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ep.8-1 Arousal
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「ヴォエエ!!」
赤く染め上げられたコックピットの中で、私は吐き散らかした。吐瀉物がパイロットスーツを汚す。
――いまのは、なんだ!?
私の頭を疑問と不快感の混ざった不思議な感覚が満たす。
一体、私はなにを見せられたのか。その答えは、案外早くもたらされた。
「あんたが見たのはねえ!こっち側の世界の"記憶"だよ!」
「記憶……!?」
「そうさ!あんたはねぇ!熱線でその機体ごと爆散して死んだんだよ!!」
――死んだ。言葉が重くのしかかる。
死んだ。
死んだ。
この機体と、共に?
「そんなの、信じるわけが……!」
「あんたもラグールから聞いてるんじゃないのかい?こっちの世界で死んだってねえ!」
私の意識の奥底から記憶が舞い戻る。
『あなたは、前世、あなたがたが"フロンティア"と呼ぶ世界で、死んだんです』
死んだ。
死んだ。
死んだ。
「そ……んな……」
私の手が不意に操縦レバーから離れる。白龍が草薙を地面に下ろす。
直後、私の全身に激しい力が押し寄せた。モニターが激しく揺れたと思いきや、一面に空と白龍の胸に跨る敵機が映し出される。
敵機は白龍の首を掴み上げた。金属同士が擦れる音がする。
「杏子ちゃん!」
「撃ったらこいつに当てるよ!」
女は冷酷な宣言をした。優月が撃ったら白龍を盾にする気だ。
「この角度だとその刀も使えないねえ」
「くっ……」
「で?一応聞くけど、こっちの世界に興味はないかい?来たらあんたにはそれなりの地位をくれてやるよ。毎日遊び放題だ。こんな死闘もしなくて済む」
「杏子ちゃん!騙されちゃダメ!」
「あんたは黙ってな!!」
優月の必死の叫び声が耳に響くも、女はそれを一蹴した。
「こ……」
「ん?」
「こ……断る!」
「は?」
私の口を確固とした意志がついて出る。
「私は……私はこの街を……人たちを……友達を……弟を守りたい……!」
春翔……優月……葵……お父さん……お母さん……。私はいろんな人に生かされた。助けて、助けられて……。
――だから。
だから、私は。
「あんたたちに、負けない!」
その瞬間だった。白龍の右腕が、光った。
「こ……これは……」
私は理解できなかった。いや、本当は分かっていた。なにが起こっているのか、なにが起こるのかを。
白龍のシールドが緑色に発光し、空間を包む。コックピットを包んでいた赤色も消え、視界がクリアになった。
「これが……白龍の……力……」
シールドは形状を変え、研ぎ澄まされ、湾刀の形を帯びた。
「草薙……」
「なっ、バカな!」
女が焦りを隠さずに叫ぶ。
私は手をそっと動かし、レバーを握ろうとした。すると、白龍は緑色の刀で敵の左肩を突き刺した。
「えっ、なんで……?」
私の手は、まだレバーを握っていなかった。
――それなのに、動いてる……?
「その動き……覚醒したか!」
覚醒……。私は女の声に合わせて手を見つめた。
――まさか、私の思考に合わせて動いている……?
「この、化け物がぁぁぁあああ!!!」
敵機の刀が天を指した。隙が生まれた。
「そこ!」
白龍のスラスターが起動し、突き出された刃が敵機の左胸を正確に貫く。刃はそのまま持ち上げられ、敵機の首をはねた。
首は道路上に転がり、敵機は膝から崩れ落ちた。
「参ったよ……降参だ」
女は全てを諦めた声でそう言った。
「だけどねえ、まだあたしたちは本気を出してない。その気になれば、この世界など……」
声が途切れる。私は言葉を待ったが、聞こえたのは予想外のものだった。
「あぁ……、ああああああああ!!!!」
女が悲鳴を上げる。それと同時に、私のパイロットスーツのポケットが光り輝いた。
その光の正体は、勾玉だった。勾玉の光に合わせて、女が叫ぶ。
そして、女の口から言葉がこぼれ落ちた。
「あれ……?私、なにをしてたんだろう……?」
目を覚ました私の意識は、高校の校庭にあった。周りは相変わらず騒がしい。
「私、勝った……?」
「うん……うん!!」
隣にいた優月が喜びを抑えきれない声で返す。
だが、私は素直に喜ぶことができなかった。
――前世で、私はあんな死に方をしたんだ……。
足の力が抜け、膝をつく。砂利が食い込んで痛い。
「私……私……」
私はしゃくり上げるように泣いた。
赤く染め上げられたコックピットの中で、私は吐き散らかした。吐瀉物がパイロットスーツを汚す。
――いまのは、なんだ!?
