120 / 144
ごちそうさまでした
しおりを挟む
俺は、仲間を傷つけられ怒っていた。
仲間を助けなければと焦る気持ちもあった。
突然込み上げて来た不思議な力に戸惑いもあった。
だが、何故だろう。
ぐちゃぐちゃな感情と思考とは裏腹に、ものすごく静かで冷静な自分がいた。
「来る」
さっきは認識すら出来なかったバハムートの攻撃。だが今は、突進を開始する挙動を認識し、バハムートが腕を振り上げ、俺を斬り裂こうと鋭い爪を振り下ろした瞬間に合わせベルググでしっかりとガード出来たうえにさっきのように弾き飛ばされることもなかった。
バハムートは目を見開いて驚いたような表情をしているが、このパワーアップには俺自身も驚いている。
武術スキル【業】をはるかに超えるパワーアップ……一体俺はどれほど強くなっているのか。
バハムートを腕の力だけで押し返し一旦距離を取り、素早くステータスウィンドウを確認すると、HPとOPがものすごい勢いで回復していく。
「自動回復!?」
ウィンドウを閉じバハムートに視線を戻し俺は思わず苦笑いのような微笑を浮かべた。
このどこから湧き出てきているのかわからない薄ピンクの蒸気のようなものは、自分の中にある何か手のつけてはいけないモノを消費して発生している気がしてならない。
全能力上昇に自動回復なんてチート級能力、ノーリスクで手に入るはずがないからな。
とは言え、能力の名前も発生条件もわからなければ、もちろん解除のしかたもわからない。
思い当たる節があるとすれば……いや、今そんなことを考えている暇は無い。
俺はベルググを両手で握り構えた。
「どう転んでも、お前はここで倒す……バハッムゥゥウトォォオオオッ!!!」
『グウォォォオオオオオ!!!』
俺はバハムートの名を叫び地面を蹴った。
それと同時にバハムートも咆哮を上げ、突進して来る。
両手剣スキル【龍剣】龍をかたどったオーラを纏いバハムートと激突。さっきより力を入れてきたのか、スキルを使ったのに相打ちになりお互い後方に弾かれた。
メニュー起動装備お気に入り2、ベルググが消え手に二振りの剣が現れ、戦陣【四四飛剣】二振りの剣を振り回し斬撃を縦横無尽に飛ばすが、バハムートは素早く飛び上がり、飛ぶ斬撃の網を躱す。
コイツ……まさか……?
「来いっ!!ベルググ!!」
戦陣【飛龍剣】全身を覆った龍をかたどるオーラが振り被ったベルググに集まる。それを力強く振り上げると龍のオーラが空中のバハムート目掛け一直線に空を駆け、バハムートを飲み込み爆発した。
【飛龍剣】の爆煙の中から卵のように丸くなったバハムートが落下、俺は着地点目掛けもう一度【飛龍剣】を放つ。
バハムートはガードした腕の隙間から俺を睨むが、龍のオーラの爆発に再び巻き込まれた。
俺は油断することなくベルググを構え爆煙を監視していると、爆煙の左から飛び出したバハムートが煙の線を引き円を書くような軌道で私に向かって来る。
『グロォッワッ!!!』
振り上げた爪を俺に突き立てようとしたがベルググで弾き返す。
バハムートは何が起こっているのかわからないといった困惑の表情で俺を見ている。
コイツ……やはり……。
俺はバハムートの致命的な弱点に気づいてしまった。
そして、それは。
「古のダンジョンより現れし天かける災厄の龍よ……これで、終わりだ」
俺はベルググを両手で持ち顔の前に構えた。
「喰らい尽くせベルググ。【暴食】」
ベルググを中心に発生したドーム型の黒いオーラが俺とバハムートを包んだ。
不穏な気配を察してかバハムートはオーラの外に出ようとするが、俺は即座に突進しながら剣を突き出す。
「もう、詰みなんだよ!!」
そう、この瞬間、この戦いの終焉が決まった。
「グロワァッ!!!」
バハムートは俺を突き放そうと、ヤケクソにも見えるような動きで腕を振り回して不格好な攻撃をしてきた。だが、俺はすでにバハムートの動きを完全に掌握したかのようにベルググで受けきった。
第三形態に変化し、ヌエさんの腕を一撃で落とすほど超絶パワーアップしたバハムートだったが、その動きは単調で単純、さらに不要なほど高く飛んだり、技を使いもしないのに距離をとったり、自身のパワーアップを持て余し、お粗末な動きばかりだった。
おそらく初めてこの形態に変化したのだろう、コイツの移動速度にさえ目が慣れてしまえば、もはやこの通りである。
とはいえだ、この形態でスキルや魔法などを使ってこられたなら話は別なのだが、ベルググの【暴食】の範囲に飲まれてなお、暴れるくらいのことしかしないところを見ると、バハムートに残っているOPは生命維持に必要最低限しか残っていないということだ。
「でっ、あればだ」
自身もOPを吸われ続けるこの状態だが、自動回復が働いている今のうちに。
『喰い尽くしてやる』
めずらしくベルググが吠えたが、要はそういうことだ。
バハムートの動きはこの謎の攻撃に晒されてさらに散漫なものになった。
そして、膝を地面に落とし、天を仰ぐ。
『グロォッ……』
ため息のような声と一緒にバハムートは口から砂煙を上げた。
『天空の災厄か…ケケッ、ごちそうさまでした』
ベルググが言い放った直後、天空の災厄【バハムート】は、風に吹かれ、空へと消えていった。
「……もっ…どれ、ベ…ル…ググッ」
仲間を助けなければと焦る気持ちもあった。
突然込み上げて来た不思議な力に戸惑いもあった。
だが、何故だろう。
ぐちゃぐちゃな感情と思考とは裏腹に、ものすごく静かで冷静な自分がいた。
「来る」
さっきは認識すら出来なかったバハムートの攻撃。だが今は、突進を開始する挙動を認識し、バハムートが腕を振り上げ、俺を斬り裂こうと鋭い爪を振り下ろした瞬間に合わせベルググでしっかりとガード出来たうえにさっきのように弾き飛ばされることもなかった。
バハムートは目を見開いて驚いたような表情をしているが、このパワーアップには俺自身も驚いている。
武術スキル【業】をはるかに超えるパワーアップ……一体俺はどれほど強くなっているのか。
バハムートを腕の力だけで押し返し一旦距離を取り、素早くステータスウィンドウを確認すると、HPとOPがものすごい勢いで回復していく。
「自動回復!?」
ウィンドウを閉じバハムートに視線を戻し俺は思わず苦笑いのような微笑を浮かべた。
このどこから湧き出てきているのかわからない薄ピンクの蒸気のようなものは、自分の中にある何か手のつけてはいけないモノを消費して発生している気がしてならない。
全能力上昇に自動回復なんてチート級能力、ノーリスクで手に入るはずがないからな。
とは言え、能力の名前も発生条件もわからなければ、もちろん解除のしかたもわからない。
思い当たる節があるとすれば……いや、今そんなことを考えている暇は無い。
俺はベルググを両手で握り構えた。
「どう転んでも、お前はここで倒す……バハッムゥゥウトォォオオオッ!!!」
『グウォォォオオオオオ!!!』
俺はバハムートの名を叫び地面を蹴った。
それと同時にバハムートも咆哮を上げ、突進して来る。
両手剣スキル【龍剣】龍をかたどったオーラを纏いバハムートと激突。さっきより力を入れてきたのか、スキルを使ったのに相打ちになりお互い後方に弾かれた。
メニュー起動装備お気に入り2、ベルググが消え手に二振りの剣が現れ、戦陣【四四飛剣】二振りの剣を振り回し斬撃を縦横無尽に飛ばすが、バハムートは素早く飛び上がり、飛ぶ斬撃の網を躱す。
コイツ……まさか……?
「来いっ!!ベルググ!!」
戦陣【飛龍剣】全身を覆った龍をかたどるオーラが振り被ったベルググに集まる。それを力強く振り上げると龍のオーラが空中のバハムート目掛け一直線に空を駆け、バハムートを飲み込み爆発した。
【飛龍剣】の爆煙の中から卵のように丸くなったバハムートが落下、俺は着地点目掛けもう一度【飛龍剣】を放つ。
バハムートはガードした腕の隙間から俺を睨むが、龍のオーラの爆発に再び巻き込まれた。
俺は油断することなくベルググを構え爆煙を監視していると、爆煙の左から飛び出したバハムートが煙の線を引き円を書くような軌道で私に向かって来る。
『グロォッワッ!!!』
振り上げた爪を俺に突き立てようとしたがベルググで弾き返す。
バハムートは何が起こっているのかわからないといった困惑の表情で俺を見ている。
コイツ……やはり……。
俺はバハムートの致命的な弱点に気づいてしまった。
そして、それは。
「古のダンジョンより現れし天かける災厄の龍よ……これで、終わりだ」
俺はベルググを両手で持ち顔の前に構えた。
「喰らい尽くせベルググ。【暴食】」
ベルググを中心に発生したドーム型の黒いオーラが俺とバハムートを包んだ。
不穏な気配を察してかバハムートはオーラの外に出ようとするが、俺は即座に突進しながら剣を突き出す。
「もう、詰みなんだよ!!」
そう、この瞬間、この戦いの終焉が決まった。
「グロワァッ!!!」
バハムートは俺を突き放そうと、ヤケクソにも見えるような動きで腕を振り回して不格好な攻撃をしてきた。だが、俺はすでにバハムートの動きを完全に掌握したかのようにベルググで受けきった。
第三形態に変化し、ヌエさんの腕を一撃で落とすほど超絶パワーアップしたバハムートだったが、その動きは単調で単純、さらに不要なほど高く飛んだり、技を使いもしないのに距離をとったり、自身のパワーアップを持て余し、お粗末な動きばかりだった。
おそらく初めてこの形態に変化したのだろう、コイツの移動速度にさえ目が慣れてしまえば、もはやこの通りである。
とはいえだ、この形態でスキルや魔法などを使ってこられたなら話は別なのだが、ベルググの【暴食】の範囲に飲まれてなお、暴れるくらいのことしかしないところを見ると、バハムートに残っているOPは生命維持に必要最低限しか残っていないということだ。
「でっ、あればだ」
自身もOPを吸われ続けるこの状態だが、自動回復が働いている今のうちに。
『喰い尽くしてやる』
めずらしくベルググが吠えたが、要はそういうことだ。
バハムートの動きはこの謎の攻撃に晒されてさらに散漫なものになった。
そして、膝を地面に落とし、天を仰ぐ。
『グロォッ……』
ため息のような声と一緒にバハムートは口から砂煙を上げた。
『天空の災厄か…ケケッ、ごちそうさまでした』
ベルググが言い放った直後、天空の災厄【バハムート】は、風に吹かれ、空へと消えていった。
「……もっ…どれ、ベ…ル…ググッ」
0
あなたにおすすめの小説
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~
月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」
猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。
彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。
チート能力? 攻撃魔法?
いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。
「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」
ゴブリン相手に正座で茶を勧め、
戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、
牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。
そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……?
「野暮な振る舞いは許しません」
これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる