THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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また会いましょう

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 夜が明け時刻は午前9時、半分眠っているリアスの手を引き、熟睡中のマロフィノを頭に乗せ朝食をとるためホテルのレストランに来たのだがブラックオニキス号の船員達の姿はない。
 どうやらハイトさん達はすでにホテルをチェックアウトし出航の準備に港へ向かったようだ。
 
「タタラァ、座っておるから適当に見繕ってきてくれぬか」
「はいはい、了解です」

 ビュッフェ形式で並べられてる食事を皿に盛り付け席に戻るとリアスは椅子に座ったまま撃沈していた……おい!

「リアスさん起きて朝ごはん食べて下さい、挨拶に港に行かなきゃいけないし、昼前にはラッハを出発しないと間に合いませんよ」
「どこに行くか知らんがもう一泊すれば良いではないか……むにゃむにゃ」

「むにゃむにゃじゃねぇっつーの!!エンドーレではやる事たくさんあるんですから!ほらっ起きて!ご飯を食べて」

 リアスが目を閉じたままチョビチョビと食事を始めたのを確認して自分も食べ始めると額を滝のような汗。

「冷てっ!なんだこれ!!って、マロフィノ!?」

 ではなくマロフィノの洪水のようなヨダレが流れてくる。

「起きたんなら座ってご飯食べなさい」

 床に降ろそうと頭の上のマロフィノを抱き上げたのだが、マロフィノは目を閉じたままヨダレが溜まった口を開いた。
 食わせろってかこの野郎!つーか。

「リアス!パンケーキを枕して寝るな!って、だぁ!!マロフィノ!寝たままパン食うな!」

 はぁ……子供を持つ親って毎朝こんなに大変なのかなぁ……朝から疲れる。

 怒鳴ったり世話焼きをしながらなんとか朝食を済ませ部屋に戻り荷造りと着替えを済ませホテルを出ると、昨日は着港後すぐ日が落ちてしまったため気づけなかったラッハの美しい街が目に飛び込んできた。

「うわぁ、すごい綺麗じゃのう」
「っすねぇ、イストアとはまた違った綺麗な街ですね」

 ホテルの正面玄関から海まで一直線に続く白い敷石の敷かれた長い坂道と赤い瓦屋根とレンガ造りの建物が立ち並ぶ風景の港町は一瞬にして私達の心を鷲掴みにした。

「リアスさん……」
「……そうじゃのう」
「フィン!フィン!」

 私達は以心伝心でそのままホテルにUターンして、もう一泊予約をしてからゆっくり景色を堪能しながら港へ向かった。
 この町は素通り出来ないでしょう、いやマジで。

 港に到着すると停泊しているブラックオニキス号を大勢の人が取り囲んでいる。どうやらすでに準備を終え、今にも出航しそうな勢いだ。
 甲板の上から「タタラ君」と叫ぶ男性の声が聞こえ見上げるとそこにはハイトさんの姿があった。

「すみません遅くなりました」
「今準備が終わって乗り込んだところだったから丁度良かったよ」

「しっかりやるんじゃぞ!」
「フィン!!」

 おいおい、お前らはどの角度からものを言ってるんだっつーの。

「君達も頑張って!」
「はい!ありがとうございます」
「タタラ君!!」
「ハイトさん!!」

『また!会いましょうおう!!』

「ブラックオニキス号!!出航だ!!」
『おおおお!!!!』

 【大海の災厄】を討伐しバーム海域を解放するという目的を達成したブラックオニキス号は汽笛の音を轟かせながら故郷バーム王国の戦争を終わらせるべくラッハの港を出航した。
 私はどんどんと遠ざかるその船が水平の彼方に消えるまで見つめながら心の中でエールを送り続けた。

「行ってしまったのう」
「っすねぇ……」

「フィッ……グゥ」
「なんじゃマロフィノ!?もう腹が減ったのか?」
「だから朝ご飯ちゃんとって、もう昼ですね」
「そういえば、わらわもなんじゃか腹が減ったような」

 そんなアホなやりとりをしていると、ブラックオニキス号の見送りに来ていた集団の1人が話しかけてきた。どうやら彼らはバーム王国の国民で大海の災厄事件後国に帰ることが出来ないまま、このラッハに何十年間も住んでいたらしく、帰国はもう出来ないものと諦めかけていたそうだ。そのため私達にもの凄く感謝しているとのことで、昼食をご馳走したいとのことなのだが……この人数じゃ宴会確定コースですよね?

 この後、私達【渡り鳥】がラッハに2泊したのは言うまでもない。
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