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第4話 大好きなお姉さまを裏切る日2
しおりを挟む「……メリッサ嬢は、未来視ができるのかい?」
たっぷり間を開けた後、スチュワード王太子殿下が真剣な表情で問いかけてきた。私はその時、自分が言ってはいけないことを言ってしまったことを理解した。
「あ、あの……。未来視と言っても、自分では制御できませんの。だから、明確な日付の未来視をおこないたいと思ってもみれないのですわ。突然、未来の姿が見えるだけですの。制御できない未来視ですから、大したことはないのです。」
私は慌てて言い訳をする。未来視の能力が発現するのはとても稀なことで、未来を予言して危機を回避するという能力のため王族の側にいることを強制される。今現在は、このマイルートン王国では未来視の能力を持っているのは王妃様と王女様のみとされている。
つまり、私が未来視の能力を持っているということがわかれば、それは王太子妃コースまっしぐらな訳で……。つまりなにが言いたいかというと、私が未来視の能力を持っていることが公になってしまえば、私はスチュワード王太子殿下の妃となってしまう。
大好きなステラお姉さまの婚約者を奪うことになってしまうのだ。
「それでも未来視という能力はとても貴重な能力だ。メリッサ嬢が未来視の能力を持っていると知ってしまった以上、私はそれを国に報告する義務がある。」
「そ、そんなっ……!?お願いいたします。スチュワード王太子殿下。秘密にしておいていただけませんか?それが、ステラお姉さまの為にもなるのです。」
「……私もここだけの秘密にしておきたいが、知ってしまったからには報告する義務がある。」
「でもっ!!」
「メリッサ嬢の言いたいことはわかる。だが、これは決まりなんだ。」
「でも、それではステラお姉さまがっ!!」
「大丈夫だ。ステラ嬢は悲しむかもしれないが、きっと理解をしてくれると思う。」
「そ、そんな……。それでは、ダメなのです。私は……。」
スチュワード王太子殿下と私の会話は平行線をたどる。
スチュワード王太子殿下はステラお姉さまのことが大好きで一刻も早く結婚したいと願っているはずなのに。私が未来視の能力を持っていることを国に報告してしまえば、スチュワード王太子殿下はステラお姉さまではなく、私と結婚することになってしまうのに。
どうして、スチュワード王太子殿下は秘密にしていてくださらないのだろうか。
私はステラお姉さまからスチュワード王太子殿下を奪ってしまう未来を思って涙を零した。
遠い過去に見た未来視が現実のことになってしまうのがとても怖かった。ステラお姉さまがショックを受けてしまうのではないかと思うととても怖かったのだ。ステラお姉さまにはいつでも笑っていて欲しかったのだから。
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