悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ

文字の大きさ
42 / 76
第3章:幼少期・敬愛編

第39話:【教会での生活】

しおりを挟む

この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!

皆様、お久しぶりでございます。
梻メギです。

本日から第3章スタートになります。
温かい目でご覧いただけますと幸いです。
どうか。少しでも、お楽しみいただけますように。



▼▼▼



 ───ゴーン、ゴーン。


 朝六時を知らせる鐘が鳴った。


 部屋のカーテンを開けると朝日が差し込んできて清々しい気持ちになる。その場でグッと伸びして、気合を入れる為に軽く頬を叩いた。


「…よしっ!今日も一日、頑張るぞ!!」


 ラランとリリィが事前に用意してくれた服を自分一人で着て、さっと髪を整えて自室を出る。


「「おはようございます、ルピナス様」」

「おはよう。ララン、リリィ」


 ショーテイジ家に仕えてくれていた時から着ていたメイド服ではなく、私が二人に用意したメイド服をビシッと着込み、自室前の廊下で出迎えてくれた。


「…あら、ルピナス様。背中にあるボタンが一つ外れていらっしゃいますわ」

「え!本当!?気をつけてたんだけどな…やっぱり、まだ一人で着替えるのには慣れてないかも」

「始められたばかりですもの。ボタンの止め忘れくらい仕方ありませんよ」


 ラランに指摘され、リリィにフォローされる。

 今まで貴族として育ってきた私は自分一人で服を着替えることすら出来なかった。

 このヤグルマギク教会に来て、孤児院の子供たち皆が自立しようと頑張っている姿を側で見ていて私も自分一人でも出来そうなことは何事も挑戦してみようと感化されたのだ。


「おはようございます、シスタースイレン」


 炊事場に向かうとジャガイモの皮を剥いているスイレンさんがいたので挨拶をした。スイレンさんは顔を上げると私たちに向けて、にっこりと笑う。


「おはようございます、ルピナス様。とても良いお天気で今日も素敵な一日になりそうですわね」

「仰る通りですね、シスタースイレン。何かお手伝い出来ることはありますか?」

「そうですわね…台の上にある、お野菜たちを洗っていただけると助かりますわ」

「わかりました!」


 にんじんを数本、手に取って水洗い場で洗い始める。ラランとリリィは私が洗った野菜たちを片っ端から包丁で切り刻んでいった。


「二人とも切るの早いね…!私も包丁を上手く使えるようになるかな」

「大丈夫ですよ…!ルピナス様なら直ぐに出来るようになりますわ!」

「ラランの言う通りです。ただ、何卒お怪我だけは気をつけてくださいね…とんでもない事態になりかねないので……」


 見上げた先のリリィが遠い目をしている。
 思い当たる節があって、私も倣うように遠い目をしてしまった。


「ホホホ。そのお話…さては、お庭でのことですわね。薔薇の棘でルピナス様がお怪我された時、ユーフォリア様ってば大変でしたものね」


 シスタースイレンが、当時のことを思い出すように話して笑った。


 ───それは数日前、庭園でお手伝いをさせてもらっていた時のこと。


 お花のことについて詳しくなかった私は、たまたま水やりをしていた薔薇に棘があることを知らず、うっかり触って血を流してしまった。

 地味に痛かったこともあって生理的な涙を浮かべていたところを、用事から帰ってきたユーフォリア様に見られてしまったのだ。

 その後が大変だった。

 自らが汚れることも厭わずに膝をついて、しゃがみ込んだかと思うと私の手を取り治癒魔法を施すユーフォリア様。

 ……それも上級の治癒魔法を、だ。

 上級の治癒魔法は、上級というだけあって魔力の消耗が激しいうえに威力が凄まじく、薔薇の棘で出来た傷のみならず、薄っすら残っていた過去の傷跡さえも綺麗に消し去ってしまった。

 治癒魔法が終わるとユーフォリア様は強く私を抱きしめた。無言で暫く抱きしめられた後、少し体を離して私の指先や頬に何度も何度もキスをする。


『ルピナス…痛かっただろう?もう大丈夫だよ。どんな傷も俺が治してあげるからね』


 今日の手伝いはもうおしまいだ、と抱え上げられ夜ベッドで眠るまで…つまりは一日中、心配したユーフォリア様の膝から降ろしてもらえなかった。

 ラランは他用で違うところにいて現場にいなかったのだが、側にいてくれていたリリィは一連の言動を見てドン引き。

 気持ちは嬉しかったのだが…正直、私も些細な傷に上級魔法を使用してくださったユーフォリア様の様子に驚いてしまったのだった。


「リリィの言う通り、怪我には気をつけるよ…」


 野菜を洗いながら私は思わず苦笑する。

 何ともいえない空気から気を取り直して、私たちは朝食の準備に精を出すのだった。




 ───あの日。第二王子殿下であるダリア・ブバルディア様と遭遇した日から一週間ほど経った現在。

 私は、自ら望んで様々なお手伝いをしながら、ここヤグルマギク教会でユーフォリア様たちと一緒に生活をしていた。



しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧
BL
【第1部完結しました。第2部更新予定です!】 処刑された記憶とともに、BLゲームの悪役会計に転生したことに気付いた主人公・カイル。 処刑されないために、チャラ男の仮面を被り、生徒会長に媚びを売り、能力を駆使して必死に立ち回る。 だが、愛された経験がない彼は、正しい人との距離感を知らない。 無意識の危うい言動は、生徒会長や攻略対象、さらには本来関わらないはずの人物たちまで惹きつけ、過剰な心配と執着、独占欲を向けられていく。 ——ただ生き残りたいだけなのに。 気づけば彼は、逃げ場を失うほど深く、甘く囲われていた。 *カクヨム様でも同時掲載中です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

処理中です...