見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)

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第四章 ジメッとメラッと強化合宿 編

弱さと弟子と竜騎士と 2

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「「おかえり~」」
「おかえりなさ~い」
「ただいま。」


リビングでは8×8のマス目をつけた板と、裏表に白と黒が塗られた小さな板が散らばっていた。


「またオセロやってるんだ」
「だって~リクつよいんだも~ん」
「もーん」
「りょ~君も~やる~?」
「リョー君、コレ何?」
「オセロって言うゲームで、この丸い板を使って遊ぶんだ。

今レグが置いてるみたいに、縦・横・斜めに自分の色で挟んだら相手の色の板を自分の色にひっくり返せる。

最終的に自分の色が多い方が勝ちって言う遊びだよ。」



雨季って外で遊べないから暇だってことで、作ってみたんだけどコレがまたみんなハマっちゃったみたいでウチでは大ブームになっている。。



「そうだ、フィエリアもやってみなよ。」
「ええ?僕はいいよ…」
「まぁまぁ、そう言わずに座った座った。意外とやることは単純だけど頭使うからいいトレーニングになるんだ。
よーし!この一戦が終わったらレグが相手だ!」





数分後

「ま…負けた…」
「真っ白。まだまだ道のりは遠いね。

せっかくだしアムとレグに勝つまでエンドレスでやってみようか。」
「ヒィエェ…」


「もっと相手の手を読む!」
「は、はい~!」


「そこ置いたらここ取られちゃうでしょ!」
「はい~…」


「すぐ数を取ろうとしないの!」
「はい…」


数時間後

「27、28、29、30。陸、そっちは?」
「さんじゅ~よん個~。フィーちゃんの勝ち~」

「やっと勝てた…」
「お疲れ様。
どうだった?相手の先を読んでみて」
「なんていうか、今までやってこなかったから変な感じがするよ」
「その感じがするってことは、…試しにステータス確認してみて」
「え?なんでステータス?」
「いいから。確認してみて」


「す、【ステータス】…
…高速思考レベル1と並列思考レベル1?」

「無事に覚えれたみたいだね。
高速思考と並列思考。

闘いや計算、設計、戦略を練ったりするのに幅広く役立つ思考系スキルなんだ。」
「リョー君と同じスキルだよね?」
「そう。念動を使うときにはフル稼働してるスキルだけど、正確には俺だけじゃなくて、ウチの家族全員持ってるよ。」
「え?…マジ?」
「マジ。まぁほとんどオセロで遊んでたら身についたって感じだから、実際に使いこなせてるかどうかは分からないけど、遊びが訓練になるなら安いもんだよね。」
「遊びが訓練って…」
「衛兵隊にはこんな訓練ないって?

訓練や修行の常識ばかりが正しいとは限らないんだ。

遊びの中に修行あり、生活の中に修行あり、闘いの中に修行あり、サバイバルの中に修行あり…

こんな感じで至るところに強くなれるチャンスは世の中にはたくさんある。
まぁ…俺はちょっと強くなる方法が例外なんだけどね。」
「ものづくりの中に修行あり…みたいな?。」
「正解」









スンスン…ッ!

「おにぃちゃん」
「なに?」
「だれかきたみたいだよ?」
「この時間ならメアリさんかクレアさんじゃない?」
「ううん、ちがうみたい」
「珍しいな。ウチに来る人ならレグが判別できるはずだけど…
陸、カメちゃんたちは?」
「見えて~るけど~…だ~れ~?この人~」
「初見の客か…」



コンコンコン

「ご……く…さ…まし!」
「ぜーんぜんわかんなーい」
「はぁ…なんで初めての人ってインターホン押してくんないんだよ…」


何度も来るメアリさん達はもちろん、前来た時にピンポンピンポンやって遊んでたヴァルさんでもインターホンの存在は知ってるのに…


ドンドンドンッ!

「ごめんくださいましぃ!」


ノックの音が変わる。
緊急性は感じないが、力加減が分かってない奴の叩き方だな。


それにしてもこの声どこかで…


「はいはい、今出ますよ…」

ガチャッ

「ごめんくださいまし!
こちら、リョー・ヤマモト様のご自宅に間違いありませんわね?」


あ、ジョセフさんの娘さんだ。


気づいた時にはドアを開けてしまっている。


全身で感じとる嫌な予感。


「……」

こういう時は…


バタンッ!カチャン!




「さっ!夕飯の用意するよー!」



ドンドンドンドンドンドンッ!!!!ガチャガチャガチャ!!!


