134 / 144
あれから、これから、それから
しおりを挟む
ディノ・ルギニによる襲撃(?)から2週間が過ぎた早朝。
「準備は良いか小僧共」
「はい!問題ありません!」
「フィッ!フィン!」
「気いつけて行きや!」
「おう!」
「フィン!」
「死ぬなよ、色んな意味で」
「はははは…はいー」
イザベル街門前で私達は、ヒバチとエヴァさんに見送られながら、アルフィム王国へと旅立とうとしていた。
メンバーはディノさん、マロフィノ、私の3人。
魔導式電動二輪装甲車両に乗り込み、いざ、リアスのいるアルフィム王国へ。
「まったく、なんなんじゃ、この珍妙な乗り物は」
「お気に召しませんでしたか?師匠」
「いや、気に入った」
「フィン!」
魔導式電動二輪装甲車両のサイドカーの座席にご満悦な表情で深く沈む師匠ことディノ・ルギニ。
私はアルフィム王国までの道すがら、師匠とのこの二週間の日々を思いかえし。
「グフッ」
血を吐きそうになった。
師匠のイザベル襲撃事件(?)の後。あれから、私は師匠からほぼ取り調べのような尋問を受け、洗いざらい全てを話した。
この世界に来た経緯、魔王との因縁、マロフィノとリアスとの出会い、フラワルド騎士団との確執…などなど。
リアスを危険な目合わせたところは話しを中断していちいち殴られながら。
そして、全てを話し終えた後、師匠から提案されたのは、2週間徹底的に鍛え一緒にアルフィム王国に行こうといものだった。
最強と名高い冒険者が一緒に行ってくれるのは願ってもないことなのだが、私は2週間という期間に難色を示した。
だが、王族の婚姻はすぐに執り行なうわけではないとか、お前が行ってもアルフィムに入った瞬間に殺されるとか、雑魚とか、阿保とか、めちゃくちゃボロカスに言われ渋々納得し…地獄の日々が確定した。
それからは、毎日毎日、師匠との実戦形式での戦闘訓練…正直、今まで戦ったどの相手より死を近くに感じたが、その地獄の日々のかいあって訓練最終日。
タタラ(LV402)スキルイマジネーター
HP:13020/13020 OP:6900/6900
マロフィノ(Lv408)
HP:10505/10505 OP:3225/3225
私のレベルは400を超えた。
マロフィノが私のレベルを超えてしまったのは正直ショックである。
「うむ、この乗り物の特性は大体理解した。つまりある程度の道でないと走行できないとみたが?」
「っす、その通りです」
「であれば多少ルートを変更しようかのう、若干の遠回りだが、それでもこの速度じゃ。問題は無いじゃろう」
魔導式電動二輪装甲車両は悪路走行も考慮して制作しているのだが、この人はいったいどんなところを行こうとしていたのだろうか?などと思いつつ、師匠の口頭でのナビゲートを受けながら私は、これからの予定について思いをはせる。
イザベルを出発した私達はこれから2つの町を経由しながら、3日間の移動でアルフィム王国を目指す。
飛竜での移動ももちろん検討されたのだが、アルフィム王国周辺は魔王軍とアルフィム王国兵で厳戒態勢のため航空会社から却下。自力で陸路を行くしか選択肢がなくなった。
その際、師匠が「まっすぐ行けば3日で着くからまぁよかろう」と言っていたのだが、字面通りアルフィム王国にむかって道無き道を本当にまっすぐ直進して行こうとしていたのだろうと思うと少し恐ろしくなった。
「そこは森に入らず右じゃ。あとは、獣車のわだちを見ながら進めば町がある。そこで今日は一泊するぞ」
「了解です」
まだ日は落ちていないが、アルフィム王国に一番近い町まで相当距離があるとのことで、本日の移動は次の町で終了。
てっきり野宿をしながらでも進むのかと思ったが「野宿じゃ疲れもとれんし、うまい飯も食えんじゃろう!いつが最後の晩餐になるから分からんのじゃから、食える時はいい飯を食うんじゃ!」と、説得力のあるような、無いような、師匠の謎のこだわりで野宿はしないことに決定しているのである。
立ち寄った町で宿を取り、少し早めの夕食を取り、私達はこれからの作戦をすり合わせした。
「…で、以上じゃ」
「了解しました」
「フィン!」
「ところでじゃ、タタラ」
「なんでしょうか?」
「まだ聞いておらんかったが、リアス様を救出したのち、それからお主らはどうする気じゃ?」
……。
リアスに一目会って文句を言いたいだけの私と、魔王との結婚を阻止するためリアスをアルフィムから脱出させたい師匠。
当初は私達の目標はそれぞれ違うものであったがリアス救出は師匠が行い私達はサポート役ということで渋々納得した。
てか、これもう王族誘拐事件になるよね?
