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スカイ・クローラー
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「サンドブラスト!!」
道中3匹のゴブリンに追われながら、最後の敵集団を視界にとらえるとすでにリアス達が残りあと数頭のところまで追い詰めていた。
「リアス!」
「タタラ!アールが……息を……息をしておらんのじゃ」
泣き声でリアスが叫ぶ、その近くのさっきまでマップ上にあった黒い点がひとつ、消えた。
「後ろ任せます」
「おう!!」
盗賊スキル【脱兎】防御力も攻撃力もかなぐり捨て、最高速度で前方の戦場に突撃し、ゴブリンどもを飛び越え、走りながら右手をかざし。
「ハイパーァァァヒィィィル!!」
私の手から放たれた白い光が、ボロ切れのように地面に横たわるアールさんの体を包む。
その瞬間、なぜかフェンリルのことが頭をよぎりそれを振り払うようび叫ぶ。
「頼む、ここまで来て後味悪いのは勘弁してくれよ!!」
後方では激しい戦闘の音が響いているが、振り向くことなく回復魔法をかけ続けた。
やがて、音がとまりゴブリンの殲滅を終えたみんなが、祈るように膝をつきながらアールさんの動向を見守る私の後ろに集まってきた。アールさんの傷はふさがった……ただ息は止まったままだ。
重く苦しい空気に、誰一人、口を開くことなくうなだれる。
「ブィン!!」
「グホォッ!」
隕石のごとく、天から飛来した黒い獣がアールさんの心臓めがけて頭突きをかました瞬間、アールさんは喉に溜まった血を吐き出しながら息を吹き返した。
「死ぬかと思ったじゃねぇか!!?何しやがるこのクソ犬」
アールさんはマロフィノの首根っこを掴みながら周囲を見渡す。
「あれ?みなさんお揃いでどうなさいました?」
どっと歓声のような笑い声が溢れて、銀の矢のメンバーがアールさんの元に押しかけ揉みくちゃにする。
そして、アールさんの目に涙が溢れ出した。
「リーダー……腕が……腕が……すみません、俺、回復役なのに……すみません……」
「いいさ、全員の命に比べたらたいしたことじゃねぇ」
銀の矢のメンバーは円陣を組むように全員で膝をつき肩を組み合う、そのやりとりを横目に私はリアスさんの元へ駆け寄る。
「大丈夫ですか?怪我はないですか?HPは?今、回復を」
「おぬしは妾の保護者か、見たとおり大丈夫じゃ」
ホッと胸をなでおろした。
足元で褒めて欲しそうにチョロつくマロフィノの体をしゃがんで撫でながらたいした傷もないことに一安心していると、リーダーと言われた隻腕の男が私の前に歩み寄る。
「名乗り遅れたな、俺は銀の矢パーティーリーダー。スカイ・クローラー」
「タタラです」
スカイさんは突然しゃがみこみ地面に右手と左腕、両膝をつき、深々と下げた頭を地面に擦りつけた。
「タタラさん。我々の実力不足が招いたこの惨事からメンバー全員を救っていただき誠に、誠に有難うございました。このご恩は……このご恩は、生涯忘れることはありません。本当に……本当にありがと……うぅ……」
声を震わせ、スカイさんは何度も何度も感謝を口にした。メンバー全員がその姿に涙を流し深々と頭を下げる。
私も瞳を熱くしながらスカイさんの肩にそっと手を置いた。
「もう頭をあげてください、俺はただリアスさんの手伝いをしただけなんですから」
「いいや、あんたには悪いがもうしばらくこうさせてもらう」
ははは、どうやらスカイさんはメンバーに泣き顔を見られるのが嫌ならしい。
それからしばらくして、顔を上げたスカイさんは一度手で顔を拭い立ち上がった。それを待っていたかのようにリアスはスッと私の前に出て。
「スカイ、せっかくパーティーに入れてもらったのに申し訳ないのじゃが……」
「彼氏と仲直り出来たから、元サヤに戻りてぇってんだろ。構わない
「タタラは彼氏ではない!」
「なんだお前ら、夫婦だったのか」
『違う!!』
私達がハモって否定すると、スカイさんは「冗談だよ」と笑い飛ばした。まったくこの手の冗談は勘弁してほしいものだ。
「俺たちは、残ったゴブリンを殲滅してから街に戻りますけど、みなさんはどうしますか?」
「もともとは俺らの受けたクエストだ、最後までやらせてもらうぜ」
残りの銀の矢のメンバーも頷き、全員やる気の表情を見せた。私はマップを開き【索敵】をする。周囲の残った魔獣反応はあと18、全員でマップを確認したのち、私とリアスとマロフィノは村の外周を右回り、銀の矢は左回りで殲滅行動に移る。
ものの十数分でマップから赤い点滅は消え去り、誰一人、手傷を追うこともなく村の門の前で合流を果たした。
「さて、最後の仕事といきますか」
「なんじゃ?」
「そうだな。やっぱコレはやっとかねぇとな」
「なんじゃ?」
スカイさんと私はどうやら同じ気持ちらしい。門を睨み、二人とも息を大きく吸い込んだ。
『殲滅は終わったぞ!!門を開けやがれ!!このクソ野郎どもが!!!』