「何故閉めるんですの!?開けてくださいまし!」
「な!ドアがゆがむ!
フィリップ!大至急衛兵服に着替えろ!不法侵入者だ!」
「え?あ…あ…」
「陸!戸締りの確認と家中に結界を!早く!」
「なんでですの!?わたくし怪しい者じゃないですわ!
領主ジョセフ・ダルセンの娘のシルヴィア・ダルセンですわ!」
「知ってます!だからダメなんです!」
「なっ!ご存知の上で何故締め出すんですの!?」
「開けたら俺の命の危機が!」



ギャーギャーギャー!


ピピッピピッ
ゼェ…ゼェ…ゼェ…

助け舟の警笛が聞こえる。両手は完全に塞がっているので念動でなんとか取る。

「【も…もしもし!】」
「【リョー様、お忙しい所失礼します。リョー様のお宅にお嬢様、シルヴィア様がお見えでないですか?】」
「【ナイスタイミングですねセナさん、ちょうど扉の向こうです。】」
「【やはり…失礼しました。そちらにいらっしゃるのですね?】」
「【ええ。用件があるそうなのですが、これは聞かない方がいいパターンですよね?ね?】」
「【用件?自分は把握しておりませんので分かりかねますが、とにかく自分が伺います。
今しばらく耐え凌いでください。】」


耐え凌ぐってなに!?

このままいけばドアを破壊されかねないのは確かだけど、なにが起きるの?ねえ!


「【あ、旦那様、ちょっ…】」
「【聞こえるか?あれ、聞こえねぇじゃねぇか。おい、おーーい】」
ガサゴソガサゴソプツッ
「【こうか?おーーい】」
「【聞こえてますよ。】」
「【おう。リョー。この間は世話になったな。じゃねぇんだよ!シルヴィアいるのか?】」
「【ええまぁ。玄関の扉の前にですけど、ジョセフさんが面倒ごとを預けて来たんじゃないかと思って。】」
「【いや。儂はそんなことしてねえ。今は例の件でセナ以外に関わりを持たせねえようにしてるからな。】」
「【ならなんの用件で?】」
「【ザックリ見当はついてる。
とにかくシルヴィアに代わってくれねぇか?】」
「【ええ?嫌ですよ!
代わるってことはドア開けなきゃいけないじゃないですか】」
「【頼むって。
じゃねぇと話が進まねぇんだよ】」
「【…どうなっても知りませんからね…】」

通信機をスピーカーモードにする。念のため入られないように念動で通信機を持ち、右手でドア、左手で頭か肩を押さえられる準備をして開ける。

ガチャッ
「はいどうぞ」
「【あのなシルヴィア。
確かにリョーにはいつも助けられてる話をしたがな、今はまだ接触すんなってことも言ったよな。】」
「【お父様…!わたくしは止まりません。
わたくしは1日でも早くリョー様に弟子入りして、1日でも早く困っているお方がいらっしゃれば助けになれる存在になりたいのです!】」



大体察した。嫌な予感、大的中。

多分、この間のエリクサーを目の前で作ったのを見たり、お父様ジョセフさんやセナさんからの話を聞いて、俺に魔法の使い方とかその他もろもろを教わりたくて厳戒態勢下の屋敷を抜け出してきたな。



「【つっても、シルヴィアの魔法はとても人前で練習なんてできたもんじゃねぇ。危険になるばっかりだ】」
「【お父様、わたくしもその程度で下がるとお思いですの?

聞いてましてよ。
わたくしに魔法を使えるようにする手立てとしてリョー様に魔法道具か武器の相談をしてみようかとスチュアートと話しているところを】。」
「【うっ…聞いてたのか…】」



おいおい…遅かれ早かれ俺に回ってくる予定かよ。



「【善は急げと言います。今学びたいのです!お願いしますお父様。】」
「【はぁ…リョーはどうなんだよ。】」
「【あ、俺ですか。

その…単純に急過ぎてなんの準備もないです。せめて前もって分かっていれば、なんとかなるとは思うんですが…】」
「【ほら見ろ。弟子入りなんて簡単にできるもんじゃねぇんだよ。】」
「【でも…】」
「【ジョセフさん】」
「【ん?】」
「【明日からでよかったら大丈夫ですよ】」
「【は?】」
「【ちょうど1人面倒見てるんで、モノは試しで2人目も面倒見てみましょう。3日分くらい泊まれるように着替えとか一式を持って明日の…9時にギルドの訓練場に集合でいいですか?。】」
「【え?え?え?え?え…いい…のか?】」
「【まぁ、どうせ後から相談に来るんですよね?ならバラバラに見るより2人いっぺんに見たほうがスケジュール的に楽ですから。】」
「【な、なら…よろしく頼む…】」
「やった!!明日からよろしくお願いしますわ!!」




























