もしも推し(女)にそっくりな男の子が隣に引っ越してきたら?

亜瑠真白

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突発性バグ症候群

俺からヒントをあげるよ

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 いつもの待ち合わせ場所である学食の前につくと、まだ亮介君は来ていないみたいだった。
 講義、長引いてるのかな。
 1人で待っていると、ふと昨日のことを思い出した。
 ああ…!なんで昨日はあんなこと言っちゃったんだろう…可愛い、なんて。気づいたら口から出てて、自分でもびっくりした。その後の言い訳も苦しすぎてきっと変に思われちゃってるよ…
「はぁ…」
「どーしたんだ、斗真?」
「りょ、亮介君!?」
 いつの間にか目の前に亮介君が立っていた。
「よっ、待たせたな。ところで、なんかあったのか?」
 亮介君なら、僕が変になってることに何か答えを出してくれるかもしれない。
「うん。ご飯食べながらでいいから聞いてもらえないかな。」

「ふーん。知り合いの喜んでる姿に可愛いって言ったのか。そんで、自分がそう言った理由が分からないと。」
 僕の話を聞いた亮介君が言った。
「うん…これまでだって、喜んでるところは見たことあるんだけど、最近は可愛く見えるっていうか…でも!その人は可愛い系っていうよりは美人って感じで、スラッとしてて、仕事が出来る感じで…だから可愛いっていうのもおかしいかもしれないんだけど…」
「おかしくなんてないだろ。」
「え?」
「斗真はその人ともっと一緒にいたいって思うか?」
「うん…思うよ。」
 そう言って思い出した。
 そうだ…昨日の別れ際に、部屋に上がらせてほしいみたいなことも言ったような…恥ずかしい!
「そっか…よかったな。」
 そう言って亮介君は笑った。
「僕はどうしたらいいかな。また変なこと言っちゃうかもしれないし、距離を置いたほうがいいのかな…?」
 本当は離れたくなんてないけど、菜々子さんに迷惑をかけるくらいなら、そうしたほうがいいのかも…
「何言ってんだよ!一緒にいたい人が近くにいるって幸せなことだろ?それを自分から手放すなんて感心しないな。」
「でも…」
「じゃあ、俺からヒントをあげるよ。」
「ヒント?」
「ああ。自分で理由を見つけるためのヒント。…いい事があった時、真っ先に頭に浮かんだ人が好きな人だと俺は思うよ。」
 いい事があった時に真っ先に頭に浮かんだ人が好きな人…
「悪い。レポートやばいから先戻るわ。また話聞かせてくれな。」
 空になったどんぶりを持って、亮介君は行ってしまった。

 午後の講義は亮介君の言ったことが気になって、あんまり集中できなかった。
 大学の帰り、参考書を買おうと本屋に寄った。用事を済ませ、本屋の入ってる駅ビルの中を歩いていると柱の陰で泣いている女の子を見つけた。
 どうしよう…1人みたいだし、親とはぐれちゃったのかな。力になってあげたいけど、僕は話すのが上手くないから余計に泣かせてしまうかも…
 周りを見回すと他に頼りになりそうな人はいない。みんな足早に通り過ぎて行って、女の子には気が付いていないみたいだ。
 僕がどうにかしないと…!
「えっと…どうしたの?」 
 しゃがんで声をかけると、女の子は僕に気づいた。
「ママが…ひっぐ…」
 やっぱりはぐれちゃったのか。
「お名前、言える?」
「ママぁ…!」
 女の子はまた泣き出してしまった。やっぱり僕じゃダメか…
 何か、この子が喜んでくれるような…お菓子かおもちゃみたいなの持ってないかな。僕はリュックの中を探した。
 …って、そんな都合よく持ってないか。
「あ…」
 そう言って女の子が僕の方を指さした。その先には、リュックにつけたキーホルダーがあった。
「可愛い…!」
 女の子はキーホルダーを手の上に載せた。
あいな・・・ね、赤好きなの。この子、髪の毛が赤くって可愛い。」
「そっか。この子はね、愛実ちゃんって言うんだよ。あいなちゃんの名前と似てるね。」
「そうなんだ!えへへ…」
 よし!笑ってくれた!
「じゃあ、ママを探しに行こっか。」
「うん!」
 僕はあいなちゃんをインフォメーションセンターに連れて行き、迷子の放送をしてもらった。一緒に待っているとお母さんが走ってきて、あいなちゃんを抱きしめた。
 別れ際、お母さんは僕に何度もありがとうと言ってくれた。こんなに感謝されるようなことができたのはいつぶりかな。
「ばいばい、お兄ちゃん。」
「うん。バイバイ。」
 あいなちゃんはお母さんとしっかり手を繋いで歩いて行った。よかった、本当に。
 僕はキーホルダーを手に取った。昨日、菜々子さんがコラボカフェで買っていたものだ。『シークレットで被ったから』って言って僕にくれた愛実ちゃんのキーホルダーが、こんなところで役に立つとは。
 菜々子さんに早く報告したいな…
 その時、亮介君の言葉が頭によぎった。
『いい事があった時、真っ先に頭に浮かんだ人が好きな人だと俺は思うよ。』
 それって…
「あれ、斗真君?」
 声の方を振り向くと、そこには菜々子さんがいた。心臓がドクンと跳ねる。
「こんなところで会うなんてね。今日はなんか用事?」
「いや、用事はさっき終わりました…」
 鼓動が早くなっているのを感じる。顔が熱い。
「じゃあさ!これからうち来ない!?昨日は私がだめだったからさ。どう?」
「行き、ます…」
 僕は…菜々子さんのことが好きなんだ。
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