THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

文字の大きさ
58 / 144

今後の予定

しおりを挟む
「おい、起きろ」
「へっ?」

 目を開けると、目の前には黒髪の美女の豊満な胸が揺れその奥で……悪魔のような鋭い目が私を見下ろしている。

「おはようございます……エヴァさん」
「この程度の仕上がりじゃあ気乗りはしないが、今日の午後2時に出発する、それまでにまたギルドに来い」

 また?周囲を見渡すとそこはギルド地下の訓練場だった。
 なぜ私はこんなところで寝ているのだろう。
 そういえば、エヴァさんに引きづられて地下訓練場に連れてこられて……ダメだ何も思い出せない、というか覚えているけど何も思い出したくない。
 どんなにキツイ訓練をしても次の日には嘘のように回復していたのに、今日は全身がバラバラになってしまいそうだ。少し動かすだけで骨が軋み筋肉が悲鳴をあげる体をなんとか起こして地下訓練場から這い上がる。
 時刻は午前9時、クエストを受けようと冒険者で溢れている、そのうちの1人が私を見つけるとギルドのホールに歓声が上がった。中には泣いている者もいた。
 私に肩を貸してくれた冒険者は「頑張ったな、よく生きて帰ってこれたな」と声をかけてくれた。なぜかわからないが私の目には涙が溢れていた。
 今回、私が遭遇したのは、イザベルギルドに伝わる七不思議のうちの1つで【悪魔の手招き】と呼ばれるものらしい。その内容は、地下訓練場へ続く階段の前で手招きする黒髪の美女の誘いにのると世にも恐ろしい体験をする……つーか、七不思議でもなんでもないじゃねぇかとツッコミを入れる気力すらない。
 ギルドホールにあるソファに座らされた私は何の変哲もないソファが天国のように感じた……ああヤバイ……。

 ♦︎

「……しろ……タラ……」

 誰かが何かを言っているような。

「しっかりしろ!大丈夫かタタラ」

 この聞きなれた声は……。

「フィーン!」
「マロフィノ?それにリアス」
「良かった、起きたらタタラが戻っておらぬから、朝食を食べて急いで探しに来たんじゃが、一体何があったんじゃ?」

 あっそんな状況でもメシは食うのね。

「えーと……大丈夫です、ちょっとキツめにしごかれただけです」
「そうなのか……まぁ大丈夫ならよいんじゃが、今日はクエストをやらずに戻って休もう」

 10分ほど眠ってしまっていたようだ、けど少し体の痛みがましになった気がする。

「ああそうだ、2時には交流戦に向けて出発するらしいのですがリアスはどうします?」
「1人でおってもやることなど無いからのう、付いて行こうかのう……で、どこまで行くんじゃ?」

 それがさっぱりわからない私は、ゆっくりと立ち上がりセリカさんたずねる。

「はい、交流戦の会場はジング王国領にあるナナハ島で行われます。今回はマスターも同行するそうですよ」
「……あの……」
「と言われても、ピンときませんねジング王国は……」

 ジング王国、イザベルのあるアスガルズ王国の東に位置する島国で世界中から集まるにはちょうど良い位置にあるため、ギルド交流戦だけでなく国際会議や世界規模のイベントなどはほとんどこの国で行われることが多く【アクリスのヘソ】なんて呼び名で呼ばれることもある、らしい。
 ちなみに貿易が盛んで、綺麗なビーチや美しい山々もあるためアクリス1の観光大国でもある。

「エンドーレ王国のルチザンのギルドマスターって交流戦にはこないんですか?」
「ルチザン?あはは、あの方は……呼ばれても絶対行かないと思います」

 笑い飛ばされてしまった。ルチザンのギルドマスターは有名な人物のようだ。

「ちなみになんですが、そこからエンドーレまでどのくらいかかりますか?」
「エンドーレですか?うーん、正確にではありませんが船で1ヶ月ぐらいかと」

 イザベルから3カ月かかるエンドーレまでがジング王国から1ヶ月……?でも交流戦まであと数日しかないはずじゃ。

「ジング王国まで俺達何で行くんですか?」
「ギルド連盟本部がチャーターした旅客飛竜です」
「旅客飛竜!?」

 旅客飛竜とは、人が乗るための車両を飛竜数頭で牽引して運ぶこの世界で速度、乗り心地どれをとっても最上級クラスの移動手段である。ちなみ距離にもよるが個人チャーターとなると1000万ピック~らしい。

「あの、ジングからエンドーレに船って出ているんですよね?」
「もちろんです」
「お主はさっきから何を聞いておるんじゃ?」
「あるでしょ?俺達ご指名のクエストが」
「んっ?……あっ!ヨーコか!!」
「どうです?海外遠征といきませんか?」
「賛成!賛成!さんせーい!!」
「フィウォーーー!!」

 ようやくリアスも思い出してくれたようだ。てか、こういう時に反対意見が出ないのはこのパーティーの良いところだな。
 俺達は前にヨーコさんからエンドーレ方面に行く時はと、お願いされていたクエストがある。
 交流戦に参加するのを考慮しても2カ月も移動期間を短縮出来るのはデカイ。フェンリルの牙の加工のためにいつか行きたいと思っていたエンドーレ王国に行けるチャンスがこんなに早く来ようとは……。
 交流戦自体はまったく乗り気では無かったが、行きの旅客飛竜とその後のエンドーレ王国という楽しみが出来たのでちょっとだけ交流戦に対してやる気が出てきた。

「セリカさん、居酒屋・妖狐の店主ヨーコさんがどちらにお住まいかご存知ですか?」
「えっ!?ええ……もちろんですが……」

 ヨーコさんはギルドからまっすぐ中央広場を抜けた先に住居を構えているらしい、あとは行けばわかりますとざっくりとした説明だったが、何か特徴的な表札でもあるのだろうか。
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~

月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」 ​ 猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。 彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。 ​チート能力? 攻撃魔法? いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。 ​「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」 ​ゴブリン相手に正座で茶を勧め、 戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、 牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。 ​そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……? ​「野暮な振る舞いは許しません」 ​これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...