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地下都市

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「出来ましたよ」

将軍は可愛らしい顔をして首を傾げていた。

私は自分の座ってたところの畳を剥がす。

「ここから地下に行けます」

将軍が近寄ってきて中を覗き込む。そこには階段があり地下に続いてる。

私が先導しており、後ろを将軍がついてきた。

途中でエレベーターホールに着く。

「これで更に地下に降ります」
「箱?」

私はエレベーターに乗り、将軍を手招く。

数十秒経ったところでエレベーターが止まった。降りると私が描いていた都市があった。

「ここは……」
「地下都市です」

立ち並ぶビルに広い道路、更には鉄道などのインフラもばっちり。

「軍事施設は確かあっちに……」
「待て。そなた……」

将軍に肩を捕まられ振り向く。

「そなた……、一瞬でこれを作ったのか?」
「はい。私が授かったのは神の力と同等の物、これくらいは簡単に出来ます」

世界すら作ることが出来るのだ。地下都市なんてなんでもない。

唖然としてる将軍の手をとり、軍事施設のある場所に行く。

「ここです」
「……これが軍事施設?」

そこには戦闘機、戦車、潜水艦、空母などなど。

「どうです。これなら誰にも負けないかと思います」

将軍は興味津々に軍事施設を見て回った。

「これならば負けないが……、ひとつよいか?」
「はい」
「誰がこれを使いこなせるのだ?」
「それは、これから作る軍隊です」

私が胸を張っていえば、将軍は溜息をついた。

「その軍隊とやらはどこにおるのだ?」
「これから作るのです」
「今すぐはこれらは使えないのだな?」

大政奉還まであと1年。それまでには強い軍隊を作りたいものだ。

「それと将軍?」
「何だ?」
「あちらには資源地を作りました。レアアースまで採掘可能です」

日本は資源地がない。そのために太平洋戦争をしたようなものだ。その原因を今から潰しておく。

「のう、玲奈よ」
「はい」
「この地下都市とやらはどれほどの広さなのだ?」
「日本全体の大きさです」

私は得意げに答えたが、将軍は褒めてくれるところか呆れていた。

「まぁ、良い」

夜も遅いし、今日はそろそろ休みたいな。

「将軍様、今日はこの辺りで……」
「そなたは何処で寝るのだ?」
「あの辺のマンションで」

指差しで1つの高層マンションを指した。

「上まで案内しますね」
「そなたと共に行く」

マンションの中も見たいのかな?そう思いつつマンションまで行く。この際だから最上階にしよう。

最上階の1番いい部屋のドアを開けて中に入ると将軍に抱き締められた。

私も20歳だもの。男の人を家に連れ込んだらどうなるかなんて分かってる。

そのまま拒まず将軍を受け入れた。

行為が終わり、シャワーを浴びてたら涙が出てくる。将軍が私に好意があってやったことではないのは初めから分かってたはずなのにな。将軍は私の力が欲しいから、繋いでおくためにしただけなのに。

私だってそうよ。生きていくためにしたこと。それなのに……。

「何を泣いておる?嫌だったのか?」

後ろから抱き締められた。私は嫌ではなかったと首を振る。

「分かってます。上様が私のことを好きだから抱いたわけではないのは」
「余は好意がないのに、そのようなことをするほど酷い男ではないぞ?」
「え?」

それはどういう意味か聞こうと振り返って見上げたら口を塞がれた。
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