見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)

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第五章 目覚めた戦士達の逆転劇 編

おれっちイコール拙者でござるっす

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「ケリー!!」

 全体の3分の1を残して倒れてしまったケリーの元へ駆け寄り、一斉射撃で残りを一掃する。 


「アチッ なんで…使い手が倒れたのに炎が消えてない…!?」
「…………」
「ケリー! ケリー! わかる!? 意識無し。 バイタルスキャナーを…」
「…!……!!!」
ブォンッ
「うわっ!?」


邪魔だと跳ね除けんばかりに尻尾の一振りが俺を襲う。

一本目は当たらず、二本目もとっさに鋼の壁で受けるが

スカッ
9本の炎製の尻尾と刀は決まった形の無い炎に戻って無敵なはずの防御を無視してしまった

「うそぉん!?」

『【セーフティシールド】』
ピキィィィィィィィン!


「あっぶなぁ…」


炎狐を元にしてるから硬さとしなやかはもちろん、形を成すかどうかまで自由自在に切り替え可能ってワケね…


ムクッピョインッ
予備動作もほとんどなく突然起き上がったケリーは、ケリーのケリーの顔こそ残しているが…ケリーとは違う誰かのものだった。


「ケリー…じゃない」
「……」



 獣人とヒト族は魔力量や身体能力の平均で見れば身体特徴的に違うものだが、耳の位置や形、尻尾の有無、爪や体毛の生え方が違ったりするくらいで、他の外見的特徴に大きく違いはない。

 しかし今は、狐人族の特徴的な耳はそのままに、鼻の前後幅や足の太さやバランスなどが全体的に獣のソレに限りなく近くなっている。 知らない人が見れば、炎で出来た二足歩行のキツネの化身にしか見えないくらいだ。



「並列思考が炎狐に強い自我を持たせているのか」
『現在、完全ニ意志を炎狐に乗っ取ラれてイル模様。
このままではワタシのサポートが間に合いマセン、距離を取って下サイ!!』


 しゃがみ込んだ状態からジャンプはできないと悟ったので、ケリーとは真反対の方向に銃口を向ける


『【キャッチロープ】』


 何十mか先の木にくくりつけてもらい、一気に引き寄せてもらうことで緊急退避。


しかし…


 ゆっくりと9本の腕を器用に操り、スキーのストックのように火炎刀を地面や近い木々に突き立てた瞬間、尻尾の腕力を最大限に使って

ギュンッ!

こちらにすごい勢いで迫ってきた。

 すかさず質量の力でなんとか受け止める。 俺だって何度も何度もハイスピード包囲網を受けていたんだ、正面突破でも火の抜け道さえなければ受け止めることは出来た。

 死ぬほど熱いけどっ!!




 黒鉄の盾はそのままに、シューターを左手に持ち替え、ナッケンジョーを取り出して水属性魔石をセット、右手に持つ。 アサルトライフルの弾倉マガジンも水属性変換用を装填する。




「【超放水】」
『【水弾】 【魔法誘導】』


ザッバァァァァァァァァァアアアアアアアア
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダ


「…!」
キンキンキンッ キキキキキンッ

ジュゥゥゥーーーーーーーーーーッ

いろんな角度から尻尾の根元、尻尾と火炎刀の継ぎ目に当たるように水弾を弾幕射撃をバンバン撃ち込むも全ての刀が軽々と弾いては、その場で蒸発させてしまう


「…」フンッ♪


「うっわ今鼻で笑った!? うざぁ…!
…って言っておきながら、周りから見たら俺ってあんな感じなのか…」
『ようやく気づきマシタ? 平気な顔してマスターと戦闘が出来ルのはAランクパーティ『紅蓮の刃』、Bランクパーティ『碧の翼』だけデス』
「誰のこと言ってるのか知らないけど今その情報いる!?」
『まさかマスター…アレだけ一緒にいて覚えてナイのデスカ? 彼らのパーティ名ヲ』
「あぁ、グレイスさんのところとアランさんのところのことね…」
『コレを機会に知り合いのパーティ名くらい覚えマショウね』
「へいへい、その話はまた後日っと。 今は、こっちを全力でやりますかっ」
『演算完了。動揺を誘う作戦で参りマショウ。 精神的な隙を作れバそこを突いて引き戻セルかもしれマセン』


 彼の並列思考は無機物を操るという考えである俺のソレとは勝手が違い、炎狐1匹1匹に独立した思考を無意識に生んでいる。

 ケリーと炎狐の割合は修行中こそ10あれば炎狐が0.5人前×9匹=4.5で残りの5.5がケリーのモノだった。

 それが今は炎狐乱舞主体の戦いに慣れすぎたのと、先ほどの工程で炎狐と他の何かを意識しすぎたあまりケリーの操作の必要がなくなるほどの強いカケラを9分の1人前ずつ持つほどに成長している。

 それを1つに集めた際に、10対10、つまりは1対1に。 ケリーの自信のなさをマイナス1とすれば9対9.9といった感じで主の意識を少しばかり上回ったというカラクリだ。


 あの炎の化身からケリーの意識を引っ張り出すには、実質的にケリー×10人を一度に相手をするのと同じ…


「あ~、それでグレイスさん達が話に出てきたって訳ね」
魔法陣プログラムノ準備は完了していマス。いつデもドウゾ』


「……」


「【創造】!!」
『来たレ!! カスタマイズゴーレム!!』


地面やアイテム袋から土石や砂粒に木々、効果も色も様々な石を吸い込んで核となる骨格を成し、その上に人型とゴリラ型、カンガルー型の身体を成して大地に足をつける。


「……!!」


 リアクションは薄いが、素直に動揺してくれているのが分かる。

俺の魔法から知り合いのそっくりさんが出てくるんだもの、炎狐がケリーの記憶を共有しているならこの並びがエグいことが本能的に理解できるはずだ


「さぁケリー、そして炎狐!!どっちの質と数がすごいか、実験しようか!!」

『ミッション スタート!!』


 炎を纏った剣を振るうゴーレム、岩石で重量級の攻撃を叩き込むゴーレム、竜巻を投げ込むゴーレム、走り回って投擲を担当するゴーレム、左右に跳ねてはパンチを繰り出す有袋類ゴーレム、木々を渡って超パワー連打をお見舞いする銀背シルバーバックのゴーレム、芯を捉えた確実な一撃を叩き込むゴーレム、相手の動きを封じるツタや氷塊および連射力の高い魔法を放つゴーレム。

 付与なしのやっつけ作業もいいところで、本人オリジナル の力には遠く及ばないが、1本1本の集中力を確実に削いでくれている。


『音量MAX、目覚まし用の録音データを再生しマス』



鍋の音カンカンカン!!
『【ヨソはよそ、ウチはウチ!!早よ起きんかい!! はい、ご~!よ~ん!さ~ん!に~!】』


「……!! ヒィゥゥウウ!!?」


動揺が激しくなり、完全に尻尾の完成度が落ちた。 どこの世界もオカンは強しなのは変わらないみたいだ。 ウチの匠は特に。


『マスター! 抑えるなら今デス!!』
「分かった!!」
『【キャッチロープ】』
「いけっ」


クナイを並べて飛ばし、尻尾や手足をキャッチロープの上から鎖のように巻き付ける

ジタバタジタバタ
「!!!!」

「このっ 大人しくっ しろぉ!!」

ギチギチギチ…

シュボォッ
またも尻尾から先が炎に変化して、今度は大量の小さな火球に変化。 四方八方に在する木々に向けて飛散させる


「コイツっ! 山火事でも起こす気か!!」
『マスター!! 撃墜ヲ!!』
「分かってる!!」


 全ての銃口を縦横無尽に軌道が変化する火球に向け、連続放射。


『10時の方向ニテ炎焼を確認。 消防用アタッチメントボックス専用の特殊消化剤を弾丸としてテ使用しマス』
バァン!! ジュゥゥゥゥゥゥゥ…


「よし…急いでケリーの意識を取り戻さないと…っていない!!」
『マスター!! 上デス!!』
「うわマジか!!」


上から10本の剣山が振り下ろされる。空中では逃げ場無いとはよく言うけど、こればかりは立場が逆。

全てを盾にするがその壁からは何本もの銃口がコンニチハ。



「間違えた!!」


元々攻撃専用に拵えている銃火器を火炎刀にぶつければ当然…


ボガァアアアアーーーーン
「どわぁあああああああっ!」

『【キャッチロープ・セーフティネット】』

ビヨ~~~~~~~~ン ドサッ


「今度こそ死ぬかと思ったぁ」
『ソレにしテも、ドウやって抜け出したのでショウ? マスターの拘束はトモカク、キャッチロープの収縮と密着力はそう簡単に破れるモノではありマセンが…』


 そういえば…ギルドマスターの小脇に抱えられた状態からでもスルンって抜け出せてたっけ
…回避の天才をここばっかりは発動させないでくれよぉ


『画面の中であれバ、ヒーローの暴走パワーアップフォームは激アツではありマスが、いざ相手にトルとこれほど厄介なのデスね』
「今そういうのいらない!
もう一回捕まえる!! ゴーレム達!!」


 断片的なデータを元に操作再現しているとはいえ、普通にパワーや火力は並の人間以上にあるはずなのだが、コンマやミリ単位に発生する動作伝達ラグの隙をついて関節部分や頭部、心臓部を的確に焼き斬られていく。




 クッソ!誰だよケリーに探査と居合の合わせ技をメインに教えた奴!


俺じゃん…


 格下の魔獣に対してで言えば傷が少ないほど買取価格、盗賊で言えば懸賞金などの手取りが増える。 逆に、標的の方が強かったとしても、獣人族が元々持っている優れた五感と、初級にして無限の可能性を秘めた探査魔法を使いこなして相手の弱点を見抜き、弱点へ最大火力を叩き込めば勝てる可能性や逃げる時間を稼ぐには充分だからと。 





そう言っている間にもゴーレムが何百度にも及ぶ高熱でみるみる形すら失う。




「グハァッ」

 俺は距離をとって戦っているというのにその刃がだんだんと届くようになり、腹部を切り裂かれる。

念動の猛攻に対してで手一杯になるどころかスピードも炎の温度も上がり続けている。


『【オートヒール】』
「ありがとケンちゃん、助かっ」
『お礼は後ホド受け付けマス。 目の前に集中シテ下サイ』
「オーケー。 後で必ず言うよ。」


 そういえばシータさんの占いはもうひとつあったな


 ”蒼炎の獣“


「青い炎は赤い炎より温度が高い炎、獣は今の状態のことだから…感情の発達にまでは至っていない炎狐にそんな火力を持たせるのは危険だ。
 生命力を吸い取られる前に戻さないと!!」
『ワタシもこんなバッテリー容量デハ残り1撃に全バッテリーを賭けルか、回復を優先して逃げ回るシカありまマセン』
「こんな時に遠回しにバッテリーの容量増やせって要求する普通?」


あんな実体がないウン百度の剣撃7本と、実体こそあれど誰かさんが仕立てたチート級の刀3本を防いだり逃げ回るのは限界がある。

唯一できるとすれば…


「リョー君!!」
「リョーさん!!」


そうそうこの2人…って…え?


「フィエリア…シルヴィア…」
「状況は聞いたよ。 でも、生で見ると本当にすごいね…体の負担すごそう」
「早く元に戻しましょう!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォオオオオオオ…


「なに…?あの青い炎…」
「離れてるこちらまで燃えてしまいそうですわ」


「焦っている…? いや怖がっているのか…」

「「え?」」

「それだけじゃない。 今のケリーには他にも何かあるはず」



早く他の2人に追いつきたくて焦っている?
それとも、3対1の圧倒的不利な状態に恐れているのか


どちらにせよ、今の2人をケリーの前に長居させるのは良くない。


「来てくれたところ悪いけど、俺の弟子であり俺を倒すことが最終目標としてしまった以上、解決した上で決着をつけなくちゃいけない。

だから…ごめん。予定外とはいえこの戦い、後ろから見守っててほしい」
「…うん。分かった。頑張ってね」
「ありがと」
「リョーさん」
「ん?」
「最近まで焦っていたわたくしには今のケリーさんのお気持ちがよくわかりますわ。 周りとの差に焦り、自らの弱さに焦り、未来を焦っていますと、周りどころか数歩先の前も見えません。

どうか、わたくしのようなドスグロい感情に完全に呑まれないように助けてあげてくださいまし」
「ありがと。約束する」


「あっ、そうだ2人のスマホ貸してくれない?」


2台のスマホを受け取り、通信用として俺のスマホを2人に預けて、もう一度ケリーに向き直る



「2人の力を、俺に」
『了解。フィエリア、シルヴィア両名のサポート魔法陣プログラムをマスター用にカスタムして適用しマス。』


2人分のブースト魔法を同時に使うのは消費が激しいけど、部位ごとに使えば…イケる!!


