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ep.8-3 Arousal
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「フロンティア?」
「そう、それに……あなたのハクリュウのことも」
私は覚悟を決めたかのように女の方へと向き直った。真正面から目を見る。嘘を言ってるようには思えなかった。
「……わかった。本当のことを教えてください」
女は小さく頷いてみせた。彼女からも確かな覚悟を感じる。
「私のいた世界……こちらではフロンティアと呼ばれてる世界は、元々7体の機動神によって創造されたとされています……」
「7体の機動神?」
「そう……セイリン、ズイカク、オウキ、コウオ、オウラン、マナヅル、そして、ハクリュウ……」
――白龍?それに……真鶴?
「真鶴って……」
優月が驚いた様子で口に手を当てる。
「わたしたちが乗ってるドールユニットが……神だったってこと……?」
「そう……なります」
驚きと恐怖がごちゃ混ぜになる。そんなのに私たちは乗ってたなんて……。
「もっとも、おそらくこの世界の機動神は私たちの世界のレプリカ……模造品だと思われます。私たちの世界の情報を参考に、1から作った……」
「それで、なんであなたたちはこっち側に攻めてくるの?」
「それは……」
女の口が一瞬ギュッと締まった。
「私たちの世界の機動神が……寿命を迎えようとしているからです」
「寿命?」
「はい。機動神はいろんな世界を創造し、その都度、その世界だけの神を生み出してきました。あなた方の世界にも神はいるはずです。しかし……」
「しかし?」
「私たちの世界を創造した時はそうではなかった。機動神は力尽き、眠ってしまわれました。結果として、私たちの世界では神は生まれず、機動神が神として崇められることになりました」
女は言葉を切った。噛み締めるように息を吸い込む。
「ですが、その機動神の寿命がもうすぐ来ようとしています。命の尽きた機動神は世界を維持できない。街は荒廃し、森は枯れ、海は消えようとしている……」
「世界が……死にかけているということ?」
「……はい」
はっきりとした肯定が胸に深く突き刺さる。
「それで、私たちの世界の人々が機動神を畏れ多くも解析したことで、あることがわかりました。それは、他の世界への侵攻と破壊こそが私たちの世界が生き残る唯一の道であると」
私の息が詰まりそうになる。重たい雰囲気が背中にのしかかる。
「侵攻と……破壊?」
「はい、他世界を破壊し、その世界の神の力を奪う。そうすることで、機動神は再び力を取り戻し、私たちの世界は生きながらえることができる……」
「そんなの、身勝手じゃん!」
私の声に怒気が滲む。
「そんなの……生きるために殺すってことじゃん……」
「はい……そう……なります」
「でも、わからない。なんで、わたしたちの街を破壊するの?神の力を奪うだけなら、そんなことしなくてもいいのに」
「破壊することで、機動神の力が増すんです。そうすると、より魔力が増して、機動神の能力が増大する……」
「そんな……」
私は唇を噛み締めた。納得なんて、できるわけがない。
「不条理な力による破壊は、世界に蓄積された"輪廻"を断ち切ります。生命が積み重ねてきた想いや歴史……そういうものが一気に解放され、純粋な魔力へと変換される……」
「だから……壊すほど強くなる……」
「はい、それが私たちの世界で導き出された答えです」
拳を握る力が強まる。爪が掌に食い込む。
「でも、誤算が生まれた……」
「……誤算?」
「ハクリュウです」
――白龍。その名前が頭をきつく締め付ける。
「白龍……が、どうしたの?」
「ハクリュウは特別な機動神です。本来のハクリュウは、輪廻を断ち切るのではなく、流れを変えられる唯一の機動神でした。世界を壊すことなく、繋ぐことで生命を動かせる、唯一の存在。それが判明したのは、私たちの世界で破壊された後でした」
「だったら、最初から白龍を……」
「不完全だったのです」
女は悔しそうに歯を食いしばった。
「ハクリュウはその特性上、操者との完全なリンクが必要でした。意識が全て機動神に溶け込み、1つになることでようやく力の一端を発揮する……」
――1つになることで……?私の脳内に先ほどの戦いの記憶がなだれ込む。
「さっき……操縦レバーを握らなくても、白龍が動いた……。もしかして」
「はい、それが覚醒の第一歩です。レプリカが本物になるための……」
私は掌を広げ、視線を落とした。覚醒。その2文字を反芻する。
「ですが、まだまだ覚醒が完了するまでには段階を踏まなければならない……」
「……どうやったら、その覚醒は完了するんですか?」
「わかりません……」
女が申し訳なさそうに項垂れる。
「私たちの解析は、あくまで理論です。本当の覚醒条件は、ハクリュウ自身が決める……」
「白龍が……」
――ドールユニットに、そんな意志が……。
そんな大事な機体に、私が乗っていいんだろうか?
私の中に空白ができたような、そんな気がした。
「そう、それに……あなたのハクリュウのことも」
私は覚悟を決めたかのように女の方へと向き直った。真正面から目を見る。嘘を言ってるようには思えなかった。
「……わかった。本当のことを教えてください」
女は小さく頷いてみせた。彼女からも確かな覚悟を感じる。
「私のいた世界……こちらではフロンティアと呼ばれてる世界は、元々7体の機動神によって創造されたとされています……」
「7体の機動神?」
「そう……セイリン、ズイカク、オウキ、コウオ、オウラン、マナヅル、そして、ハクリュウ……」
――白龍?それに……真鶴?
「真鶴って……」
優月が驚いた様子で口に手を当てる。
「わたしたちが乗ってるドールユニットが……神だったってこと……?」
「そう……なります」
驚きと恐怖がごちゃ混ぜになる。そんなのに私たちは乗ってたなんて……。
「もっとも、おそらくこの世界の機動神は私たちの世界のレプリカ……模造品だと思われます。私たちの世界の情報を参考に、1から作った……」
「それで、なんであなたたちはこっち側に攻めてくるの?」
「それは……」
女の口が一瞬ギュッと締まった。
「私たちの世界の機動神が……寿命を迎えようとしているからです」
「寿命?」
「はい。機動神はいろんな世界を創造し、その都度、その世界だけの神を生み出してきました。あなた方の世界にも神はいるはずです。しかし……」
「しかし?」
「私たちの世界を創造した時はそうではなかった。機動神は力尽き、眠ってしまわれました。結果として、私たちの世界では神は生まれず、機動神が神として崇められることになりました」
女は言葉を切った。噛み締めるように息を吸い込む。
「ですが、その機動神の寿命がもうすぐ来ようとしています。命の尽きた機動神は世界を維持できない。街は荒廃し、森は枯れ、海は消えようとしている……」
「世界が……死にかけているということ?」
「……はい」
はっきりとした肯定が胸に深く突き刺さる。
「それで、私たちの世界の人々が機動神を畏れ多くも解析したことで、あることがわかりました。それは、他の世界への侵攻と破壊こそが私たちの世界が生き残る唯一の道であると」
私の息が詰まりそうになる。重たい雰囲気が背中にのしかかる。
「侵攻と……破壊?」
「はい、他世界を破壊し、その世界の神の力を奪う。そうすることで、機動神は再び力を取り戻し、私たちの世界は生きながらえることができる……」
「そんなの、身勝手じゃん!」
私の声に怒気が滲む。
「そんなの……生きるために殺すってことじゃん……」
「はい……そう……なります」
「でも、わからない。なんで、わたしたちの街を破壊するの?神の力を奪うだけなら、そんなことしなくてもいいのに」
「破壊することで、機動神の力が増すんです。そうすると、より魔力が増して、機動神の能力が増大する……」
「そんな……」
私は唇を噛み締めた。納得なんて、できるわけがない。
「不条理な力による破壊は、世界に蓄積された"輪廻"を断ち切ります。生命が積み重ねてきた想いや歴史……そういうものが一気に解放され、純粋な魔力へと変換される……」
「だから……壊すほど強くなる……」
「はい、それが私たちの世界で導き出された答えです」
拳を握る力が強まる。爪が掌に食い込む。
「でも、誤算が生まれた……」
「……誤算?」
「ハクリュウです」
――白龍。その名前が頭をきつく締め付ける。
「白龍……が、どうしたの?」
「ハクリュウは特別な機動神です。本来のハクリュウは、輪廻を断ち切るのではなく、流れを変えられる唯一の機動神でした。世界を壊すことなく、繋ぐことで生命を動かせる、唯一の存在。それが判明したのは、私たちの世界で破壊された後でした」
「だったら、最初から白龍を……」
「不完全だったのです」
女は悔しそうに歯を食いしばった。
「ハクリュウはその特性上、操者との完全なリンクが必要でした。意識が全て機動神に溶け込み、1つになることでようやく力の一端を発揮する……」
――1つになることで……?私の脳内に先ほどの戦いの記憶がなだれ込む。
「さっき……操縦レバーを握らなくても、白龍が動いた……。もしかして」
「はい、それが覚醒の第一歩です。レプリカが本物になるための……」
私は掌を広げ、視線を落とした。覚醒。その2文字を反芻する。
「ですが、まだまだ覚醒が完了するまでには段階を踏まなければならない……」
「……どうやったら、その覚醒は完了するんですか?」
「わかりません……」
女が申し訳なさそうに項垂れる。
「私たちの解析は、あくまで理論です。本当の覚醒条件は、ハクリュウ自身が決める……」
「白龍が……」
――ドールユニットに、そんな意志が……。
そんな大事な機体に、私が乗っていいんだろうか?
私の中に空白ができたような、そんな気がした。
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