見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)

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第五章 目覚めた戦士達の逆転劇 編

裏方のお仕事

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ピピピピッ ピピピピッ

ガサ…ゴソ…

俺の朝は早い。

昇りかけのわずかな日の光からのスマホのロック画面という順番で時間を把握する


「ん…」
『おはヨウございマス、マスター。』
「おはよ、ふぁ~~~…んん~~~っ」


2度寝して遅刻しようにも画面の中からいまだ若干おかしな発音のまま挨拶してくる奴がいるから脳が違和感を持たずにいられない。





ウチのメンバーも大体同じ時間に起き…起こされる。



『おはヨウございマス』
「…? んに…?」


コチョコチョ~
『おはヨウございマース』
「んひひひっ!?
んひヒャヒャハハハハっ!!」


『起きマシタ?』
「起きひゃははははははははっ!起きたからぁはははははははははは!!」
『まだ寝てマスネ。続行シマス』
「鬼ぃいいヒッヒッヒッヒヒヒヒヒヒ!!」













『おはヨウございマス』
「…」
『シルヴィアにハ、この音でスネ』


『【 バキィ!ベゴっ! 】』


「…?…!? …お寝パンチっ(※)!?」
 
(※)=お寝しょのパンチver. シルヴィアの寝相のことをダルセン家ではそう呼ぶ



ガバッ 
「やってしまいましたわ!
どこっ!どこの音ですの?
あれ…ここでは無い、ここでも無い」
『モーニングコールでス♡」

ホッ

「焦りましたわ…」
『目、覚めマシタ?』
「はい…」














『おはヨウございマス』
「ん~…あと5分っす…」


『ケリーにはコレですネ』
ピッ



鍋の音カンカンカン!!


『【ヨソはよそ、ウチはウチ!!早ヨ起きんかい!!
ご~!よ~ん!さ~ん!に~!】』


「ハァッ!!」

『ラクショーでスネ。』










ちなみに…

匠はもう起きてて大大大食堂で200人近い朝食の準備をしているからもう大忙しのはずだ。



ティー兄もティー兄で畑に出てる。
毎朝新鮮な野菜や昼間の直射日光または気温上昇に注意が必要な薬草の収穫・手入れをしてくれている。




陸は目覚ましでは絶対に起きない。


一見何もしていない時でも空間魔法やリトル越しに拠点を囲う結界の維持管理と、遠く離れたリースの我が家、おチビ達の警備までやっている陸は、四六時中寝る+起きるを器用に並行していると言っても過言じゃ無い。。


一応呼べば起きて力を貸してくれるが、ご飯、おやつ、遊び、おしゃべり以外の用がなければ寝息を立てている。


絶対に寝るヤツ VS 絶対に起こすヤツ

をやったことこそないものの、おそらく鉄壁の防御からの空間ごとをグシャッからのポイだ、一方的に陸の空間に干渉できないケンちゃんに勝ち目はない。

















朝に負けた俺たちは眠い目を擦りつつも各々の部屋でトイレ、歯磨き、洗顔、スキンケア、着替えまでを済ませる。


俺が部屋でPCかスマホをいじりながら待っていると他の3人が寝癖がついたまま俺の部屋に集まってくる。


理由は簡単、ヘアセットと軽めのメイクだ。


誰かさんが再度ピエロをお披露目しかけて以降、ドクターストップならぬリーダーストップをかけることになった。



フィエリアは日の気分によって、メンズ風、中姓、ガールズメイクの3パターンある。
今日はメンズ風、通称:“新生”フィリップの方。




シルヴィアも医療班しかいない休憩時はお面をとっている事もあるので、お嬢様の嗜みとしてナチュラルメイクを。

髪型もお面に合わせて欲しいとのことから頭の上のツインお団子に結い上げる。




ケリーは普通に寝癖がすごいので、2人手がけるついでに直し、髪の毛が邪魔にならない程度のうっすーーいスタイリングだけ。

他で言うと眉毛と獣人特有の尻尾の寝癖も整えてやるくらいだ。




支度が済んだら医療班お揃いの白衣に袖を通し、スマホを持って1階に降りる。

診療所にはもうすでに俺たち以外が降りてきていて、スキャナーで各々健康観察をしたり昨日のデータや今日の予定を見て一喜一憂しているところに混ざり、朝のラッパが聞こえるまでの時間で魔法クリーン清掃、薬品のバラの本数&100本入りの箱の数を把握する。



施設全体にラッパが鳴り響くと150人の波がお隣の棟の1階に降りてくるので、総出でピッピピッピ捌いていく。


体調不良者は朝食後に呼び出し、先生達の指示のもと適切に処置・対処する。












朝のピークが収まると各自の時間を過ごしながら患者の発生に備え待機する。


・棚数の少ないポーションの錬成・作成
・オペ練
・報告書類の記入
・空の箱や容器、器具の整理、洗浄、消毒など
・患者の経過観察


10人足らずでキャパ100人超え用の現場を回すので書類の枚数だけでもすごいことになる。


本来は患者数が多すぎたり、治りきらなかったりして訳が分からなくなったりしてとても書けたものではないらしい。


しかしこの拠点ではクマさんじるしのポーションでほとんど対応できる。


手術が必要なのは毒針の摘出手術や元々の持病持ち。毎日連続であるわけでもなければ、異常のある箇所・その周辺をピンポイントで切り取って、縫い合わせてポーションで塞ぐという手法がほとんどだ。
実際に複雑なのは週に3人もいない。


そもそもウチには人工知能がいるので例え手書きの部分で取りこぼしてもデータが残っている。


診断やポーションの数を活かした大幅時短によって発生した空いている時間を使い、データや治療の録画を見て書き込むこともできるし、最悪の場合、こちらで印刷までできる。






一方俺はというと日によって全然変わる。

・医療班で治療、オペ補助

・工房で修理か何かしらの作製、製薬

・ティー兄の手伝い

・畑ではまかなえない木の実や、素材の収集

・騎士団長と会議

・リースへ買い出し

・その他要望対応、コミュニケーション



今日は騎士団長との会議だ。









『魔獣の殲滅を開始シテ昨日で1週間と5日目。

予想外の新戦力の発見、騎士軍の発足、新装備の“仮”配備、その他諸々を経て現在 “騎士団ノ予定”進行率約43%完了してイマス。

来週ニハ、討伐シたクラッシュタートルの甲羅素材をプレートキャリヤ、関節用防具に加工、順次仮配備シマス。

繁殖分も含メた20%程度を基準に引き続き進行スル予定とナってマス。』

「質問失礼してもいいだろうか」
『「プレートキャリヤとはなんぞや」トいう質問デシタら端末画面に表示してマスよ』
「あ…どうも」
『要は胸部アーマーデスが、これも仮配備とし、のちに分解しマスのでソノつもりデ。』
「…はぁ」





ケンちゃんの言っている仮配備というのは、

”合わない武器持って無理している状態が酷すぎてとても見ていられない“

“完成間近の試作品の魔道具とか武器をいくつか貸してやるから「愛国心」だの「命を捧げて」とかいう精神論を武器に数えて特攻するのはやめろ。”

”このまま「誇りだ、尊い犠牲」だの言い続けて助かる命を捨てるか、1人の戦士として王都の常識とやらを一旦捨てるか好きな方を選べ”

と言い出した職人(俺)が私物や予備、試作品、急造の装備を引っ張り出し実戦に投入したことにして、任務が終わった後で回収・急造っぽく偽装加工するための作戦だ。


赤札隊5名の
投擲魔法用グローブ
蛇腹剣
パチンコ剣
グリッターシールド
魔道弓・蛇牙じゃが

に関してはそのまま(※多少は弄って)個人指定の正式配備

に対し、

他の赤札持ちの近接担当、黄札、青札持ちは戦術スキルなどは最終的に取り払い、ちょっと腕利き程度の付与内容・形状に替えて返し、ミリタリーセットは全て回収する。



なぜなら発明や武器というものは確かに裏で兵器としか見ていない輩が一定数いる。


今回の発端であろう第二騎士団、下手すれば第一騎士団にも戦争の兵器として目をつけられる可能性が高い。


この間のフォンドバーグ団長もアサルトライフルや俺たちのマジックシューターが国境の戦いに配備された場合のメリット、デメリットを教えたが、その先の犠牲をケンちゃんが教えるとカップのコーヒーが全部こぼれるほど震えあがっていた。


