THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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初陣

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「前方200メートル先に敵多数です」

「そこに二人おる、ジーティとメリーじゃ」

 どうやらさっき助けた二人のようだ、村の外周の木柵を背にして囲まれている状態か。

「切り込みます、リアスは漏らした敵から囲まれないように魔法と銃で後方援護を、マロフィノはリアスの周囲に近づく敵を潰してくれ」

「わかった!」
「フィン!」

 片手剣スキル【飛剣】放たれた衝撃波が集団後方のゴブリンを2匹仕留める、ゴブリン集団が振り返る頃には、突撃した私はさらに4匹のゴブリンを斬り捨て、集団の中心に割り込む。雷魔法【放電ディスチャージ】私の周囲を青白い閃光を放つ電撃が覆いゴブリンどもを砂煙に変え集団中央に風穴をあける。

「大丈夫か!?」
「君はさっきの!」

「この武器のおかげでなんとか持ちこたえわ、それよりリアスちゃんは」
「後方支援をしているから、全力でここを突っ切って合流しろ」

 二人は私の指示通り走り出し、行き掛けの駄賃と言わんばかりに数匹のゴブリンを切りつけながら走りさる。その後ろ姿につられるようにゴブリンどもが追いかけそうになる。武術スキル【威嚇】この場に数秒、集団を殺気で貼り付けにする。武器解除、武術スキル【鉄拳】【四四連】鋼鉄とかした高速の十六連撃で集団右翼を壊滅させる、威嚇の効果が切れ左翼と討ちもらしたゴブリンどもが一斉に飛びかかってきた。

「さっき俺が何をしたかもう忘れたのか?」

 雷魔法【ディスチャージ】私の周囲をおおう電撃は空中でゴブリンを砂煙にし、あたりはまるで大量の花火に火をつけたようなありさまになってしまった。
 
 キンコンキンコン

 【警戒】の音が響き、煙を切り裂き棍棒が私を背後から襲うが、武術スキル【逆襲】ふりむきざまの右ストレートのカウンターは棍棒の主の頭を吹き飛ばす。【索敵】マップには全体にまばらに散らばる反応が約40そしてまだ3つ赤の集団あるのだが、ひとつはとんでもなくでかい、いったい何匹集まっているのか。ん?これは。マップを閉じて振り向きながら叫ぶ。

「リアス!そっちに後ろと右手から3匹づつ来るぞ」
「了解じゃ!」

 装備お気に入り1。走り出すと銃声が5回響きそのあと猛獣の唸り声が聞こえた。

「銀の矢をなめるなよ!!」

 金属音が響き、私の視界に三人と一匹の戦場が見えた、メリーの後ろにゴブリンが迫る。【飛剣】衝撃波はゴブリンに何もさせることなく絶命させ、ひとまず今の襲撃者は全滅させた。囲まれさえしなければ彼等もなかなかやるようだ。

「これから3つの集団を殲滅に向かいます、2つは十数体規模ですが、ひとつはおそらく百は超えているでしょう。あなたがたはどうしますか?」
「もちろんご一緒させていただきます!……ただ、その前に」

 ギルドに飛び込んで来た男の安否をたずねられ、ジーティはひとまず安堵の表情を見せた。しかし、険しい表情のメリーはあと3人のメンバーの心配を口にした。
 あと3人か……リアスのマップに表示された残りのメンバーの位置と、敵集団の位置を照らし合わせてみると、見事に一致してしまった。
 全員で1つづつ集団を相手にしていって果たして間に合うのだろうか、そんな私の悩みにいち早く解決策が提示される。

「タタラ、その百の集団おぬしに任せてよいか?」

 その問いに、私は難色を示す。それは百のゴブリンを相手にすることではなく、リアスの提案したいその内容を察してのことだ。

「あとの2つは、リアス達で行くということですか?」

「そうじゃ」

 わかっている、その方が彼等の仲間が助かる確率は上がる、わかってはいるんだ。でも昨日のリアスとの離別をあれほど後悔したばかりだというのに、彼女は最も効率的で最も残酷な提案を私に突きつける。そんな私の不安を知ってか奴が声を上げる。

「フィン!!」

 マロフィノは力強い瞳で私の目をまっすぐ見つめる。私は自分の両頬を力いっぱい叩き、炸裂音が響いた。

「リアスを頼んだぜ相棒」
「フィン!」

 私はマロフィノの後押しに決断した、大丈夫だ今回はマロフィノがいるのだから。
 みんなに2つの集団の位置を教え、リアスのマップと照らし合わせ位置を確認する。そして私は村の反対側に集まる最大の集団に向けて走り出した。
 もちろんリアスとマロフィノに何かあったらどうなるかわかるよね、と銀の矢の二人には釘を刺した。

「タタラ!」

 振り返るとリアスが銃を掲げている。

「頼んだぞ!」

 私は左拳を高く掲げた。

「了解です!!」

 百なんてさっさと蹴散らしてすぐに合流してみせる。
 強い決意と少しの不安が私の心臓の鼓動を早くした。

「彼はいったい何者なんだ?」

「剣を渡された時は、武器の性能のおかげで強いのかと思ったけど、実際はそれだけじゃどうにもならなかったしね」

わらわも詳しくはわからないのじゃが、前いた場所では【戦陣】と呼ばれていたそうじゃ」

『戦……じん……』

「フィン!」
「そうじゃな!わらわ達も急ごう」

「おう!」
「うん!」

 こうして、まだ名もなきパーティーの初陣が幕を開けた。

 
 
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