「【ギアブースト】! 【黒雲魔装】!」
『ギアブーストを足元ニ、黒雲魔装を前腕に限定して発動ヲ確認しマシタ

各魔法の魔力数値の誤差修正しマス。
動体視力及び運動反射の伝達ラグ修正、マスターの予想適正値ヨリ、脚部魔力の回転率14%下方修正、前腕の防御力の強化率7%上昇、魔力効率30%上昇ヲ確認しまシタ』


 早速、魔法で足元に造ったタイヤで加速する


『【空中足場エアステップサーキットver.】』
「ほっ!!」


ギュルルルルっ!!
結界で宙に出来た俺専用の道を滑走、アサルトライフルとマジックシューターで再度弾幕を張る。 


「!? !? !? !!!!」


弾幕を弾きながら合間合間に何十個もの火球ではたき落とそうと乱射するも、まず当たらない。


「いくら探査魔法と5感が優れていても、メル爺から仕込まれたはずの心眼のスキルは身に馴染んでいない!! なら、いずれ目が回るのも俺と同じ!!」


フィエリアの半分もスピードは出ていないが、ケンちゃんの動体視力のサポート無しでは木にゴッチーンだ。 念動に依存して動いてないツケか、今度運動しないと…



一瞬俺を見失ったタイミングを見つけて、細い高速道路から飛び出して今度は正面から突っ込む。


「!!」


9尾10刀流のうちの動かせる2本の火炎刀が俺目掛けて振り下ろされるが


グググググググググ……!!
「思ったとおり! 決まった形が無いのお天気魔法の黒雲も同じだ。前腕に限って厚いガントレットのように纏えば実体がない魔法同士、ちゃんと正面からでも打ち合える!!」

ギュルルルルっ!!
「注意が必要な3本は実体があるけどっ あらよっと」


 魔法タイヤの回転力を活かして炎狐を蹴り飛ばす。 離れては再度弾幕を張りながら高速滑走からの正面でぶつかるという作業を繰り返す。


「おい炎狐聞こえてるか!?」
「!!」
「さっきお前が戦ったゴーレム、顔までは似せてないのにちゃんとグレイスさん達だって分かったってことは、ケリーの記憶を共有できるんだろ!!

お前はケリーの何だ!!
分身か? 魔法から生まれた生命いのちか? それともただの別人格か? 取り憑いた幽霊か!

何を悩んでる! 何を怖がってる! 何がお前を必要以上に熱くする!

いい加減にしないとケリーの身体が保たずに炎狐、お前も死んでしまうんだぞ

 冷静だか見栄を頑なに守ってないで話してみろ! いま手がかりを教えてくれるなら、俺の力で両方とも助け出してみせる!」
「……」

「……」

「…」

「…」

「…」

スッ…
数秒悩んだ後、ゆっくりだが覚悟を決めたかのような構えを取る



「答えは闘いの中にありって言いたいのか?
…分かった。 俺が受け止めるから魔力の限りその答えをぶつけにこい!!」



 性能と実力、双方の恩恵を得た3本の刀は柄が既に崩壊しているが刃の根元や鍔から先は全然残っているので引き続き高温を放ちながらその斬撃と火力を全力でぶつけてくる。

 下手すれば刃に触れた空気ですら腕や首が飛んでしまう恐れが未だあるが、その分は黒雲を纏わせた念動クナイで受け止められる。





あとはどうやって助けるかだけど…賭けに出るしかないか


見せてくれ、お前の覚悟を


「ケリー…ごめんな。【分解ブレイク】!!」


合金の半固体となった物がボトリボトリと垂れ落ちる

魔法触媒でもある刀を失った炎狐はその勢いを失い、顔や身体の形状も元の人当たりのいい狐人族の少年の顔を取り戻し始めた


「【冷却放水】」

ジュゥゥゥゥぅぅーーーーーー

「あ…っ やばっ」



『【爆発的な蒸気の広がりヲ確認! 水蒸気爆発デス、2人トモ緊急退避して下サイ!!】』

「え…?」「う、うん!!」

『【緊急着装】!!』

焼石に水という言葉では足りないほどの噴煙が上がり、周囲の気温が著しく上昇。


 その灼熱地獄は真っ赤な竜の鎧を呼び起こすには十分すぎるもので、迷彩の強化スーツの上に重ね着する形で緊急着装、加えてセーフティシールドという最大防御をもってしても熱気の全てまでは防ぎきれなかった


「暑い…ハァ…ハァッ…ハァッ…ハァッ…ケリー!」
「ぅぅぅ…」


全身を覆う炎は消え、気を失っているが全身に大火傷を負っていない。 所々焦げてしまっているが服にして鎧にして盾であり、杖でもある迷彩強化装備の効果と、火そのものが本人の魔法だからか、火による外傷が少ない。

 しかし、ヘルメットを外して超高温蒸気のド真ん中にいたのだから、当然顔面には大きな火傷、肺や喉は焼けている。


ピッ
『気管ヤ内臓に重度の損傷がありマス。 急いデ投与しなけレバ回復が間に合いマセン』

「呼吸器」
『出しマス』



ケリーのプレートキャリアの肩、消火器のピンを模したリングがついた紐を力いっぱいに引っ張る。

何も起きない…温度でダメになったか…

 俺のを脱ぎケリーの真上でリングを引く。
服の中でブチっと感覚があった直後、液体が出てきて数秒かけてケリーの身体がポーション治療特有の光を放つ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれは昨日の話、



「よっ 職人大先生、暇か?」
「テーリオさん どうしました?」
「こいつのメンテすっから道具かしてくんね?」




王都から戻ってきた日の夜、”職人の孫として、曲がりなりの騎士として、自分の武器の手入れくらいできねーと格好がたたねぇ“ なんて貫かれるほどまっすぐな目で言われたので、彼だけは例外として彼の武具に限って自分で手入れをさせてみて、アドバイスを時々しようという形に。



「わざわざ工房こっちまで来なくても転送しますよ」
「いやぁ…なんつーか、部屋あっちは手先に関しちゃ素人しかいねぇから、なんか気合い入んなくてよ。 やんなら手先の器用な職人がいる部屋の方が集中できっかなーって」
「いいですよ。 入って左の棚から適当に使ってください。
元々雰囲気で揃えてるだけで、俺は道具がなくても作業はできるので」
「わりぃな」





「そういえば、テーリオさんのおじいさん、職人なんでしたっけ。」
「ああ。親父もお袋もばあちゃんも店やら他の仕事やらであんま家にいなかったからな。じいちゃんだけが工房と裏山でよく遊んでくれたりしたもんだ」
「おじいちゃんっ子てヤツですか」
「面倒見と腕のいいじいちゃんだったからな。」