読み合わせたように見事にセリフまで揃った二人の怒号が響いた数秒後、今まで固く閉ざされていた門がゆっくりと開いた。
道中3匹のゴブリンに追われながら、最後の敵集団を視界にとらえるとすでにリアス達が残りあと数頭のところまで追い詰めていた。
「リアス!」
「タタラ!アールが……息を……息をしておらんのじゃ」
泣き声でリアスが叫ぶ、その近くのさっきまでマップ上にあった黒い点がひとつ、消えた。
「後ろ任せます」
「おう!!」
盗賊スキル【脱兎】防御力も攻撃力もかなぐり捨て、最高速度で前方の戦場に突撃し、ゴブリンどもを飛び越え、走りながら右手をかざし。
「ハイパーァァァヒィィィル!!」
私の手から放たれた白い光が、ボロ切れのように地面に横たわるアールさんの体を包む。
その瞬間、なぜかフェンリルのことが頭をよぎりそれを振り払うようび叫ぶ。
「頼む、ここまで来て後味悪いのは勘弁してくれよ!!」
後方では激しい戦闘の音が響いているが、振り向くことなく回復魔法をかけ続けた。
やがて、音がとまりゴブリンの殲滅を終えたみんなが、祈るように膝をつきながらアールさんの動向を見守る私の後ろに集まってきた。アールさんの傷はふさがった……ただ息は止まったままだ。
重く苦しい空気に、誰一人、口を開くことなくうなだれる。
「ブィン!!」
「グホォッ!」
隕石のごとく、天から飛来した黒い獣がアールさんの心臓めがけて頭突きをかました瞬間、アールさんは喉に溜まった血を吐き出しながら息を吹き返した。
「死ぬかと思ったじゃねぇか!!?何しやがるこのクソ犬」
アールさんはマロフィノの首根っこを掴みながら周囲を見渡す。
「あれ?みなさんお揃いでどうなさいました?」
どっと歓声のような笑い声が溢れて、銀の矢のメンバーがアールさんの元に押しかけ揉みくちゃにする。
そして、アールさんの目に涙が溢れ出した。
「リーダー……腕が……腕が……すみません、俺、回復役なのに……すみません……」
「いいさ、全員の命に比べたらたいしたことじゃねぇ」
銀の矢のメンバーは円陣を組むように全員で膝をつき肩を組み合う、そのやりとりを横目に私はリアスさんの元へ駆け寄る。
「大丈夫ですか?怪我はないですか?HPは?今、回復を」
「おぬしは妾の保護者か、見たとおり大丈夫じゃ」
ホッと胸をなでおろした。
足元で褒めて欲しそうにチョロつくマロフィノの体をしゃがんで撫でながらたいした傷もないことに一安心していると、リーダーと言われた隻腕の男が私の前に歩み寄る。
「名乗り遅れたな、俺は銀の矢パーティーリーダー。スカイ・クローラー」
「タタラです」
スカイさんは突然しゃがみこみ地面に右手と左腕、両膝をつき、深々と下げた頭を地面に擦りつけた。
「タタラさん。我々の実力不足が招いたこの惨事からメンバー全員を救っていただき誠に、誠に有難うございました。このご恩は……このご恩は、生涯忘れることはありません。本当に……本当にありがと……うぅ……」
声を震わせ、スカイさんは何度も何度も感謝を口にした。メンバー全員がその姿に涙を流し深々と頭を下げる。
私も瞳を熱くしながらスカイさんの肩にそっと手を置いた。
「もう頭をあげてください、俺はただリアスさんの手伝いをしただけなんですから」
「いいや、あんたには悪いがもうしばらくこうさせてもらう」
ははは、どうやらスカイさんはメンバーに泣き顔を見られるのが嫌ならしい。
それからしばらくして、顔を上げたスカイさんは一度手で顔を拭い立ち上がった。それを待っていたかのようにリアスはスッと私の前に出て。
「スカイ、せっかくパーティーに入れてもらったのに申し訳ないのじゃが……」
「彼氏と仲直り出来たから、元サヤに戻りてぇってんだろ。構わない
「タタラは彼氏ではない!」
「なんだお前ら、夫婦だったのか」
『違う!!』
私達がハモって否定すると、スカイさんは「冗談だよ」と笑い飛ばした。まったくこの手の冗談は勘弁してほしいものだ。
「俺たちは、残ったゴブリンを殲滅してから街に戻りますけど、みなさんはどうしますか?」
「もともとは俺らの受けたクエストだ、最後までやらせてもらうぜ」
残りの銀の矢のメンバーも頷き、全員やる気の表情を見せた。私はマップを開き【索敵】をする。周囲の残った魔獣反応はあと18、全員でマップを確認したのち、私とリアスとマロフィノは村の外周を右回り、銀の矢は左回りで殲滅行動に移る。
ものの十数分でマップから赤い点滅は消え去り、誰一人、手傷を追うこともなく村の門の前で合流を果たした。
「さて、最後の仕事といきますか」
「なんじゃ?」
「そうだな。やっぱコレはやっとかねぇとな」
「なんじゃ?」
スカイさんと私はどうやら同じ気持ちらしい。門を睨み、二人とも息を大きく吸い込んだ。
『殲滅は終わったぞ!!門を開けやがれ!!このクソ野郎どもが!!!』
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