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番外編
お花見しよう! 5
しおりを挟む「マユー!マリアたちきたのっ!!」
「来たよー!早く食べよう!!」
「チーズっ!マグロ!!お刺身っ!」
どうやら、マリアたちがやってきたようだ。
私は作ったばかりのおつまみを持って、外に出るとちょうどマリアとユキさんが小走りにやってきたところだった。
マーニャたちがユキさんたちを「早く早く」と急かしているようでマーニャたちの後を追うように、マリアとユキさんが追いかけている。その遥か遠くに見える人影は村長さんだろうか。
「いらっしゃい。マリア、ユキさん。マーニャたちが急かしちゃったみたいで、ごめんなさい。」
私はおつまみを持ったままマリアとユキさんを迎える。
マーニャたちはおつまみを持った私の周りをグルグル回っている。
「マユ、マリアたち来たからチーズ食べるのっ!ちょーだいっ!」
「マグロのお刺身っ!マユっ!早くっ!!」
「チーズ♪マグロ♪」
マリアたちとの挨拶をする暇もなくマーニャたちが早く食べたいと催促をする。
私は苦笑しながら、マーニャたちの頭に手を乗せて撫でる。
「みんなが揃ってから。まずは挨拶でしょう?」
「挨拶もう終わったっ!」
「うん!こんにちわしたっ!」
「ボーニャもこんにちわしたの。」
どうやらマーニャたちはマリアたちに既に挨拶を済ませているようだ。ただ、マリアとユキさんの様子を伺うとちょっと苦笑しているように見受けられる。
これは、一方的にマーニャたちが挨拶をして「早く早くっ!」と急かして連れてきたな……。
「猫様たちは元気いっぱいね。」
「本当ね。久しぶりに走ってしまったわ。」
マリアもユキさんもにっこりと笑みを浮かべている。
「あはは。まあ、座って座って。村長さんも後から来るのかな?」
「ええ。もう年だからねぇ、走れないのよ。ごめんなさいね。」
ユキさんは上品に微笑みながらそう言った。ユキさんもかなりの年配に見えるが、実は体力的にはまだまだ若い。というか、ユキさんは私と同じ日本からこちらの世界にやってきた異世界転移者だ。
この世界ではなぜか異世界から来た人は年を取ることが無い。そのため寿命もない。
ユキさんはそれにもかかわらず老婆のような見た目をしている。それには理由があり、夫である村長さんと同じく年をとっていきたいからという理由で、偶然出来上がった私の作った化粧水を飲んだから見た目だけ村長さんとつり合いが取れるようになっている。
あくまでも見た目だけだけど。
「そうそう。マユ、私クッキーを焼いてきたわ。あと、バウンドケーキも焼いてきたのよ。みんなで食べましょう。あ、お皿もナイフも持参したから用意しなくていいわよ。」
マリアはそう言って背負っていた鞄を敷布の上に置いた。鞄の中からクッキーとバウンドケーキを取り出して、敷布の上に広げる。
芳醇なバターの香りがあたりにふんわりと広がった。
「わぁっ!美味しそうっ!」
「まあ、本当ね。とても美味しそうだわ。」
ユキさんもマリアが取り出したクッキーとバウンドケーキを見て目を輝かせている。
お菓子ってやっぱり偉大だ。
「そうそう。私もね、持ってきたのよ。」
そう言ってユキさんも鞄の中から何かを取り出そうとする。
私は首を傾げた。
ユキさんは料理ができないはずなのだ。
マリアのように何かを作ってきたということはないだろう。では、何を取り出そうとしているのだろうか。
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