俺は他人の危険な目的のためには物を作らない。
ましてや抗争や戦争に加担したくて銃をはじめとする武器を作る気など微塵もない。


そういう目的が垣間見えようものなら初めから開発していなかった事にしたほうが安全だ。


 
『続いテ、マスター』


「医療班は治療は既存の人数で適宜対応できています。細かい数字は資料に載せてますので時間があるときに目を通してください。

変わったことで言えば騎士軍の発足以降、医療班でもアクシデント対応を少し変える事になりました。

屋上うえの狙撃班と連絡体制を強化し、軍から当番制の待機組4名、状況に応じて非戦闘班からキツネ、オオカミ、イノシシ、俺のうち誰かしらが急行する事になりました。


クマもいけますがそれは最終手段とします。

他にも微々たる変化はあるにはありますが、特出するようなものでもないので、今週の報告はこんな感じですかね」


「…」


「どうしました?」
「っ! あ、いや…申し訳ない」
「どこか分かりにくいところありました?」
「いやそうではなくて、その…」
『マスターの余裕の根拠が理解出来ないト言ったトコロでスカ』
「貴殿は何でもお見通しだな。

お察しの通り、ここまで完全に貴殿達に頼りきりでその負担が増えているというのにむしろ私には笑顔と同時に増えているように見えてならない。

…全く騎士団として面目の一つも無いのではないかと」


「それは違います。」


「…そうだろうか」
「騎士団の皆さんは圧倒的に絶望的な状況、違いすぎる環境・作戦に対して必死に食らいついているからこの遠征が成り立っているんです。

確かに後のことを考えなければ俺たちだけでもできる可能性は十分あります。」

『厄災の魔法拳闘士に音速の遊撃手、炎狐使いの居合剣士、念動使いの発明家、ソシテ何よリ最強のサポート人工知能モいマス』

「でもそれだけじゃダメなんです。

”人間兵器とその仲間達が好き勝手破壊のかぎりを尽くして暴れ回った“とかいう噂が立ってしまっては意味がありませんし、二の舞どころかいよいよこの王国とドンパチやりあう事になります。


俺たちがここにいる目的は騎士団を助けるという名目で最悪の未来を回避すると同時に、シルヴィア達の過去に決着をつけて前に進むため。


第三騎士団には未来を変えるための証人になってもらわなければいけませんから、1人でも死なれては困るだけです。」
「この状況を負担ではなく好機とすら捉えておられるのか…」
「まぁそんなところです。

騎士団は多少王都での後処理の手間が増える代わりに、全員が無事に任務が遂行できる。

こちらは戦闘と裏方の貴重な経験ができる上に、過去と向き合いきっと新しいスタートが切れる。

その代わりの多すぎる負担は俺の得意分野でなんとでもなりますから実質ギブアンドテイクは成立するはずです。

この遠征で心配すべきは皆さんの精神的なケアと」
「第二の働いた非合法極まりない動員という名の拉致行為と今後の常習化か」
「はい。
俺たちは今後リースでそれぞれ個人の仕事に戻ります。

2度も3度も召集されても応じることはできませんし、これが当たり前にできるとか勘違いして辛い思いをするのは皆さんはもちろん、たくさんいる王都の住民ですよね。」
「その通りだ。
陛下も問題視しておられたが、

「そのようなことはやってない」

の一点張りで強制捜査踏み込めないんだ」




「は?」『ハ?』



「必要悪という都合のいい考え方は法がひっくり返せてしまう。

第二が

「忠義に従って万全の体制を整えただけで、悪いのは人を派遣しない各ギルド側」

「”王家やカトレア王国のためだ“としっかり納得“させただけ“である。強制などしていない」

などと言い返されてしまっては、現実問題として訴えを起こしたくても騎士団間、ギルドの相互不介入の原則によって捜査すらできない。

出立のギリギリになって、外に漏らせば反逆罪として処罰されると脅しをかけ、裏ルートで人間を雇って監視しているという噂も入った。

奴らの先手は単純だが思ったより根強い。
暗黙に立場が下の私では…太刀打ちができな」
「『出来ますよ(マスね)』」

「え…?」

「事が起きたのは飲食店や鍛冶屋ってことは大まかな区分で言えば商業区ですよね?」
「あぁ。」
「連れて行かれた人ってほとんど個人や家族経営の小規模店ですよね?」
「そう…だな。」
「ギルドの管轄範囲は?」
「生産ギルドと商業ギルドが分担して全ての店を管理しているはずだ」
「なら簡単です。餌を撒いて網を広げて待ちましょう。
放っておいても向こうから向こうから寄ってくるはずなので、ご丁重にお出迎えしてあとは逆手順で追えばいいんです。」
「餌?情報で釣ると?」
「そんなところです。

裏ルートで人を用意したのなら追跡からの拉致、騎士団員ならその手の理由をつけて正面から連行しに来るはずです」
「だが撒けるような情報など持ち合わせていない…」
「そりゃそうでしょう、調べてる暇があるなら遠征の準備しなきゃですし、相手の神経を逆撫でできるなら情報はなんだっていいんです。

それこそ街に王家の使いが紛れて嗅ぎ回っているとか、早い情報なら嘘でもなんでも。」

「それでも我々がここにいる以上、理不尽に連行される住民が増えるだけではないだろうか」

「そこら辺は不干渉だと言った商業・生産ギルド、あとは冒険者ギルド側に第三騎士団が味方につけば大丈夫なはずです。

会員の店に直接的な被害があったものの相手は騎士団で動けないのは一緒でしょうし利害は一致します。

あと心配で言うと…被害店とは別に根本的な決め手になる情報ですね…」

『マスター、忘レタとは言わせマセンよ。
ソノ手のプロフェッショナルなら、居ルじゃないデスカ』


「いや、居るけどさ…」






















ペラッ…

「こないだの盗賊討伐の必要経費立て替え申請ね…

馬車と積荷の被害額が200万、損失で500万ってところだから…懸賞金がざっと3桁万後半と、ギルドの取り分で入ってくる分…ウン十万と、相手がランゼムのところだったらプラス50万は~ 引っ張れば余裕でいけるねっ」


承認ハンコをドンっ




「…」

ザワザワ…
ワーワー…!

「ん、今日も騒がしいねぇ。」



コンコンッ コンコンッ

「ノック4回…困りごとありってかい…
入りな。」


「失礼します」


「マスター、急ぎと思われる伝書がやって来たのですが…」
「どこからの鳥だい?」
「それが、鳥ではなくて…」
「なんだい、伝書もできるワンコかリスが来たってかい」
「いえ、それが…職人戦医さんの所の子供達なんです」
「? 何がそんな困んだい
ちびっ子のお絵かきやお手紙ならアンタ達も慣れっこだろう」
「お絵かきならまだよかったのですが、…菱形の短剣が3本交差したマークと第三騎士団の印がついてるんです。」
「…中は見たのかい」
「いえ、「ギルドマスターに直接渡す」と言って聞いてくれなくて…
なんとか預かろうとはしたんですが、感情的になってしまった職員4名がとっさの魔法で石やら靴紐やらで絡めつけられちゃって…」


「あの子らに追いかけっこ挑んだのかい 
バっカだねぇ、最初から大人しく連れて来るかアタシ呼びゃいいのに何やってんのさ」


カタッ

「ハァ…まったく…んで今おチビ達は下かい」



ヒョコッ ヒョコッ



「もう来てます」


「こんちわ!!」
「ちわ!!」


「ありゃ ずいぶんとかわいい伝書ちゃん達、よく来たね。ここおいで」

「「は~い」」

「ちょっといい子してそこ座って待ってな、このおねーさんと話してくるから」

「「は~い」」






「この子達にゃジュースかなにか出しておやり」
「はい」
「下の命知らずどもは”メルタの爺さん以外“の地属性使い探して解かせな。

あと今後は二度とあの子らを並の子供だと思わないこと。いいね」
「はい…職員で共有して刻み込んでおきます」
「それでいい。早くいきな」
「はい」






「待たせたね。
あんちゃんからおつかい頼まれたんだってね」
「おてがみをわたしてほしいんだって」
「これも~」
「見せてくれるかい」
「はいど~ぞ」「ど~ぞっ」
「ほい、ありがとさん ほい、ありがとさん」


