2 / 2
1日目
しおりを挟む
「おい、起きろおっさん」
僕は床で寝ているおっさんを見ながら言った。このおっさん幽霊なのに睡眠とる必要ななんてあるのかよ。おっさんはもう少しだけーと小学生みたいなことを言っている。
ぼくはおっさんを軽く蹴飛ばし起こした。
「なんじゃ!痛いな!」
おっさんは、あんさんが蹴ったんか!と言って不機嫌になった。
「何度起こしても起きないおっさんがいけないんでしょ!」
「なんでこんな朝早くに起こすんじゃ!わし幽霊やぞ!朝には弱いんじゃ!」
ああそっかおっさん幽霊だから基本的に夜に活動するのか。となんとなく納得した。
「まだ9時やないか。わしいつも起きるのは昼間すぎなんじゃ!」
なんだよ!昼には起きるのかよ!てっきり夜しか動かないのかと思ったよ。と僕は心の中で突っ込んだ。
「それでなんでこんな早くにわしを起こしたんじゃ?しょうもない理由やったらただじゃおかんぞ」
そうだった。僕はおっさんを起こして聞きたいことがあったのだ。
「おっさん幽霊って言ってるけどほんとなの?そもそもなんで僕にだけ見えるの?そしてなんで今うちにいるの!」
僕は疑問に思ってることをおっさんに全てぶつけてみた。
「ちょっ!ちょっと待てい!そんなにいっぺんに質問されても答えられへんわ!1つずつにせい」
「じゃあまず、、、」
「あ、そや」
1つずつ質問しようとしたがおっさんに途中でさえぎられた。
「わしも聞きたいことがあったんじゃ。聞いてもええか?」
さっきにこっちの質問に答えろよと思ったがおっさんの質問を聞くことにした。
「なんですか?」
「あんさんなんで死のうとしてたんじゃ?」
そうだ。僕は昨日死のうとしていたんだ。昨日は無理やり引き止められたけど思い出すとやはり悲しくなって生きているのがつらくなる。
僕が黙っているとおっさんは優しく「いいから話しーや。話したら少しは楽になるで」と言った。僕は昨日あったばかりのおっさんになんで死のうとしていたのか話し始めた。
「実は付き合っていた女の子にフラれたんです」
「ほうほうそんで?なんで死のうとしていたんじゃ?」
「え?今言いましたけど」
おっさんは一瞬戸惑った。
「ん?よく聞こえなかったみたいじゃ。悪いがもういっぺん言ってくれるかの」
僕は何度も言いたくは無かったが仕方なく同じセリフをもう一度言った。
「ですから付き合ってた女の子にフラれたんです」
おっさんは独り言のように聞き間違いじゃなかったかと呟いた。
「そんだけか?あんさんほんまにそんな理由だけで死のうとしてたんか?」
そんな理由?僕がどれだけ彼女の事が好きでフラれた後どれだけ悩んだのかわかっているのか。僕はやはり昨日あったばかりのおっさんに話したのは間違いだと思った。
「僕には大きな事なんです。別にわかってもらえなくても結構です」
「すまんすまん怒らんでくれや。わしはてっきり死のうとするほどの事だから借金がぎょうさんあって毎日借金取りに追われてるとか会社の金を勝手に使い込んだとかそういう事かと思っとったねん」
全部金の事じゃないか。お金のことなんかで僕は死のうなんか思わない。大切な人がいなくなる方が僕にとっては何百倍も辛いことだった。
「せっかく昨日死のうとしてるのを引き止めたのにまた死のうとされたらかなわんからな。よっしゃわしが話し聞いちゃるわ」
おっさんはそう言うと僕のことを何でも話してみいって顔で見てきた。
「い、いや、別におっさんに相談しようなんて思ってないんですけど」
「なに言うとるんじゃわしらの仲じゃろ。そんな水くさいこと言うなや」
昨日会ったばかりなのにやけになれなれしいおっさんだなと思った。でもおっさんのこの雰囲気はなんとなく話しやすかった。
「しゃあないなー。じゃあわしの質問に答えい」
おっさんはなかなか話し始めない僕にしびれを切らしたのか質問を始めた。
「別れたのは彼女さんのせいか?」
おっさんの質問に僕はうつむいて首を横に振った。彼女と別れたのは僕のせいだった。彼女はなに1つ悪くなかった。
うつむいてる僕におっさんの質問は続いた。
「別れてから彼女から1回でも連絡が来たか?」
僕はこの質問にも首を振った。僕から連絡は何度かしたが一度も連絡は帰って来なかった。
「彼女さん別れる時泣いてたやろ」
この質問に僕は初めて首を縦に振った。首を縦に振った後この質問のおかしさに気づいた。最後の質問だけ疑問系じゃなく言い切っていた。
「あの、なんで泣いてたって」
「なんで彼女さんが泣いてたのかわかるのかって聞きたいんやろ」
僕は頷いた。
「あんさん彼女さんの優しさに気づいてへんやろ」
優しさ?僕にはおっさんがなにを言ってるのか見当もつかなかった。
「別れた原因があんさんにあってあんさんが連絡しても帰って来なくて、無視されてるし、もう嫌われたんだって思っとるやろ」
僕はその通りだと思った。何度連絡しても一度だって彼女から連絡は帰って来なかった。もう完全に嫌われたと思っていた。
「真逆やで。彼女さんがあんさんのことほんとに嫌いになってたらきっと連絡したら帰ってくるやろうな。もう2度と連絡して来ないでって言葉がな」
「彼女さんは別れ際泣いてたことからもわかるやろうけどあんさんのこと嫌いやないんや。彼女さんにとってもあんさんは大事な人なんや。それでもあんさんともう付き合うことは出来ない。だから連絡は返さなんだ」
僕はおっさんの話しを黙って聞いていたがもし僕のことをおっさんの言う通り大事に思っているなら普通連絡を返すんじゃないだろうか。口には出さないがそう疑問に思っていた。
おっさんはまた僕の考えてることがわかるかのように言った。
「あんさん彼女さんが連絡返さない理由ほんまにわからんか?彼女さんはあんさんに早く前に進んで欲しいんじゃ。連絡を返すと未練が出てくるじゃろ。だからあえて連絡は返してないんじゃ。彼女さんの優しさわかってやれよ」
僕はおっさんの話しを聞きながらなぜだか涙をこぼした。僕は自分のことしか考えてないのにおっさんが言うには彼女は僕のことを考えて僕の為になることを別れた今でもしてくれているというのだ。
僕は床で寝ているおっさんを見ながら言った。このおっさん幽霊なのに睡眠とる必要ななんてあるのかよ。おっさんはもう少しだけーと小学生みたいなことを言っている。
ぼくはおっさんを軽く蹴飛ばし起こした。
「なんじゃ!痛いな!」
おっさんは、あんさんが蹴ったんか!と言って不機嫌になった。
「何度起こしても起きないおっさんがいけないんでしょ!」
「なんでこんな朝早くに起こすんじゃ!わし幽霊やぞ!朝には弱いんじゃ!」
ああそっかおっさん幽霊だから基本的に夜に活動するのか。となんとなく納得した。
「まだ9時やないか。わしいつも起きるのは昼間すぎなんじゃ!」
なんだよ!昼には起きるのかよ!てっきり夜しか動かないのかと思ったよ。と僕は心の中で突っ込んだ。
「それでなんでこんな早くにわしを起こしたんじゃ?しょうもない理由やったらただじゃおかんぞ」
そうだった。僕はおっさんを起こして聞きたいことがあったのだ。
「おっさん幽霊って言ってるけどほんとなの?そもそもなんで僕にだけ見えるの?そしてなんで今うちにいるの!」
僕は疑問に思ってることをおっさんに全てぶつけてみた。
「ちょっ!ちょっと待てい!そんなにいっぺんに質問されても答えられへんわ!1つずつにせい」
「じゃあまず、、、」
「あ、そや」
1つずつ質問しようとしたがおっさんに途中でさえぎられた。
「わしも聞きたいことがあったんじゃ。聞いてもええか?」
さっきにこっちの質問に答えろよと思ったがおっさんの質問を聞くことにした。
「なんですか?」
「あんさんなんで死のうとしてたんじゃ?」
そうだ。僕は昨日死のうとしていたんだ。昨日は無理やり引き止められたけど思い出すとやはり悲しくなって生きているのがつらくなる。
僕が黙っているとおっさんは優しく「いいから話しーや。話したら少しは楽になるで」と言った。僕は昨日あったばかりのおっさんになんで死のうとしていたのか話し始めた。
「実は付き合っていた女の子にフラれたんです」
「ほうほうそんで?なんで死のうとしていたんじゃ?」
