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第十七話 同じベッド
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ケネスとの会話を終わらせた後、すぐに寮の部屋へと帰った。すると、ルーカスが驚いた表情でこちらを見てきた。
「アルロ。顔色が悪いぞ」
ルーカスが声をかけてくる。
「そうかな。うわ、本当だ」
鏡を見て思わず笑ってしまった。青ざめすぎだろう。ケネスへの動揺が顔に出ている。
「何かあったのか」
ルーカスが心配そうに聞いてくる。心配をかけたくないな。僕がケネスと会ったことは黙っておくか。
「いや。特に何もなかったよ。顔色が悪いのは、外が寒くて身体を冷やしたせいだろう」
そう言って笑ってみる。ちゃんと穏やかに振る舞えているだろうか。普通にお料理を作って食べて、お風呂へ入って、寝る。そんな自然な日常を演じていく。ほら、僕は何も問題ない。
でも、嫌な夢を見てしまった。
現実じゃないと分かっているのに耐えられなかった。教室の黒板の前に僕は立たされて、多くの生徒に笑われている。誰かが魔法をぶつけてきて、避けることも許されない。もちろん敵はロドニーやケネスだけじゃない、数え切れないくらいいる。
攻撃しない人間も中にはいた。でも、彼らはただ傍観しているだけで、助けてはくれなかった。その中にルーカスも混ざっていた。
僕はルーカスに助けを求めたかった。でも、ルーカスの方を見た瞬間、ルーカスに目をそらされた。
「そっか。ルーカスも僕を見捨てたんだ」
仕方がない。ルーカスの優しさにも限界があるよな。僕はルーカスに充分迷惑をかけた。だから、もういいんだ。ルーカスを解放して楽にしてあげなきゃ。
僕はルーカスから目を離した。多くの人間が、僕に攻撃魔法を放ってくる。足が燃やされ、お腹に氷が突き刺さり、胸は雷で撃たれ、首は触手で絞められた。もう無理だ。死にそう。
「大丈夫か。悪夢でも見ているのか」
ふと、聞こえるはずのない言葉が響いた。ルーカスの声だ。嘘だろう。だって、ルーカスは僕に興味を失って、教室の外へ出て行ったじゃないか。
「ルーカス、助けてくれ」
思わずそう呟いてしまった。ルーカスが救ってくれるはずもないのに、なんで僕はこんな無意味なことを言ってしまうんだろう。
ああ、僕は悪い子だ。もっと良い子にならないと。僕はハーフエルフだけれど、みんなに認められるくらいの魔法が上手くなって、すごくならないといけない。
「アルロ」
ルーカスが僕を呼んでくれた。嬉しい。好き。そんなことを思いながら、ルーカスの声がする方へと目を向けた。
「あれ」
驚いた。教室が消えてしまった。そこにあったのは寮の自室だった。ルーカスがベットの横にいて、僕の顔を覗き込んでいた。
ああ。僕は夢から覚めることが出来たんだ。すごく嫌な内容だった。
「アルロ、大丈夫か。すごくうなされていたぞ」
ルーカスが優しく言ってくれる。嬉しい。でも、どうせルーカスも夢のように離れるときがくると思うと、なんだか苦しくなる。
「申し訳ない。でも、もう大丈夫だ。僕が一人になる夢を見てしまっただけなんだ。それで寝言を言ってしまったんだろう。うるさくして悪かった。次からはもっと楽しい夢を見られるよう努力するよ」
そう言って笑顔を作る。ほら、僕は平気だ。
「そうか。では俺がルーカスと一緒に寝るとしよう」
突然ルーカスがとんでもないことを言い出した。なんでそうなる。
「いやいや。このベッドはシングルサイズだから。男二人で寝るには狭すぎるだろう」
あわてて否定してみたものの、ルーカスがベッドへ無理矢理入ってきた。
「アルロの大きな寝言を聞かされるよりはよっぽどマシだ。それに、僕がアルロと一緒に寝れば、アルロが孤独でうなされる夢を見ない可能性が上がるはずだ。僕はそう思う」
ルーカスの言っていることがメチャクチャだ。誰かこの変人をどうにかしてくれ。
しばらく抵抗してみたものの無駄だったので、諦めてルーカスと一緒に眠ることにした。ルーカスの身体が近すぎてドキドキしたものの、やがて睡魔に襲われてグッスリと眠ることが出来た。悪夢は見なかった。