「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ引き受けちゃった…急いで作らないと!」
「ごはん?」
「ちがう!!」



コンコン  ガチャッ

「リョー君、ご飯できてるけどいいの?ご飯食べなくて。」



ピロンッピピッピピッ

「食べてる暇ない。明日の朝までに装備完成させないと、俺の命がヤバい…」
「朝言ってた面倒ごとで死ぬって予感?」
「なんだかんだ言っといてコイツは頼まれたら断れんタイプやもんな。
でも、んなもん気のせいやて。訓練やで?」
「いや、訓練で事故が起きた事例は毎年ある。
主の予感は的確なのかもしれん。」
「…備えあれば、うれしいな……憂いなし…」






外野がうるさいが作業を止めて聞いているわけにはいかない。









まずは火竜の素材に素材の進化に必要な素材を加えて、膨大な魔力を均等に混ぜ込んで密度を上げていく。


こうして生まれた火竜の上位種、『爆炎竜の合成素材』は、部位ごとに後で使うので一旦置いとく。






続いて下地作り。


大きく分けるとアーマーパーツとアンダースーツに分けれる。



動きや装着者のフィジカル周りの強化をアンダースーツ、耐久性や魔法攻撃の強化をアーマーパーツで固める。


アンダースーツで言えば、全体的に身体能力強化、腕部分に腕力強化、足に脚力強化など、その部位ごとに必要な強化を。


逆にアーマーパーツには防御力強化や魔法強化はもちろん、要所要所に攻撃力強化、頭部パーツに視覚強化や思考強化なども忘れない。


竜の皮を俺の体サイズにカット、変形、部位ごとに強化魔法を付与したうえで結合。余った皮でアーマーパーツのないところを厚くしておく。

「アンダースーツ完成。忘れないうちに装備設定しないと…」

ピピッピッピッピッピピッ



俺専用の魔法道具って言っていた手鏡型の魔法道具っていうのは魔法道具版のスマホだ。


インターネットはもちろん存在しないので携帯電話としてはガラケー程度の機能しかないが、代わりに空間収納とセットで装備へんしん機能がついてるし、魔法陣をフリックで組み立てたり保存して繰り返し使うことができる大変便利な代物。


普段の見た目は鏡なのでスマートフォンというよりミラーフォンと言ったところで、鏡型携帯念話機が正式名称になる。


では話を戻して、次はアーマーパーツ。
爆炎竜素材をふんだんに使い、赤いドラゴンと騎士をモチーフにパーツ一つ一つを丁寧に造りあげていく。


部位ごとに強化や、内部に魔法陣や付与などの細々とした細工を施していく。


アーマーパーツ完成。

ミラーフォンスマホに装備設定を忘れずに。




「よし…武器は後回しにするとして、コイツに安全装置としての役割を持たせればとりあえずはOK」




安全装置に車のエアバッグや自動ブレーキと同じで、ヤバい状況になったらキャンセルしない限り自動で装着するように魔法陣を組んでいくのだが、強力な魔力もしくは魔法、物理攻撃や落石などなど考えつく限り全てのアクシデントに対して魔法陣を組んでいかないといけないから大変だ。







数時間後

「終わったぁ…」

竜装備専用の武器は作ってないが、普通に武器あるし命の危険に反撃したいわけではないので後回しだ。

それよりも作る前と後で心の持ちようが明らかに違う。作る前はいつ死ぬかだけが心配だったのに対し、今は誰にも負ける気がしない。




気がつけばもう日付が変わる時間。
明日何もなければいいんだが……
絶対なんか起きるんだろうなぁ…























翌朝、冒険者ギルドの前。




「「おはようございます。」」
「「おはよーござーいます」」
「お~はよ~~ござ~いま~~す」
「おはようさん。
あれ、珍しく亀の坊やが来たと思ったら他がいないじゃないか」
「みんな手が空き次第合流します。
ギルドマスターこそ珍しいですね。朝からギルドの前に立ってるなんて」
「昔の仲間とはいえ領主の娘が来るわけだよ、その場所の長が出迎えるのが社交辞令ってやつさ。
まぁアイツんとこのはアタシが出てようが出てなかろうがどっちでも気にしないんだけどね。」


そうしていると遠くから楽しそうな親子の声が。


「お、きたね」
「ごきげんよう。
師匠!アンジェおば様!」
「ごきげんよう、アンジェさん、リョー君、フィリップ君…だったかしら」

「エミリ、アンタ本当に動いて大丈夫なのかい?」
「えぇ。大変優秀な錬金術師様に救って頂いた命ですもの。
ベッドの上にいた分をこれから楽しむんです。」

「そうかい。
その錬金術師様は秘薬を作って何故か厨房に逃げたらしいじゃないか。とっ捕まえたのかい?」
「ダメでした。
お礼の一つも言わせて欲しいものです。」
「そこんとこどうなんだい?錬金術師さんよ」
「え、え~っと…」
「どうせ屋敷の子達全員から頭を下げられた時どうしたらいいか分からなくて、さりげなくいなくなればいいとか考えたんだろ?」
「わかってるじゃないですか」
「アンタは手先と頭以外不器用だからね、読むのは簡単さ。」




地球で言うなら一生徒が学年中や教員全員に寄ってたかって感謝されるくらいの感覚にあたる。

そんなもん誰が慣れて対応できると言うのだろうか?


「もういいじゃないですかこの話は!!」
「そうだね。これ以上はアンタの真っ赤な顔から火を吹くかもしれないし今日のところはこのあたりで勘弁しといてやるよ。

お嬢達はとりあえずリョーに連絡事項が2つあるからお嬢達は早速訓練場に準備してきな。」



フィエリア、お嬢様、奥様は中に入っていった。なぜかアムレグも一緒に。



「で連絡することって?」
「1時からBランクの昇格試験あるから1時前に訓練場を開けてくれるかい?」
「いいですよ。もうひとつは?」
「後で弟子もう1人追加してもいいかって相談だよ。」
「もう1人?知ってる人ですか?」
「さあね。アンタには今言ったけどあの子には何も言ってないし。」
「え…勝手に決めて大丈夫なんですか?」
「どうだかね。まぁアンタならこの街で知らない冒険者はいないだろうから何とかなるんじゃないかい?」



冒険者の多くが救護部隊のテントを訪れているので俺はこの街では有名な方だ。

たまにパーティの勧誘や酔った冒険者に肩組まれたりする。

まぁ俺はゴーレムとして従魔扱いになる家族がいるので単独で5人、もしくは総合計15人分のパーティのような感じで通ってるから、誘ってくるのは2人組か単独の冒険者が多い。



「どんな人です?」
「アンタより年下の狐人族の坊やだよ。

アタシの勘だと磨けば光る子なんだけどビビリでね、新人講習を受けさせたりしてるんだけど、初歩のゴブリン退治にすらどうも踏ん切りがつかないみたいでね。
アンタのおこぼれを拾ってくれてるから助かるっちゃ助かるけど、いっぺんケツを叩いてみてほしいんだよ。」
「武器か魔法は?」
「安物の杖とナイフを持ってたはずだけど、ありゃ新しく見繕ってやんないとダメだろうね。」
「まほ~使いさんなの~?」
「多分ね。ただお嬢も天気に関する範囲攻撃魔法が使えるからパーティ組むなら後衛寄りになるかもしれないけど、そこはまぁ実際に見ていろいろ試しだね」
「分かりました。いいですよ。」
「頼むよ。アタシはカウンター近くでその子待ち伏せしてるからからなんかあったら呼びな。」











「ってな訳で後からもう一人合流するので来るまで準備運動でもして待ってようかなと思うんですが…よろしいでしょうか?」
「師匠、」
「なんでしょう?」
「弟子に師匠が敬語を使うのはやりにくいですの。領主の娘とかの肩書きは忘れて敬語をやめにして欲しいんですの!」
「え…あ…」

チラッ
クスクスっ
「リョー君、私達に気を使わなくていいのよ。夫が気を遣うなって言ってるじゃない?私も元冒険者だし、気軽に声かけてもらう方が楽なのよね。」
「本当に…いい…の?ですか?」
「はい!フィーちゃんとはさっきお友達になりましたし、フィーちゃんとわたくしで口調や態度が違うのは師匠もやりにくいんではないかと。」
「それじゃあ…これでいいか?シルヴィア」
「はい!改めましてよろしくですの、師匠!」
「師匠…か。別にフィエリアは弟子ってわけじゃないから友達ってカテゴリの方がいいんだけど…」
「シルヴィアの中では何かを教えてくれる人は先生か師匠って決まってるのよ。許してあげて?」
「シルヴィアちゃんが同格になるまで鍛えてあげれば友達にカウントされるようになるんじゃない?」
「道のりとおっ…」





そんなやりとりをしていると訓練場の入り口から声が近づいてきた。思ったより全然早かったな。




「大丈夫だからさっさと腹くくりなっ!」
「腹くくれって、いくらなんでも急すぎるっす!
弟子入りってのは本人から申し出るもんで…で…」



目があった。あ、火事の時の人だ。

「で……」

スルンっ

ダダダダダダズザザザザザザザアアアアアア


「でぇぇぇしにしてくださいっすぅ!!」


見事なスライディング土下座。

切り替え早いな。

ギルドマスターの腕から抜け出たぞ。


あって3秒。ツッコミどころが多すぎる。



「ギルドマスター、彼が3人目ですか?」
「そうだよ。ほらっ自己紹介しな」
「うっす!オレっち狐人族のケリーっす。小心者っすけど師匠にならついて行くっす!」
「俺はリョー・ヤマモト。そっちにいるのが妹のアムと弟のレグ、大きいのが陸。」
「ど~も~」
「シルヴィアですわ」
「フィエリアです。」
「衛兵さんっすね!あれ?フィエ?」
「衛兵の時はフィリップで、本名がフィエリアだよ。とりあえずフィーって呼んでくれたら大丈夫だよ」
「分かったっす!師匠、シルヴィアっち、フィーっち、これからよろしくっす!」


怖いくらいスムーズな3人目の受け入れを済ました俺たちは奥様エミリさんと別れ、準備体操をすます。



「それぞれを分析をするために、今から体力テスト、魔法テスト、武術テストをするよ。
大して難しいようなものではないから緊張せずに全力で挑んでね。」

「「「はい」ですわ」っす」





・50m走。
フィエリア→6秒2
俺→7秒8
シルヴィア→8秒8
ケリー→6秒5




・反復横跳び

俺→43回
フィエリア→45回
シルヴィア→28回
ケリー→38回




・上体起こし

俺→25回
フィエリア→20回
シルヴィア→16
ケリー→21回






ゼェ…ゼェ…ゼェ…
「1休憩したら魔法テストね…」
「「は~~い…」」
「うぃ~~っす…」














サラサラサラッと
「フィエリアは無属性で脚力強化と光属性のヒール、ライト。現在、攻撃魔法は使えない~っと。次、ケリー」
「はいっす。」
「ケリーの魔法は?」
「お恥ずかしながら…ファイアボールしか使えないっす…」
「OK。的目掛けて撃ってみて」
「うっす。」



「【炎よ、球となりて我が前の敵を射抜け!ファイアボール!】」



長文詠唱か。
大魔法の構築か使い慣れてない魔法を使う時にやるやつだったな。

けど初級で長文詠唱は使わなくても出ることには出るはず。


ボワァァアアン…


なるほど、ちょっと大玉。
でもその軌道だと当たらないんじゃ…


「今っす!」

グイィィッ!

よそ見していて女子トイレに入りかけた男のように進路を変更する火のボール。

確かに、初心者であれができるなら才能はあるだろう。

「長文詠唱で出すとちょっと動かせるんす」

カキカキカキカキ

「なるほどね。
ファイアボール、若干大玉。少し制御可能…っと。」

武器は使ったことがないらしい。




「最後は…シルヴィアか…魔法は?」
「レインと竜巻、サンダー…あとですと…」



なるほど。確かに天気に関するものばっかり。メモメモっ



「では行きますわ!【サン…」



ドタドタドタドタッ

「ちょっーーーと待ちな!!」
「きゃっ!なんですの!?」
「どうしたんですか?」
「お嬢の魔法のことで1番大事なこと伝え忘れてたよ。」
「魔法の加減が苦手ってことですか?」
「あれ?言ったかい?」
「いえ。さっきから、いやかなり前から俺の第六感スキルが警鐘を鳴らしまくってるんで。」
「なら話は早いね。お嬢の魔法を建物内ここで使いたかったらアタシかルミ、ジョセフの誰かを同席させること。いいね?」





①魔法の制御がなってない

②周りへの被害の方が大きい

③シルヴィアの魔法はは自爆装置扱い

④正しい使い方を教えようにも魔法を練習することができない

⑤練習できないから上達しない。


この中の2番が最大の問題点。天気をそのままイメージするから強いも弱いもない屋外でのみ起こりうる魔法。屋内で撃てばそりゃ危険でしょ?って話だ。


それにしても魔法で相殺出来そうな人の同席か。ジョセフさんは領主の座を継ぐために途中引退したからBランクだけど、実力的にAランク以上の同席が必要な魔法ってどんなだよ…



「とりあえず今日のところはアタシが見るから次は前もって教えといておくれ。」
「分かりました。んー…よし。陸、対魔法結界の用意を。」
「は~~い」
「アム、レグ、フィエリア、ケリーは結界の中へ」
「「はーい」」
「うん。」
「はいっす」
「ギルドマスターはどうします?」
「アタシはいい。
あの中だとヤバい時にあの子達を巻き込む可能性があるからね。」
「そうですか。では俺も準備を。あ、ちょっと持っててもらっていいですか。



「ふぅー…」

ピッ

「【着装】」
『Burning Up』


スマホ画面から2枚の魔法陣が飛び出て俺の頭上でそれぞれ待機。

1枚目が通り過ぎるとパンツ以外の衣服がアンダースーツに代わり、2枚目が通り過ぎると真紅の全身鎧が上から装着される。





アンダースーツよし。

アーマーパーツよし。

着装、異常なし。



一応的からもギルドマスターからも離れて安全を最大限確保。




「撃っていいよー!」
「参ります!!」








「【サンダー】!!」




ゴロゴロゴロゴロ…
魔法陣が隠れるほど暗雲が広がる。


ん?雲まだ広がる?デカくね?デカすぎね?

ピカッ!!!、

稲妻太っ!太すぎるって!的に当たるかどうかより建物ごと粉砕する威力じゃん!


ここか!死ぬ予感の正体は!
ぶっつけ本番でもやるしかない!


湧き上がる魔力を拳に集めて…
「【ドラゴンフィスト】!!」

バリバリィイイイイイ!!

グルゥァアアーーー!!


ドォオオオオォォォォォォォォォォォォォォォン!!


打ち付ける雷の鉄槌と怒り狂う業火の竜。

ぶつかり合う衝撃と閃光に一瞬意識を刈り取られそうになるが、絶対に手放さない。



負けるもんかぁぁぁぁぁぁあ!!……























焦げ臭い匂いと、魔力がゴッソリ消費した疲労感に生きていることを教えてもらえる。



「あ、あっぶなぁ…」
「生きてるかい?」
「大丈夫ですか師匠!?」
「だいじょぶだいじょぶ。え…ギルドマスター、ルミさんも本気出したらこんなにヤバいんですか?」
「まぁそんなもんだよ。ルミもアタシでもお嬢くらいの時じゃこうはいかなかったけどね。」



才能を持て余したパワーバカなのか。



「陸、結界解いていいよ。全員無事?」
「だいじょ~ぶだよ~」

「師匠!いまの何すか!?めちゃくちゃ凄かったっす!ちょっとチビったっす!」

「その装備すごいカッコイイ!!ねぇねぇ今度でいいからさ、僕にも作ってよ!」

「落ち着いて。とりあえず状況の整理から。あれ?書くやつどこだっけ」
「ほら、アンタが預けたんだろ?忘れるんじゃないよ」
「あ、どうも。

えーっと…雷魔法、サンダー、威力だけはAランクレベル、取り扱い注意、ドラゴンフィスト1発で相殺可っと。

これで終わりですね」
「何言ってんだい。お嬢の魔法は省くとこ省いてもあと3つはあるよ」
「えー?
またあんなのが来るんですか?」
「いや、特別強いのはいまのサンダーだけ。残りは鳥の坊やと同じかちょっと強い程度だよ。」


匠も魔法だけで建物壊せますけど?

竜装備の基本技になる予定のドラゴンフィストと同等かそれ以下なら対処は可能か。

「シルヴィア、魔力に余裕は?」
「あと2発までが限界ですわ。」
「OK。
ポーションで回復しながら全部見ていくから気にせず撃って。」




その後もいろいろ見て行ったが…


「【レイン】」

ブクブクゥゴボッ

「このぉ!!」

雨粒がスイカくらいあったり




「【サイクロン】」
「そっちはまずいっ
【ドラゴンウィング】!!」

徐々に成長していくタイプの大竜巻にあったりしてシルヴィアの魔法のパワーバカっぷりに振り回されつつ魔法テストは終わりを告げた。


こーりゃ骨が折れるってことわざでも全身骨折で済めばいい方だぞ…
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