6 / 40
初めてのチーム
5
しおりを挟む
真希は走って朔とつるぎのところまで追いついた。
……びっくりした。杏奈さんが変なこと言うから。
「真希、どうかしたか」
朔が振り返って尋ねる。
「ううん! なんでもない」
「そうか。……ここが総監督のいる部屋だ。変な人ではあるが尊敬できる人だ。入るぞ」
朔が扉をノックする。
「神谷総監督、大月です」
「入れ」
中から声がした。
「失礼します」
校長室のような部屋の中には、美しい大人の女性がいた。軍服に身を包み、腰には刺突用の片手剣である「レイピア」を差している姿はさながら女騎士のようだ。
「DAMの総監督、神谷蘭だ。チームでの初めての任務、ご苦労であった」
この人がDAMの創設者か……
神谷総監督は真希のほうに近づいてくる。
「真希、挨拶が遅くなってしまったな。改めてガーディアンを引き受けてくれたこと、礼をいう」
「いえ! そんな……」
近くで見るとより美人なのが分かるなあ。佇まいも凛々しくてまさに組織のトップが似合う。
「ところで真希に一つ聞きたいのだが……」
「はい! 何でしょう?」
神谷総監督は近くの棚から何かを取り出した。
「真希のために戦闘服を用意したんだが、どちらがいいだろうか? 私のお勧めはこの魔法少女タイプなのだが、メイド服タイプも捨てがたくてな……」
見せられたのはパステルピンクのふんわりとしたミニスカワンピースと、黒と白のクラシカルなメイド服だった。
「えーっと……?」
これはどういう状況?
「真希、言っただろ。総監督は変な人なんだ」
朔はため息をついた。
「本部への入り口をあんな店につくったのも、ガーディアンの武器をどピンクにしたのもこの人だ」
そうだったの!?
「だって、困ってる男の子の顔似たかったし、ピンクの武器って可愛いだろ」
そう言って神谷総監督はフッと笑う。さっきまでの総監督へのイメージが音を立てて崩れ落ちていく。
「はあ……ここで文句を言っても聞き入れてもらえないのでもう言いませんが、真希へのその戦闘服は不要です。そんなもの着ていたら目立ってしょうがないし、ネットにあげられて晒し物になりますよ」
そういえばマナンはほとんどの人から見えないんだよな。できるだけ目立たないように気を付けよう……
「ちぇ、朔のケチ」
「事実です」
まるで大人と子供の立場が逆転しているようだ。
「まあ今回はあきらめるとして、せっかく来てもらったから『マナン可視化』の儀式をやってしまおう。朔、こっちへ来て」
神谷総監督は朔をこちらに呼び寄せた。そして朔と額を合わせる。
「次は真希だ」
神谷総監督は真希とも額を合わせた。
「これで儀式は終了だ。これから真希は朔がいることでマナンが見えるようになる」
「僕やつるぎはもともとマナンが見えなかったが、総監督に見えるようにしてもらったんだ。ただ、ガーディアンには体質的に負担が大きいから相性のいい指令官が仲介してマナンを見えるようにするんだ」
そうだったんだ。じゃあもしかして、もうあのあんぱんはもらえないのかな。ちょっと残念。
「今日はこれで終わりだ。朔とつるぎは先に帰ってくれ。疲れただろう。ゆっくり休め」
「分かりました。……あと、絵理さんによろしく伝えてくださいと言われました」
「分かった。今度お店に顔をだす。ありがとう」
二人は神谷総監督に礼をして部屋をあとにした。
神谷総監督は真希に向きなおった。
「さて、真希。さっきのやりとりで分かったかもしれないけれど、私は人に能力を与えることができるんだ。そしてさっきの儀式で真希にマナン可視化とは別に能力を与えた」
能力……
「何の能力を与えることができたか私にもわからないが、どうやら能力を受け取る側の願望が反映されるみたいだ。何の能力か分かったら私に報告してほしい」
「分かりました」
「それと、チームワークを高めるために近々3人で合宿に行ってもらおうと思っているんだが、そこで一つ頼みがある」
「何でしょうか?」
「朔とつるぎの関係を取り持ってもらいたいんだ。……二人はもともと幼馴染だったんだが、DAMで再会してからはあんな調子でな。お互いを大切に思っているのに上手く通じ合えていない。全く見ていてもどかしい。お節介なおばさんの頼みだと思って引き受けてくれないか」
二人にはそんな関係があったのか……チームメイトになる訳だから私も努力するべきか。
「分かりました。できるだけやってみます」
「ああ、頼む」
とりあえず家に帰ったら作戦を考えてみようと思った。
