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鉄を求めて
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目抜き通りの裏路地を抜け、素材屋が多く 集まる通称【職人通り】にやってきた。まったく興味のなさそうなマロフィノは私の頭の上であくびしている。お昼時だからか人通りは少なく、お目当ての店も簡単に見つけることができた。
赤いレンガ造りの窓の無い建物の重厚な鉄の扉を開けると、カウンターの中に茶髪の人間の子供が座っていた。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、鉄が300キロ欲しいのですが」
「さっ300ですか!?」
驚いた少年に魔動機の開発に使うためと説明するも、不審者を見るような目線が私に突き刺さる。
「現在アスガルズ国内では鉄が高騰しておりまして」
どっかの馬鹿どもが戦争の準備をしているらしく、現在、鉄の1キロインゴットの価格が12000ピックで取引されているそうだ。出せなくはないがさすがに360万はちょっとなぁ。
「鉄鉱石でしたらもう少し安く出せますよ」
少年はそう言うと店の奥からいくつかの鉄鉱石を持って来てくれた。色々と産地の説明をしてくれたが地理がまったくわからないので地名だけ言われても全然ピンとこない。説明を聞き流しながら一つずつ鑑定してみた。
「ご存知のとおりアスガルズは鉄鉱石が取れませんので、鉄に関していいますと」
「えっ?」
テーブルの右端に置かれた鉄鉱石の取得場所は【プルガサス迷道(アスガルズ)】になっている。少年に詳細を求めたところ、先日とある冒険者が持ち込み買い取ったのだが、流れの冒険者だったらしく詳細は不明とのことだ。
私は少年に礼を言い、店をあとにした。
「プルガサス迷道……か」
明日、ギルドで情報を集めてみよう、おそらくダンジョンではないかと思うが、うまくいけば迷道がらみのクエストがあるかもしれない。
だいぶ人通りが増えた職人通りから目抜き通りへと戻り、マロフィノとオープンテラスの店で軽い昼食を取って、ぶらぶらしながら宿屋に戻る。
「遅い!何をしておったんじゃ!」
復活したリアスさんが一階の食堂でパンケーキを頬張った口で怒鳴り散らすが、待ち合わせなんてした覚えはないので無視してみた。
「どこに行くんじゃ!ここに座らないか!」
やれやれ、ガッカリエルフが怒鳴り散らすのでしかたなく正面の席に座り、コーヒーを注文する。マロフィノはその隙にリアスさんの膝の上でおすわりをしていた。パンケーキは食べたらダメだからな。
「何かありましたか?」
「別に用ってわけではないんじゃが」
パンケーキを見ながらナイフで細かく細かく刻んでボソボソと話すリアスさんに昨日みせた威厳のようなものはまったく感じられない、そして意を決したような表現をみせて話をきりだした。
「明日からタタラはどうするんじゃ?」
「そうですね、しばらくはこの宿を拠点にして壊れたダンゴの修理のための素材集めですね」
それを聞くとリアスさんは笑顔ではあるが少し複雑な表情で「そうか」と言った。
「リアスさんは?」
「妾は……どこか魔獣討伐をメインとしているパーティーに入って、レベル上げとランクアップを目指すよ」
昨日聞いた話ではAランク冒険者を目指してこの街に来たということだったので、それなら戦闘の多い討伐組の方が効率的なのは間違いない。
「ご武運を」
「……タタラもな」
そう言い終えると、リアスさんはかつてないほど不機嫌になり部屋に戻った。それ以降、就寝するまでこれといった会話もないまま1日が終わる。
次の日の朝、私が目覚めると部屋にリアスさんの姿はなかった。
赤いレンガ造りの窓の無い建物の重厚な鉄の扉を開けると、カウンターの中に茶髪の人間の子供が座っていた。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、鉄が300キロ欲しいのですが」
「さっ300ですか!?」
驚いた少年に魔動機の開発に使うためと説明するも、不審者を見るような目線が私に突き刺さる。
「現在アスガルズ国内では鉄が高騰しておりまして」
どっかの馬鹿どもが戦争の準備をしているらしく、現在、鉄の1キロインゴットの価格が12000ピックで取引されているそうだ。出せなくはないがさすがに360万はちょっとなぁ。
「鉄鉱石でしたらもう少し安く出せますよ」
少年はそう言うと店の奥からいくつかの鉄鉱石を持って来てくれた。色々と産地の説明をしてくれたが地理がまったくわからないので地名だけ言われても全然ピンとこない。説明を聞き流しながら一つずつ鑑定してみた。
「ご存知のとおりアスガルズは鉄鉱石が取れませんので、鉄に関していいますと」
「えっ?」
テーブルの右端に置かれた鉄鉱石の取得場所は【プルガサス迷道(アスガルズ)】になっている。少年に詳細を求めたところ、先日とある冒険者が持ち込み買い取ったのだが、流れの冒険者だったらしく詳細は不明とのことだ。
私は少年に礼を言い、店をあとにした。
「プルガサス迷道……か」
明日、ギルドで情報を集めてみよう、おそらくダンジョンではないかと思うが、うまくいけば迷道がらみのクエストがあるかもしれない。
だいぶ人通りが増えた職人通りから目抜き通りへと戻り、マロフィノとオープンテラスの店で軽い昼食を取って、ぶらぶらしながら宿屋に戻る。
「遅い!何をしておったんじゃ!」
復活したリアスさんが一階の食堂でパンケーキを頬張った口で怒鳴り散らすが、待ち合わせなんてした覚えはないので無視してみた。
「どこに行くんじゃ!ここに座らないか!」
やれやれ、ガッカリエルフが怒鳴り散らすのでしかたなく正面の席に座り、コーヒーを注文する。マロフィノはその隙にリアスさんの膝の上でおすわりをしていた。パンケーキは食べたらダメだからな。
「何かありましたか?」
「別に用ってわけではないんじゃが」
パンケーキを見ながらナイフで細かく細かく刻んでボソボソと話すリアスさんに昨日みせた威厳のようなものはまったく感じられない、そして意を決したような表現をみせて話をきりだした。
「明日からタタラはどうするんじゃ?」
「そうですね、しばらくはこの宿を拠点にして壊れたダンゴの修理のための素材集めですね」
それを聞くとリアスさんは笑顔ではあるが少し複雑な表情で「そうか」と言った。
「リアスさんは?」
「妾は……どこか魔獣討伐をメインとしているパーティーに入って、レベル上げとランクアップを目指すよ」
昨日聞いた話ではAランク冒険者を目指してこの街に来たということだったので、それなら戦闘の多い討伐組の方が効率的なのは間違いない。
「ご武運を」
「……タタラもな」
そう言い終えると、リアスさんはかつてないほど不機嫌になり部屋に戻った。それ以降、就寝するまでこれといった会話もないまま1日が終わる。
次の日の朝、私が目覚めると部屋にリアスさんの姿はなかった。
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