THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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ランクB

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 ギルドでの報告会が終わり、私とリアスとマロフィノは目抜き通りのカフェで早目の昼食を済ませ、装備を整えるため店をあちこち見て回ったが既製品でめぼしい物は見つからなかったので素材をいくつか購入し後日クラフトすることにした。
 まぁ反省文漬けの日々の息抜きにはちょうどいいだろう。

 夜は銀の矢のメンバーと合同で祝勝会をすることになっているのだが、まだ時間があるので、偶然見つけた共同浴場で汗を流す。しかし、この銭湯感がある浴場はいったい誰が作ったのだろうか。ちなみにマロフィノは番台……受付のおばちゃんが見てくれている。
 その夜の祝勝会には多くの冒険者が集まっており、銀の矢のメンバーの無事を祝って大いに盛り上がる。この祝勝会で一番盛り上がったのは、スカイさんがゴブリン討伐数を発表した時で、会場は熱気と歓声に包まれあちこちで乾杯が何度も行われた。

「今回の討伐での頭数を発表するけどよぉ!スゲェ記録が出たからみんな良く聞けよ!」
『おおおお!』
「まずはマロフィノ!ゴブリン4体!その小せぇ体で自分の何倍もデカイゴブリンを切り裂き女を守った英雄に!!」
『カンパーーーイ!!』
「フィオオォォォン!!」

 会場からの熱い視線に独特の遠吠えで答えるマロフィノ。スカイさんの言う通り今回一番の英雄は彼だと私も思う。
 次に銀の矢とリアスの討伐数が発表された。

 ケン・ナット、ゴブリン5体。
 アール・ストーリ、ゴブリン15体。
 メリー・ラウンド、ゴブリン18体。
 ジーティ・オウル、ゴブリン21体。
 リアス・アーバン、ゴブリン22体。
 ライン・クローラー、ゴブリン41体ホブゴブリン2体。
 
「そして次はこの俺スカイ・クローラーだぁぁ!!」
『うおおお!!』
「ゴブリン100!ホブゴブリン2!ロード1!!イーグルが持つイザベルギルド一日の単独魔獣討伐最高記録を抜いて俺が1位だぁぁ!!」
『いいぞ!!アニキ!!カッコイイ!!』

 会場のボルテージがワンランク跳ね上がり、隣のリアスもマロフィノを抱きながら大喜びしている。

「だが、それも一瞬だけだったがな」

 スカイさんのつぶやきは会場の喧騒けんそうに打ち消された。

「先日はフラワルドのクソ騎士をブチのめし、そして昨日は俺たちを救うため単身命がけでゴブリンの群れに挑んだこの男!みんなチビんじゃねぇぞ!最後はコイツだ!!タタラァァァ!!!」
『うおおお!!』
「ゴブリン284!ホブゴブリン28!ロード3!ビショップ4!そしてオーガロードを単独撃破!トータル討伐数320だぁぁ!!」

 あれほど騒がしかった会場が一気に静まり返り、全員が目を見開いて口をあけながら私を見つめていた。キョロキョロと周りを見ながらなんだか気まずい気分になってきた。

「チビったやつはいねぇか?驚くのはまだ早いぜ!我らがギルドマスター、エヴァ・フリゲート様がサプライズを用意してくれたぜ」

 そう言うと金色の証明符を掲げみんなに見せたあと、私の方に歩み寄る。

「登録した次の日にBランクかよ。アンタに常識ってのはないのか?おめでとうタタラ」

 状況整理が追いつかず、フリーズしかかっている私の手をリアスが後ろから持ち上げ、その手の上に黄金の証明符が置かれると。

『うおおお!!タッタッラ!!タッタッラ!!タッタッラ!!』

 再び熱気を取り戻した会場で、ランクアップの喜びを噛み締めていると。
 ベキッ!
「いだっ!!」
 後ろから懐かしい衝撃と痛みが襲う。振り返るとローキックを放ち終えたガッカリミニエルフがあごを二、三度突き出して、会場の歓声に答えろと指示を出す。……だから、こういうのは苦手なんだが。困り果てた私の視線が黒い毛玉の英雄を見つける。そうだ!!

『タッタッラ!タッタッラ!』
「フィィィウォォォォ!!」
『うおおおお!!おめでとう!!』

 証明符を掲げマロフィノの真似でなんとか乗り切ったぜ、良かった。その後は様々な冒険者パーティーの人から礼を言われたり、勧誘を受けたりしながら感じたのは、イザベルの冒険者のパーティーを超えた強い絆だ。私もそんなギルドの一員になれたことを少し嬉しく思った。
 
 祝勝会がお開きになったのは夜の11時過ぎ。酔い潰れたリアスをおぶって帰ろうとした私達に一人の獣人の女性が近づいてきた、メリーさんだ。
 メリーさんは申し訳なさそうに紙袋を私に差し出してきたので受け取り、中を除くと火鼠のローブらしき物が入っていた。彼女の話によると、戦いでボロボロになってなってしまったらしく一応補修はしたのだが、ということだった。

「人を守るのが防具の役目ですから、気にしないでください。役に立って良かったです」

 私がそう言うと、頭の上の兎のような可愛らしい耳をパタパタさせながら顔を赤くして少しうつむいた。

「おやすみなさい、メリーさん」
「待って!」

 振り返った私の頬に柔らかい何かが押し付けられ、顔のすぐ横には目を閉じたメリーさんの美しい顔が……。一瞬にして心臓が最大速度で稼働し出し、血液が沸騰したかのごとく体が熱くなり硬直する。メリーさんはゆっくりと顔を遠ざけながら。

「ありがとう、タタラってちょっとカッコいいじゃん。おやすみ」

 そう言うと、灯りが消え始めた夜の街に飛び跳ねるように去っていった。私は頬をさすりながら、メリーさんの去った方向を見つめながら、ため息のように呟く。

「可憐だ……」

 背後で、地面に落とされたリアスがなにごとじゃと、がなりたてる声など全く耳に入らず、しばらく放置したのち荷物のように抱えてふわふわと宿に戻る。

 ちなみにウサギのワッペンで補修された火鼠のローブはリアスにあげることにした。

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