49 / 144
祝・初クエストクリア
しおりを挟む
クエスト完了と魔獣討伐の処理に時間がかかるということなので、明日また出直すことにして私達はギルド出て早めの昼食と祝勝会をするため目抜き通りを目指す。
「何か食べたいのとかありますか?」
「うーん、そうじゃのう」
第1候補はお肉シチュー……夜にどうせ食べるのだろうから却下。
第2候補【サン・イザベル】という、この街で最高級のレストラン……マロフィノが入店不可のため断念。
第3候補……目抜き通りに到着して彷徨うこと1時間、なかなか決まらない。
「さすがに腹減ったっすね、そこのカフェで」
「嫌じゃ!嫌じゃ!せっかくだからお祝いしたいんじゃ」
「フィン!フィン!」
全力で拒否されてしまったが、いい店なんて知らないし……あっ。
「この道」
「おお!そうじゃこの先は」
ここは【居酒屋・妖狐】へと続く小道の前だった。
「開いてますかね?」
「マロ!先頭を行くんじゃ」
「フィン!」
マロフィノは軽快な足取りで小道を、居酒屋・妖狐の方へと進み出した。
「なんでマロフィノに?」
「タタラや妾は運がないから絶対閉まっておるに決まっておる」
確かに言われてみるとそれはあるかも、などと納得して川沿いの道に入ると太陽のような看板の和風な建物の入り口で暖簾が揺れている。
「フィン!」
「開いておるぞ!」
私やリアスが先頭だったら開いてなかったのかなぁと思いながら引き戸を開けて暖簾をくぐる。
「いらっしゃいませ。あら、タタラさん、リアスさん、マロフィノちゃんお久しぶりです」
「こんにちはヨーコさん」
カウンター席に座るとおしぼりとお茶とお品書きが出されたが、おまかせでお願いして飲み物だけ先に出してもらった。
「えーと、あのぉ初クエストをですねぇ」
「タタラに任せると一生飲めん!【渡り鳥】初クエスト、初クリアを祝して!」
『乾杯!!』
クゥー!ビールが美味しい。最高です。
「どんなクエストだったんですか?」
「えーと、プルガサス迷道というダンジョン攻略です」
「それは凄いですね、ダンジョンが攻略されればイザベルの資源も増え街が豊かになります。街を代表してお礼を言わせてくださいありがとうございます」
「いやいや、俺達は生活のためしてるだけなんで、お礼なんてそんな、なぁリアス」
「もっと感謝しても良いじゃぞ」
「アホか!増長すんな」
「ただの冗談じゃ、本気にするでない」
「ハイハイ、すみませんでした」
カウンターに次々と出される料理を楽しみながら、初クエストの反省や思い出話に花を咲かせ気がつくと外は夕暮れに染まり始めている。
「はー、お腹いっぱいじゃ」
「そろそろ宿を取っておかないといけませんし帰りますか」
会計を済ませ、席を立とうとするとヨーコさんが頼みごとがあると言い出した。
「急ぎではないのですが、知り合いに貸してある【扇】を取りに行って貰いたいのです」
「扇ですか?ちなみに何処のどなたに?」
「貸しているのは、エンドーレ王国にある【ルチザン】という街にあるギルドのマスターです」
「エンドーレですかぁ」
ドワーフと職人の国かぁ、フェンリルの牙の件もあるし興味はあるが、確か命がけで山越えするか、航路で片道2、3カ月の長旅だったよな。遠出する前にもう少しこの街でクエストこなして慣れたいところではある。色々と。
「エンドーレ方面にクエストがある時についでで構いませんから、もし行けそうな時は声をかけてもらえると嬉しいです」
「大事な扇を、どうして遠い国のギルドマスターに?」
「ルチザンのギルドマスターは職人でもありまして、私の扇がとても珍しい金属で作られているとかで研究のため是非貸して欲しいとしつこくせがまれて、致し方なく貸してしまったのです」
まさかの金属扇とは……ってことはルチザンのギルドマスターは武器職人なのか。一流の職人が集う国のギルドマスターが研究したがる扇……興味が湧いてきた。
「わかりました、エンドーレ方面に行く時には必ず声をおかけします」
「フィン!」
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」
居酒屋・妖狐を後にし料理の感想などを話しながら目抜き通りを、宿屋の多い東通りに向け歩いていく。
「いた!!【渡り鳥】のみなさん!!」
私達を呼ぶ声に振り向くと、遠くから見慣れない青年が息を切らして走ってくる。
「あの……どちら様で?」
「あっすみ……せん。ギルドの職員のもの……ぜーぜー」
息を整えたギルド職員の話によると、私達【渡り鳥】に関してギルドで話し合いがおこなわれ、とんでもない事が決定されたので今すぐギルドに来て欲しい……と言うよりも、来いとのことだ。
とんでもない事かぁ……。
「君は、ほかに何か聞いてない?」
「すみません、自分は何も」
内容を知らないヤツを使いに出すとは、さすがエヴァさん。
「じゃあ……行きますか」
「仕方ないのう」
「フィン!」
今回は怒られるような事はしてないし、きっと良い事だと思う……ようにしよう。きっと大丈夫……かなぁ。
「何か食べたいのとかありますか?」
「うーん、そうじゃのう」
