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ノーガードにクリティカル
カフェに行くだけだよ
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その翌日、私は斗真君の部屋のチャイムを鳴らした。
「どうしたんですか、菜々…」
「昨日は大変申し訳ありませんでしたぁぁ!」
私はガラケーばりに腰を折って頭を下げた。
「ええっ!?一体どうしたんですか?」
「昨日は、その…あまりに気持ちが昂りすぎて正気じゃなかったといいますか…とにかく、思い出すと勝手なことばかり…すいませんでした!」
昨日、斗真君と別れてしばらくは幸せの余韻に浸っていた。でもいざ寝ようとベッドに入ると、ふっと冷静になった。
え…私、斗真君にめちゃくちゃなことしてない!?ミニスカ履かせておいて恥ずかしがってる斗真君に向かって「可愛い」とか、酷すぎない!?まあ、実際可愛すぎたんだけど…てか、それよりも最後、抱きついてなかった!?もう犯罪だよ!警察!
パニックになりかけたけど、さすがに夜も遅いから謝罪は翌朝まで我慢した。
「顔を上げてください。」
その言葉に顔を上げると、斗真君は優しく微笑んでいた。
「菜々子さんの言動には慣れたので、怒ったりしませんよ。」
「それはそれで複雑というか…」
そんなにいつも私はやばいのだろうか。
「菜々子さん、今日はこれからおでかけですか?」
私の恰好を見てそう思ったのかな。確かに今日は、斗真君に会う時の『清潔・安心・安全』をテーマにした服装よりも、可愛い感じを意識している。
「ああ、うん。今日はずっと楽しみにしてたカフェに行くんだ。」
「へえ、いいですね!友達とですか?」
斗真君の無邪気な質問に、私の顔から笑みが消えた。
「…カフェに行ってくれるような友達はいません。」
「じゃ、じゃあ!僕が一緒に行ってもいいですか?」
「いいの!?」
私はぐいっと斗真君に詰め寄った。
「はい。今日は特に用事もないですし、菜々子さんが楽しみにしてるカフェ、気になります。」
「そっか、ありがとう。斗真君が来てくれて助かるよ。人数の多いほうが負担も少ないし。」
「え…あの、カフェに行くだけ、ですよね?」
斗真君が疑わし気に尋ねる。
「もちろん!カフェに行くだけだよ!」
私は全力の笑顔で答えた。
「あの…ここ、普通のカフェなんですよね?なんか見覚えのある絵が大量に飾ってありますけど…」
目的のカフェに入ると、斗真君が言った。
「うん!普通のコラボカフェだよ!」
そう、ここは昨日から開催されているアイフレのコラボカフェである。
「やっぱり…なんかあると思ったんです…菜々子さんがアイフレの話をするときのテンションに似てたから…!」
私達は案内された席に座った。
「まあ、食事をする場所には違いないから、好きなの食べてよ。」
私は斗真君にメニューを渡した。
「うわぁ…色々あるんですね。」
「そうでしょそうでしょ!私はもう決まってるから、斗真君はゆっくり決めていいよ。」
「え!?菜々子さん、もう決まったんですか?」
「コラボカフェのメニューがサイトにアップされたときから決めてたんだ。私はこれ。」
そう言って私はあるメニューを指さした。
「え…『小鳥遊らむねの細菌ラボパンケーキ』?何ですかこれ!」
斗真君が驚くのも無理はない。ビジュアルがちょっと、アレなのだ。
「ホワイトチョコレートソースが掛かったパンケーキの上に乗ってるジェリービーンズが細菌を表してるんだって。」
「それを知ったらより食べにくそうですけど…じゃあ、僕はこの『橘聖那♡特製オムライス』にします。」
「りょーかい。じゃあ、とりあえず注文するね。」
私は2品を注文した。
しばらく待っていると、奥のキッチンから私達の料理が運ばれてくるのが見えた。
「…斗真君、ここからが今日のメインイベントだからね。」
「え?」
その時、店員さんが私達の席にやってきた。
「お待たせしました。こちらが『小鳥遊らむねの細菌ラボパンケーキ』と『橘聖那♡特製オムライス』です。」
そう言って注文した料理をテーブルに置いた。
「そしてこちらが特典のランチョンマット2枚です。ごゆっくりどうぞ。」
店員さんが遠ざかってから、私は口を開いた。
「このフードについてくるランチョンマットが今回最大の目的なんだよ!ランダム配布だから、メニュー名に入ってるメンバーとは必ずしも一致しないんだ。…じゃあ、開くよ。」
私と斗真君は裏返しになっているランチョンマットに手をかける。
らむちゃん…来いっ…!
「せーのっ!」
表になったランチョンマットは、私の方がイーリス・ブリュックナーちゃん、斗真君の方が風間玖藍ちゃんだった。
「ぐぅ…っ!そう簡単には出ないか…」
だって19分の1だもんなぁ…現実は厳しい…
「じゃあ、食べよっか。」
「「いただきます。」」
オムライスは斗真君も美味しいと言って食べていた。さすが、料理上手な聖那ちゃんのオムライス。
私の方はというと…見た目はちょっと奇抜だけど、まずいものは入っていないし、美味しく食べられた。
「美味しかったですね。」
オムライスを食べ終わった斗真君はそう言った。
「それはよかった。…ところで斗真君。お腹はいっぱいになった?」
「そうですね…まだ食べられますけど、大丈夫ですよ。」
「ほんと!?じゃあさ、もう一つずつ注文しない?もちろん今日のお代は私が払うからさ!」
「えっと…じゃあ、いただきます。」
「ありがとう!食べ盛りな男子大学生は頼りになるね!」
「もしかして、行く前に『人数の多いほうが…』って言ってたのはこのためですか…」
私は『路熊莉子のツンデレ愛盛りカレー』、斗真君は『納野めぐむの角付きプリンアラモード』を注文した。
「お待たせいたしました。」
店員さんが料理とランチョンマットを置いた。
「えっと、じゃあ、また『せーの』で開きますか?」
そう言って斗真君はランチョンマットに手をかける。
「待って!」
私の言葉に斗真君は手を止めた。
「い、一枚ずつにしよ…」
さすがにこれ以上は食べられないし、物販に使うお金も残しておきたい。この2枚で最後だと思うと、怖くて一気には出来なかった。
「分かりました。」
「じゃあ、私からいくね。せーのっ!」
そこに描かれていたのは安堂羽瑠ちゃんだった。
「くぅぅー…!」
あと1枚かぁ…
「菜々子さん、こっちもやりますか?」
気を使ってか、斗真君が最後のランチョンマットを渡そうとする。
「だめ!斗真君がやって!」
隣人に斗真君を引き当てるという最大のガチャを当てた私にはもう運が残ってない気もするし。
「分かりました。…じゃあ、いきます。」
お願いっ…!
「せーのっ!」
斗真君が裏返した、そこには…
「菜々子さん!」
「はぁぁぁ…っ!」
浴衣姿のらむねちゃんが微笑んでいた。
私はそのランチョンマットを手に取る。
いつものハーフアップツインテールから全部の髪をアップにして、ちょっと大人っぽい感じ。それに、手にもった真っ赤なりんご飴がらむねちゃんの白い肌を引き立てている。
よほどこのカフェの企画チームはらむちゃん推しなんだろうな…そうじゃなきゃこんなに魅力あふれる作品に出来ないし!
「斗真君、最高!ありがとう!あのね、これ今回のコラボカフェの描き下ろしだから本当に欲しかったの!嬉しい!」
優しい顔で私を見ていた斗真君が口を開いた。
「菜々子さん、可愛い…」
「…え?」
いま可愛いって言った?
突然、斗真君の顔は真っ赤になった。
「…あ、あの、違うんです!その、服が!いつもと違う感じでいいなあって…」
「ああ!うん、推しのところに行くから気合を入れてね…」
びっくりした…らむねちゃんや斗真君にならともかく、こんなはしゃいでるオタク、可愛くなんてないよね。
でも、言い方とかタイミングとか、私に言ってるみたいでドキッとした…
「じゃあ、らむちゃんもお迎えできたことだし、食べてたら帰ろっか。」
「…そう、ですね。」
私達はアパートの部屋の前まで戻ってきた。
「いやー、今日はらむねちゃん引き当ててくれてありがとう!斗真君、運もってるなぁ。今度ゲームのガチャ引くときはお願いしよっかな、なんて…」
「全然いいですけど、らむねちゃん引けるかは分からないですよ。」
「大丈夫!ゲン担ぎみたいなものだからね。」
そこで会話が途切れた。
「じゃあ、また連絡するね。」
そう言って玄関のドアを開けようとすると、斗真君が声をかけた。
「…あの!この後、菜々子さんの部屋に行ってもいいですか?」
それは願ってもない申し出…!
ああでも、今日はどうしてもやらないといけないことがあるんだった…用事を今日に回した昨日までの自分が憎い…っ!
「ごめん、今日はこれからちょっとやることあるんだよね。また今度!いつでも私のところに来てね。」
『今度』のところを強調しすぎた気もするけど…それくらい今回のことは惜しい。
「分かりました。また、今度。」
私達はそれぞれの部屋に入った。
「どうしたんですか、菜々…」
「昨日は大変申し訳ありませんでしたぁぁ!」
私はガラケーばりに腰を折って頭を下げた。
「ええっ!?一体どうしたんですか?」
「昨日は、その…あまりに気持ちが昂りすぎて正気じゃなかったといいますか…とにかく、思い出すと勝手なことばかり…すいませんでした!」
昨日、斗真君と別れてしばらくは幸せの余韻に浸っていた。でもいざ寝ようとベッドに入ると、ふっと冷静になった。
え…私、斗真君にめちゃくちゃなことしてない!?ミニスカ履かせておいて恥ずかしがってる斗真君に向かって「可愛い」とか、酷すぎない!?まあ、実際可愛すぎたんだけど…てか、それよりも最後、抱きついてなかった!?もう犯罪だよ!警察!
パニックになりかけたけど、さすがに夜も遅いから謝罪は翌朝まで我慢した。
「顔を上げてください。」
その言葉に顔を上げると、斗真君は優しく微笑んでいた。
「菜々子さんの言動には慣れたので、怒ったりしませんよ。」
「それはそれで複雑というか…」
そんなにいつも私はやばいのだろうか。
「菜々子さん、今日はこれからおでかけですか?」
私の恰好を見てそう思ったのかな。確かに今日は、斗真君に会う時の『清潔・安心・安全』をテーマにした服装よりも、可愛い感じを意識している。
「ああ、うん。今日はずっと楽しみにしてたカフェに行くんだ。」
「へえ、いいですね!友達とですか?」
斗真君の無邪気な質問に、私の顔から笑みが消えた。
「…カフェに行ってくれるような友達はいません。」
「じゃ、じゃあ!僕が一緒に行ってもいいですか?」
「いいの!?」
私はぐいっと斗真君に詰め寄った。
「はい。今日は特に用事もないですし、菜々子さんが楽しみにしてるカフェ、気になります。」
「そっか、ありがとう。斗真君が来てくれて助かるよ。人数の多いほうが負担も少ないし。」
「え…あの、カフェに行くだけ、ですよね?」
斗真君が疑わし気に尋ねる。
「もちろん!カフェに行くだけだよ!」
私は全力の笑顔で答えた。
「あの…ここ、普通のカフェなんですよね?なんか見覚えのある絵が大量に飾ってありますけど…」
目的のカフェに入ると、斗真君が言った。
「うん!普通のコラボカフェだよ!」
そう、ここは昨日から開催されているアイフレのコラボカフェである。
「やっぱり…なんかあると思ったんです…菜々子さんがアイフレの話をするときのテンションに似てたから…!」
私達は案内された席に座った。
「まあ、食事をする場所には違いないから、好きなの食べてよ。」
私は斗真君にメニューを渡した。
「うわぁ…色々あるんですね。」
「そうでしょそうでしょ!私はもう決まってるから、斗真君はゆっくり決めていいよ。」
「え!?菜々子さん、もう決まったんですか?」
「コラボカフェのメニューがサイトにアップされたときから決めてたんだ。私はこれ。」
そう言って私はあるメニューを指さした。
「え…『小鳥遊らむねの細菌ラボパンケーキ』?何ですかこれ!」
斗真君が驚くのも無理はない。ビジュアルがちょっと、アレなのだ。
「ホワイトチョコレートソースが掛かったパンケーキの上に乗ってるジェリービーンズが細菌を表してるんだって。」
「それを知ったらより食べにくそうですけど…じゃあ、僕はこの『橘聖那♡特製オムライス』にします。」
「りょーかい。じゃあ、とりあえず注文するね。」
私は2品を注文した。
しばらく待っていると、奥のキッチンから私達の料理が運ばれてくるのが見えた。
「…斗真君、ここからが今日のメインイベントだからね。」
「え?」
その時、店員さんが私達の席にやってきた。
「お待たせしました。こちらが『小鳥遊らむねの細菌ラボパンケーキ』と『橘聖那♡特製オムライス』です。」
そう言って注文した料理をテーブルに置いた。
「そしてこちらが特典のランチョンマット2枚です。ごゆっくりどうぞ。」
店員さんが遠ざかってから、私は口を開いた。
「このフードについてくるランチョンマットが今回最大の目的なんだよ!ランダム配布だから、メニュー名に入ってるメンバーとは必ずしも一致しないんだ。…じゃあ、開くよ。」
私と斗真君は裏返しになっているランチョンマットに手をかける。
らむちゃん…来いっ…!