……びっくりした。杏奈さんが変なこと言うから。
「真希、どうかしたか」
朔が振り返って尋ねる。
「ううん! なんでもない」
「そうか。……ここが総監督のいる部屋だ。変な人ではあるが尊敬できる人だ。入るぞ」
朔が扉をノックする。
「神谷総監督、大月です」
「入れ」
中から声がした。
「失礼します」
校長室のような部屋の中には、美しい大人の女性がいた。軍服に身を包み、腰には刺突用の片手剣である「レイピア」を差している姿はさながら女騎士のようだ。
「DAMの総監督、神谷蘭だ。チームでの初めての任務、ご苦労であった」
この人がDAMの創設者か……
神谷総監督は真希のほうに近づいてくる。
「真希、挨拶が遅くなってしまったな。改めてガーディアンを引き受けてくれたこと、礼をいう」
「いえ! そんな……」
近くで見るとより美人なのが分かるなあ。佇まいも凛々しくてまさに組織のトップが似合う。
「ところで真希に一つ聞きたいのだが……」
「はい! 何でしょう?」
神谷総監督は近くの棚から何かを取り出した。
「真希のために戦闘服を用意したんだが、どちらがいいだろうか? 私のお勧めはこの魔法少女タイプなのだが、メイド服タイプも捨てがたくてな……」
見せられたのはパステルピンクのふんわりとしたミニスカワンピースと、黒と白のクラシカルなメイド服だった。
「えーっと……?」
これはどういう状況?
「真希、言っただろ。総監督は変な人なんだ」
朔はため息をついた。
「本部への入り口をあんな店につくったのも、ガーディアンの武器をどピンクにしたのもこの人だ」
そうだったの!?
「だって、困ってる男の子の顔似たかったし、ピンクの武器って可愛いだろ」
そう言って神谷総監督はフッと笑う。さっきまでの総監督へのイメージが音を立てて崩れ落ちていく。
「はあ……ここで文句を言っても聞き入れてもらえないのでもう言いませんが、真希へのその戦闘服は不要です。そんなもの着ていたら目立ってしょうがないし、ネットにあげられて晒し物になりますよ」
そういえばマナンはほとんどの人から見えないんだよな。できるだけ目立たないように気を付けよう……
「ちぇ、朔のケチ」
「事実です」
まるで大人と子供の立場が逆転しているようだ。
「まあ今回はあきらめるとして、せっかく来てもらったから『マナン可視化』の儀式をやってしまおう。朔、こっちへ来て」
神谷総監督は朔をこちらに呼び寄せた。そして朔と額を合わせる。
「次は真希だ」
神谷総監督は真希とも額を合わせた。
「これで儀式は終了だ。これから真希は朔がいることでマナンが見えるようになる」
「僕やつるぎはもともとマナンが見えなかったが、総監督に見えるようにしてもらったんだ。ただ、ガーディアンには体質的に負担が大きいから相性のいい指令官が仲介してマナンを見えるようにするんだ」
そうだったんだ。じゃあもしかして、もうあのあんぱんはもらえないのかな。ちょっと残念。
「今日はこれで終わりだ。朔とつるぎは先に帰ってくれ。疲れただろう。ゆっくり休め」
「分かりました。……あと、絵理さんによろしく伝えてくださいと言われました」
「分かった。今度お店に顔をだす。ありがとう」
二人は神谷総監督に礼をして部屋をあとにした。
神谷総監督は真希に向きなおった。
「さて、真希。さっきのやりとりで分かったかもしれないけれど、私は人に能力を与えることができるんだ。そしてさっきの儀式で真希にマナン可視化とは別に能力を与えた」
能力……
「何の能力を与えることができたか私にもわからないが、どうやら能力を受け取る側の願望が反映されるみたいだ。何の能力か分かったら私に報告してほしい」
「分かりました」
「それと、チームワークを高めるために近々3人で合宿に行ってもらおうと思っているんだが、そこで一つ頼みがある」
「何でしょうか?」
「朔とつるぎの関係を取り持ってもらいたいんだ。……二人はもともと幼馴染だったんだが、DAMで再会してからはあんな調子でな。お互いを大切に思っているのに上手く通じ合えていない。全く見ていてもどかしい。お節介なおばさんの頼みだと思って引き受けてくれないか」
二人にはそんな関係があったのか……チームメイトになる訳だから私も努力するべきか。
「分かりました。できるだけやってみます」
「ああ、頼む」
とりあえず家に帰ったら作戦を考えてみようと思った。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる