THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

文字の大きさ
143 / 144
サタンサイド

しおりを挟む
 鬼人隊ヘルズ城襲撃から一夜明け、僕たちはジャハン州から再びヘルズ城へと向かっているのだが、昨日とは違い空を行く編隊の数は10倍へと膨れ上がり50にも及ぶ飛竜の群れとヘルズ城を目指す。
 バラリバ州とのいざこざをレクターにばらすつもりはなかったが、おしゃべりなレジバンのやつがレクターに鬼人隊ヘルズ城襲撃をばらしてしまい、激怒したレクターは自ら精鋭部隊を率いて先頭を牽引している。
 出立前にレクターは全軍に戦闘準備を命じ鬼どもを皆殺しにすると息巻いてといたが、ヘルズ城が跡形もなく崩壊しては困るので人化スキル保有者のみ同行せよという条件でしぶしぶ飲ませた。
 それにしても許せないのはレジバン、あの目玉小僧めおしゃべりが過ぎる。ということで、レジバンは今、飛竜の足にロープでくくられて宙吊りの刑を与えている。

 しばらくするとヘルズ城が視認できる位置まで来た。

 今回のヘルズ城奪還作戦の全容は、何も知らないフリをして全員でヘルズ城城門前に降り、そのまま正面から突破するというものである、まぁ作戦と言うほどのものでもないか。
 これにもレジバンは僕に及ぶ危険が大きすぎると騒ぎ立てていたが、自分の城に帰るのに大それた作戦などいらないと強引に説き伏せヘルズ城奪還作戦が始まった。
 ヘルズ城城門前ではバラリバ州の部隊が城門を封鎖しており、その前に降り立った我々に対し低俗な罵声を浴びせてきのことに対してレクターの配下の兵達が同レベルの罵声を返している。

 どうやらジャハン州とバラリバ州は仲があまり良くないようだ。

 怒号飛び交う中、「ここはヘルズ城つまり魔王である余の城だということを知っての狼藉か?即刻城門を解放し城を明け渡せば情状酌量の余地をやろう」と、王らしく振る舞って見せた僕。それを聞いた鬼達はへらへらと笑いながら罵声を浴びせてきた。
 それにはさすがにギヴェールとレクターさらには普段は冷静なルドルフも激怒した、あとレジバンも。今にも開戦しそうな勢いのみんなをなだめ僕はルドルフに同行を命じ城門前の鬼達に2人で近づき何かを感じ取った鬼達は軽く身を仰け反りながら警戒をしていたが手加減はしない。
 鬼達を軽くなぎ倒しルドルフ以外の全員に援軍が侵入しないよう待機を命じ僕とルドルフは城門をこじ開けヘルズ城に入った。
 おそらく指揮官は玉座の間にいると推測し、僕とルドルフは通路内にいる鬼達をなぎ倒しながら玉座の間を目指す、とは言ってもなぎ倒してるのはほとんどルドルフ一人なのだが、自分よりも何倍も体が大きい鬼達を切り捨てていく様は痛快としか言いようがない。
 玉座の間に近づくにつれ鬼達の量が増えていく、どうやら指揮官は玉座の間で間違いないようだ。
 この通路を渡りきればというところで、ある鬼が「後の雑魚っぽいチビから狙いって殺せ」と叫び、その言葉にルドルフは完全にブチ切れ【獣剣士】スキルを発動しながら鬼の大軍を切り捨てていく、それを見ながら僕は若干傷ついていた、確かにルドルフは強いが僕のほうが強いのになどと思考を巡らしていると、通路に群がっていた鬼たちはすべて切り捨てられ通路の両脇に積み上がっている。完全にブチ切れていたのになるべく殺さないように手を抜くあたりはさすがルドルフである。

 僕達は鬼達が積み上がった通路を進み玉座の間の前で一旦立ち止まり深呼吸をし扉を開けた、すると中には通路にいた鬼達よりも体が大きく強そうな10数名の鬼達がいた、その中でも一番巨大な鬼が勝手に僕の玉座に座っていた。

 ちょっとだけむかつく。

 その鬼が高笑いをしながら僕達に「貴様は何者だ」と問いかけてきた。
 偉そうでむかついたが、ここは魔王らしい振る舞いを見せるために冷静に「人の城に勝手に上がり込んでおいて何者だとは随分な言い草だな、貴様こそ何者だまずそちらから名乗るのが礼儀であろう」と言い返すと鬼は玉座から立ち上がり高笑いをして自分は【鬼王ラボウ】と名乗り僕の名前を聞いてきた。

 鑑定スキル【解析かいせき】 

【 名前 】  ラボウ
【  レベル  】 322


 絵に描いたような偉そうなこの鬼はやはりラボウだった。

 わざわざバラリバ州に出向く手間が省けたのでその点については良いのだが、偉そうな態度が僕の神経を逆なでする。
 だけどここはグッと堪え「バラリバ州の州王よ、余は魔者王よりこのヘルズ統括を任された新王【魔王サタン】である。よって貴様が鬼の王だろうが勝手な振る舞いは許さない今すぐヘルズ城を立ち去り改めて謝罪と挨拶に来い」と言うと、ラボウは高笑いをしながら僕を罵倒してきた、こいつはやはり力に訴えかけないとだめなようだ。
 狂獣化しそうなほど怒るルドルフに手を出さないように念を押し僕はロンギヌスを手にしてラボウに迫ると、それを見てラボウは鼻で笑い、配下の鬼達に相手をするように命じているが格下だろうと僕は手加減する気は一切ない。
 槍スキル【五月雨】でラボウの配下を瞬殺してみせると、さすがにラボウも顔色を変え玉座から立ち上がり脇に置いてあった巨大な金棒を手に取り何やら叫んでいるがとても聞けた内容ではない、とてもじゃないがコイツに王の品格というものは存在しない。
 激昂するラボウの様子を見ながら僕は無関心な態度でラボウとの距離を詰めた、そして、ラボウの雄叫びとともに降り下された金棒を交わし、まずロンギヌスで一突き。ラボウの耳障りな叫び声が響いたがそんなのは関係ない、お前は正直やりすぎたのでキツめのお仕置きが必要だ。
 僕は槍スキルを駆使しラボウの巨大な体を次々と斬りつけていく、それにあわせラボウは鉄棒振り下ろすが全く僕の速度についてくれていない。確かに、攻撃力はすごそうだがその程度の瞬発力では僕に掠ることすら不可能だ。
 ある程度痛めつけた後、僕は一旦距離をとった。本当ならここでラボウに「今の立ち会いで分かった通り実力差は明確だ、兵を引き服従を誓え」とでも言ってやった方が良いのだろうが、完全に頭に血が上ったラボウはもはや何語かもわからないような意味不明で耳障りな言葉で何か騒ぎたてまくっている。
 もう本当にコイツは体に教えてやるしかないようだ。僕は重心を低く構え局部破壊特化スキルを選択する、これは【AQURIS online】で巨大モンスター討伐事に有効な手段として流行った方法で【タタラ】と言うプレイヤーが考案したいわゆるハメ技的なものだ。
 ネット上がった動画のタイトルからこの技は戦陣【巨人落とし】と呼ばコレをマスターすれば単独プレーヤーでも高レベルの巨大モンスターを倒せると一時話題になった。
 この技の簡単な内容は、まず局部破壊スキルで両足を切断、するとモンスターはその場で腕を振り回すだけしか出来なくなり後は遠くから魔法や遠距離攻撃を連発といものだ、まぁ局部を破壊する技の高い熟練度と攻撃力が必要なのだが、デスペナルティがある【AQURIS online】において安全に高レベルモンスターを狩れる手段は重宝された、だがすぐに運営から局部破壊が手足に成功した場合、攻撃には使わないがそのまま残り移動はできると言う仕様に対策をされてしまい【AQURIS online】では使用できなくなった。しかし現実世界であるこの世界において戦陣【巨人落とし】はもちろん有効である。
 僕はラボウの右足を切断するため槍スキル【断破】とはいえ、完全に切断しては後で回復魔法くっつくか不安もあったので骨を砕き肉を削ぐ程度の加減をした。
 さぁここからガンガン行くぞ、と思っが、ラボウは断末魔のような叫び声を上げながら玉座の間の床をのたうちまわっているので戦意を削がれた僕は再びラボウの意思を確認することにした、するとラボウは頭を床につけ土下座のポーズをとった。
 僕はその姿を見ながらラボウに右手をかざし調魔スキルを発動、メニューの調魔ウィンドウ。

【 名前 】   ラボウ
【 種族 】  ブジンオニ
【  レベル  】  322
【  眷属数  】 182235

 ラボウの名があることを確認し僕はルドルフにギヴェール達に戦闘終了を伝えさせた。

 ここまでは順調だ、だが僕の中では大きな不安が1つある。
 それは王と言われる魔者でさえこの程度の強さ、しかも1・2を争う強さを持つと言われているその1・2でさえ僕にとっては全く脅威とは言えない、果たして本当にこの程度の強さで人間たちと戦うことができるのだろうか?

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~

月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」 ​ 猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。 彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。 ​チート能力? 攻撃魔法? いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。 ​「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」 ​ゴブリン相手に正座で茶を勧め、 戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、 牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。 ​そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……? ​「野暮な振る舞いは許しません」 ​これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...