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あれ?
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「では、誰がエリーゼの話に興味が無いなどとほざいたのだ?」
「いやー誰でしたかねー?あっはははは…」
人生で1番の苦笑いタイムに入った。凄い形相で私を睨んでくる。私が悪いことをしたのだろうか?いや完全に私のミスであるが、そこまで問い詰めなくていいだろう。しかも興味ないとほざいたのはガロン様だし。
「すまない、頭に血が上った。」
正気に戻ったのか、私が怖がっているのに気付いたのか鬼の形相は戻っていた。しかし眉間の皺が戻ることは無かった。真剣に他人のことに対して怒れる人格の持ち主なことに驚いた。けれど過去の自分の発言に対して怒っているという事実はどうしても面白かった。思わず顔がにやけてしまう。それが見つかり大激怒を食らったが面白いが勝ってしまい全然耳に入ってこなかった。
「ところで、本当に言った奴を覚えていないんだな?」
「はい、もう全然気にしていないですし、本当に覚えてないですね。」
「そうか...今後思い出したらすぐ言うのだぞ、処刑してやる。」
「はい。」
処刑されるのは貴方ですよ、など言えるわけもなく。凄く気まずい空気になりながら私たちは無事に城に戻ることができた。
「リゼ~!」
「どうされたのですか?」
「もう無理、私耐えられないよ!」
ガロン様からドレスを頂き、気まずい空気になってから一週間が経った。面白そうと思っていた自分を今すぐに殴ってやりたい。
私はあれから失言しないようにと極力ガロン様とお話しするのをためらった。しかしそんなこともつゆ知らず彼は健気に話しかけてきたのだ。
「エリーゼ、散歩に出かけよう。」
「いえ、日焼けが気になるので。」
「エリーゼ、今日は隣町の砂浜で海を眺めないか?」
「大丈夫です。」
「エリーゼ、どうして君はそんなに美しいんだ?」
「多分ガロン様の目が悪くなったのではないですか?あそこにいるメイドの方が美しいと思いますよ?」
「ああエリーゼ、どうしてそんなことをいうのだ。君が謙虚で可憐な女性なのは知っている。そんなところもいいな。」
ポジティブのレベルを遥かに超えているその言動の数々にもううんざりしてしまった。溺愛されている人を見て羨ましいと思ったこともあるが今は全くそうは思わない。溺愛さえている人は相当鍛えたのだろう。それか度を越えたマゾヒストなのだろう。そう考えてしまうくらい私には適性がなさ過ぎたのだ。
「このままじゃ私死んじゃう。」
「そんな不謹慎なこと言わないでください。」
私はリゼの腰に抱き着いた。絶妙に鍛えているだろうその身体は実に抱き心地がよく気に入っている。リゼはパーソナルスペースが狭すぎるが故に最初は嫌がっていたが今では半分諦めてこの状態を許してくれるようになったことがささやかな自慢である。
「なんでまだあんな状態なのよ。」
「仕方ないのですよ。あの魔法は記憶を操れるような魔法でなければいけないのにそれができる人が見つからないのですから。」
「記憶を操るねー、具体的にどんな感じなんだろうね?」
記憶を操れるなんてとんでもない人に違いない。だって記憶を改ざん出来たらやりたい放題じゃない?ちょっと羨ましいなんて考えてしまう。黒歴史消し放題。本当に羨ましい。そんなことを考えている場合ではない。早く犯人を見つけ出さなければ私のこの地獄生活から抜け出すことができない。この国で魔法を使えるのはごく少数。しかも管理体制も万全なのだからきっとこの国の人はないのはあっているのだろう。
「それは私にも分かりません。ですが脳に影響を及ぼすような魔法なんでしょう。」
「あれ?それなら一人居たでしょ?けどその人じゃないから探せていないんでしょ?」
「何の話ですか?」
「もう覚えてない?ウェン様だよ、ウェン様。」
「それは、どなたでしょう?」
「え...」
ウェン・ヴァーン様を覚えていないなんてあり得ない。
だってあんなにも素敵な夢を見せてくれた人なんだから。
「いやー誰でしたかねー?あっはははは…」
人生で1番の苦笑いタイムに入った。凄い形相で私を睨んでくる。私が悪いことをしたのだろうか?いや完全に私のミスであるが、そこまで問い詰めなくていいだろう。しかも興味ないとほざいたのはガロン様だし。
「すまない、頭に血が上った。」
正気に戻ったのか、私が怖がっているのに気付いたのか鬼の形相は戻っていた。しかし眉間の皺が戻ることは無かった。真剣に他人のことに対して怒れる人格の持ち主なことに驚いた。けれど過去の自分の発言に対して怒っているという事実はどうしても面白かった。思わず顔がにやけてしまう。それが見つかり大激怒を食らったが面白いが勝ってしまい全然耳に入ってこなかった。
「ところで、本当に言った奴を覚えていないんだな?」
「はい、もう全然気にしていないですし、本当に覚えてないですね。」
「そうか...今後思い出したらすぐ言うのだぞ、処刑してやる。」
「はい。」
処刑されるのは貴方ですよ、など言えるわけもなく。凄く気まずい空気になりながら私たちは無事に城に戻ることができた。
「リゼ~!」
「どうされたのですか?」
「もう無理、私耐えられないよ!」
ガロン様からドレスを頂き、気まずい空気になってから一週間が経った。面白そうと思っていた自分を今すぐに殴ってやりたい。
私はあれから失言しないようにと極力ガロン様とお話しするのをためらった。しかしそんなこともつゆ知らず彼は健気に話しかけてきたのだ。
「エリーゼ、散歩に出かけよう。」
「いえ、日焼けが気になるので。」
「エリーゼ、今日は隣町の砂浜で海を眺めないか?」
「大丈夫です。」
「エリーゼ、どうして君はそんなに美しいんだ?」
「多分ガロン様の目が悪くなったのではないですか?あそこにいるメイドの方が美しいと思いますよ?」
「ああエリーゼ、どうしてそんなことをいうのだ。君が謙虚で可憐な女性なのは知っている。そんなところもいいな。」
ポジティブのレベルを遥かに超えているその言動の数々にもううんざりしてしまった。溺愛されている人を見て羨ましいと思ったこともあるが今は全くそうは思わない。溺愛さえている人は相当鍛えたのだろう。それか度を越えたマゾヒストなのだろう。そう考えてしまうくらい私には適性がなさ過ぎたのだ。
「このままじゃ私死んじゃう。」
「そんな不謹慎なこと言わないでください。」
私はリゼの腰に抱き着いた。絶妙に鍛えているだろうその身体は実に抱き心地がよく気に入っている。リゼはパーソナルスペースが狭すぎるが故に最初は嫌がっていたが今では半分諦めてこの状態を許してくれるようになったことがささやかな自慢である。
「なんでまだあんな状態なのよ。」
「仕方ないのですよ。あの魔法は記憶を操れるような魔法でなければいけないのにそれができる人が見つからないのですから。」
「記憶を操るねー、具体的にどんな感じなんだろうね?」
記憶を操れるなんてとんでもない人に違いない。だって記憶を改ざん出来たらやりたい放題じゃない?ちょっと羨ましいなんて考えてしまう。黒歴史消し放題。本当に羨ましい。そんなことを考えている場合ではない。早く犯人を見つけ出さなければ私のこの地獄生活から抜け出すことができない。この国で魔法を使えるのはごく少数。しかも管理体制も万全なのだからきっとこの国の人はないのはあっているのだろう。
「それは私にも分かりません。ですが脳に影響を及ぼすような魔法なんでしょう。」
「あれ?それなら一人居たでしょ?けどその人じゃないから探せていないんでしょ?」
「何の話ですか?」
「もう覚えてない?ウェン様だよ、ウェン様。」
「それは、どなたでしょう?」
「え...」
ウェン・ヴァーン様を覚えていないなんてあり得ない。
だってあんなにも素敵な夢を見せてくれた人なんだから。
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