私の頭を疑問と不快感の混ざった不思議な感覚が満たす。
一体、私はなにを見せられたのか。その答えは、案外早くもたらされた。
「あんたが見たのはねえ!こっち側の世界の"記憶"だよ!」
「記憶……!?」
「そうさ!あんたはねぇ!熱線でその機体ごと爆散して死んだんだよ!!」
――死んだ。言葉が重くのしかかる。
死んだ。
死んだ。
この機体と、共に?
「そんなの、信じるわけが……!」
「あんたもラグールから聞いてるんじゃないのかい?こっちの世界で死んだってねえ!」
私の意識の奥底から記憶が舞い戻る。
『あなたは、前世、あなたがたが"フロンティア"と呼ぶ世界で、死んだんです』
死んだ。
死んだ。
死んだ。
「そ……んな……」
私の手が不意に操縦レバーから離れる。白龍が草薙を地面に下ろす。
直後、私の全身に激しい力が押し寄せた。モニターが激しく揺れたと思いきや、一面に空と白龍の胸に跨る敵機が映し出される。
敵機は白龍の首を掴み上げた。金属同士が擦れる音がする。
「杏子ちゃん!」
「撃ったらこいつに当てるよ!」
女は冷酷な宣言をした。優月が撃ったら白龍を盾にする気だ。
「この角度だとその刀も使えないねえ」
「くっ……」
「で?一応聞くけど、こっちの世界に興味はないかい?来たらあんたにはそれなりの地位をくれてやるよ。毎日遊び放題だ。こんな死闘もしなくて済む」
「杏子ちゃん!騙されちゃダメ!」
「あんたは黙ってな!!」
優月の必死の叫び声が耳に響くも、女はそれを一蹴した。
「こ……」
「ん?」
「こ……断る!」
「は?」
私の口を確固とした意志がついて出る。
「私は……私はこの街を……人たちを……友達を……弟を守りたい……!」
春翔……優月……葵……お父さん……お母さん……。私はいろんな人に生かされた。助けて、助けられて……。
――だから。
だから、私は。
「あんたたちに、負けない!」
その瞬間だった。白龍の右腕が、光った。
「こ……これは……」
私は理解できなかった。いや、本当は分かっていた。なにが起こっているのか、なにが起こるのかを。
白龍のシールドが緑色に発光し、空間を包む。コックピットを包んでいた赤色も消え、視界がクリアになった。
「これが……白龍の……力……」
シールドは形状を変え、研ぎ澄まされ、湾刀の形を帯びた。
「草薙……」
「なっ、バカな!」
女が焦りを隠さずに叫ぶ。
私は手をそっと動かし、レバーを握ろうとした。すると、白龍は緑色の刀で敵の左肩を突き刺した。
「えっ、なんで……?」
私の手は、まだレバーを握っていなかった。
――それなのに、動いてる……?
「その動き……覚醒したか!」
覚醒……。私は女の声に合わせて手を見つめた。
――まさか、私の思考に合わせて動いている……?
「この、化け物がぁぁぁあああ!!!」
敵機の刀が天を指した。隙が生まれた。
「そこ!」
白龍のスラスターが起動し、突き出された刃が敵機の左胸を正確に貫く。刃はそのまま持ち上げられ、敵機の首をはねた。
首は道路上に転がり、敵機は膝から崩れ落ちた。
「参ったよ……降参だ」
女は全てを諦めた声でそう言った。
「だけどねえ、まだあたしたちは本気を出してない。その気になれば、この世界など……」
声が途切れる。私は言葉を待ったが、聞こえたのは予想外のものだった。
「あぁ……、ああああああああ!!!!」
女が悲鳴を上げる。それと同時に、私のパイロットスーツのポケットが光り輝いた。
その光の正体は、勾玉だった。勾玉の光に合わせて、女が叫ぶ。
そして、女の口から言葉がこぼれ落ちた。
「あれ……?私、なにをしてたんだろう……?」
目を覚ました私の意識は、高校の校庭にあった。周りは相変わらず騒がしい。
「私、勝った……?」
「うん……うん!!」
隣にいた優月が喜びを抑えきれない声で返す。
だが、私は素直に喜ぶことができなかった。
――前世で、私はあんな死に方をしたんだ……。
足の力が抜け、膝をつく。砂利が食い込んで痛い。
「私……私……」
私はしゃくり上げるように泣いた。
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