「え?今言いましたけど」
おっさんは一瞬戸惑った。
「ん?よく聞こえなかったみたいじゃ。悪いがもういっぺん言ってくれるかの」
僕は何度も言いたくは無かったが仕方なく同じセリフをもう一度言った。
「ですから付き合ってた女の子にフラれたんです」
おっさんは独り言のように聞き間違いじゃなかったかと呟いた。
「そんだけか?あんさんほんまにそんな理由だけで死のうとしてたんか?」
そんな理由?僕がどれだけ彼女の事が好きでフラれた後どれだけ悩んだのかわかっているのか。僕はやはり昨日あったばかりのおっさんに話したのは間違いだと思った。
「僕には大きな事なんです。別にわかってもらえなくても結構です」
「すまんすまん怒らんでくれや。わしはてっきり死のうとするほどの事だから借金がぎょうさんあって毎日借金取りに追われてるとか会社の金を勝手に使い込んだとかそういう事かと思っとったねん」
全部金の事じゃないか。お金のことなんかで僕は死のうなんか思わない。大切な人がいなくなる方が僕にとっては何百倍も辛いことだった。
「せっかく昨日死のうとしてるのを引き止めたのにまた死のうとされたらかなわんからな。よっしゃわしが話し聞いちゃるわ」
おっさんはそう言うと僕のことを何でも話してみいって顔で見てきた。
「い、いや、別におっさんに相談しようなんて思ってないんですけど」
「なに言うとるんじゃわしらの仲じゃろ。そんな水くさいこと言うなや」
昨日会ったばかりなのにやけになれなれしいおっさんだなと思った。でもおっさんのこの雰囲気はなんとなく話しやすかった。
「しゃあないなー。じゃあわしの質問に答えい」
おっさんはなかなか話し始めない僕にしびれを切らしたのか質問を始めた。
「別れたのは彼女さんのせいか?」
おっさんの質問に僕はうつむいて首を横に振った。彼女と別れたのは僕のせいだった。彼女はなに1つ悪くなかった。
うつむいてる僕におっさんの質問は続いた。
「別れてから彼女から1回でも連絡が来たか?」
僕はこの質問にも首を振った。僕から連絡は何度かしたが一度も連絡は帰って来なかった。
「彼女さん別れる時泣いてたやろ」
この質問に僕は初めて首を縦に振った。首を縦に振った後この質問のおかしさに気づいた。最後の質問だけ疑問系じゃなく言い切っていた。
「あの、なんで泣いてたって」
「なんで彼女さんが泣いてたのかわかるのかって聞きたいんやろ」
僕は頷いた。
「あんさん彼女さんの優しさに気づいてへんやろ」
優しさ?僕にはおっさんがなにを言ってるのか見当もつかなかった。
「別れた原因があんさんにあってあんさんが連絡しても帰って来なくて、無視されてるし、もう嫌われたんだって思っとるやろ」
僕はその通りだと思った。何度連絡しても一度だって彼女から連絡は帰って来なかった。もう完全に嫌われたと思っていた。
「真逆やで。彼女さんがあんさんのことほんとに嫌いになってたらきっと連絡したら帰ってくるやろうな。もう2度と連絡して来ないでって言葉がな」
「彼女さんは別れ際泣いてたことからもわかるやろうけどあんさんのこと嫌いやないんや。彼女さんにとってもあんさんは大事な人なんや。それでもあんさんともう付き合うことは出来ない。だから連絡は返さなんだ」
僕はおっさんの話しを黙って聞いていたがもし僕のことをおっさんの言う通り大事に思っているなら普通連絡を返すんじゃないだろうか。口には出さないがそう疑問に思っていた。
おっさんはまた僕の考えてることがわかるかのように言った。
「あんさん彼女さんが連絡返さない理由ほんまにわからんか?彼女さんはあんさんに早く前に進んで欲しいんじゃ。連絡を返すと未練が出てくるじゃろ。だからあえて連絡は返してないんじゃ。彼女さんの優しさわかってやれよ」
僕はおっさんの話しを聞きながらなぜだか涙をこぼした。僕は自分のことしか考えてないのにおっさんが言うには彼女は僕のことを考えて僕の為になることを別れた今でもしてくれているというのだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる