THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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帰還

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「現在の潜航パーティー数は?」
「例のイザベルのパーティーを含め12組です」
「そうか、渡り鳥アイツらはまだ戻らないか」
「はい、後1時間で10日……目標階層は10でしたので現実的に考えると彼等はもう……」

「そうだな……」

 私達【渡り鳥】が【アガルタ】に潜り始めてから10日目、封印門の前でそんな会話が繰り広げられているとは知らず私達は封印門を開けた。

「ほら、マロフィノ挟まるから先に出て」
「フィン!」
「はぁ、やっと地上じゃぁ」
「年寄りくさいっすよリアス」
「って、あれ?アンカさん?お疲れ様です」

 封印門から出てきた私達を見て驚いた表情のアンカさん達、状況がよくわからないがとりあえず門を閉めて軽く頭を下げた。

「随分とかかったな、まぁ無事で何よりだ」

 どうやらアンカさんは私達の心配をして様子を見に来てくれていたらしい。

「ほらな、じゃから早く戻ったほうが良い言ったんじゃ」
「いやいや、全員の合意の上で潜ったでしょうよ、なぁマロフィノ」
「フィン」

「まぁ、慎重に潜るのは良いことだ」

「慎重じゃと?全然慎重になど出来る状況じゃなかったわ!」
「どういうことだ?」

 アンカさんと話がかみ合わないので、私は【アガルタ】の潜航過程を説明した。

「3階層で【ナラク】に会ったのか!?」

 3階層で遭遇した巨大斧の鼠色マントの魔獣は【ナラク】という名前らしい。
 ナラクは階層問わず偶発的に出現する魔獣で、特に30層以下での遭遇事例が多く巨大な斧で地面を砕きボス魔獣の1階層前まで潜航者を落とすスキルというか技を使う厄介な魔獣らしい。
 ちなみに一桁階層で遭遇したケースは今回が初らしい、さすが【渡り鳥】誰の因果か知らないがかなりの引きの強さだ。

「で【マンドラゴラ】はどうだった」
「なんか気持ち悪いからスルーしました」
「すっスルー……って!?9階層で時間いっぱい滞在してから10階層に降りたんだろ!?スルーして戻ったら漆黒の魔獣遭遇したはずだ、お前たちどうやって戻ってきた!?」

 驚くアンカさんにリアスが一言。

「40階層のボス魔獣を倒して転移してきたんじゃ」
「なんだ、そうか、スルーして下に降りたのか……」
「そうじゃ、して、道中大量の道具を拾って来たのじゃがお主の店で買い取ってくれぬか?」
「ああ、もちろんだ。それじゃぁ今から店に……って!?ちょっと待てぇえええ!!?」
「なんじゃ?うるさいのう」

 リアスとの会話中に突然アンカさんが吠えた。

「40階層だと!?だったらボスの【ヒドラ】を倒して来たのか!?それも初潜航で!?僅か10日で!?」
「えっ?あっ……はい……」

 あれ?あれあれ?なんかマズかったかなぁ……20階層のボス【ソードタリウス】を倒したあたりから【アガルタ】が楽しくなってきて、とりあえず最強パーティー【箱舟】が40階層超えたら苦戦したという話だったからギリ40階層まで行ってみようという事で行って来たのだけど。

「ちなみにその【ヒドラ】はタタラが1人でものの数分で倒したぞ」
「いやぁ、たまたま知ってた魔獣の攻略方法がハマっただけです」

「あり得ないだろ!!あの八つ首のドラゴンはたまたまでしかも1人でどうにかなる相手じゃないぞ!!?」

「いやぁ、あははは。すみません」

 はははぁ……ゲームで大量に狩りまくってた【ヤマタノオロチ】の攻略方法があそこまで見事にハマるとは。まぁさすがにゲームで散々倒して来たとは言えないのでここは笑って誤魔化そう。

「もういい分かった……お前達に常識というものは通じないらしいな、はぁ……店に行こうか」
「それはタタラだけじゃ!!一緒にするな失礼な!!」

 お前が一番失礼なんだよと思いつつアンカさんの店を目指し歩き出した。
 
 その後、使えそうなものを残し不要なアイテムの換金を済ませ(売却総額1800万越え)ダバンの街で2日ほど休息を取り【アガルタ】からの帰還3日目の朝、私達【渡り鳥】はダバンの街の門の前でリアスのトイレ待ちをしていた。
 だから宿を出る前に済ませなさいってあれほど言ったのに、まったく。
 
「朝は門番さんはいないんですね」
「門番?知っての通り冒険者の多い町だし魔獣避けの結界も貼ってあるから昼夜問わず門番はいないぞ」

「えっ?」
「んっ?」

 では私が門番だと思い込んでいた、ダバンに着いた時のあのドワーフはいったい……長考モードに入る寸前で。

「次は【ルチザン】だったか?」
「はい、というかイザベルを出た時はルチザンにしか用が無かったはずなんですけどね……はははぁ」
「そう言うな、私は会えて楽しかったぞこんな非常識な奴、ディノさん以来だ」

「ディノ?」

「なんだお前【放浪の英雄王】を知らないのか!?」

 放浪の英雄王、どこかで聞いた事があるような……無いような……私は首を傾げた。

「待たせたのう!」

 手を振りながら満面の笑みでリアスが走ってくる。ちゃんと手洗っただろうな。
 って、そういえば魔導式電動二輪装甲車両の充電してなかった。
 私はアンカさんに頭を下げて門の外へ、それから町から見えない場所を探し魔導式電動二輪装甲車両を取り出して雷魔法で充電を始めた。


「アンカよ色々と世話になったのう」
「ああ、また来いよ」
「気が向いたらな」
「ところでディノさんは元気かい?」
「じぃは4ヶ月ぐらい前からまたドラゴン探しじゃ」
「じぃ……そうか、分かった」
「なんじゃ?」
「いや、なんでもない。道中気をつけてな」
「ああ、ではさらばじゃ」

 魔導式電動二輪装甲車両の充電が丁度終わった頃リアスが駆け足でやって来た。

「なんじゃもう終わったのか」
「丁度終わったところです。魔法充電は普通のバッテリーと違ってすぐ終わるのがいいですよねぇ」
わらわはタタラが何を言っているかさっぱり分からん」
 
 そうですよねぇ、バッテリーなんて無いっすよねぇ。

「フィン!!」
「よし出発しようか!」
「目指すはエンドーレ王国最後の目的地じゃ!」
「行くぞ!!武器職人の街【ルチザン】へ!!」

『フィィィィウォォォォ!!』

 【渡り鳥】は雄叫びを上げ次の目的地【ルチザン】へ向け進みだした。
 
 そこでこの旅、最大の死闘が待っているとも知らずに。

 
タタラ(Lv100)スキルメイカー 
 HP:3598/3598  OP:1543/1803

 マロフィノ(Lv77)
 HP:1512/1512 OP:313/313

 リアス・アーバン(Lv72)
 HP:771/771 OP:711/711

 そういえば、【アガルタ】に挑戦したおかげで私のレベルが初めて100に到達した。
 これは密かに嬉しい出来事だった。

 ♦︎

「そうか、タタラあいつは何も知らずにリアスあのこと居るんだな……ディノさんのことも、あの子の生まれについても……確かに言ってしまったら、ああいう関係ではいられないだろうが……別れの時が近いのに何も知らないというのはなぁ……少しあいつが可愛そうじゃないかい……リアス・アルフィム・アーバン……」
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