相棒と世界最強

だんちょー

文字の大きさ
11 / 14

11話 最強の力

しおりを挟む



 


「おっと……そろそろ体がモタねぇみてェだなァ。少し離脱するぜェ」

 大気が震えるほどの魔力を発した僕。

 地面を蹴ったら空まで飛んでいき……

 空気を蹴って斜め下に急降下する。

(びえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!)

「ヒヒャヒャヒャヒャ!」


 もうなにが起きてるのかわからなかった。
 わからなかったけど、こいつが最高に強いことだけはわかった。

 地面が見えてきたと思ったらそこにはジャイアントシープがいた。

 ジャイアントシープはランクllの魔物。
 オークよりも強い魔物だった。

 ・・・・それが着地の衝撃で絶命


「ひゅ~♪ 夜飯ゲットだなァ?」

 出鱈目に強すぎて…理不尽すぎて…


 ーーー憧れた


 ただ、その言動は本当に気に入らなかった。
 軽薄そうで頭のおかしな話し方。
 動きもなんか気持ち悪かった。

 できれば僕の体でそういう話し方はしないでほしい。

「これ以上は体が壊れちまうからなァ。変わるぞォ?」

 そう言うと、僕の中にあった黒剣の思考や何かが抜けた。

 体の感覚が戻り始めた瞬間

 激痛が走った。

「い……ッっ……っ!!!?????」

 叫べないぐらい、体中が痛すぎて、呼吸も忘れるほどだった。

『カラダができてねぇからなァ。しょうがねェ代償だと思っとけェ。ゆっくり深呼吸しろォ?反動で死ぬとか情けねぇことしたらぶっ殺すぞォ?』

 (そんな……理不尽な…っ…!)

 パニックに陥ったがなんとか呼吸を整えることができた。
 しかし体は一向に動かすことができない。

『丸一日ぐらいはそのままだなァ。もう眠テェだろ?ゆっくり休めヤぁ。魔物がこねェようにしてやるからヨォ』

 確かに…。
 体中痛いけど、どうしてか眠い。
 でも、まだ言えてなかった。

 眠る前に……一言…だけ。

「あ…りが…と…」

『おうよォ』



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 フフフ……ふひッ!!

 ヒヒャッ……ヒヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!

 そいつは、笑いを堪えていた。
 ずっと。ずっと。ずっと。

 運命の出会い…いや。

 悪魔的な出会いをしたことで可能性が現れた。

 あの戦い以来、この世界はゴミの支配する領域になった。
 それからの人々は皆、ゴミの気を発するようになり、胸糞悪い時代がやってきた。

 人々は縛られる。
 あいつらによって。

 ランクXには至れなくなる。
 あいつらのせいで。

 だがそれがどうだ?

 目の前に、一切のゴミの気を持ってない奴がいるじゃねぇか。
 こいつなら、


 ーーー天使を殺せる



『…潰させねぇし折らせねぇ。……ゴミが気づく前にこいつを強くしねぇとなァ。 ヒヒャッ!!!魔力を放出して良かったぜェ……!!気付いたやつらは必ずここに集まって来るぜぇッ!!可能性を感じろォ?オマエらは……こいつの食いもんだ』

 何千年と待った己の目的のために、今度は出来る限りのことをする。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ねぇ~お姉ちゃんもう飽きちゃったんだけどぉ?
 ……いつまでこいつ倒せないでいるの?それが本気なの?全力出してるの?リミッターは解除した?脳みそ振り絞って考えた?最善策を思い浮かべた?動きを意識してるの?もっと極限まで……集中しなよ?ちんたらしてる暇はないんだよ?それでも私の弟子なの?ねぇ?聞いてるの?戦ってても返事ぐらいしないと。常識だよね?なんで死にそうになってるの?もっとできるよね?できないはずないよね?私の弟子だよ?私が認めたんだよ?間違ってるはずないよね?……はやくしろッ!」

 ビクッ。

 少女は目前にいる敵に圧倒されていた。

 飛竜
 ランクl Vの魔物。
 その鱗はとても硬く、物理も魔法も通しづらい。
 空を自由自在に飛び、その口から放たれる炎は500°を超える。
 そして爪には猛毒があり……
 注意する点がありすぎて、本来は1人で戦う魔物ではない。

 ましてや同格のランクlVでは歯が立たないのに。

 しかし彼女は戦った。
 少しでも早く、強くなりたかったから。

 誰のためでもなく、自分のために。
 剣が好きだった。戦うのが面白かった。
 それと…

 綴り書に出てくる彼女の強さに魅せられた。

 いつかぶっ飛ばしたいと今でも思っている。
 でもまだまだ先。
 いつかがすぐに来ることはない。
 それまで私は、この人類最強に指示を仰ぐ。

「!????」

 飛竜がものすごい勢いで吹っ飛び、岩山にぶつかって潰れた。

 ああ。私はこの人を怒らせてしまった。
 今回ばかりは…死ぬかもしれない。

 以前、達成できなかった訓練があった。

 私の弱点の克服。
 筋力とその持続力だ。

 あまりにも過酷で無謀すぎる訓練に私は一度心が折れかけた。

 しかし、その「心が折れる」よりも膨大な恐怖を味わって上書きをされた。

 …思い出すだけで体が震える。

 …今回はそれと同等か

 もっと最悪なことが起こるかもしれない。

「はは……」

 怒りすぎてもはや笑うしかないのだろう。

「きた……」

 ??
 意を決して師匠に視線を向けた。

 師匠は師匠じゃなかった。
 いつものだらしない姿でも狂気じみた姿でもない。
 まるで恋する乙女のような顔をしていた。
 顔は耳まで赤くなり、キャーキャー叫んでいる。

 なにが起きたのだろう。
 初めて見る師匠に困惑した。

「ははははっ!!!!すごい…!!すごいよ…!誰!?!?君は誰なんだ!?!?この気……遠くてもわかる……!!」



 ーーーあそこだーーー



 ゼロ…あらためレイシアは生まれて初めて、本気を出した。

 魔力の解放で大気は揺れ、蹴った地面はひび割れて大陥没を起こした。
 周囲にいる動物や虫はその気に当てられただけで絶命するほど。


 向かう先は、冒険者の街。


 超高速で移動するため周りのものは衝撃波で破壊されていく。
 途中にある民家もお構いなし。
 とにかくまっすぐに突っ切っていった。


 まだ夢の途中。
 私は ランクXになるんだ。

 そのためならどんな犠牲もいとわない

「私に…その力をよこせ…!」

 このペースでも3日かかることが嘆かわしいほどに気分は高まっていた。

 そして…何が何だかわからずに取り残された彼女は…。

 目前に広がる衝撃波の痕を見て、再度確信した。
 あの人の強さは本物だと。

 彼女は、師匠を追いかけることを決めた。

 また出会う。

 ランクl Vの少女と能無し。

 一度は勝敗が決した2人。
 進んだものと、進めなかったもの。

 2人の運命が交わるのは

 もうすぐだ。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...