なんて話を師匠にしたところで、うるさいと言われて終わりである。
「一目会えれば良かっただけなんで、まさかこんなことになるとは思っていなかったので……それからなんて……今はまだ…」
「いざという時迷わぬために早々に決めておくことじゃな」
「は……はい……」
大々的に発表された魔王とアルフィム王国王女との結婚の、その王女を連れ出そうというのだ、これは間違いなく大きな問題になるだろう。
しかも、その実行犯になろうというのだから、それからのことなんて考えれもしなければ、想像もしたくない。
そう…今はただ、この流れに任せて、自分の目標を達成することだけを考えよう。
「どうしたのタタラ?顔色がすごく悪いよ。フィン」
「でしょうね!!」
「準備は良いか小僧共」
「はい!問題ありません!」
「フィッ!フィン!」
「気いつけて行きや!」
「おう!」
「フィン!」
「死ぬなよ、色んな意味で」
「はははは…はいー」
イザベル街門前で私達は、ヒバチとエヴァさんに見送られながら、アルフィム王国へと旅立とうとしていた。
メンバーはディノさん、マロフィノ、私の3人。
魔導式電動二輪装甲車両に乗り込み、いざ、リアスのいるアルフィム王国へ。
「まったく、なんなんじゃ、この珍妙な乗り物は」
「お気に召しませんでしたか?師匠」
「いや、気に入った」
「フィン!」
魔導式電動二輪装甲車両のサイドカーの座席にご満悦な表情で深く沈む師匠ことディノ・ルギニ。
私はアルフィム王国までの道すがら、師匠とのこの二週間の日々を思いかえし。
「グフッ」
血を吐きそうになった。
師匠のイザベル襲撃事件(?)の後。あれから、私は師匠からほぼ取り調べのような尋問を受け、洗いざらい全てを話した。
この世界に来た経緯、魔王との因縁、マロフィノとリアスとの出会い、フラワルド騎士団との確執…などなど。
リアスを危険な目合わせたところは話しを中断していちいち殴られながら。
そして、全てを話し終えた後、師匠から提案されたのは、2週間徹底的に鍛え一緒にアルフィム王国に行こうといものだった。
最強と名高い冒険者が一緒に行ってくれるのは願ってもないことなのだが、私は2週間という期間に難色を示した。
だが、王族の婚姻はすぐに執り行なうわけではないとか、お前が行ってもアルフィムに入った瞬間に殺されるとか、雑魚とか、阿保とか、めちゃくちゃボロカスに言われ渋々納得し…地獄の日々が確定した。
それからは、毎日毎日、師匠との実戦形式での戦闘訓練…正直、今まで戦ったどの相手より死を近くに感じたが、その地獄の日々のかいあって訓練最終日。
タタラ(LV402)スキルイマジネーター
HP:13020/13020 OP:6900/6900
マロフィノ(Lv408)
HP:10505/10505 OP:3225/3225
私のレベルは400を超えた。
マロフィノが私のレベルを超えてしまったのは正直ショックである。
「うむ、この乗り物の特性は大体理解した。つまりある程度の道でないと走行できないとみたが?」
「っす、その通りです」
「であれば多少ルートを変更しようかのう、若干の遠回りだが、それでもこの速度じゃ。問題は無いじゃろう」
魔導式電動二輪装甲車両は悪路走行も考慮して制作しているのだが、この人はいったいどんなところを行こうとしていたのだろうか?などと思いつつ、師匠の口頭でのナビゲートを受けながら私は、これからの予定について思いをはせる。
イザベルを出発した私達はこれから2つの町を経由しながら、3日間の移動でアルフィム王国を目指す。
飛竜での移動ももちろん検討されたのだが、アルフィム王国周辺は魔王軍とアルフィム王国兵で厳戒態勢のため航空会社から却下。自力で陸路を行くしか選択肢がなくなった。
その際、師匠が「まっすぐ行けば3日で着くからまぁよかろう」と言っていたのだが、字面通りアルフィム王国にむかって道無き道を本当にまっすぐ直進して行こうとしていたのだろうと思うと少し恐ろしくなった。
「そこは森に入らず右じゃ。あとは、獣車のわだちを見ながら進めば町がある。そこで今日は一泊するぞ」
「了解です」
まだ日は落ちていないが、アルフィム王国に一番近い町まで相当距離があるとのことで、本日の移動は次の町で終了。
てっきり野宿をしながらでも進むのかと思ったが「野宿じゃ疲れもとれんし、うまい飯も食えんじゃろう!いつが最後の晩餐になるから分からんのじゃから、食える時はいい飯を食うんじゃ!」と、説得力のあるような、無いような、師匠の謎のこだわりで野宿はしないことに決定しているのである。
立ち寄った町で宿を取り、少し早めの夕食を取り、私達はこれからの作戦をすり合わせした。
「…で、以上じゃ」
「了解しました」
「フィン!」
「ところでじゃ、タタラ」
「なんでしょうか?」
「まだ聞いておらんかったが、リアス様を救出したのち、それからお主らはどうする気じゃ?」
……。
リアスに一目会って文句を言いたいだけの私と、魔王との結婚を阻止するためリアスをアルフィムから脱出させたい師匠。
当初は私達の目標はそれぞれ違うものであったがリアス救出は師匠が行い私達はサポート役ということで渋々納得した。
てか、これもう王族誘拐事件になるよね?
なんて話を師匠にしたところで、うるさいと言われて終わりである。
「一目会えれば良かっただけなんで、まさかこんなことになるとは思っていなかったので……それからなんて……今はまだ…」
「いざという時迷わぬために早々に決めておくことじゃな」
「は……はい……」
大々的に発表された魔王とアルフィム王国王女との結婚の、その王女を連れ出そうというのだ、これは間違いなく大きな問題になるだろう。
しかも、その実行犯になろうというのだから、それからのことなんて考えれもしなければ、想像もしたくない。
そう…今はただ、この流れに任せて、自分の目標を達成することだけを考えよう。
「どうしたのタタラ?顔色がすごく悪いよ。フィン」
「でしょうね!!」
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜
れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが…
勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる