荒廃

荒野羊仔

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第二章「女装」

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 喫茶店をあとにすると、三人は小山内の車が停めてある月極駐車場へと向かった。キャンパス内に学生用の駐車場はなく、車での通学は認められていない。魚住の送迎に使うため、最近になって契約した駐車場だ。小山内はそれ以前、徒歩で片道一時間を通学に充てていた。駐車場の契約料は魚住が払っている。魚住は資産家の娘であり、息をするように金を使う。恩返しとはなにか、概念が揺らぎそうになるが、魚住はそれを気にした様子もない。
 一番奥に停まった赤のセダンが小山内の所有車だった。小山内は足早に運転席へと潜り込み、エンジンキーを回した。その直後、魚住は迷いなく助手席に乗り込むと窓を全開にし、冷房を最強にすると我が物顔でカーナビの目的地を設定した。
「最初に準備があるの、ここに行って」
 魚住が示したのは車で十分程の距離にある商業施設だった。久保田は恐る恐る後部座席のドアを開けた。
「いい車持ってるんですね、意外」
 大学のある区画は交通網が発達しており、学生はほとんど公共交通機関を使用、ないしは近隣に下宿するのが一般的であり、車を所有している者もそう多くはない。その上、その車は年式も新しく、購入費以上に維持費がかかり、学生が払えるような額ではない。学生が持つには高価すぎる代物だった。
「ねー、本当なんでだろうね? あんた何かヤバイことでもしてんじゃないの?」
「……なにも」
「じゃあなんでよ」
 これまで何度も乗ってきた車ではあるが、魚住は一度としてその出所について聞いたことがなかった。父は車を何台も所持していたし、相場を知らなかったからだ。しかし気になったからには言うまで尋問をやめないと言わんばかりの剣幕に、小山内は渋々食いさがる。
「……兄のお下がりです」
 その返答は予想外だったのか、魚住は声を上擦らせた。
「へぇ、お兄さんがいるんだ。こんな車買うくらいだし、いい男なんだろうね。紹介してよ」
 普段は絶対に合わせない視線を合わせ、じっと目を見つめた。
「死んでも嫌です」
 小山内にしては珍しく、語気の強い様子だった。第三者の久保田でも分かるほどの強い、真剣な拒絶だった。
「なに言ってんのよ、すぐ死にそうな顔してるくせに」
 魚住はそんなことは大したことではないとばかりにカラカラと笑った。

**

 クーラーを最強にしたとて、屋根のない駐車場に長時間停められた車が満遍なく涼しくなるには走り出す必要がある。地獄の窯のようだと形容しても過言ではない。まごうことなく、茹だるような酷暑であった。
「暑い、脱ぎます」
 最初に音を上げたのは久保田だった。カーディガンを脱ぐと、真一文字に結ばれた、癒えきっていない無数のためらい傷が露わになる。それらはバックミラー越しに、小山内の視界にも飛び込んできたが、一瞥したのみで特に言及することはなく、車を走らせた。久保田は視線が傷痕を捉えても態度が変わらないことを確認すると、一方的に自分語りを始めた。
「今日着いてきてもらったのは、写真を撮るためなの。廃墟で撮ったセルフポートレートをSNSに上げてる。だけどいい加減人に撮って欲しくて。でも、SNSで知り合った人とは会えないの。アップする写真は全部加工してあるし。私の腕のこと、最初から知ってる人なら問題ないでしょ?」
 助手席から魚住は身を乗り出して振り返り、久保田に反論した。
「私だって知りたくて知った訳じゃないんだけど。自分から見せびらかしてくるなんてどういう神経してるのかね、久保田は」
「好きな人には全部知って欲しいじゃないですかぁ」
「あーそうですか、はいはい」
 呆れた口調の魚住に対しても、そのままの声色で返答を返す。心底呆れられているのだと、分かっていてもなお。この本心だけは譲れないのだと言わんばかりに。
「先輩の撮る写真はとにかく凄いでしょ? それで、先輩に撮ってくださいってお願いしたらあなたと引き合わされたの。車を持ってるのはラッキーなんだけど、ただ、あなたみたいな男と一緒にいるって噂が立っても困るの」
 小山内は直接的すぎる物言いに対しても動じない。そのように扱われるのには、あまりに慣れすぎていた。
「男と一緒にいた。写真の加工が甘かった。そんなバカみたいな理由で炎上するの、簡単に。あなた顔が女の子みたいだし、万が一男だってバレたら困るから女装して欲しいの。ね? いいでしょ?」
「……は?」
 あまりにも想定外すぎる依頼に、小山内は困惑の声を上げた。
「私が服を見繕ってあげるよ、それならいいでしょう?女装とは言え、好きな人が選んだ服に身を包むのは満更でもないでしょう?」
 魚住は自信に満ち満ちた声で隣の小山内に語りかけた。小山内は反論を試みようとしたが、やがてその難易度の高さに意欲を失い、そのまま閉口した。

**
 
 女性二人を商業施設の前で降ろし、屋内駐車場でエンジンを切った後、小山内はハンドルにもたれかかり深く溜息をついた。車内はある種世間と隔絶された空間である。外から車内を見ることはできるが、使用者にとって自室にいるかのような錯覚を起こさせる。故に運転中は運転者の素の姿が垣間見えてしまうのかもしれない。特に、家庭に居場所のない小山内にとっては唯一と言える、絶対的なパーソナルスペースであった。
 送迎は常のことである。同乗者が一人増えるくらいなら、話さえ聞き流せば苦ではない。しかし場合が場合である。その話が聞き流せなかった場合、常日頃から「あいつは呼吸をするのか」「人間ではなくアンドロイドでは」と疑われる小山内であっても、「らしくない」一面を覗かせるのであった。
 駐車が終わったことを魚住にSNSで報告すると、すぐに同SNSの回線を使って着信が入った。小山内は応答を選択し、スマートホンを耳元に当てた。魚住は一方的に場所を指定し、小山内が一言も発さないうちに電話は切れた。平日の夕方の商業施設は学校帰りの学生客が多い。魚住に指定された店は若年層向けの女性ファッションのフロアの一番奥に位置し、周囲の中高生と思しき学生たちは長袖シャツの小山内をやや不審の目で見つめていた。
 指定の店はゴシックファッションの店であった。ターゲットが限られるからか客は魚住と久保田しかおらず、魚住は既に何着かの服を手に取っていた。それらを小山内に全て押し付けると、店員を呼びつけた。
「一着着たら見せて。全部試着して一番似合うやつ買うわよ」
「でも」
 僕は男です、と言いかけて、言ったところでどうだと言うのだろうか、と思案する。ここまで来てしまった以上、着ずに出るということを許される筈がないのに。全てを言い終わらないうちに、魚住は無理矢理試着室へと押し込んだ。小山内は観念して徐ろに着替え始めた。
 数分して、試着室のカーテンが僅かに開いた。魚住は間髪入れず全開にすると、小山内の眼鏡を外し、顔を覆っていた前髪を耳へと掛けた。
「やっぱり似合うじゃない。見立て通りね」
 そこには一人の淑女が立っていた。それ以外に表現のしようがない。黒檀こくたんのような艶やかな髪と切れ長の瞳。漆黒のロングドレスは肌の白さを浮き上がらせ、彼のためだけに誂えたように体型とピッタリ合った。しっかりとした生地は浮き出た肋骨を隠し、程良く体の華奢さを強調した。首元が隠れる程高い襟の下、そこから覗くフリルタイが胸元にボリュームを持たせ、不自然さを隠した。丸く膨らんだ袖が肩幅の広さをカバーする一方で、多くのボタンが並んだ長めの袖口が手首の細さを強調している。裾は足首まであるかなりのロング丈で、骨の浮き出た足を覆い隠した。総合的に見て、趣味の美少女だと言われれば疑いの余地はない。
 とてもお似合いです、と店員も感嘆の声を上げた。
「ヒール初めてでしょう?お姉さん、これに合うストラップ付きの靴を見繕って欲しいんですけど」
 足のサイズを問われ、小山内は魚住の顔を仰ぎ見た。声を出すと性別がバレてしまう。かと言って避けられる質問ではない。
「とりあえずLサイズで」
 魚住の返答を聞くと、店員は足早にバックヤードへと向かっていった。
「体型隠すような服選んだとは言え、我ながらこれは違和感なさすぎでしょ。絶対男だなんてバレないわ。鏡見てみてよ、お人形さんじゃない? ほら眼鏡」
「見ました。もういいです」
 眼鏡を受け取ろうと手を差し出した小山内に対し、魚住は手渡さずに耳元へ手を伸ばした。もう一度髪を耳に掛ける。そっと指先が触れた。眼鏡を掛け直し手を離したところで、久保田が足早に駆け寄ってきた。
「うわ、似合いすぎじゃないです? 流石に引いちゃいます……。と言うか恵美先輩服選ぶのはやっ。私も恵美先輩にお洋服選んでほしいですぅ」
「久保田はこういう系じゃないでしょ、それにしても私達より絶対似合うって何?腹立ってきた。とりあえず次」
「他の服は体のラインが出てしまうので」
 そう言って渡された他の服を全て魚住へと渡した。
「うーん、確かに今日はこれ以上が見つかる気がしないしなぁ……。とりあえずこれ一着買いましょう。そのまま次行くわよ」
 次とは? と聞く前に店員が靴を持って戻ってきた。小山内はストラップを付けるために座り込んだが、普段履くことがないため、足首のストラップをつけることができずもたついた。店員がストラップをつけようとしゃがみ込んだが、男であることがバレてしまうことを忌避し後退りした。
 魚住がすかさずフォローに入り、店員の代わりにストラップをつけようと跪いた。
「愛ちゃんったら足が大きいのなんて靴のサイズ言った時点でバレてるんだからそんなに気にしなくていいじゃない。ほら、私が付けてあげるから足出して」
 瞬間、久保田が叫ぶように制止した。
「私がやりますから!!」
 久保田はそう言うと即座に跪き、手早くストラップを留めた。小山内は立ち上がろうと試みたが、バランスが掴めずよろめいた。魚住が手を差し伸べ、久保田もそれに倣った。小山内は二人の手を掴み、引っ張られた。今度は前につんのめった。
「猫背だから余計に立てないのでは? これから姿勢を正してみたらどうです?」
「確かにそれはあるかもねぇ。ね、ちょっと歩いてくるっとターンしてみてよ」
 小山内は言われた通りに、たどたどしく、くるりと回った。ドレスの裾がひらりと舞い上がり、重みと慣性ですぐに元に戻った。
「サイズは大丈夫そうね。店員さん、一式買います。このまま着ていくのでタグだけ切ってもらえますか?」
 魚住が会計を済ませにいくと、久保田は血走った目で小山内を睨みつけた。
「……いい気にならないでくださいよ。これは必要だからしているだけなんだから」 
「女装させられていい気になるとでも?」
 小山内は久保田に向き直り、一言呟いた。これが初めて対話と呼べるものだった。初めて直視した小山内の瞳に、久保田は思わず狼狽した。切れ長の目は鋭く、瞳孔との境目が曖昧な黒々と澱んだ瞳からは何の感情も読み取れず、底が知れない。薄気味の悪い。それが最も適切な表現であり、悪寒を感じさせた。
 不意に小山内は視線を反らし、先程まで自身が着ていた服を回収し始めた。無数の毛玉と、薄く擦り切れそうな生地がやけに目についた。久保田が魚住へと視線を向けると、既に会計が済み、紙袋を手にこちらへ向かってくるところだった。
「お待たせ。久保田、これ持って。愛ちゃん、その中に服つっこんで。何なら捨てていってもいいけど」
 小山内が首を横に振るのを尻目に、魚住は久保田に紙袋を押し付けた。久保田は押し付けられた紙袋を強く抱え込み、穴が開きそうなほど指に力を込めた。
 

 
 初めの店を後にすると、魚住は迷わずに歩き始め、久保田がそれに続いた。小山内は足元がおぼつかず、二人とはかなり間が開いた。エスカレーターの前で二人は振り返り、小山内の到着を待った。
 下りのエスカレーターに乗ると、小山内はてすりに重心を預けた。短い距離ではあったが、変な歩き方をしているめか、小山内の足には既に靴擦れができていた。その上、普段使わない筋肉を酷使しているためか、足は自然と内股気味になり、既に土踏まずのあたりがつりそうになっていた。つまり、生まれたての小鹿のように足が震えていた。
「愛ちゃん、大丈夫? かなり可愛い感じになってるけど」
 笑い声混じりに魚住が声をかけた。誰のせいで、とも言えぬまま、小山内は深く息を吐いた。
「恵美先輩、次はどの店にします? こっち系のブランド疎くて……」
「本当に? あんたの性格ならこういうのしててもおかしくないと思うけど」
「やだなぁ、どんなイメージなんですか私」
「メンヘラ」
「えー、一途なだけですよぅ」
「次とは?」
 二人の会話に食い込み、先程飲み込んだ質問を吐き出す。つきまとっているのは小山内であるにも関わらず、正直なところ、もう付き合わされるのはごめんだ、という気持ちが沸き上がってきている。足が必要なだけであれば、目的地まで送って車で待機していればいい。何なら靴だけ履き替えてもいい。しかしここまでお膳立てされるのも、その後の目的のために過ぎないのだと実感している。その目的が達成されるまでこのままなのだろうと思うと、かなり気が滅入った。
 ではこれを最後とつきまといを止めるか? と言われると、否であった。小山内には目的がある。その目的が完遂されるまでどれだけこき使われようが、邪険に扱われようが、止められない理由が小山内にはあった。これから先、どれほど理不尽な要求があろうと、全ての要求を呑むと心の内で誓っていた。
「服だけ買ったって意味ないでしょ? 次は化粧。コスメカウンターでフルメイクしてもらうの」
 魚住の言葉に、小山内は思わず絶句した。順当に考えればそうなるのは必然とも言えたが、いかんせんこれまで触れることのなかった概念だけに、想像の範疇を超えていた。小山内は最早何も考えまいと、手を引かれるまま、流れに身を任せた。
 