 強化付与により剣本体は手入れいらず、超強化ゴムは俺にしか作れないので100%をどうぞとはいかないが…


グググググ…
「あれ? こんな引けたっけか」
『メンテナンスの数値は正常値の範囲内デス。 無意識に強化魔法を使いこなしている影響デスね。 少しズツ射撃範囲を離し広げテいるノデ、ソレに見合っテ腕力が上昇してイマス。 鍛錬を重ねレバ長距離(ロングレンジ)のターゲットを打ち抜きツツ周囲の敵を殲滅できる無敵の狩人(ハンター)となれるハズでス』
「よく分かんねぇけど、オレもまだまだ強くなれるってことか」


 手元を見ても危なげも無さそうだし、放っておいても超強化ゴムをお徳用ロールにして渡しさえすれば必要な長さや幅を切ってゴムの交換が出来るようになるだろう

 明日あたりに調理班の包丁を見てくれと言われているが、数本任せてもきっと上手く研げるはずだ。


チョキチョキ シュルシュルシュル…カチャッ
「うっし、イッチョあがりっ
あっそうだ、ちょいっとばかし聞いてもいいか」
「なんです?」
「アイツらのベルト、ポーションの瓶入れるとこあるけどよ、あれって怪我した時とかにパッと取って飲むように着いてるわけだよな」
「はい、剣や槍を持ったままでも取り出せるよう左右にハーフサイズの瓶が入れられるようにしました。」
「オークやゴブリンならあれが一番なのはオレでも分かる。 けど…爆弾みてぇな亀の衝撃を喰らっちまったら、いくらおめぇの力作の装備の中でも瓶は割れるよな」
「そりゃ鉄じゃないですからね、普通に割れます。 だからフライボードを導入してなるべく離れて戦ってもらってるんですよ。
 瓶を持たないのであれば好きに戦えって大見得きれるんですけど、スマホも全員分あるわけじゃありませんし、個人個人にアイテム袋つけるにしたって衝撃波で吹っ飛ばないかとかいろいろありまして…」
「服ん中にも仕込めねぇのか?」
「服の中?」
「ああ、せっかく飲んで良し、ぶっかけて良しのポーションなのに毎回手ェとめて蓋開けてってやるのも無器用な奴らにとっては時間かかるよな~ってよ。

 やるならもっとこう…使い古した点滴の袋にでも詰め込んで服の中にいれてよぉ、いる時に袋があるところをぶっ叩けばパァン!!ってならねーか?」
「水風船ならぬポーション風船ですか…確かに、中まで通る攻撃を受けても容器が割れれば回復してプラマイ0…肌着や下着が濡れる程度なら死ぬより全然マシ…いいですね!」
「あとあんだけ美味ぇなら塩みてぇに粉とかアメ玉とかにすりゃ瓶なんか要らなくなっちまうと思うんだがよ」
「粉末ポーションにポーションキャンディ…それも良いですね! 採用で!!」
「だろ!? いや~言ってみるもんだぜ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あの時の会話がここまで役に立つなんて… ん?」


また尻尾が目に入る。 火炎刀は消え、9本の尻尾は魔法に変換されていないので熱こそ帯びておらず、小さくこそなれど、本数は変わっていない。

 本物の尻尾が見える大きさになった分、10本に増えている気も…


「頭隠して尻尾隠さずって言いたいのかな…」



ピピピッピピピッ!
「【オレだ、急いでそこ離れろ 離れちゃいるけど3時の方向から人来てんぞ!!】」

「【人?オークとかではなく?】」
「【オークが馬に乗って結界魔法使うかよ】」
「【民間人ですか、それとも】」
「【今見てっけど…何モンかはわかんねぇ、けど体つきは間違いなく体つきは人間だ。」
「【盗賊っぽい感じは?】」
「【お前達が狙ってる対象Xにしては身なりが綺麗すぎる、ギルドかどこかの貴族家の手の者だと思われる】」
「【思ったより情報が早いですね…】」
「【5、6、7、8人。 別の方向からも5、6人来ている。 どちらもそっちの異変に気付いているみたいだ。 急げ】」
「【了解です】」


「持ち上げるよっと」


少し離れた位置に転移陣。
さすが陸、気が回るようになってきたな




「【タイチョ、何人か魔法担当かしてくれ!!】」
「【テーリオか、向こうで彼らに何があった】」
「【キツネのボウズの尾っぽが9本で燃えてなんやかんやで倒れて、遠くからどっかのなんか来てやがる!】」
「【・・・・・・・すまない…うまく理解できなかった。もう一度、ゆっくり落ち着いて説明してくれないか】」
「【こちらトレバー、代わりに説明します。
地上で起きている異変はキツネ面の少年が使った魔法による二次災害です。
 無事に対処は完了しましたが、それとは別で偵察と思われる民間人複数名を発見、我々で先に伝達したのでドラゴンさん達は帰還済みです。
 ですが、偽装もしくは隠蔽が必要と判断。 火属性及び水属性の上級魔法の使い手は至急、急行願います】」
「【なるほど、そういうことが言いたかったのか…分かった。 急行する】」
ピッ


「総員撃ち方止め!!」

ピタッ…


「情報統制案件発生だ!! これより部隊を2つに分ける。 奇数の小隊はそっちに急行するぞ!」
「『はっ!!』」

「人工知能殿、大至急第三騎士団の鎧を手配できないだろうか」
『全員を小隊ごとに集めて下サイ。 自動オートで着替えヲお手伝いしマス』
「了解した。 小隊の陣形を再構成! 何があっても小隊長周辺から絶対に離れるな!!」


















時同じくして診療所は火傷の処置を済ませ、もう一つの異常事態に頭を悩ませていた

「うーん…処置のおかげで身体に異常は残ってないが…」
「地属性や氷魔法ならともかく、火属性魔法で作った尻尾が残ってしまうなんて…聞いたことが無いぞ」
「それに、映像にあった変貌ぶりも気になります。解離性同一性症の類ですかね…」
「解離性…なんだって?」
「又の名を二重人格、人格の数によっては多重人格とも言う、1人の体の中に複数の人格を持つ人のことです。 

 辛い過去や強い外傷などから記憶を分離しようとする自己防衛本能が働いて起きることがあります。ただ…」

「心当たりないっすねぇ」
「「「うわぁっ!!?」」」

「い、いつの間に目覚めたんだい?」
「さっき炎狐の意識が眠りについて、身体の自由が戻ってきたっす」
「そうか…ひとまずは安心なんだな」
「しばらくは眠ってるはずっす」
「原因が分かれば再度暴走するリスクは緩和できるかもしれないが…心当たりは本当にないのか?」
「そう言われても、ウチは父ちゃんとかあちゃんがいつも鼻炎なこと以外はめちゃくちゃ普通っすよ」
「お仕事は何をされてるんだ?」
「宿屋やってるっす。 収支スレスレ過ぎて修行中のおれっちが生活費送らないと暮らせないくらいのボロっちぃ宿なんすけどね。
 貧乏っすけど明るい大家族っすよ」
「大家族? 兄弟がいるのか」
「おれっちの下に9人いるっすよ。」
「9人!?そりゃ大変だろぉ」
「みんな食べ盛り遊びたい盛りで大変っす。1日に何回もオムツ替えて、両手に1人ずつ抱えてあやしてってやって、辛くないわけじゃないっすけど、寝顔とか見てるとこれが可愛いくて疲れとか吹っ飛んじゃうんすよ」