ただ朝起きたときに、ルーカスの顔が近すぎて悲鳴を上げかけたけど。
「アルロ。顔色が悪いぞ」
ルーカスが声をかけてくる。
「そうかな。うわ、本当だ」
鏡を見て思わず笑ってしまった。青ざめすぎだろう。ケネスへの動揺が顔に出ている。
「何かあったのか」
ルーカスが心配そうに聞いてくる。心配をかけたくないな。僕がケネスと会ったことは黙っておくか。
「いや。特に何もなかったよ。顔色が悪いのは、外が寒くて身体を冷やしたせいだろう」
そう言って笑ってみる。ちゃんと穏やかに振る舞えているだろうか。普通にお料理を作って食べて、お風呂へ入って、寝る。そんな自然な日常を演じていく。ほら、僕は何も問題ない。
でも、嫌な夢を見てしまった。
現実じゃないと分かっているのに耐えられなかった。教室の黒板の前に僕は立たされて、多くの生徒に笑われている。誰かが魔法をぶつけてきて、避けることも許されない。もちろん敵はロドニーやケネスだけじゃない、数え切れないくらいいる。
攻撃しない人間も中にはいた。でも、彼らはただ傍観しているだけで、助けてはくれなかった。その中にルーカスも混ざっていた。
僕はルーカスに助けを求めたかった。でも、ルーカスの方を見た瞬間、ルーカスに目をそらされた。
「そっか。ルーカスも僕を見捨てたんだ」
仕方がない。ルーカスの優しさにも限界があるよな。僕はルーカスに充分迷惑をかけた。だから、もういいんだ。ルーカスを解放して楽にしてあげなきゃ。
僕はルーカスから目を離した。多くの人間が、僕に攻撃魔法を放ってくる。足が燃やされ、お腹に氷が突き刺さり、胸は雷で撃たれ、首は触手で絞められた。もう無理だ。死にそう。
「大丈夫か。悪夢でも見ているのか」
ふと、聞こえるはずのない言葉が響いた。ルーカスの声だ。嘘だろう。だって、ルーカスは僕に興味を失って、教室の外へ出て行ったじゃないか。
「ルーカス、助けてくれ」
思わずそう呟いてしまった。ルーカスが救ってくれるはずもないのに、なんで僕はこんな無意味なことを言ってしまうんだろう。
ああ、僕は悪い子だ。もっと良い子にならないと。僕はハーフエルフだけれど、みんなに認められるくらいの魔法が上手くなって、すごくならないといけない。
「アルロ」
ルーカスが僕を呼んでくれた。嬉しい。好き。そんなことを思いながら、ルーカスの声がする方へと目を向けた。
「あれ」
驚いた。教室が消えてしまった。そこにあったのは寮の自室だった。ルーカスがベットの横にいて、僕の顔を覗き込んでいた。
ああ。僕は夢から覚めることが出来たんだ。すごく嫌な内容だった。
「アルロ、大丈夫か。すごくうなされていたぞ」
ルーカスが優しく言ってくれる。嬉しい。でも、どうせルーカスも夢のように離れるときがくると思うと、なんだか苦しくなる。
「申し訳ない。でも、もう大丈夫だ。僕が一人になる夢を見てしまっただけなんだ。それで寝言を言ってしまったんだろう。うるさくして悪かった。次からはもっと楽しい夢を見られるよう努力するよ」
そう言って笑顔を作る。ほら、僕は平気だ。
「そうか。では俺がルーカスと一緒に寝るとしよう」
突然ルーカスがとんでもないことを言い出した。なんでそうなる。
「いやいや。このベッドはシングルサイズだから。男二人で寝るには狭すぎるだろう」
あわてて否定してみたものの、ルーカスがベッドへ無理矢理入ってきた。
「アルロの大きな寝言を聞かされるよりはよっぽどマシだ。それに、僕がアルロと一緒に寝れば、アルロが孤独でうなされる夢を見ない可能性が上がるはずだ。僕はそう思う」
ルーカスの言っていることがメチャクチャだ。誰かこの変人をどうにかしてくれ。
しばらく抵抗してみたものの無駄だったので、諦めてルーカスと一緒に眠ることにした。ルーカスの身体が近すぎてドキドキしたものの、やがて睡魔に襲われてグッスリと眠ることが出来た。悪夢は見なかった。
ただ朝起きたときに、ルーカスの顔が近すぎて悲鳴を上げかけたけど。
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