第1候補はお肉シチュー……夜にどうせ食べるのだろうから却下。
第2候補【サン・イザベル】という、この街で最高級のレストラン……マロフィノが入店不可のため断念。
第3候補……目抜き通りに到着して彷徨うこと1時間、なかなか決まらない。
「さすがに腹減ったっすね、そこのカフェで」
「嫌じゃ!嫌じゃ!せっかくだからお祝いしたいんじゃ」
「フィン!フィン!」
全力で拒否されてしまったが、いい店なんて知らないし……あっ。
「この道」
「おお!そうじゃこの先は」
ここは【居酒屋・妖狐】へと続く小道の前だった。
「開いてますかね?」
「マロ!先頭を行くんじゃ」
「フィン!」
マロフィノは軽快な足取りで小道を、居酒屋・妖狐の方へと進み出した。
「なんでマロフィノに?」
「タタラや妾は運がないから絶対閉まっておるに決まっておる」
確かに言われてみるとそれはあるかも、などと納得して川沿いの道に入ると太陽のような看板の和風な建物の入り口で暖簾が揺れている。
「フィン!」
「開いておるぞ!」
私やリアスが先頭だったら開いてなかったのかなぁと思いながら引き戸を開けて暖簾をくぐる。
「いらっしゃいませ。あら、タタラさん、リアスさん、マロフィノちゃんお久しぶりです」
「こんにちはヨーコさん」
カウンター席に座るとおしぼりとお茶とお品書きが出されたが、おまかせでお願いして飲み物だけ先に出してもらった。
「えーと、あのぉ初クエストをですねぇ」
「タタラに任せると一生飲めん!【渡り鳥】初クエスト、初クリアを祝して!」
『乾杯!!』
クゥー!ビールが美味しい。最高です。
「どんなクエストだったんですか?」
「えーと、プルガサス迷道というダンジョン攻略です」
「それは凄いですね、ダンジョンが攻略されればイザベルの資源も増え街が豊かになります。街を代表してお礼を言わせてくださいありがとうございます」
「いやいや、俺達は生活のためしてるだけなんで、お礼なんてそんな、なぁリアス」
「もっと感謝しても良いじゃぞ」
「アホか!増長すんな」
「ただの冗談じゃ、本気にするでない」
「ハイハイ、すみませんでした」
カウンターに次々と出される料理を楽しみながら、初クエストの反省や思い出話に花を咲かせ気がつくと外は夕暮れに染まり始めている。
「はー、お腹いっぱいじゃ」
「そろそろ宿を取っておかないといけませんし帰りますか」
会計を済ませ、席を立とうとするとヨーコさんが頼みごとがあると言い出した。
「急ぎではないのですが、知り合いに貸してある【扇】を取りに行って貰いたいのです」
「扇ですか?ちなみに何処のどなたに?」
「貸しているのは、エンドーレ王国にある【ルチザン】という街にあるギルドのマスターです」
「エンドーレですかぁ」
ドワーフと職人の国かぁ、フェンリルの牙の件もあるし興味はあるが、確か命がけで山越えするか、航路で片道2、3カ月の長旅だったよな。遠出する前にもう少しこの街でクエストこなして慣れたいところではある。色々と。
「エンドーレ方面にクエストがある時についでで構いませんから、もし行けそうな時は声をかけてもらえると嬉しいです」
「大事な扇を、どうして遠い国のギルドマスターに?」
「ルチザンのギルドマスターは職人でもありまして、私の扇がとても珍しい金属で作られているとかで研究のため是非貸して欲しいとしつこくせがまれて、致し方なく貸してしまったのです」
まさかの金属扇とは……ってことはルチザンのギルドマスターは武器職人なのか。一流の職人が集う国のギルドマスターが研究したがる扇……興味が湧いてきた。
「わかりました、エンドーレ方面に行く時には必ず声をおかけします」
「フィン!」
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」
居酒屋・妖狐を後にし料理の感想などを話しながら目抜き通りを、宿屋の多い東通りに向け歩いていく。
「いた!!【渡り鳥】のみなさん!!」
私達を呼ぶ声に振り向くと、遠くから見慣れない青年が息を切らして走ってくる。
「あの……どちら様で?」
「あっすみ……せん。ギルドの職員のもの……ぜーぜー」
息を整えたギルド職員の話によると、私達【渡り鳥】に関してギルドで話し合いがおこなわれ、とんでもない事が決定されたので今すぐギルドに来て欲しい……と言うよりも、来いとのことだ。
とんでもない事かぁ……。
「君は、ほかに何か聞いてない?」
「すみません、自分は何も」
内容を知らないヤツを使いに出すとは、さすがエヴァさん。
「じゃあ……行きますか」
「仕方ないのう」
「フィン!」
今回は怒られるような事はしてないし、きっと良い事だと思う……ようにしよう。きっと大丈夫……かなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜
れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが…
勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる