンクの卵をテーブルの上に置く。
続いて、水色の卵を取り出した。
「これは水色の精霊の卵です。ハーメルさんというピンクの卵を探している人にピンクの卵を貸し出したらお礼に貰いました。」
ピンクの卵の横に水色の卵を置く。
黄緑色の卵とピンクの卵、水色の卵が並んでいてなんとも鮮やかである。
「「・・・・・・・・・。」」
3色の卵が並んでいる光景に唖然とするベアトリクスさんとザックさん。
ベアトリクスさんなんて、どうやら3つの卵を鑑定してそれぞれ「精霊の卵」であったことに驚愕している。
そう言えば、鶏小屋にあった金色の卵なんてのもあったな。
今は、マーニャに持たせているけど確かベアトリクスさんでも鑑定できなかった卵だった。
あれは、精霊の卵とは違うのだろうか。
「マーニャ。マーニャにあずけてある金色の卵を出してくれる?」
『はーい』
マーニャはごそごそと自分の袋をあさり、金色の卵を取り出した。
そうして、ピョンッと華麗にジャンプをしてテーブルの上に乗ると、卵をそっと並べて置いた。
「あ~そう言えばぁ~マユさんってぇ~金色の卵もぉ~持ってましたねぇ~。」
ベアトリクスさんがどこか遠くを見ながら呟いている。
ザックさんは未だに固まったままだ。
「でも、この金色の卵は精霊の卵じゃないんですよね?」
「わからないですぅ~。だってぇ~、その卵ってばぁ~鑑定がぁ~できないんですものぉ~。」
ベアトリクスさんのテンションが低くなる。
どうやら鑑定レベルの高いベアトリクスさんでも鑑定できないものがあることにショックを受けているようだ。
つんつんと金色の卵を突っついてみる。
見た目的には色が違うだけで、他の精霊の卵と変わらないと思うんだけどなぁ。
なんで、この卵だけ鑑定できないんだろうか。
「ゆ、夢じゃないんだよな・・・。目の前に精霊の卵が3つ。よくわからないが得体の知れない金色の卵が1つ。これは・・・マユさん!売ってくれ!!」
「ふぇっ!?」
今まで固まっていたザックさんが目をカッと見開いて、急に叫ぶように声を出した。
ザックさんの手が私の両肩に置かれ、ガクガクと揺さぶられる。
「や、やめて・・・。」
「金ならいくらでも出す。卵一つにつき1000万ニャールドでどうだ?」
「えっ・・・。」
「むむっ。なら2000万ニャールドだ。」
「ちょっと・・・。」
「ではっ!3000万ニャールドでどうだ!」
「そうではなくって・・・。」
「くぅっ・・・。3900万ニャールドではどうだ!」
ザックさんの目が完全に逝ってしまっている。
っていうか、卵一つにそんな金額出しちゃうの!?
3900万ニャールドが4つで1億5600万ニャールド・・・。
気が遠くなるような金額だ。
「まだ、だめかっ・・・。4000万ニャールドならどうだ!」
「あ、あの・・・。」
「くそっ!これ以上は・・・俺とマリアとの結婚資金がなくなってしまうっ!」
「はあ?」
どんどんと値段を吊り上げていったザックさんだが、最後の言葉がいただけない。
マリア、ザックさんのこと嫌ってたから結婚なんてあり得ないと思うんだけどなぁ。
この辺もザックさんが嫌われる理由なのだろうか。
しかし、ザックさんお金持ちだなぁ。
「マユさん~。どれだけお金を~積まれてもぉ~売っちゃダメですよぉ~。この卵たちはぁ~マユさんのぉ~元にぃ~集まったんですからぁ~。きっとなんかぁ~理由がぁ~あるんですよぉ~。だからぁ~女王様もぉ~卵をくれるってぇ~言っているんですよぉ~。ザックさんもぉ~諦めてください~。」
「・・・ぐっ。しかし・・・。」
「諦めてください~。」
『『『マユから卵を取らないで!』』』
ベアトリクスさんに続くようにマーニャたちまでザックさんを非難する。
これには、ザックさんも折れるしかなくなってしまったようだ。
しかし、そんなに欲しかったのかね、卵。
『にゃ、にゃあ~。』
そうこうしていると、痺れを切らしたらしい茶トラの猫が声を上げた。
なんだか、二本足で立ってふらふらと両手を上げたり下ろしたりしてジェスチャーをしている。
でも、何を言っているか分からない。
「マーニャ、この子が何を言っているかわかる?」
本来だったら、私のスキルでわかるはずなんだけど、どうにも何を言っているのかわからないからマーニャに尋ねてみる。
マーニャは軽く首を傾げると、
『猫じゃないからわかんないの。』
と、言った。
猫じゃないからってマーニャは猫だよね。
って、ことはこの茶トラの猫が猫じゃないってこと?
どこからどう見ても猫に見えるんだけど・・・。
って、まさか!?
あの化粧水の被害者!?
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