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最高の職人
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獣車修理を始めて間もなく1時間。
分かっていたさ、こうなることは。
分かっていたはずなのに。
「なんだありゃ!?空中で木材が勝手に切れてくぞ」
「おいおい!あんなに綺麗な円に加工するなんて、オメェのとこより腕が良いんじゃないか!?」
「こんな魔法があるなんて、是非作業が終わったらご教示いただかねば」
倉庫の扉が半開きだったのに気づかず獣車修理を始めた結果、倉庫の前には街中の職人達が珍妙な加工技術を使うよそ者を見物しに集まってる。
ああ、職人に見られたらこうなると分かっていたはずなのに……やってしまった。
つーか扉閉めてけよアイツら!!って、最後に出ってたのマロフィノだから無理かぁ。
修理自体はそろそろ終わるんだけどなぁ、しばらくは集中して気付かないフリをしよう。
それから、さらに1時間……見物人の数は減るどころか、むしろ倍増していた。
さて、起動テストも30分前に終わってしまったし……。
「おい!兄さん!作業終わったんなら、ちょっと話聞かせろや!」
「倉庫の中のこの光はなんだ!?」
「これはなんて魔法だ!?どこで覚えた!?」
倉庫の中を覆うクラフトスペースの光を警戒して侵入こそしてこないが、外の集団は好奇心と向上心に煽られてほとんど暴徒化している。
「おやっさん、ダガヤさん……どうしましょうか」
「えっ!?ああぁ……兄ちゃんが外に出たら良いんじゃね?」
「んだ、んだ」
「無理無理ムリムリ!!絶対無理!!」
気分はさながらゾンビ映画の主人公である。
この窮地をどう切り抜けたものかと悩んでいると、外の集団が一層騒がしくなったと思ったら以外な救世主が現れた。
「おいおい嬢ちゃん!!割り込みはいけねぇぜ」
「これは一体なんの騒ぎじゃ!!妾達はこの倉庫に用があるんじゃ!!道を開けぬか!!」
「俺達だって用があるさ!!今この倉庫に見たことないスゲェ技術を持った職人が来てんだ!ガキは下がってな」
「凄い技術の職人じゃと?はん!!笑わせるわ」
「何が面白れぇってんだ!?」
「いいか!この倉庫にいるお主らの言う職人と言うのは妾達のパーティーの一員、つまり、ただの冒険者じゃ。誉れ高いルチザンの一流の職人が揃いも揃って、素人の手業を凄い技術じゃと?笑う以外仕方あるまい」
その一言で外の集団は静かになり、徐々に人だかりはどこかへ消えていった。
はぁ、助かったぁ。
「まったく、タタラは次から次へと騒ぎばかり起こしおって、妾がおらぬと全然ダメじゃのう」
やれやれといった表情で倉庫の中に入って来たリアスとマロフィノ。
「何言ってんだ!元はリアスが原因でしょうが」
「人のせいにするでない!それより修理は終わったのか?」
「修理は終わったけども、人のせいにするなってあんた……」
「そうか、よくやった。褒めてやろう」
チッ、このガッカリミニエルフめ。
散歩がてらギルドに挨拶してきただけのくせに今日はずいぶんと偉そうだな。
「妾から良い知らせがあるぞ」
「良い知らせ?」
「そうじゃ、タタラは牙を加工できる職人を探しておったじゃろう?」
「まぁ、そうですけども。言っときますけどただの牙じゃないっすからね、なんて言うか超硬い牙ですから」
私がそう言うと、リアスは得意げに腰に手を当て目線を後ろの扉の方に送りながら。
「だっ、そうじゃが?」
「ヌハハハハ!!まったく問題ないさ!!」
「フィン!!」
独特の笑い声が倉庫に響き、ルチザンギルドのギルドマスター、ヌエさんがマロフィノをヌイグルミを抱くように両手で抱きしめながら現れた。
どうやらリアスはギルドに挨拶がてらヌエさんに話をつけてくれたらしい。
そのあたりは流石と言っておこう。
しかし、それよりも流石と思ってしまうのは。
マロフィノ……もう懐いたのか。
「さて、戦人君。それはいったいどれほど硬いんだい?」
「硬度2000と2100です」
「にっ!!にふぇっ!!?……ヌハッ、ヌハハハハ!!さすが【フェリス】の牙だ」
にふぇって、めちゃめちゃ想定外って感じ出してんじゃんか。大丈夫かよ。
「【フェリス】?」
「ヌハハ!マロ君の親の【フェンリル】の愛称さ!まぁ呼ぶと怒られるけどね。ヌハハハハ!!」
高笑いをするヌエさんを横目に私はリアスを手招きで呼びヒソヒソと耳打ちをした。
「おい、加工して欲しいのは貴重な物なんだぞ、本当にあの人に任せて大丈夫なのか?」
「妾もそう思うが、道中、誰に聞いても全員がアレと即答するんじゃから間違いない、ハズじゃ」
「ハズって……何て聞いたんですか?」
「世界最高の武器職人は誰じゃ?と……」
世界最高の武器職人……この武器職人の街で誰もが口を揃えて即答するのであれば、ヌエさんができなければ他にフェンリルの牙を加工できる職人はいないのだろう……けど。
「ヌハハハハ!!何も心配いらないよ戦人君!!この僕にどーんっと、任せたまえ!!ヌハハハハ!!」
何故だろう……まったく信用出来ない。
「こやつ、なんじゃか胡散臭いのう」
オマエが連れて来たんだろうが!!
「ヌハハハハ!!準備をしておくから、明日、工房で待っているよ!!それじゃぁね!!」
明日かぁ……ルチザンに着く前は楽しみにしてたイベントなのに、何故だろう、行きたくないなぁ。
って、それはそうと。
「あっ!!待ってくださいヌエさん!!」
「ヌハハハハ!!なんだい!?戦人君!?」
「いや、マロフィノは置いていってもらえますか?」
「ヌハハハハ!!これは失敬失敬!バイバイ、マロ君。また明日」
「フィン!!」
マロフィノを降ろして、ヌエさんは夕日に赤く染まるルチザンの街に消えていった。
ああ、もう夕方なのね。
「さぁ!誰でもいいからさっさと宿に案内せぬか!」
「あっオラが行ぐべが」
「すみません、お願いします」
こうして、武器職人の街ルチザンの1日目は、何故か倉庫にこもって、獣車の修理をして終わった。
分かっていたさ、こうなることは。
分かっていたはずなのに。
「なんだありゃ!?空中で木材が勝手に切れてくぞ」
「おいおい!あんなに綺麗な円に加工するなんて、オメェのとこより腕が良いんじゃないか!?」
「こんな魔法があるなんて、是非作業が終わったらご教示いただかねば」
倉庫の扉が半開きだったのに気づかず獣車修理を始めた結果、倉庫の前には街中の職人達が珍妙な加工技術を使うよそ者を見物しに集まってる。
ああ、職人に見られたらこうなると分かっていたはずなのに……やってしまった。
つーか扉閉めてけよアイツら!!って、最後に出ってたのマロフィノだから無理かぁ。
修理自体はそろそろ終わるんだけどなぁ、しばらくは集中して気付かないフリをしよう。
それから、さらに1時間……見物人の数は減るどころか、むしろ倍増していた。
さて、起動テストも30分前に終わってしまったし……。
「おい!兄さん!作業終わったんなら、ちょっと話聞かせろや!」
「倉庫の中のこの光はなんだ!?」
「これはなんて魔法だ!?どこで覚えた!?」
倉庫の中を覆うクラフトスペースの光を警戒して侵入こそしてこないが、外の集団は好奇心と向上心に煽られてほとんど暴徒化している。
「おやっさん、ダガヤさん……どうしましょうか」
「えっ!?ああぁ……兄ちゃんが外に出たら良いんじゃね?」
「んだ、んだ」
「無理無理ムリムリ!!絶対無理!!」
気分はさながらゾンビ映画の主人公である。
この窮地をどう切り抜けたものかと悩んでいると、外の集団が一層騒がしくなったと思ったら以外な救世主が現れた。
「おいおい嬢ちゃん!!割り込みはいけねぇぜ」
「これは一体なんの騒ぎじゃ!!妾達はこの倉庫に用があるんじゃ!!道を開けぬか!!」
「俺達だって用があるさ!!今この倉庫に見たことないスゲェ技術を持った職人が来てんだ!ガキは下がってな」
「凄い技術の職人じゃと?はん!!笑わせるわ」
「何が面白れぇってんだ!?」
「いいか!この倉庫にいるお主らの言う職人と言うのは妾達のパーティーの一員、つまり、ただの冒険者じゃ。誉れ高いルチザンの一流の職人が揃いも揃って、素人の手業を凄い技術じゃと?笑う以外仕方あるまい」
その一言で外の集団は静かになり、徐々に人だかりはどこかへ消えていった。
はぁ、助かったぁ。
「まったく、タタラは次から次へと騒ぎばかり起こしおって、妾がおらぬと全然ダメじゃのう」
やれやれといった表情で倉庫の中に入って来たリアスとマロフィノ。
「何言ってんだ!元はリアスが原因でしょうが」
「人のせいにするでない!それより修理は終わったのか?」
「修理は終わったけども、人のせいにするなってあんた……」
「そうか、よくやった。褒めてやろう」
チッ、このガッカリミニエルフめ。
散歩がてらギルドに挨拶してきただけのくせに今日はずいぶんと偉そうだな。
「妾から良い知らせがあるぞ」
「良い知らせ?」
「そうじゃ、タタラは牙を加工できる職人を探しておったじゃろう?」
「まぁ、そうですけども。言っときますけどただの牙じゃないっすからね、なんて言うか超硬い牙ですから」
私がそう言うと、リアスは得意げに腰に手を当て目線を後ろの扉の方に送りながら。
「だっ、そうじゃが?」
「ヌハハハハ!!まったく問題ないさ!!」
「フィン!!」
独特の笑い声が倉庫に響き、ルチザンギルドのギルドマスター、ヌエさんがマロフィノをヌイグルミを抱くように両手で抱きしめながら現れた。
どうやらリアスはギルドに挨拶がてらヌエさんに話をつけてくれたらしい。
そのあたりは流石と言っておこう。
しかし、それよりも流石と思ってしまうのは。
マロフィノ……もう懐いたのか。
「さて、戦人君。それはいったいどれほど硬いんだい?」
「硬度2000と2100です」
「にっ!!にふぇっ!!?……ヌハッ、ヌハハハハ!!さすが【フェリス】の牙だ」
にふぇって、めちゃめちゃ想定外って感じ出してんじゃんか。大丈夫かよ。
「【フェリス】?」
「ヌハハ!マロ君の親の【フェンリル】の愛称さ!まぁ呼ぶと怒られるけどね。ヌハハハハ!!」
高笑いをするヌエさんを横目に私はリアスを手招きで呼びヒソヒソと耳打ちをした。
「おい、加工して欲しいのは貴重な物なんだぞ、本当にあの人に任せて大丈夫なのか?」
「妾もそう思うが、道中、誰に聞いても全員がアレと即答するんじゃから間違いない、ハズじゃ」
「ハズって……何て聞いたんですか?」
「世界最高の武器職人は誰じゃ?と……」
世界最高の武器職人……この武器職人の街で誰もが口を揃えて即答するのであれば、ヌエさんができなければ他にフェンリルの牙を加工できる職人はいないのだろう……けど。
「ヌハハハハ!!何も心配いらないよ戦人君!!この僕にどーんっと、任せたまえ!!ヌハハハハ!!」
何故だろう……まったく信用出来ない。
「こやつ、なんじゃか胡散臭いのう」
オマエが連れて来たんだろうが!!
「ヌハハハハ!!準備をしておくから、明日、工房で待っているよ!!それじゃぁね!!」
明日かぁ……ルチザンに着く前は楽しみにしてたイベントなのに、何故だろう、行きたくないなぁ。
って、それはそうと。
「あっ!!待ってくださいヌエさん!!」
「ヌハハハハ!!なんだい!?戦人君!?」
「いや、マロフィノは置いていってもらえますか?」
「ヌハハハハ!!これは失敬失敬!バイバイ、マロ君。また明日」
「フィン!!」
マロフィノを降ろして、ヌエさんは夕日に赤く染まるルチザンの街に消えていった。
ああ、もう夕方なのね。
「さぁ!誰でもいいからさっさと宿に案内せぬか!」
「あっオラが行ぐべが」
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