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後編
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クラリスは翌日、予定通りに任務に向かう。
用事の無かったクリスとリューにも何やら2人に託された依頼とやらが来たので、ラインハートとルーカスの出発には皆顔を出す事ができなかった、、、
─────任務当日
「そろそろですかね?ルーカスさん、ラインハートさん大丈夫ですかね」
任務中にも関わらず、2人のことが心配で集中していないクリスに
「集中だ、あの2人なら心配ない。5人の中で戦闘モードのあの2人のコンビが1番つえーからな」
「そ、そうですよね」
クリスはリューの方を見るが、リューは全くクリスの事を見る事なく、任務に没頭していた。
それを見て、クリスも自分の今すべきことをし始める。
小声で
「生きて帰って来てください」
とか細いリューの声が聞こえたのは気のせいだろうか、
「じゃあ向かうか、」
今回はポータルで入口直前まで転移するのは極めて危険であるとして、少し離れたところを転送場所に設定したために、本来の予定より少し早めに2人は動く。
周りにも関係者数人しかいない。
「ラインハート、緊張してんのか?」
「いや、全然、でも夜寝れなかった。」
「奇遇だな!俺は快眠だった」
全然奇遇ではない、真逆だ。2人とも高難易度の任務には何度も挑んだ事もある、実績も十二分にある。
しかし、ラインハートに関しては対人は初めてだ。少し気負いがあるのかもしれない。
それに勘づいたルーカスが、ガシッと肩を組む。
「お前は俺に任せとけ」
「大丈夫ですよいつも通りやるだけです。」
「お前はなあ、少しくらいこの最強である俺に託しても良いんだぞ」
「信頼はしていますよ、何度も助けられてますし」
「そうかそうか なら心配はいらんな」
ルーカスはラインハートに対しては少し他の3人と話している時より楽しそうに、、いや、嬉しそうにしている。
「ポータルが開きます」
音を立て、ポータルが開く。
開戦の狼煙となるかの様に、大きく、
入る時2人は互いに見合い、前を向き、強く、頷いた。
その時────
「ま、待ちなさああい」
この声は間違いない、クラリスの声だ。
この時間に間に合う様に全力で走って来たのだろう。こんなに息を切らしているクラリスを見た事がなかった。
そして、ハアハアと呼吸を整えながら。
「絶対に帰ってこいよ、これは私じゃない、あいつら2人の願いだ」
「ああ勝って来るぞ俺等2人は絶対に!!」
「心配いりません、これは2人の総意ですから」
少し2人はクラリスの言葉の解釈を間違えている様だが、笑って見送る。
「………………私も連れてけー」
「え?」
ポータルが閉じる。
ポータルから出ると外には3人いた。
「どうしてここに来た、2人しか入れないと言っただろう!」
「良いじゃん、目の前までくらい、ついて行っても」
ルーカスは呆れた顔をしながら下を向いた。
ラインハートもやれやれと表情をし、ポータルに入らないならと同行を許した。
向かう時は歩きで向かっている。
無駄な体力を消費しないと同時に戦闘への集中力を高めるために、なので、クラリスも付いて来たはいいものの全く話さない。これが最後の物語かもしれないと言うのに、
しかし、ここで話しかけると何で言われるかが目に見えているので話す事はなかった。
少し歩いたところで、
「集中のところ悪いんだけど、自分語りしていいから、無視していいからさ」
「無理」
ルーカスは速攻で拒否した。
断る言葉さえ、出来るだけ短くしている。
「私はさ、ここに入るまで、ずっと1人だったの、任務中の時も任務外作業も1人だった。昔から性格のせいで人から避けられていたのは分かってた。でも自分は自分でいたかったから曲げなかった。それでついに私は任務の途中で魔力使用過多で体が動かなくなった。誰も助けてくれなかった。そこで気づいたの、私、利用されてたんだって、でも違った。」
クローシス隊員としては優秀であったクラリスは他の隊員に使わされていたと話した。
言われた通り2人はクラリスの話に聞くそぶりすら見せない。それでもクラリスは続けて話す。
「貴方達が私を助けてくれた、守ってくれた。そして、その任務が終わった後「俺たちとチームを組まないか?って」言ってくれたの、今でも覚えてる、使える奴じゃなくて、私、クラリス・アクロディアを仲間として受け入れてくれた貴方達2人が私は今もずっと好きだった。」