 
 コスメカウンターでされるがままになって小一時間、白雪姫もかくやと言わんばかりの美少女が誕生した。黒髪はヘアオイルで艶やかさを増し、透明感を帯びたファンデーションが雪のように白い肌を演出した。切れ長の目を強調する黒いアイライン。赤と茶色を混ぜたアイシャドウで目を囲い、睫毛をあえて上げずにマスカラでボリュームを増すことで、儚ささえ漂わせた。極めつけは真っ赤なルージュ。いわゆる病みメイクと呼ばれる類のメイクであった。
隣で魚住と久保田が得意気になってコンセプトやメイクのポイントを語ったが、小山内は無反応である。ただでさえ無表情の小山内ではあるが、その顔からは完全に表情が消え失せていた。表情も相まって、より完成度の高い、等身大の人形のように見えた。
「ここでの用は終わったわ、行きましょう。入り口で待ってるから拾いに来て」
「車に戻るんだったら荷物置いてきてください。あとは自分で持ってくださいね」
 久保田は紙袋をぶっきらぼうに投げつけ、そっぽを向いた。小山内は紙袋を受け止めきれず、腕に当たって落ちた。小山内はそれを拾い上げると、駐車場へと向かった。
 

 
 車に辿り着くと、まず紙袋を助手席に置き、運転席のシートを倒し、うつぶせに身を投げ出した。ただ歩くことがこんなに苦痛を伴うことだとは思わなかった。おもむろに起き上がると、靴を脱ぎ、患部を確認した。かかとは擦り傷ができ、赤い血がうっすらと滲んでいた。足の甲と素肌の境目も赤くなっており、血が滲んでくるのも時間の問題だと言えた。通常ストッキングを履いていれば摩擦は少なく、靴擦れができる可能性は低くなる。小山内は普段から素足にスニーカーを履いているため、そこまで意識が回らなかった。小山内はそのまま靴を脱ぎ、裸足でアクセルを踏んだ。
 
 全身真っ黒の衣装に身を包んだ美少女が赤のセダンを乗り回しているのと、普段着の小山内が乗り回すセダン、どちらが目立つだろうか。もちろん前者である。駐車場は比較的人目が少なかったが、入り口に近づくにつれどんどん人の目が増えた。着替える前に不審の目を向けていた学生の集団は写真を撮る素振りさえ見せ、辟易した。二人の姿はまだ見えず、思わず早く来てくれと願わずにはいられなかった。針のむしろにいるようだ。数分待ってようやく、いくつかの紙袋を手にした二人が商業施設から出てきた。後部座席のドアを開け、二人が滑り込んでくる。
「その恰好だとめちゃくちゃ目立つわね。まぁ私の手にかかればこんなもんよね。もっと素材を生かさないと。今度普段着でも見に行く? 身長と姿勢はどうにもできなくても、それなりに見れるようにしてあげるけど」
「必要ありません」
 きっぱりと拒絶の言葉を発すると、早く人目のない場所へ、とばかりに車を走らせた。
 どこへ向かうかも、わからぬままに。
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