「うーん…これが決め手とも、原因がないとも断定しきれないな」
『御実家ノ経済的問題と快適過ぎるマスター作の家という相反する条件が、ブースト魔法の実験をキッカケに並列思考に炎狐の自我を生み出シタ可能性が高いでショウ』
「確かに、それなら合点はつくが…どうする?
 魔法から生まれた尻尾は物理的な手術オペでは切除はできないぞ」
『可能な手段があるとスレば、ケリーの身体から分離シテ別の媒体を依代として封じ込めることデス』
「別の媒体に? 移植ということか」
『通常の多重人格持ちハ周りの理解・協力と、それに向き合うだけの心の余裕さえあれバ 、1つの身体に複数の人格を有して生活スル事は可能デス。

シカシ、身体の表面上に現れるのでアレバ話は別デス。』



「元に戻ったとしてもズボンとパンツが破れてケツは丸出し、あったらあったでウ○コはできねぇわな」
「お前そういうところだけすぐ分かるのはよくないぞ」



 複数の人格を持った人間はこっちの世界的に取り憑かれた例としていくつかあるという話だったが、さすがに超高熱を帯びた尻尾、それも9本も生えてきたというケースは滅多に無い。


「だが歩くたびに火災の恐れがあるのはかなり危険だな…」
「そうですね…頼みの綱である彼も引きこもっちゃったし

あっシータは?」


「…【ルックラックチャック】」
『どうデスカ』
「光と闇は温かき表裏一体。 裏にさぶらうは温かき闇、古きを温めてこそ共に立ち上がらん。進化の鍵はまさしくそこにあり」
「シータちゃんのおっしゃる通りなら変革の兆候ですから、むしろ工房に籠られたのであればその後は安心ですわ」
「リョー君なら大丈夫です」
「そうなのか? フラフラだったが…」
「今ひっぺがしてまで絶対安せーってヤツにさせようもんなら、アイツぁ倒れると思うぜ」







「ナイスシータさん。光が見えた!」


イヤホンマイクから盗み聞いた情報をパソコンにキーワードとして叩き込む。

ケースカバン型のパソコンの画面からブルーライトで照らされた悪魔のような悪戯顔の職人は、検索画面の検索ページから素材の収納記録ページにカーソルを移し、次から次へクリック。

届けられた素材を相手に別の戦いに身を投じ始めた










少し視点を変えて大大大食堂の厨房では


「ん…何だ?」
「どうしたんだい」
「気のせいか…工房が輝いて見えるんですが」
「何言ってんだい、そんなのたまにあることだろうに。 さぁてと、今回はどんなもん作って…なぁ!?」
「ああ、ここからやと窓ガラスが魔力を遮断するみたいやからスマホを通してカメラで見たらどうや」
「……………なんだあの魔力量は!」
「爆発でも起きてんじゃないだろうね」
「いや、いつもの光景や。 ああなったらなかなか出てこんのよ。 飯やって呼んでも聞こえてへんし、出て来たおもたら変なもんばっかり作っとる。 けど」
「「けど?」」


「どんだけ寝てのうても、物を作っとう間のアイツの目は、どこの魔宝石よりも輝いとるんよ それも誰かのための物やったら特に」










1時間後

スーーーーッカチャンッ
「出来た…」


銀色のケースを二つ用意し、1つにマジックシューターとホルスター、もう1つの長いケースには1本の刀を納め、ケースを閉じてパッチンロックをかける



「これで3人全員卒業か…」
『寂しいのデスカ?』
「分からない…地球むこうでまともに物を教えたことないから」
『学生時代に一度も無かったのデスか?』
「教えるったって、今と違ってただの高校生だぞ? 教えるほどのものは何も持って無かったからな」
『フムフム…演劇部だったのデスね。 マスターの写真データが少ないトコロを見る二、工作専門デスか』
「まさかとは思うけど…地球のネットにアクセスして高校のホームページ見てない?」
『イイエ、校内の共有フォルダからマスターの学年の学校だよりと部のフォルダを拝借しまシタ』
「内部データにアクセスするな!!」
『アラ? マスターが練習に付き合ってイル様子の動画ムービーガ』
「絶対見るな!! 見たらサーバーとパソコンに隠してある推しのアニメやゲームのデータ全部消すからな!!」
『見…見まセンよ。』
ソ~…
『少ししか…』

カタカタカタカタっ
「サーバーの自爆プログラム。Enterキー押すよ」
『もう2度とアクセスしマセンからお許しヲ!!』
「まったく…株式相場や仮想通貨の抜け目をハッキングしてスパチャしたり有料ファンクラブ入ってるのに気づかないと思った?」
『痕跡は残したつもりハ無かったのデスが…』
「バレバレだよ。 ちょっと見ない間に、知らないリズムゲームが入ってるんだから。 そのせいで月初めはやたらとアップデートだのなんだので容量とバッテリー重たいし」
『一生の不覚。』
「まったく…見るだけなら全然いいけど、為替相場を弄るのは程々にしておきなよ。」
『抜かりハありマセン。 生前のマスターやご家族には繋がらナイよう、海外のサーバーを経由していマスし、元手は無料ポイントのみ、為替崩壊が起きにくい零細案件で運営をしていマス。』
「それ…本当に大丈夫か…?」


ハァ…
「この問題は互いに触れないようにしよう」
『同意しマス』


一歩、また一歩と診療所に近づくと共に仲間が逞しくなった嬉しさと、その裏にはどこかに行ってしまいそうな寂しさ。 今後も俺たちの距離感に変わらないのは分かっていても、卒業式の時のあの感情が俺の心を悩ませる。



俺はこれから…どうなってしまうのだろうか

俺はこれから…どうすればいいのだろうか















診療所に入り、お馴染みの顔ぶれに肩の力が抜かれながら、ストレッチャーの上に2つのケースを置いてロックだけ外してやる。

パカッ
「失礼しますっす…」

「おお…」
「このオーラは一体…」
「これが剣だというのか…!」


「銘は『妖魔刀 創炎練狐そうえんれんこ』。炎でいろんな形を創り、炎狐をさらに強く練り上げるって意味だ。」


なんで炎狐に自我が芽生えたのか、正確な原因はまだ分からない。 分からないが、存在を否定するのもったいなすぎるので、刀の基本設計はほぼそのままに素材だけ一新して、鞘にはエグい魔改造を施した。



「どう変わったかっていうのは、実際に手に取ったらわかると思う。」
「説明してくんないんすか!?」
「いや~ちょっとしたサプライズ的な?」
「そんなドキドキは求めてないっす!!」



「えぇ…とにかくこの刀に触れればいいんすね…?」

ソ~ッ う~ん…

「う~…やっぱりなんか怖いっすね」
「大丈夫だって爆発とかしないし」
「分かってるっすけどぉ」
『魔力爆発が起キル確率 今ナラたったノ30%デス』
「地味に高確率じゃないっすか!!」
『意識シテ全魔力を込めなけレバ爆発しマセン』
「なら…」

ソ~ッ う~ん…

「触らなきゃダメっすか ダメっすよね…」
「リョー君じゃ無いんだし念動使えないんだから諦めて触りなよ」

ソ~ッ う~ん…

「ちょっと誰かカウントダウンしてくれないっすか」
「わたくしが数えますわ。10秒前、9、」
「ちょちょちょっと!! 10秒は短いっすよ!」
「どれくらいのカウントをすればいいんですの?」
「60…いや2分…いや10分でいけるっす!!」
「かけすぎですわ」

ソ~…う~ん…

「先にお茶して落ちつきたくないっすか?」
「『早く触れ!!』」


「みんな揃って言うことないじゃないっすかぁ~…もぉっ!」

チョイッ





ドクンッ!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Side ケリー
突如目の前に広がる真っ暗闇の中に、ボヤけた青い炎の玉があった。


「あれ?ここは…」

スピーっ…スピーっ…スピーっ…ハッ
「なにやつ!」
「うわっ!? な、なんすか!?」


ぼんやりと形がはっきり見えてくる。 いつも呼び出す炎狐の半分以下、小型犬ほどの獣がこちらを睨んでいる


「え、え~っと…おれっちケリーっす。 君は、炎狐…っすよね」
「いかにも。炎狐の自我と呼ばれる存在でござる。」
「名前は…あ…」
「拙者には名乗る名も、記憶も無い。 所詮は魔法とスキルの影響でいつの日か目覚めた、お主の前世か理想像を模した存在でござろう、”いまじなりぃふれんど“とやらにつき、気遣いは不要でござる、取り急ぎ炎狐呼びで構わないで通すでござる」
「ござる?」
「お主が語尾に「~~っす」とつけるでござろう、それと変わりはない」
「そうなんすか。
それで、今のこの状況は一体なんなんすか?」
「お師匠様が拙者のために拵えた刀と鞘の影響でござる。 詳しくは知らぬ故、話ができる場と勝手に解釈するしかあるまい」


第二の存在というイラギュラーな存在の発生原因を探りたくても、探りようがないのは自他ともに同じ。

”分からないから何も出来ない“ではなく今何ができるのか探るのが自分たちの中心にいる男の生き方であり、その男を信じてそれに賭けるという選択肢以外、この2人の目の前にはなかった


「して、先ほどの拙者の暴走でござるが…炎狐として生を受けたこの拙者、何の相談も無く見知らぬ形状にされて、操る術者も気を失い、慣れぬ2速歩行の身体と10本の刀を持たされて。 

微々たる記憶はあれど思うように身体は動かぬし、"あさるとらぇふる"とやらなど100を優に超える武器を何の不自由なく操るお師匠様を目の前に、取り乱しに取り乱したでござる」
「それは本当に申し訳ないっす…」
「何はともあれ、どんな因果で拙者という存在が生まれたかは断定できぬが、気の迷いや幻想だと否定せず、かといって悪霊の類だと言って払い除けることもせず、共に支え合って生きる道を示して下さっておるのだ。
 
ここはその道にどう乗るか、どう背くかを話し合おうぞ」
「そ、そうっすね… なら希望はあるっすか?二重人格なら、たまに出てくることもあるはずっすから、シフトを組んで」
「要らぬ」
「え…?」
『拙者は臆病者のお主にいかなる攻撃からも護り、お主を護ってその後はお主の眠りにつく。
 余計な責任はなるべく持ちたくない故、それだけで良い。 それだけで良かった』


「なのに…」
「なのに?」


ゴゴゴゴゴゴゴ…
『拙者は生後間もない子鹿と同じでござるぞ! 共に戦うならともかくっ! 意識を手放し、身体の全権を丸投げするなど、拙者を精神的重圧と過労にて殺める気でござるか!!』
「ヒィッ!! すんませんっすぅ!!」

ハァ…ッ
『お主はオムツも取れぬ子供に魚の3枚おろしをさせるというのでござるか? せぬでござろう』
「はい…すっごく分かりやすい例えっす」
『出来るか分からぬことに挑戦する心も学ぶべきでござるが、避けることのできる傷は先読みして回避しながら討てる標的を確実に撃ち伏せる方がお主には、あいや、お主と拙者には合っているでござる』
「そう…っすね。」
『何か納得いかぬところでも』
「いやいやいやいやっ むしろ改めて実感したっす。 魔法の威力とか連射力とか、数と質の暴力とか、自分にないものを見すぎておれっちの強さが何なのか全然見えてなかったっす。 

でも、今はっきり見えてきたっす。」

「おれっち達は」
『拙者達は』

『「臆病者ビビリだからこその戦いができるっす」でござる』

『よい。 では、この話はお開きでござる。』
「出会えてよかったっす。」
『では、拙者は4足歩行から“れはべれ”しておる故、刀と鞘、そして炎狐である拙者はおらぬものとして思っておくでござる。 これにて、御免』
「れはべれではなくリハビリ…って、え!? 刀と炎狐なしってどういうっことっすか!? あっちょっと!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「待ってほしいっす!!」


消えて行く背中を呼び止めるも、戻ってきたのはここ数週間で見慣れた白衣の仲間達だった

「ケリー?」
「あれ…師匠…」
「もう師匠じゃないんだから、普通に名前で呼んでよ」
「え?で、でも」
「自分の意識があったわけじゃないから無効だって言いたいみたいだけど、それは違う。

ケリーの実力はいつでも俺を倒せる状態にあったし、念動の対処は隙をつくか破壊するかの2択しかなかったのに、実態として触れられなくして防御を無視するって考え方に至ったのはケリーだけだ。

炎狐に生まれた自我も、ケリーを守ろうとしているように見えたから、きっと悪いやつじゃない。 

だからケリー、君も今日で弟子は卒業。今日から正式に俺たちの仲間だ。」
「…」


整理のつききらない頭のまま目の前のケースを見ると片方には卒業証書代わりの魔法銃、もうひとつは空っぽだった。


「あれ…そうだ…炎狐と刀は?」
「あっち」


「そっち行ったぞ!」
『ヒィィィィィィィ!!』


指された方向を見ると、さっきの夢っぽい空間で出会った大人の小型犬サイズの獣が、大きな虫取り網を持った狩人とお巡りさんに追いかけ回されていた


「待ってってばぁ 何もしないから」
『ならば何故なにゆえ追うでござる!?
さては拙者を捕まえて今晩の一品にするつもりでござるな!?
 そうは問屋が卸さんでござる!!』


並べてあるストレッチャーの間に入り、前足と後ろ足で間を押し広げるように蹴り飛ばす。 蹴りを受けたストレッチャーは前後に走り出し…

ガシャァーーン
「ぐゔぇぁぁあっ!」

「【脚力強化】 えいっ!」

「おいおいバカっ こっちに蹴り返すなっ」
ドンガラガッシャァーン!!
「ごゔぁぁあっ!!」
『今でござるっ』
「あっ逃げたっ 待て! テーリオさんごめんなさーい!」
「助けてくんねぇ…のか…ガクっ」


「待てーー」
『いやでござるぅぅぅぅ!!』


「前のござる君! 左に寄って止まりなさーい!!」
『事故や犯罪を誘発すればお巡りの責任でござるよぉぉぉぉぉ!!』


「君は完全に包囲されている!」
『分身いやぁぁぁあ!』


「御用だーー」
『冤罪でござるぅぅぅぅぅ!!』


『お赦し下されぇぇぇーーーーーーぇえ!!』



「ハハハ…別人格って聞くからどんな癖の強いキャラかなとと思って警戒してたけど、ケリーそっくり」
「あれでも生後そんな経ってないみたいっす…」
「信じ難いですわね」


「そもそも、あれはどういう原理で動いているんだ?」
「先生、それは俺から順を追って説明します。
まず、俺達が戦う時は並列思考と高速思考っていう考えるためのスキルを使って、次の行動をどうするか考えたり、魔法を発動する準備などを頭の中で同時にかつ瞬時に何個もこなしているんです。」
「同時かつ瞬時に? どういうことだ?」
「分かりやすく例で言うなら…森の中でゴブリンに遭遇したとしましょう。

人は追ってくる敵から逃げる場合、前を向いて走りますが、前を向いたままだとゴブリンがどこまで近いているのか、振り切れそうなのかは分かりませんし、木々の間を後向きのまま真っ直ぐなんて走れないので、定期的に必ず前後を振り向きます。

 木の位置を把握し、足元の良し悪しを把握しながらじゃないと転けたりぶつかっちゃいますから。」
「ふむふむ」
「そこで俺から問題です。 先生たちなら追ってきている敵が魔法や武器、激突攻撃を放ってきたらどうします?
 条件として、何かしなければ絶対に追い付かれるか、攻撃され致命傷を負うものとします。」

「ん~…私なら真横にジャンプして回避できないか試みるかな」
「弓矢か魔法を使ってくるならこっちからも何か投げつけてみるか、荷物で盾の代わりをするとかだな」
「せめてもの報いで主要な動脈または視神経を切開する。あわよくば腹わたも」
「執刀医の抵抗方法、手癖悪くないっすか…?」

「あ~…どれも不正解ではありませんが、どの答えも対処できるのはDランク相当の魔獣まで。ゴブリンでも5匹いれば武器無しでの対処は不可能と言われています。

 そこで思考スキルの出番です。探査や強化魔法などを使って各々の得意な戦い方に持ち込むことで命の危険を回避するんです。

俺なら念動で数と質の暴力、フィエリアなら超スピードからの弾幕攻撃、ケリーは炎狐と居合切り、シルヴィアは」
「お天気魔法を宿した拳でギッタギタにしばき回しますわっ♫ えへっ♪」
「うわぁ 敵にしたくないなこの4人は…」


「敵の位置と攻撃を把握して避ける、行動パターンや弱点を把握、有利な地形に移動して、より多くの攻撃を叩き込む。

口で言うだけなら簡単に思えますが、実際やるには複雑すぎて頭がパニックを起こします。

その鍵になるのが並列思考と高速思考です。この二つのスキルがあれば複数の選択肢、魔法、周囲の状態をいっぺんに処理することが出来るのでそこまで魔法のレベルが高くなくても高い水準の力を発揮できます。」
「なるほど。 基礎が違うわけか」


「そしてもうひとつ、並列思考の使い方には2通りあります。

 俺とフィエリアみたいにたくさんの魔法を意識して使う同時展開タイプ。

シルヴィアとケリーのようにメインの思考で戦闘をこなして魔法の細かな操作を丸投げする独立タイプ

の2つです」
「…またも解説を頼む」

『映像を出しマス』


各々のスマホに戦闘中のデータが映し出される。 まずは俺からだ


「俺の念動は5本~10本を1セットにして10セットないし20セットを並列思考の力で同時に操って100本を操っているんです。」
「手足が合計24、5本くらい同時に使えるって感じか」
「確かに、花束をいっぱい動かしてる感覚に近いです」
「厳密には100本バラバラじゃなかったんですね」
「やろうと思えば出来ますけど魔力の消費とかの問題もあってそうしてます。」


次はフィエリア。 走りながら弾幕射撃をするスローの映像が流れる


「簡単に言うと、足場を見つけてそこの上を駆け回るのと、標的に1発でも多く敵に風穴を開ける。
 この中では1番王道の使い方ですが、走り回りながらたくさん撃てばいいってものでもなくて、常に先を読んで一瞬一瞬のうちに行動に移さないと弾幕に隙ができたり、足がもつれて大怪我しますから、理論以上に難しいんです。

あ、ケンちゃん 棒術の映像ある?」
『映像を切り替えマス』
「彼女はいわゆる先端恐怖症というやつで、剣術と棒術を混ぜた戦い方もします。相手の武器を弾いたり、取り押さえたりもするので如意棒銃の使い方の判断をする分も並列思考と高速思考を意識して使わないといけないです」


続いてシルヴィアの映像、というかこの間の親子決戦切り抜きが表示される。 これも掛け合いがすごいのでスロー映像。
 拳の属性が変わった瞬間の違いなどを一時停止させて解説している


「わたくしは無意識で強化が使えるので、基本は力技ですわ。 黒雲魔装では対象に対してどの天気をブチ込むか、思考スキルに丸投げしていますの。」


最後がケリー。 彼のはファイヤボールから炎狐乱舞までの道のりが4面で映し出される。


「おれっちはリクッちがリトルカメちゃんズを操っているところからヒントを得てるんすよ。

 ファイヤボールを自由に操れるようになったあたりっすかね、リトルとお粘土遊びから炎狐乱舞を見出したもので、最近は魔獣が発する程度の感情くらいは見てとれるくらいになったっす」
「それは…子供が人形遊びをするのと近い感じか? ほら、自分の頭の中で台詞をあてたりするだろ」
「まさしくそれっす。 それが一体化しちゃったのをキッカケに表に出ちゃったんじゃないっすかね」
「「「なるほど…」」」