上を見る事で涙を流すまいとしているが少し溢れてしまっている。
「だから、私と約束して、ミュートをぶっ倒して、またポータルに入りませんか」
もう涙を堪えるのをやめたクラリスは歩くのを一度止め、正面を向き、2人に大声で感謝を伝えた。
2人は振り返る事は無かったが、確かに見えた。
ルーカスが小さく首を縦に動かしていたのが、、
ラインハートが腕を少しだけ後ろに差し出し、「任せとけ」と言わんばかりに合図をしたのが、、
それを見たクラリスはもう一度大声で───
「負けるな!絶対に負けるなぁ!」
と叫んだ。
それに対して、2人は振り返り
「「うるせーな!!」」
と言って、後ろを向いた。
しかし、前を向いた2人が小さく、「ありがとよ」と小さく呟いたのをクラリスの耳にはしっかりと届いた。
クラリスはそのまま歩く事やめ、2人の姿が見えなくなるまで、立って見守っていた、、
2人はようやくポータルの近くまで着く。
すると、親子がルーカスに握手して下さいとお願いする。
クローシス隊員はあまり知られていない存在だったが、
KING novaは一般の人も知っている人気なチーム。ましてはそのチームのリーダーともある存在。
しかし、ルーカスは自分で何もしないで、周りばかりに寄生する様な人間がいくら子供であろうと1番嫌い。
なのでここでも当然の様に無視する。
しかし子供が泣き出してしまう。これもさらにルーカスが嫌いなタイプだ、泣く事で全て解決してしまうからだ。
当然泣かせたルーカスに母親は怒ろうとする。
それに勘づきすぐにラインハートは
「悪いなチビ、この人はこう言う人なんだ。代わりに俺が握手してやる。」
とラインハートが子供に手を差し出す。
それを子供は拒む。
この年齢で人を選ぶとなると流石のラインハートも参ってしまっている。
「お母さんペン持ってますか」
「ええ」
ペンを子供の母から借り、何かに書き始めた。
「仕方ないな、これやるよ、俺等のチームのタオルだ。俺は2枚持ってるから、一枚やるよ」
注意を怠らない事が奇跡的に功を奏し、上手くこの場を回避した。
子供もこれには嬉しそうになって母親と一緒に帰って行った。
少しハプニングもあったが、ポータルが見えた。
別に見た目は普段と何の変わりもない普通のポータルだ。
何の躊躇いもなく2人は入って行った。
「やはり、情報通りだな」
「ええ2人まででしたね」
情報通り、ポータルは2人が入った瞬間衝撃波と共に閉じられた。
少し歩くと、偵察部隊の服を着た人2人と戦闘員2人が死んだ姿で発見された。
「せ、戦闘員も」
「ああこの2人のクランが初めにポータルに入ったらしいからな、聞こえるか?」
この戦闘員2人がミュートと遭遇してしまい、通知が出来るところまで死ぬ気で逃げて来て伝えたと言う。
「こちら本部聞こえています」
「戦闘員2人、偵察部隊2人の死亡を確認。我々戦闘体制に入る。補助を頼……」
「………ルーカスさん?ルーカスさん?聞こえますか?」
隊員達の死体を少し通り過ぎ、モンスター10体が現れたと同時に、本部との通信が途切れてしまう。これで援護をしてもらう事すら出来なくなってしまった、しかし、最強の2人そんなアクシデントを気にする事なく戦闘体制に入る。
「ラインハート、通信が切れた。恐らくこっちの通信障害だろう。厳しくはなるが、問題は無いよなあ」
「ええ、当たり前じゃないっすか」
2人はこの状況になって、さらに戦闘モードへと変貌する。
「召喚魔術炎剣」
「召喚魔術三連弓矢、」
ルーカスが剣を召喚し前衛にすぐさま立ち、後衛にはラインハートの弓矢で補助をする。
「ここは極力、魔力は温存だ。矢を放ちすぎるな!俺が全て斬る」
戦闘モードになったルーカスは今までより、数十倍も逞しい。背中からは最強の覇気を纏っている様で、一切の隙が無い。
言葉の通り、目の前の高レベルモンスター(ヴォールザムス)を難なく斬る。
ラインハートは矢を一度も引く事なくこの戦闘は乗り切った。
「お前もここは剣に持ち替えたほうがいいな、」
「そうだな、深緑剣」
そう言われて、ラインハートは弓矢を手放して剣を召喚する。
「聞こえます、敵襲です。右に4左に5、上に8ですここは俺が一撃で仕留めます」
「分かった任せる」
と言って、ラインハートは持っていた剣を深くまで突き刺した。
すると周りの壁や天井全てが揺れ始め地面が割れる。天井すらも真っ二つだ。
「解除」
解除の合図と共に剣を抜くと揺れも止まった。
全てのモンスターが真っ二つになって上から落ちて来た。
そんなのは無視してさらに前へ進む。
「敵の気配がしないな」
「ええ、もうミュートまで近いかも」
「気を引き締めるぞ」
その予想は見事的中し、この先モンスターは現れなかった。
そのまま順調に進んでいたら、少し開けた場所に辿り着く。
「ここ広いなぁ、」
「ラインハート!横に跳べ」
「え?」
ズドンと轟音が響き渡り、上から何やら人間らしきのが降りて来る。
「おーおーよく避けたね 凄いな凄いな。流石この俺に挑みに来るだけあるなあ」
「うるせーミュートお前と話に来たんじゃねーんだわ
悪いけど速攻で勝たせてもらうぞ」
「相変わらず威勢だけで、俺の前で仲間を救えなくて、一人でも俺に敵わない奴が何を言うことか」
この救えなかったは恐らく最高指導者の事だろう。
当時のルーカスはミュートは危険対象として見做していなかったのだろう。
「おいおい、あん時の1人俺とは同じにされちゃ困るぜ、今の俺には最初の時と同じ位の、いや、それ以上の最高の相棒がいるからな!!」
「爆烈波」
ルーカスは先制攻撃を仕掛け剣を振るう、流石に距離が少し離れていたこともあって、ルーカスの攻撃は2発とも当たらなかった。
しかし、ミュートの首には薄い切れた傷がついた。
「何?」
「俺にばっか気を取られてると、死ぬのはお前の方だな」
勝ち誇ったかの様に笑うルーカスの横には魔法を放った、ラインハートの手があった。
「やるじゃねえかお前、名前は?」
「今日死ぬやつに名乗るバカがどこにいるんだよ!」
と言ってさっきモンスターを倒した時の様に地面に剣を突き刺し、地面を揺るがす。
「ルーカス、前へ援護は俺がする!」
「ああ、戦闘開始だぜ!」
「召喚魔術聖霊の書」
魔力で錬成された一冊の分厚い本をラインハートが創り出す。
「仲間に支援をパワー強化スピード強化」
「ありがとよラインハート、」
スピードが強化されたルーカスは一気に走る速度を上げ加速する。
そして上に勢いよく飛び上がる。
そこに素早く、ラインハートが、浮遊の強化を与え、剣を投げる。
意表をつかれたミュートはギリギリで剣を避けたが、
「炎球!!」
手から炎を出し、強化のかかった重い一撃を放つとミュート大きく崩れる。
「ぐっ」
「暇を与えるなラインハート押し切るぞ」
「分かってる 核爆雷」
ラインハートは大きな雷の爆発をルーカスを信じて出す。
攻撃の煙幕で数時、時が止まったかの様に思えたが、ミュートのほんの僅かの音を聞き取り、ルーカスが剣を取り出し、斬りかかる──────
煙幕が上がるとラインハートの目に入ったのは、左腕の消えたルーカスの姿だった、、、
「何故、こんな事になった」
「危ない危ない、君たちの事を危険対象していた悪かった。たった今、2人の事を危険対象解除してあげよう。まあルーカスの方はもう駄目そうだけどな」
ミュートは勝ち誇ったかの様な笑みと笑いを2人に堂々余裕の表情を見せる。
バックステップで素早く一時撤退した、ルーカスが、
「悪い、しくじった、いつも大事なところで俺はミスをする」
「ねえリーダー、今謝罪した?」
「???」
「俺たちの間には謝罪の言葉は必要なのか?必要なのはそんな言葉じゃねえ、俺はそんなルーカスについて来たわけじゃねぇ!!!」
「………」
「言っただろ、あんたが前にさ「俺は1人なら最強で、お前となら完全無欠だ!」って、撤回するよあんたも俺も1人なら弱い欠点だらけだ、はっきり言って弱い!でも2人なら、、この世には2人以外存在しない唯一無二!!天下無双の存在だ!!!!」
「………!そうだな、弱かったんだよな俺は」
「弱さを自覚したからこそ強さってのは実感できるんですどうですか?今の自分は」
「最っ高だ!」
2人はミスすることなんて多くあった。
小さなミスなんかラインハートは数え切れないほどしていて、そのたびにルーカスが助けていた。
大きなミスは大体ルーカスだったが、それをラインハートは持ち前の万能さでカバーしていた。
2人は1人では荒削りだが、揃えばどんな敵でも負ける事は無いそう思っている。
「立ち止まってていいのかよ」
待ってくれるわけもなくミュートもド派手に攻撃を繰り出してくる。
「氷の鉄鎚」
上空に大きな氷の壁が作られた。それが落ちてくる。
(範囲が広い、俺だけなら逃げれるかもしれんが、片手に傷を負っているルーカスが間に合わない可能性があるかもしれんななら!!)
「ルーカス!逃げるな岩の城壁」
大きな衝撃がかかり大きな音を立てる。
「死んだか、まあ暇つぶしにはなったか」
「誰が死んだって言った」
「い、生きてるのか」
生きていた、2人とも、ラインハートが両手を地面につけ、頭の上に岩の城壁を建てた。
これは、普通の人なら考えもつかない、
「逃げると考えなかったのかお前は」
「あ?俺だけ逃げてどうすんだよ守るに決まってんだろ相棒なんだからよ」
戦闘モードのラインハートも大概頭のネジがぶっ飛んでいる。
対人が初めてだとは思えないほどに躊躇がない。
それより心配なのはルーカスの方だ。
いつもよりと言うか、今、最高に覇気が無い。
「フッ 流石は最強の俺様の相棒だな」
「当然」
この人のこの一言で完全に覇気のオーラが完全復活した、
「ここからが」
「最終決戦だ!」
──────最終決戦
「面白い、最高に面白い、俺は今最高に幸せだ!」
「氷銃!!!」
窮地に立たされているのにミュートは嬉しそうだ。
ミュートも2人と同様に戦闘モードに入ってネジがぶっ飛んでいる。
「ラインハート、少し時間をくれ俺が決める」
ラインハートはその大きな背中を見て、断るなんて選択肢など無かった。
「リーダーの命令だ、従うよ防御魔法」
初級の魔法なのに、そこら辺の今日魔術と同じかそれ以上の火力が出ている。
しかし、フル防御のラインハートの防御魔法を破る事は出来ない。
そしてとうとう時間が来てしまった。
「ありがとう時間だ」
ラインハートは防御魔法を解除し剣を握り、接近戦を挑む、
「俺に?近接戦お前中距離のくせに陽動か」
まあ大半の奴はそう思うだろう、しかし万能型のハンターを舐めてはいけない。
「俺は万能型なんでね距離とか関係ねーんだわ」
激しい金属音が響き渡る中、ただ1人ぶつぶつと何か言っている。
「俺に最初で最後の力をくれ。神剣火雷神一度でいい我に力を!!」
地面にできた魔法陣の中央から神々しい神剣が顕現した。
「うおおおおっ!」
その剣を抜き、上に掲げ、力を貯める、
それを見たミュートは全力で逃げようとするが、
「逃すかよ、お前はここで確実に殺す」
ラインハートは邪魔をして逃げることができない。
「我に力をもたらし給え終焉の爆破」
一気にミュートに接近し、それと同時にラインハートはスイッチしてバックステップで後ろに下がる。
そして振り下ろされた一撃、今までの轟音よりさらに大きな音でこの場全てを消し去り無の場所と変えた。
ミュートはラインハートの目の前に倒れ、死んでいた。
ラインハートは終焉の爆破の対象外だったため無傷で、ミュートとの先頭の傷だけが残った。
ルーカスがいない、どこにもいない。
少し離れた無の場所に仰向けになって倒れた目に生気の無いルーカスがいた。
「大丈夫か?」
慌ててラインハートが回復魔術を使うが効果が全く無い。
「…………」
下を向いて涙をこぼした時、ルーカス目が動いた。
「リーダーが1番最初に死んですまなかった、、と、」
まだ何か言おうとしてたその瞬間ルーカスは死んだ。
数十分、無の場所を彷徨っていると、ついにポータルの出口を見つけた。
その瞬間もう二度とルーカスには会えなくなると、思い、ラインハートの目には何故か涙が溢れていた。
場所を印つけながら、ルーカスの所に戻っていた。
「帰りましょう。2人で」
返事のするはずのないルーカスに声をかけ、背負い、涙を拭い、ポータルを出る───
ポータルを出ると陽の光が当たって眩しい、日陰に移動し、ポータルが開くのを待った。
数分後ポータルは時間通りに開かれる。
今回は顔を作り、完璧な表情を作る。
ポータルに入ると、前の様な歓声は全く聞こえず、無数の拍手が送られた。これはラインハートだけでなく、背負っている、ルーカスに贈られた拍手だ。
そこには3人の姿もあった。
全員泣いていた。
大粒の涙で、
それを見て、ラインハートは作った顔を崩し、静かに泣いた。
最高指導室にて─────
「ありがとう連れて来てくれてありがとう」
最高指導者にはずっとありがとうと言われ続け、ラインハートはずっと「守れなくてごめんなさい」と謝り続けた。
扉を閉めると、3人が待っていた。
無言でクラリスが抱きしめて来た。
クリスは大泣きで子供の様だ。
リューも耐えようとはしているが、涙を堪え切れていない。
「悪かった。」
「いいのルーカスさんも多分今私達を見てくれているから」
とクラリスが言うと耐え切れなくなったのかクリスも声を出しながら抱きついて来た。
「ラインハートさーん良かった生きてて良かった」
ラインハートが上を向いて、
「ルーカス、これがお前の望んだ最後だったのだな」
と涙を含んだ笑顔を見せた。
~fin~
この1週間後にルーカスの葬儀が行われ、隊員全てが参加し、非番となり異例の日となった──────
終焉の爆破
一振りで剣が壊れる。
対象者を指定し、その対象者と終焉の爆破の使用者のみに攻撃が入る。
用事の無かったクリスとリューにも何やら2人に託された依頼とやらが来たので、ラインハートとルーカスの出発には皆顔を出す事ができなかった、、、
─────任務当日
「そろそろですかね?ルーカスさん、ラインハートさん大丈夫ですかね」
任務中にも関わらず、2人のことが心配で集中していないクリスに
「集中だ、あの2人なら心配ない。5人の中で戦闘モードのあの2人のコンビが1番つえーからな」
「そ、そうですよね」
クリスはリューの方を見るが、リューは全くクリスの事を見る事なく、任務に没頭していた。
それを見て、クリスも自分の今すべきことをし始める。
小声で
「生きて帰って来てください」
とか細いリューの声が聞こえたのは気のせいだろうか、
「じゃあ向かうか、」
今回はポータルで入口直前まで転移するのは極めて危険であるとして、少し離れたところを転送場所に設定したために、本来の予定より少し早めに2人は動く。
周りにも関係者数人しかいない。
「ラインハート、緊張してんのか?」
「いや、全然、でも夜寝れなかった。」
「奇遇だな!俺は快眠だった」
全然奇遇ではない、真逆だ。2人とも高難易度の任務には何度も挑んだ事もある、実績も十二分にある。
しかし、ラインハートに関しては対人は初めてだ。少し気負いがあるのかもしれない。
それに勘づいたルーカスが、ガシッと肩を組む。
「お前は俺に任せとけ」
「大丈夫ですよいつも通りやるだけです。」
「お前はなあ、少しくらいこの最強である俺に託しても良いんだぞ」
「信頼はしていますよ、何度も助けられてますし」
「そうかそうか なら心配はいらんな」
ルーカスはラインハートに対しては少し他の3人と話している時より楽しそうに、、いや、嬉しそうにしている。
「ポータルが開きます」
音を立て、ポータルが開く。
開戦の狼煙となるかの様に、大きく、
入る時2人は互いに見合い、前を向き、強く、頷いた。
その時────
「ま、待ちなさああい」
この声は間違いない、クラリスの声だ。
この時間に間に合う様に全力で走って来たのだろう。こんなに息を切らしているクラリスを見た事がなかった。
そして、ハアハアと呼吸を整えながら。
「絶対に帰ってこいよ、これは私じゃない、あいつら2人の願いだ」
「ああ勝って来るぞ俺等2人は絶対に!!」
「心配いりません、これは2人の総意ですから」
少し2人はクラリスの言葉の解釈を間違えている様だが、笑って見送る。
「………………私も連れてけー」
「え?」
ポータルが閉じる。
ポータルから出ると外には3人いた。
「どうしてここに来た、2人しか入れないと言っただろう!」
「良いじゃん、目の前までくらい、ついて行っても」
ルーカスは呆れた顔をしながら下を向いた。
ラインハートもやれやれと表情をし、ポータルに入らないならと同行を許した。
向かう時は歩きで向かっている。
無駄な体力を消費しないと同時に戦闘への集中力を高めるために、なので、クラリスも付いて来たはいいものの全く話さない。これが最後の物語かもしれないと言うのに、
しかし、ここで話しかけると何で言われるかが目に見えているので話す事はなかった。
少し歩いたところで、
「集中のところ悪いんだけど、自分語りしていいから、無視していいからさ」
「無理」
ルーカスは速攻で拒否した。
断る言葉さえ、出来るだけ短くしている。
「私はさ、ここに入るまで、ずっと1人だったの、任務中の時も任務外作業も1人だった。昔から性格のせいで人から避けられていたのは分かってた。でも自分は自分でいたかったから曲げなかった。それでついに私は任務の途中で魔力使用過多で体が動かなくなった。誰も助けてくれなかった。そこで気づいたの、私、利用されてたんだって、でも違った。」
クローシス隊員としては優秀であったクラリスは他の隊員に使わされていたと話した。
言われた通り2人はクラリスの話に聞くそぶりすら見せない。それでもクラリスは続けて話す。
「貴方達が私を助けてくれた、守ってくれた。そして、その任務が終わった後「俺たちとチームを組まないか?って」言ってくれたの、今でも覚えてる、使える奴じゃなくて、私、クラリス・アクロディアを仲間として受け入れてくれた貴方達2人が私は今もずっと好きだった。」
