無課金で魔王になったので静かに暮らします

カレス

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第7話 ステータス オープン!

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この出来事が起きて以来、俺は TAKIDAN の端にある自分の自由地区から滅多に他の地区へ外出することはなくなった。
ギルドに出入りもしないし、滅多に人とも会わない。
まぁそれでも良かった。ある意味、ゲームを始めた素朴な頃に戻ったのかもしれない。
やるとしたらソロで魔族討伐をたまに行うくらいだ。

ちなみに自分が所有していた最後のカタストロフ級兵装「ビックバンアロー」は、「開闢の書 全書」の発動でも所有権は俺のままで残っていたのが不幸中の幸いだった。

あれから「ビックバンアロー」はセキュリティを何重にも掛けて厳重にストレージへ封印した。
(実際に使うことはもうないだろう。完全なコレクタブルガジェットだ)

他のカタストロフ級兵装の四基が魔族側の手に落ちたことで、TAKIDAN のゲームバランスは以前よりもやばくなったとも言える。
しかしもう俺にはどうでもいい。

ルビアの狡猾さ、先見性の前に俺は圧倒的な敗北をしてしまった。
それも大観衆の目前で。

俺が重課金勢ということを運営も知っていたからこそ、BANだけは免れたのかもしれない。
悔しいし色々と思うことはあるのだが、ルビアの言う通りせいぜい課金でもしてここで細々と生きさせてもらおう。

まぁ、なんだかんだ言っても俺には居場所がここしかない。
逆にあの怪物魔王ルビアにあれだけ手を回させ派手な演出を打たせたっていうことは、それだけ彼女を苦しめたということにならないだろうか。
いやもうそういうことで納得しておこう。
そう納得しておかないともう色々辛すぎるし…

という俺にとって黒歴史の様な事件が半年前にあったばかりで、最近は気を紛らわすように課金やPC環境の強化に勤しんでいた訳なのだが。
今に至ってこの事態である。

その散々俺を弄んだ魔王ルビアが目の前、というか俺のゲーム内ホームにいる。

俺は半年前の悪夢を忘れようと努力してきたが、今は心の中からあの時の悔しさが沸々と湧き上がってくるのを抑えられなくなっていた。

あのパーティーで冒険した日々は完全に仕込みだった。
仲間との喜びや友情も全て嘘の産物だった。
現実世界では得られなかった素晴らしいあの高揚感も思い出も一瞬で儚い電子の塵となった。

その元凶がここにいる。
しかも何もできずにここにいる。
ぐふふふふ…

…いかん、少し落ち着こう。
俺は深呼吸してから、まずは魔王ルビアのステータスが開けるかどうかを確認した。

*ステータスオープン*

画面中央に黒い枠だけが表示される。
やはりダメか。
そう思った次の瞬間、文字列がゆっくりと上から表示され始めた。

Lv ー計算中ー
HP ー不明ー
MP ー不明ー
SP ー不明ー


「Lv 数値だけが計算中で、他の様々なパラメーターは全部不明か」
もし表示されたらラッキーくらいに考えていたので期待せずに眺めていると突然 Lv が表示された。

Lv 1200

「は」

「なんだこのデタラメな数値は!?」

「いやいや、これもバグの一つで本当は Lv120 なのが桁がひとつ多く表示されてるだけだろう」
「 TAKIDAN では敵も味方も最大 Lv120 までの仕様なんだしね」

そう考えるとやけに腑に落ちたので、ひとまずトイレへ。
用を足して俺は改めてステータスの確認を続けた。

Lv 2057

「まてぃ!」

俺は全力でステータス画面にツッコミを入れた。

「何勝手に増えてんだよ!! バグにも程があるだろうが!!」

そう言ってる目の前で表示がどんどん変わっていく。

Lv 3139

「すいません、ちょっと待ってください」

俺は焦った。こんなバグ見たことがない。
いや、バグというよりむしろ何かのウイルスにかかったみたいだ。

それに俺の背後に設置されているクソデカ自作PCの稼働音がいつもより大きい気がする。
水冷パイプだけでは冷却できない場合に稼働する強制冷却ファンの回転数がやけに上がっているのだが…

俺は急いでPC診断ツールを起動して顔面蒼白になった。
全てのCPUコアの稼働率が異常に高くなっている。
通常は負荷をかけても多くて3~40パーセントほどしかない数値が今はほぼ99パーセントだ。

何が起きているんだ。やっぱりウイルスか!?
TAKIDAN サーバーにウイルスが仕込まれて俺はそれをダウンロードしちまったのか!?

もう一度、ステータス画面を確認するとそこには絶望的な数値が表示がされていた。

Lv 9999!
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