「せーのっ!」
表になったランチョンマットは、私の方がイーリス・ブリュックナーちゃん、斗真君の方が風間玖藍ちゃんだった。
「ぐぅ…っ!そう簡単には出ないか…」
だって19分の1だもんなぁ…現実は厳しい…
「じゃあ、食べよっか。」
「「いただきます。」」
オムライスは斗真君も美味しいと言って食べていた。さすが、料理上手な聖那ちゃんのオムライス。
私の方はというと…見た目はちょっと奇抜だけど、まずいものは入っていないし、美味しく食べられた。
「美味しかったですね。」
オムライスを食べ終わった斗真君はそう言った。
「それはよかった。…ところで斗真君。お腹はいっぱいになった?」
「そうですね…まだ食べられますけど、大丈夫ですよ。」
「ほんと!?じゃあさ、もう一つずつ注文しない?もちろん今日のお代は私が払うからさ!」
「えっと…じゃあ、いただきます。」
「ありがとう!食べ盛りな男子大学生は頼りになるね!」
「もしかして、行く前に『人数の多いほうが…』って言ってたのはこのためですか…」
私は『路熊莉子のツンデレ愛盛りカレー』、斗真君は『納野めぐむの角付きプリンアラモード』を注文した。
「お待たせいたしました。」
店員さんが料理とランチョンマットを置いた。
「えっと、じゃあ、また『せーの』で開きますか?」
そう言って斗真君はランチョンマットに手をかける。
「待って!」
私の言葉に斗真君は手を止めた。
「い、一枚ずつにしよ…」
さすがにこれ以上は食べられないし、物販に使うお金も残しておきたい。この2枚で最後だと思うと、怖くて一気には出来なかった。
「分かりました。」
「じゃあ、私からいくね。せーのっ!」
そこに描かれていたのは安堂羽瑠ちゃんだった。
「くぅぅー…!」
あと1枚かぁ…
「菜々子さん、こっちもやりますか?」
気を使ってか、斗真君が最後のランチョンマットを渡そうとする。
「だめ!斗真君がやって!」
隣人に斗真君を引き当てるという最大のガチャを当てた私にはもう運が残ってない気もするし。
「分かりました。…じゃあ、いきます。」
お願いっ…!
「せーのっ!」
斗真君が裏返した、そこには…
「菜々子さん!」
「はぁぁぁ…っ!」
浴衣姿のらむねちゃんが微笑んでいた。
私はそのランチョンマットを手に取る。
いつものハーフアップツインテールから全部の髪をアップにして、ちょっと大人っぽい感じ。それに、手にもった真っ赤なりんご飴がらむねちゃんの白い肌を引き立てている。
よほどこのカフェの企画チームはらむちゃん推しなんだろうな…そうじゃなきゃこんなに魅力あふれる作品に出来ないし!
「斗真君、最高!ありがとう!あのね、これ今回のコラボカフェの描き下ろしだから本当に欲しかったの!嬉しい!」
優しい顔で私を見ていた斗真君が口を開いた。
「菜々子さん、可愛い…」
「…え?」
いま可愛いって言った?
突然、斗真君の顔は真っ赤になった。
「…あ、あの、違うんです!その、服が!いつもと違う感じでいいなあって…」
「ああ!うん、推しのところに行くから気合を入れてね…」
びっくりした…らむねちゃんや斗真君にならともかく、こんなはしゃいでるオタク、可愛くなんてないよね。
でも、言い方とかタイミングとか、私に言ってるみたいでドキッとした…
「じゃあ、らむちゃんもお迎えできたことだし、食べてたら帰ろっか。」
「…そう、ですね。」
私達はアパートの部屋の前まで戻ってきた。
「いやー、今日はらむねちゃん引き当ててくれてありがとう!斗真君、運もってるなぁ。今度ゲームのガチャ引くときはお願いしよっかな、なんて…」
「全然いいですけど、らむねちゃん引けるかは分からないですよ。」
「大丈夫!ゲン担ぎみたいなものだからね。」
そこで会話が途切れた。
「じゃあ、また連絡するね。」
そう言って玄関のドアを開けようとすると、斗真君が声をかけた。
「…あの!この後、菜々子さんの部屋に行ってもいいですか?」
それは願ってもない申し出…!
ああでも、今日はどうしてもやらないといけないことがあるんだった…用事を今日に回した昨日までの自分が憎い…っ!
「ごめん、今日はこれからちょっとやることあるんだよね。また今度!いつでも私のところに来てね。」
『今度』のところを強調しすぎた気もするけど…それくらい今回のことは惜しい。
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