上を見る事で涙を流すまいとしているが少し溢れてしまっている。
「だから、私と約束して、ミュートをぶっ倒して、またポータルに入りませんか」
もう涙を堪えるのをやめたクラリスは歩くのを一度止め、正面を向き、2人に大声で感謝を伝えた。
2人は振り返る事は無かったが、確かに見えた。
ルーカスが小さく首を縦に動かしていたのが、、
ラインハートが腕を少しだけ後ろに差し出し、「任せとけ」と言わんばかりに合図をしたのが、、
それを見たクラリスはもう一度大声で───
「負けるな!絶対に負けるなぁ!」
と叫んだ。
それに対して、2人は振り返り
「「うるせーな!!」」
と言って、後ろを向いた。
しかし、前を向いた2人が小さく、「ありがとよ」と小さく呟いたのをクラリスの耳にはしっかりと届いた。
クラリスはそのまま歩く事やめ、2人の姿が見えなくなるまで、立って見守っていた、、
2人はようやくポータルの近くまで着く。
すると、親子がルーカスに握手して下さいとお願いする。
クローシス隊員はあまり知られていない存在だったが、
KING novaは一般の人も知っている人気なチーム。ましてはそのチームのリーダーともある存在。
しかし、ルーカスは自分で何もしないで、周りばかりに寄生する様な人間がいくら子供であろうと1番嫌い。
なのでここでも当然の様に無視する。
しかし子供が泣き出してしまう。これもさらにルーカスが嫌いなタイプだ、泣く事で全て解決してしまうからだ。
当然泣かせたルーカスに母親は怒ろうとする。
それに勘づきすぐにラインハートは
「悪いなチビ、この人はこう言う人なんだ。代わりに俺が握手してやる。」
とラインハートが子供に手を差し出す。
それを子供は拒む。
この年齢で人を選ぶとなると流石のラインハートも参ってしまっている。
「お母さんペン持ってますか」
「ええ」
ペンを子供の母から借り、何かに書き始めた。
「仕方ないな、これやるよ、俺等のチームのタオルだ。俺は2枚持ってるから、一枚やるよ」
注意を怠らない事が奇跡的に功を奏し、上手くこの場を回避した。
子供もこれには嬉しそうになって母親と一緒に帰って行った。
少しハプニングもあったが、ポータルが見えた。
別に見た目は普段と何の変わりもない普通のポータルだ。
何の躊躇いもなく2人は入って行った。
「やはり、情報通りだな」
「ええ2人まででしたね」
情報通り、ポータルは2人が入った瞬間衝撃波と共に閉じられた。
少し歩くと、偵察部隊の服を着た人2人と戦闘員2人が死んだ姿で発見された。
「せ、戦闘員も」
「ああこの2人のクランが初めにポータルに入ったらしいからな、聞こえるか?」
この戦闘員2人がミュートと遭遇してしまい、通知が出来るところまで死ぬ気で逃げて来て伝えたと言う。
「こちら本部聞こえています」
「戦闘員2人、偵察部隊2人の死亡を確認。我々戦闘体制に入る。補助を頼……」
「………ルーカスさん?ルーカスさん?聞こえますか?」
隊員達の死体を少し通り過ぎ、モンスター10体が現れたと同時に、本部との通信が途切れてしまう。これで援護をしてもらう事すら出来なくなってしまった、しかし、最強の2人そんなアクシデントを気にする事なく戦闘体制に入る。
「ラインハート、通信が切れた。恐らくこっちの通信障害だろう。厳しくはなるが、問題は無いよなあ」
「ええ、当たり前じゃないっすか」
2人はこの状況になって、さらに戦闘モードへと変貌する。
「召喚魔術炎剣」
「召喚魔術三連弓矢、」
ルーカスが剣を召喚し前衛にすぐさま立ち、後衛にはラインハートの弓矢で補助をする。
「ここは極力、魔力は温存だ。矢を放ちすぎるな!俺が全て斬る」
戦闘モードになったルーカスは今までより、数十倍も逞しい。背中からは最強の覇気を纏っている様で、一切の隙が無い。
言葉の通り、目の前の高レベルモンスター(ヴォールザムス)を難なく斬る。
ラインハートは矢を一度も引く事なくこの戦闘は乗り切った。
「お前もここは剣に持ち替えたほうがいいな、」
「そうだな、深緑剣」
そう言われて、ラインハートは弓矢を手放して剣を召喚する。
「聞こえます、敵襲です。右に4左に5、上に8ですここは俺が一撃で仕留めます」
「分かった任せる」
と言って、ラインハートは持っていた剣を深くまで突き刺した。
すると周りの壁や天井全てが揺れ始め地面が割れる。天井すらも真っ二つだ。
「解除」
解除の合図と共に剣を抜くと揺れも止まった。
全てのモンスターが真っ二つになって上から落ちて来た。
そんなのは無視してさらに前へ進む。
「敵の気配がしないな」
「ええ、もうミュートまで近いかも」
「気を引き締めるぞ」
その予想は見事的中し、この先モンスターは現れなかった。
そのまま順調に進んでいたら、少し開けた場所に辿り着く。
「ここ広いなぁ、」
「ラインハート!横に跳べ」
「え?」
ズドンと轟音が響き渡り、上から何やら人間らしきのが降りて来る。
「おーおーよく避けたね 凄いな凄いな。流石この俺に挑みに来るだけあるなあ」
「うるせーミュートお前と話に来たんじゃねーんだわ
悪いけど速攻で勝たせてもらうぞ」
「相変わらず威勢だけで、俺の前で仲間を救えなくて、一人でも俺に敵わない奴が何を言うことか」
この救えなかったは恐らく最高指導者の事だろう。
当時のルーカスはミュートは危険対象として見做していなかったのだろう。
「おいおい、あん時の1人俺とは同じにされちゃ困るぜ、今の俺には最初の時と同じ位の、いや、それ以上の最高の相棒がいるからな!!」
「爆烈波」
ルーカスは先制攻撃を仕掛け剣を振るう、流石に距離が少し離れていたこともあって、ルーカスの攻撃は2発とも当たらなかった。
しかし、ミュートの首には薄い切れた傷がついた。
「何?」
「俺にばっか気を取られてると、死ぬのはお前の方だな」
勝ち誇ったかの様に笑うルーカスの横には魔法を放った、ラインハートの手があった。
「やるじゃねえかお前、名前は?」
「今日死ぬやつに名乗るバカがどこにいるんだよ!」
と言ってさっきモンスターを倒した時の様に地面に剣を突き刺し、地面を揺るがす。
「ルーカス、前へ援護は俺がする!」
「ああ、戦闘開始だぜ!」
「召喚魔術聖霊の書」
魔力で錬成された一冊の分厚い本をラインハートが創り出す。
「仲間に支援をパワー強化スピード強化」
「ありがとよラインハート、」
スピードが強化されたルーカスは一気に走る速度を上げ加速する。
そして上に勢いよく飛び上がる。
そこに素早く、ラインハートが、浮遊の強化を与え、剣を投げる。
意表をつかれたミュートはギリギリで剣を避けたが、
「炎球!!」
手から炎を出し、強化のかかった重い一撃を放つとミュート大きく崩れる。
「ぐっ」
「暇を与えるなラインハート押し切るぞ」
「分かってる 核爆雷」
ラインハートは大きな雷の爆発をルーカスを信じて出す。
攻撃の煙幕で数時、時が止まったかの様に思えたが、ミュートのほんの僅かの音を聞き取り、ルーカスが剣を取り出し、斬りかかる──────
煙幕が上がるとラインハートの目に入ったのは、左腕の消えたルーカスの姿だった、、、
「何故、こんな事になった」
「危ない危ない、君たちの事を危険対象していた悪かった。たった今、2人の事を危険対象解除してあげよう。まあルーカスの方はもう駄目そうだけどな」
ミュートは勝ち誇ったかの様な笑みと笑いを2人に堂々余裕の表情を見せる。
バックステップで素早く一時撤退した、ルーカスが、
「悪い、しくじった、いつも大事なところで俺はミスをする」
「ねえリーダー、今謝罪した?」
「???」
「俺たちの間には謝罪の言葉は必要なのか?必要なのはそんな言葉じゃねえ、俺はそんなルーカスについて来たわけじゃねぇ!!!」
「………」
「言っただろ、あんたが前にさ「俺は1人なら最強で、お前となら完全無欠だ!」って、撤回するよあんたも俺も1人なら弱い欠点だらけだ、はっきり言って弱い!でも2人なら、、この世には2人以外存在しない唯一無二!!天下無双の存在だ!!!!」
「………!そうだな、弱かったんだよな俺は」
「弱さを自覚したからこそ強さってのは実感できるんですどうですか?今の自分は」
「最っ高だ!」
2人はミスすることなんて多くあった。
小さなミスなんかラインハートは数え切れないほどしていて、そのたびにルーカスが助けていた。
大きなミスは大体ルーカスだったが、それをラインハートは持ち前の万能さでカバーしていた。
2人は1人では荒削りだが、揃えばどんな敵でも負ける事は無いそう思っている。
「立ち止まってていいのかよ」
待ってくれるわけもなくミュートもド派手に攻撃を繰り出してくる。
「氷の鉄鎚」
上空に大きな氷の壁が作られた。それが落ちてくる。
(範囲が広い、俺だけなら逃げれるかもしれんが、片手に傷を負っているルーカスが間に合わない可能性があるかもしれんななら!!)
「ルーカス!逃げるな岩の城壁」
大きな衝撃がかかり大きな音を立てる。
「死んだか、まあ暇つぶしにはなったか」
「誰が死んだって言った」
「い、生きてるのか」
生きていた、2人とも、ラインハートが両手を地面につけ、頭の上に岩の城壁を建てた。
これは、普通の人なら考えもつかない、
「逃げると考えなかったのかお前は」
「あ?俺だけ逃げてどうすんだよ守るに決まってんだろ相棒なんだからよ」
戦闘モードのラインハートも大概頭のネジがぶっ飛んでいる。
対人が初めてだとは思えないほどに躊躇がない。
それより心配なのはルーカスの方だ。
いつもよりと言うか、今、最高に覇気が無い。
「フッ 流石は最強の俺様の相棒だな」
「当然」
この人のこの一言で完全に覇気のオーラが完全復活した、
「ここからが」
「最終決戦だ!」
──────最終決戦
「面白い、最高に面白い、俺は今最高に幸せだ!」
「氷銃!!!」
窮地に立たされているのにミュートは嬉しそうだ。
ミュートも2人と同様に戦闘モードに入ってネジがぶっ飛んでいる。
「ラインハート、少し時間をくれ俺が決める」
ラインハートはその大きな背中を見て、断るなんて選択肢など無かった。
「リーダーの命令だ、従うよ防御魔法」
初級の魔法なのに、そこら辺の今日魔術と同じかそれ以上の火力が出ている。
しかし、フル防御のラインハートの防御魔法を破る事は出来ない。
そしてとうとう時間が来てしまった。
「ありがとう時間だ」
ラインハートは防御魔法を解除し剣を握り、接近戦を挑む、
「俺に?近接戦お前中距離のくせに陽動か」
まあ大半の奴はそう思うだろう、しかし万能型のハンターを舐めてはいけない。
「俺は万能型なんでね距離とか関係ねーんだわ」
激しい金属音が響き渡る中、ただ1人ぶつぶつと何か言っている。
「俺に最初で最後の力をくれ。神剣火雷神一度でいい我に力を!!」
地面にできた魔法陣の中央から神々しい神剣が顕現した。
「うおおおおっ!」
その剣を抜き、上に掲げ、力を貯める、
それを見たミュートは全力で逃げようとするが、
「逃すかよ、お前はここで確実に殺す」
ラインハートは邪魔をして逃げることができない。
「我に力をもたらし給え終焉の爆破」
一気にミュートに接近し、それと同時にラインハートはスイッチしてバックステップで後ろに下がる。
そして振り下ろされた一撃、今までの轟音よりさらに大きな音でこの場全てを消し去り無の場所と変えた。
ミュートはラインハートの目の前に倒れ、死んでいた。
ラインハートは終焉の爆破の対象外だったため無傷で、ミュートとの先頭の傷だけが残った。
ルーカスがいない、どこにもいない。
少し離れた無の場所に仰向けになって倒れた目に生気の無いルーカスがいた。
「大丈夫か?」
慌ててラインハートが回復魔術を使うが効果が全く無い。
「…………」
下を向いて涙をこぼした時、ルーカス目が動いた。
「リーダーが1番最初に死んですまなかった、、と、」
まだ何か言おうとしてたその瞬間ルーカスは死んだ。
数十分、無の場所を彷徨っていると、ついにポータルの出口を見つけた。
その瞬間もう二度とルーカスには会えなくなると、思い、ラインハートの目には何故か涙が溢れていた。
場所を印つけながら、ルーカスの所に戻っていた。
「帰りましょう。2人で」
返事のするはずのないルーカスに声をかけ、背負い、涙を拭い、ポータルを出る───
ポータルを出ると陽の光が当たって眩しい、日陰に移動し、ポータルが開くのを待った。
数分後ポータルは時間通りに開かれる。
今回は顔を作り、完璧な表情を作る。
ポータルに入ると、前の様な歓声は全く聞こえず、無数の拍手が送られた。これはラインハートだけでなく、背負っている、ルーカスに贈られた拍手だ。
そこには3人の姿もあった。
全員泣いていた。
大粒の涙で、
それを見て、ラインハートは作った顔を崩し、静かに泣いた。
最高指導室にて─────
「ありがとう連れて来てくれてありがとう」
最高指導者にはずっとありがとうと言われ続け、ラインハートはずっと「守れなくてごめんなさい」と謝り続けた。
扉を閉めると、3人が待っていた。
無言でクラリスが抱きしめて来た。
クリスは大泣きで子供の様だ。
リューも耐えようとはしているが、涙を堪え切れていない。
「悪かった。」
「いいのルーカスさんも多分今私達を見てくれているから」
とクラリスが言うと耐え切れなくなったのかクリスも声を出しながら抱きついて来た。
「ラインハートさーん良かった生きてて良かった」
ラインハートが上を向いて、
「ルーカス、これがお前の望んだ最後だったのだな」
と涙を含んだ笑顔を見せた。
~fin~
この1週間後にルーカスの葬儀が行われ、隊員全てが参加し、非番となり異例の日となった──────
終焉の爆破
一振りで剣が壊れる。
対象者を指定し、その対象者と終焉の爆破の使用者のみに攻撃が入る。
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