THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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あれから、これから、それから

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 ディノ・ルギニによる襲撃(?)から2週間が過ぎた早朝。
 
「準備は良いか小僧共」
「はい!問題ありません!」
「フィッ!フィン!」
「気いつけて行きや!」
「おう!」
「フィン!」
「死ぬなよ、色んな意味で」
「はははは…はいー」

 イザベル街門前で私達は、ヒバチとエヴァさんに見送られながら、アルフィム王国へと旅立とうとしていた。

 メンバーはディノさん、マロフィノ、私の3人。
 魔導式電動二輪装甲車両に乗り込み、いざ、リアスのいるアルフィム王国へ。

「まったく、なんなんじゃ、この珍妙な乗り物は」
「お気に召しませんでしたか?師匠」
「いや、気に入った」
「フィン!」

 魔導式電動二輪装甲車両のサイドカーの座席にご満悦な表情で深く沈む師匠ことディノ・ルギニ。
 私はアルフィム王国までの道すがら、師匠とのこの二週間の日々を思いかえし。

「グフッ」

 血を吐きそうになった。

 師匠のイザベル襲撃事件(?)の後。あれから、私は師匠からほぼ取り調べのような尋問を受け、洗いざらい全てを話した。
 この世界に来た経緯、魔王との因縁、マロフィノとリアスとの出会い、フラワルド騎士団との確執…などなど。
 リアスを危険な目合わせたところは話しを中断していちいち殴られながら。
 
 そして、全てを話し終えた後、師匠から提案されたのは、2週間徹底的に鍛え一緒にアルフィム王国に行こうといものだった。
 最強と名高い冒険者が一緒に行ってくれるのは願ってもないことなのだが、私は2週間という期間に難色を示した。
 だが、王族の婚姻はすぐに執り行なうわけではないとか、お前が行ってもアルフィムに入った瞬間に殺されるとか、雑魚とか、阿保とか、めちゃくちゃボロカスに言われ渋々納得し…地獄の日々が確定した。

 それからは、毎日毎日、師匠との実戦形式での戦闘訓練…正直、今まで戦ったどの相手より死を近くに感じたが、その地獄の日々のかいあって訓練最終日。


タタラ(LV402)スキルイマジネーター
HP:13020/13020 OP:6900/6900

マロフィノ(Lv408)
HP:10505/10505 OP:3225/3225

 私のレベルは400を超えた。

 マロフィノが私のレベルを超えてしまったのは正直ショックである。

「うむ、この乗り物の特性は大体理解した。つまりある程度の道でないと走行できないとみたが?」
「っす、その通りです」
「であれば多少ルートを変更しようかのう、若干の遠回りだが、それでもこの速度じゃ。問題は無いじゃろう」

 魔導式電動二輪装甲車両は悪路走行も考慮して制作しているのだが、この人はいったいどんなところを行こうとしていたのだろうか?などと思いつつ、師匠の口頭でのナビゲートを受けながら私は、これからの予定について思いをはせる。

 イザベルを出発した私達はこれから2つの町を経由しながら、3日間の移動でアルフィム王国を目指す。
 飛竜での移動ももちろん検討されたのだが、アルフィム王国周辺は魔王軍とアルフィム王国兵で厳戒態勢のため航空会社から却下。自力で陸路を行くしか選択肢がなくなった。
 その際、師匠が「まっすぐ行けば3日で着くからまぁよかろう」と言っていたのだが、字面通りアルフィム王国にむかって道無き道を本当にまっすぐ直進して行こうとしていたのだろうと思うと少し恐ろしくなった。
 
「そこは森に入らず右じゃ。あとは、獣車のわだちを見ながら進めば町がある。そこで今日は一泊するぞ」
「了解です」

 まだ日は落ちていないが、アルフィム王国に一番近い町まで相当距離があるとのことで、本日の移動は次の町で終了。
 てっきり野宿をしながらでも進むのかと思ったが「野宿じゃ疲れもとれんし、うまい飯も食えんじゃろう!いつが最後の晩餐になるから分からんのじゃから、食える時はいい飯を食うんじゃ!」と、説得力のあるような、無いような、師匠の謎のこだわりで野宿はしないことに決定しているのである。

 立ち寄った町で宿を取り、少し早めの夕食を取り、私達はこれからの作戦をすり合わせした。
 
「…で、以上じゃ」
「了解しました」
「フィン!」
「ところでじゃ、タタラ」
「なんでしょうか?」
「まだ聞いておらんかったが、リアス様を救出したのち、それからお主らはどうする気じゃ?」

 ……。

 リアスに一目会って文句を言いたいだけの私と、魔王との結婚を阻止するためリアスをアルフィムから脱出させたい師匠。
 当初は私達の目標はそれぞれ違うものであったがリアス救出は師匠が行い私達はサポート役ということで渋々納得した。

 てか、これもう王族誘拐事件になるよね?

 なんて話を師匠にしたところで、うるさいと言われて終わりである。

「一目会えれば良かっただけなんで、まさかこんなことになるとは思っていなかったので……それからなんて……今はまだ…」
「いざという時迷わぬために早々に決めておくことじゃな」
「は……はい……」

 大々的に発表された魔王とアルフィム王国王女との結婚の、その王女を連れ出そうというのだ、これは間違いなく大きな問題になるだろう。
 しかも、その実行犯になろうというのだから、それからのことなんて考えれもしなければ、想像もしたくない。

 そう…今はただ、この流れに任せて、自分の目標を達成することだけを考えよう。

「どうしたのタタラ?顔色がすごく悪いよ。フィン」

「でしょうね!!」
 
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