「はい!質問!」
「ブラネットさん、どうぞっ」
「クマさんが在庫を100個単位で補充してくれているのってその並列思考の効果なんでしょうか? 聞いた限りだと、魔法を使う時の使い方とは違いが出そうな気がするのですが…」
「いい着眼点ですわね、錬金術には思考スキルは使っていませんの」
「え?」
「シルヴィアは生まれつき魔力の多い特異体質なので、製薬の時は『とりあえず無駄なく砕いて混ぜる』って言う単純な考え方でやってます。

 一度に初級の薬品を数百本という単位で作ってもらってるのも、過大な魔力の調整が難しくて今でも1本とか10本だと時々暴発するからなんです。」
「それでポーションの初級はいつも棚数が満タンなんですね。 あれ?それだと中級以上は?」
「手が離せない時以外はリョーさんが作ってますわ。 やはり命をお預かりするお薬ですから、暴発させて貴重な素材を無駄にするわけにもいきませんの」
「これは皆さんに言ってませんでしたっけ
錬金術には大きく分けて液体と固形物に分野が分かれてて、シルヴィアには中級相当までの適性はあった反面、固形物は切ったり曲げたり、少し形を変えられるくらいで、魔道具の錬成は適性がないみたいなんです」
「それでも冷静に考えれば軽く炊き出しができるほどの初級、ポーション大量錬成。 冷静に考えてみれば神の恵みだな」
「そんな…わたくしなんて」
トンっ…
「もういいんじゃないか? 少しくらい自分を誇りなさい」



「話を戻そう。 思考スキルがすごいことは分かった、原因もなんとなく分かった。
それで、追いかけられている彼は今後どうなるんだ?」


「ぐぬぬ…」
「やっと追い詰めた。 さぁ観念してバイタルチェックに応じなさーい」
『こうなったらば致し方あるまいっ』
「あっそこは!」

パタっ バタぁンッ
『籠城戦でござる!!』

「入っちゃって大丈夫かな…ここ、冷凍庫なのに…」


『寒ーーーーー!!』




「いろいろ調べてみましたが、この国の文献に九本の尻尾を持った魔獣はいませんでした。
しかし、とある国の伝説の生き物に九尾の狐の資料が見つかりました。」
「おお!!」
「一体どんな生物なんだ!?」
「それがかなり昔の伝説で」
『とても優れた王がイタ時代の象徴の神獣や霊獣とイウ説、綺麗な女性に化けて人を騙す妖怪という存在の説ト両極端な説のセイで、種族の断定は不可能ト判断。

最終的に形が似ている別の存在という結論に達しマシタ。』
「それはつまり…未確認の存在だと?」
『従魔術と似て非ナル存在。ケリーの召喚獣か、式神っていう契約獣のような存在と見た方が自然デス。

ご覧のトオリ、マスターが作成した鞘で安定化に成功。 性格的ニモ無害な存在なようナノデ、経過観察とイウ事で問題無いかト。』

「そうか、ならいい。」
「私も異論は無い」
「私もだ」



パタッ
「あっ 出てきた」
ブルブル…ガタガタ…
『ブェックショイっ!』
「ほぉら風邪ひいたぁ ただでさえ高熱なのにそんなところ入るからでしょ」
『この氷室は寒すぎるでござる…お師匠様の”れーとーこ“なる発明は拙者の炎も受け付けないでござるぅ…受け付けなさすぎるでござるぅ…』

シュゥゥゥゥ…
気を失うように力無く刀の形へ変化する炎狐。
それを何の容赦もなく拾い上げる白衣のおまわりさん。

「確保っと」



そしてその様子を苦笑いしながら眺める俺たちには、危険視するものは誰の1人としていなかった。




「ケリー、はい」
カチャ…
「ありがとうっす」


『れーとーこ寒い…おまわりさんこわい…れーとーこ寒い…おまわりさんこわい…』


「腰に差してみてよ。 いいですよね先生」
「もちろんだとも。」
「我々も是非見てみたい」
「英雄様が4人揃った瞬間に立ち会えるなんて一生の誇りだ」
「マジックシューターも腰につけて見せてくださいまし!」


促されるままに右側にシューター、左側に新たな相棒兼、相刀を差す。


「どうっすか…?」
「実に様になっているとも!!」
「カッコいいです!」
「…お尻丸出しでなければもっと。」
「ああ!!お気にのパンツがぁ!!」


ワハハハハハハハハハハハハ



「そうだ、記念に写真撮ってあげるよ ほら、そこに4人とも並んで並んで」
「シータかブラネット!キツネ君に白衣を持ってきてあげてくれー」
「はーい」
「…炎狐のお面もいる…」

「ではいきましょうフィーちゃんっ♪」
「リョー君も白衣着てっ ホルスターとナッケンジョー持ってさ 早く早くっ」
「分かってるって お面は…あっ、工房じゃん!」
「もーなにやってるの」
「ごめんって すぐ取ってくるから」



「4人とも笑って ほらいくぞー はいっ」
ピロンっ
「先生それ動画モードです」
「あれ? あ、こっちか もう一回行くぞー」
パシャっ
「もう1枚」
パシャっ
「よーし、今度はお面つけて撮ろうか」
パシャっ


「次は先生方も入って撮りましょう。 シータちゃんもブラネットさんもご一緒にっ」


『それデハ撮りマス。 1+1ハ~?』
「『2ぃ~』」
パシャっ



新たな仲間も加わり、デンジャーでイレギュラーな1日も終わりよければそれは大切な1日として思い出となる。 騎士団とそれを支える戦士たちの本当の戦いまでのカウントダウンは無常にも刻一刻と進んでいるが、それはまた明日のお話。




「おれ…写真…忘れられてる…」
「ボクも~~…」
「撮るんやったら呼ばんかいあのアホ」

「【ワシらなんかどう足掻いても写れんのじゃが】」

「【リョーにぃちゃんたちだけずる~い】」
「【レグたちもおつかいがんばったのに~】」

「【くっ…自分ももう少しあの場に居れば…映らなくとも立ち会えたのに…悔やまれます】」


写真に移れなかった影の英雄達から不満の声が挙がったのもまた別のお話。




『れーとーこ寒い…おまわりさんこわい…れーとーこ寒い…おまわりさんこわい…』
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