【完結】未来から来た私がもたらしたもの

ぅ→。

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天皇と上様と今後のことを決めて江戸に帰る。

江戸に帰ってからは大忙しい。軍備の拡大に急いだ。また銃の扱い方については私が直々に指導する。私が登場する度に平伏されるのは居心地悪かった。だけど、そういうオーラを纏ってるのだと上様に言われる。

山崎烝からもLINEが来るが、彼からは報告のみ。気軽に話せるのは桜さんぐらいかな?彼女は何と土方歳三の子を妊娠したというのだ。おめでたいことに祝儀を送った。

妊娠といえば、私も妊娠してるかもしれないのだ。月のものがひと月遅れてる。

「麗奈よ。余に報告することがあるのではないか?」

やっぱり上様も気がついてるよね?

「まだ、確かではありませんの」
「体を大切にするのだぞ?」

銃の指南は赤子に悪いから控えるように言われた。

「先に麗奈には伝えおくが、男子おのこの場合、養育は乳母になる。己が手では育てられぬ」

上様は申し訳なさそうに伝えてくる。

「存じておりますよ」

歴史を知ってるのだ。それぐらい知ってるし、上様に嫁いだからにはその覚悟もある。武士が続いてる限り、男子であれば世継ぎとして育てられる。それが武士の家に嫁いだ女子の定めである。

「そなたは物分りが良すぎる」

この時代の女子でも己が手で育てられないのは嫌がるというのだ。そして2番目の男子に愛情を注ぎ、長男を蔑ろにすることもしばしばあるという。それによって酷い時は家督争いもあるのだ。

「育てられなくても私の子に対する愛情は変わりませんし、愛情の示し方はいくらでもあると思いますのよ」

男子でも女子でもどちらでも良い。元気に生まれてくれさえすれば、それで私は満足だ。

私の懐妊が確かとなって以降、沢山の祝い品が送られてくる。どれも男子を望むものでちょっとプレッシャーだ。

そんな時、山崎烝から出火現場で不審者2人を捕縛したという報告が入る。

池田屋事件に繋がっていく。既に京には長州の人が何人も潜んでいるのだろう。上様にも報告した。

「うむ。開国が気に入らぬのか」

上様は大体的に開国する旨を知らしめた。また外国の技術を得てくるための留学を勧めている。アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、スイスなどなど沢山の国に留学生を出していた。それぞれの国の技術、政治体制を学んでくるようにと。そのための外国語の教師は私がしてる。

「よろしく頼むぜよ?先生」

そしてその中には坂本龍馬もいた。彼が何故、ここにいるのか不思議だが、まだお尋ね者にはなってないのだろう。

「坂本龍馬、あなたは幕府をどう思ってるの?」
「なんぞね?いきなり」
「いえ。倒幕の話が出てるから貴方の意見も聞きたくて」
「そうじゃのぉ。前は開国する言うたり、攘夷言うたり、優柔不断やったき信用なかったけんど、今は開国に向けて努力しちゅー幕府を尊敬しちゅーぜよ」

これならば薩長同盟は結ばれないかな。

「先生は異国語が達者やけんど、女子の身でどこで覚えたがかえ?」
「それは国の機密事項よ?」

答えは私が未来で特殊部隊の一員だったから。だけど、それは極わずかな人しか知らない。そしてこの事は今以上の人に知られないようにと上様や天皇に言われてる。

「長州のことはどう思ってる?」
「長州も悪うない思うちゅー。長州には長州の考えがあるんじゃ。それを尊重しちゃれば長州も幕府も仲良うなる思う」

そうね。日本国内で争うなんて外国勢の思うつぼ、ここは仲良くなるのが最善である。

「そうね。仲良くなれたら、どれだけ良きことか。だけど、こちらが手を差し伸べてもその手を掴んでくれないと意味がないのよ」

上様は最大限、譲歩してる。それは天皇も同じ。それなのに長州は大人しくしておくところか、行動に移そうとしてる。ここで恭順を示せば、幕府も天皇も長州を悪いことにはしない。

「先生は何を知っちゅーがかえ?」
「長州が武力行使に出ようとしてることかしら?」
「そりゃないろう?」
「時期に分かるわ。その時にも今のように仲良くすべきかどうか、あなたの意見がどうなるか聞かせてほしいわね」

あと、坂本龍馬は訛りが外国語でも土佐弁が出てるから、それでは相手には伝わらないわよと言って、その場を後にした。

長州は幕府を恨んでる。それは関ヶ原の戦いで負けて端に追いやられ260年もの間、幕府から無理難題を押し付けられたから。それが外国勢が来て、中央集権の政治体制にしようという働きにより倒幕を掲げる。

それを上様は先んじて行おうとしてる。国軍も作るため奮闘してた。そのためには今の武士体制が邪魔をしてる。

でもそれも今日で終わる。

上様は髪を切り軍服に身を纏った。

「どうだ?」
「よくお似合いですわ」

上様に合わせて私もドレスを着ている。老中たちは、さぞ驚くであろう。だけど、天皇の許可も貰ってる。

「余は武士の終わりを告げる。国が安寧となるまでは余が政を行うが、安寧となれば政は民が選んだ者が行う。我が国、日本は立憲君主制、民主主義国家へと生まれ変わる」

場がザワついた。

「静まれ!余の話は終わりではない。民は皆、平等であり職を選ぶ自由を与える。これはこの日の本を近代国家にさせるためである。さもなければ欧米諸国に植民地へとされるであろう。ここは日本が一致団結して諸外国と対等に渡り合うべし」

己の欲だけを考えるな。何が日本のために良きことか。どうすれば白人至上主義の欧米諸国と肩を並べることが出来るのか。今考えるべきはそれであると上様は家臣たちに思いをぶつける。

「これは天子様も承諾済みのことである」

最後に上様がそう伝えれば、家臣たちは反論しなかった。天皇が決めたことならば、それに従うと。

これによって長州、薩摩がどう動くか。長州はこの場には呼ばれてないが薩摩藩主はいる。

上様は更に三権分立にすることも宣言する。始めは国内が混乱しないように今まで納めてきた学のある武士を採用する旨を伝えた。だけど、将来は国民が選ぶと。武術に身に起きたいものは警察または国軍に入隊を認める。

幕府が退くのであれば主権を天皇に返すべきではという声もあがった。それに対して上様は天皇は望んでおられない。天皇は象徴として君臨するとした。

改革が進められていく中、池田屋事件が起こった。だけど歴史を知ってる新撰組は全員で池田屋に乗り込んでる。そのため多くに長州の人を捕縛出来た。長州は天皇を長州に連れていくことを計画していたが内密に天皇は江戸城にいる。上様は天皇に江戸城を差し出した。私たちは住むところがないので、首相官邸や自宅が出来るまで居座らせてもらってる。

上様は平和的に江戸幕府を閉じた。

「上様」
「麗奈よ。もう俺は上様ではない」
「家茂様?」
「さよう。これからはそう呼ぶように」
「はい。だけど、本当に良かったのですか?」
「良いに決まっておる。日本の歴史も変わったであろう」

そう日本の歴史が大きく変わった。朝鮮を併合しないし、第一世界大戦にも第二次世界大戦にも参加しない。貿易にて大国へとのし上がる。そこには日本の技術者たちの努力があった。
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