2通の封を切り中身を取り出す。


「なんだいこりゃ…」















「失礼します。
旦那様、今お時間頂けますでしょうか」

「どした」

「リョー様からメッセージが届いたのですが、旦那様の通信機にも届いておられますでしょうか」
「いや、知らねぇな。
薬草か飯がたりねぇってぇんなら早めに用意してやれ。なんならオメェも手伝いにでた方が良さそうならスチュアートに言って向かってやってもいいんじゃねぇか?」
「それが…自分だけでは読めなくて」
「読めねぇ?」
「送られて来たものが暗号でして…自分に送られてたメッセージだけでは解読できないようです」
「んあ?暗号文?」
「”力を貸してください“と文頭に書いてあるので“影の方”だと予想はつきますが」
「となると見たかぁねぇが…どんなだ」
「こちらです」
「…………なんだこの四角?
これがメッセージだぁ?」
「はい…通信機の機能を届いた暗号に使えば読めるようになるとは思うのですが、どれを使えばいいのかは全く…」
「なんだそりゃ、黒電話コイツにそんな機能付いてんのか」
「いえ、そちらではなくケータイ通信機の方でございます。パカパカする方の…」
「あ~あれか、エミリがずっと持ってっから当分見てねぇぞ。」
「左様でございますか」

「あなた、ちょっといいかしら」
「奥様!!」
「彼から四角い紋章なら届いてるけど何を指しているかさっぱり分からないのよ。

あなたこの暗号読めないかしらって思って来たのだけど…セナも同じ状態かしら」
「はい。」



ジリリリリリリリリリリィン!

ジリリリリリリリリリリィン!

ジリリリリリリリリリリィン!


「旦那様、この通信も」

「きっと彼よ」「アイツだな」





















「【そういうことでお願いします】」


『暗号文2通とヒントキッズ、QRコード、無事ニたどり着きマシタ』
「ありがと」

「失礼、正直なところ理解が追いついていないのだが…」

「言ったとおり早速情報戦を仕掛けに行きます。
2ヶ所教えてほしい場所があるんですけどいいですか?」

「え…ああ…」






















騎士団&騎士軍の防具を加工しながらあちらの連絡を待つ。



[影、熱、星、共に出来ました]



来た。セナさんから準備完了の合図




無事に2つのQRコードの読み取り



アムに託した暗号(前編)と4つのヒント
[スワン(す→ん)][笑顔(え→お)]
[おはなし(おは無し)][リトル(り取る)]
         +
レグに託した暗号(後編)と4つのヒント
[たぬき(た抜き)]「バトル(ば取る)」
「鏡(か→み)」[タオル(た→る)]

の解読に成功した模様。






[亀の腹にて待機せよ]



転移用絨毯を用意するように返信


[完了]



「よし…」



陸に頼んで呼び出してもらう。


陣から見慣れたような見慣れていないような黒い後ろ姿が迫り上がってくる



後ろ姿?


「え…?」


あ…絨毯の方向言うの忘れてたーーーー!


「すいませんセナさん後ろです」
「あっ…。失礼いたしました」
「大丈夫です、こっちのミスですから」



「とりあえずこっちの椅子に」
「失礼します」






「ケータイは持って来てくれていますか?」
「こちらに」
「ちょっと預かりますね」



ガラケーを預かりパソコンと端子を連結する。


連携したガラケーのデータファイル名が画面に新しく表示されたので、カーソルを合わせてファイルと、もう一つ別のデータを開く。



カタカタカタカタカタカタッ



『インストールを開始シマス』


タスクバーが重なるように表示され、緑色のバーがゆっくりと増殖を始める。


『動作確認マデ、ザッと10分といったトコロでショウ』
「りょーかい。その間に…あっちをどうにかしないと」
「そうですね」



互いに分かった段取りで息を潜める



「何モンなんだよあの怪しいベッピンさんは」
「「「シーーーっ!」」」
「わ、悪りぃ」
「ウチの使用人であり諜報活動のプロですわ」
「ほえ~…で、こんなとこになんでいんだ」
「いや話聞いてなかったんすか
諜報活動っすよ」
「まずちょーほーかつどーってのがわかんねーんだけど」
「スパイっすよスパイ、どこかしらに身を潜めたり、その場の人間になりすましたりして情報とかを探るんす。」
「多分、王都か…第二騎士団の遠征先に行って何かするんです。
情報収集か…連れて行かれた人たちを助けに行くか…もしくは…」


ヴーーー…ヴーーーー…

ヴーーー…ヴーーーー…

ヴーーー…ヴーーーー…



「うぉッ…!?」「ヒッ…!?」「キャッ…!?」「わっ…!?」



「「「メッセージ?」」」


それぞれ送付されたものを見ると冷や汗が滝のように垂れる。


そこには工房の中の会話を盗み見・盗み聞きしようとしている4人の後ろ姿の写真。


端末全般で言えば持っているのは各班何人かいるが、赤札隊の彼は夜も持ち歩くほどの用事がないため現在ベッドの脇に置いたまま。


他の者も4人に気づかれずに近づいて写真を撮れるほど隠密ができる者はいなかったはずだ


恐る恐る背後を振り返ると…そこには世にも恐ろしい霊が!!





いるわけもなく通常通り真っ暗闇に月光が降り注ぐいつもの広場。

ホッ
『「よかった~」』




「何がよかったって?」




『「!!!!!」』


全身の毛という毛を逆立て、先ほど振り向いた背後のまた背後を重い首に鞭打って逆向きに半回転させる


今度はちゃんといる。霊ではなく俺だけど。

『「どうもー…」』
「いやどうもじゃなくて」
「やっぱりバレてたんすね…」
「い…いつから気づいてたんですの?」
「最初から。
盗み聞きするならせめて魔力と気配に気を使おっかクマさん」
「はい…」
「へへっ 言われてやんのー」
「テーリオさんはそこに声量を足してぜーんぶです」
「うーい」




「で? 4人は一体何しに工房棟こっちに?」
「ペンのインクが少なくなっちゃって」
「用紙のストック補充ですわ」
「道具のバッテリー交換っす」
「ちょっくら練習用の弾つけてもらいに」
「あーはいはい ちょっと待ってて」




ピッ ピッ ピッ ピピッ ピロンッ

ピロリンッ♪

ピロリンッ♪ 

ピロリンッ♪




「送ったよ。」


『「………」』



知ってしまった秘密事項に対して冷静な対応で切り替えられるはずもなく、悶々と言葉を抑えようとする3人と、なんのことだか分かっていない1名。



黙っていても平行線…テーリオさんはともかく3人相手なら特に隠す方が悪手だ。

後々騎士団はもちろん、シルヴィア達にも影響してくるかもしれないし、話しておくか。



「みんな聞こえた通り、俺は第二騎士団関係の“影”をしに行ってくる。

朝には戻るけど、状況が悪かったら何人かお土産にすることになるかもしれないから、その時は…お願い」
「聞いてもいい?」
「何?」
「行くのって王都?別の方?」

「…両方」

「…僕も行く。
光属性ならリョーくんと同じの何個もあるし、役に立つと思う。」


言うと思った。

隠密に使ったと言うのは訓練中に何度か話したはずだ。


光学迷彩インビジブル、強化による機動力確保、分身、ヒール etc…    差異は多少あるが確かに同じだ


しかし、肝心なところで周りが見えない。
現に先ほど影伝いで写真を取られたことに気づけていない。4人ともだったけど


そしてベスガの時とは違い、致命的な違いというものもある。


「連れて行けない。」
「なんで!」
「隠密は一つも練習していない者の人数が増えると小回りが効かなくなる。
フィエリアしかここにいないならともかく、周り見渡してみて

隠密用に使う魔法は探査以外使えない2人と興味本位でついて来そうな人が1人。

フィエリア1人連れて行くと他2人どころか追加でもう1人も着いてくるって言い出すでしょ」





ギクッ×3




「…」


明らかに不満の目を向けられている。

こういう時は彼女特有の無鉄砲が発動して、どんなに拒んでもついてくる事は容易に想像がつく。



他2人もそうだ。



自信はなさそうな顔をしているケリーも、目的地に困っている人が居るならほっとけないはず


隠密のおの字も知らず、王都という名にすらトラウマがあるはずのシルヴィアも、お面をつけているから大丈夫だと言わんばかりの眼光だ











ハァ…甘いよな…俺って





「あっ今1号車の乗合ボックス積んだままだったなー



…15分後には出るから。」
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