無課金で魔王になったので静かに暮らします

カレス

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第12話 用法・用量は正しく守りましょう

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ルビアが自分以外を回復させる手段を持ってはいない、ということは魔王ルビアは他のメンバーと共闘する必要が無いほど強く、当然ながら敵を回復させる必要もないという設定なのだろう。

いやそれでも回復魔法の代替になりそうなスキルや何かはある筈だ。

それにここで人殺しをしてしまったら、俺はゲームの中でも罪人になっちまう。
それだけはごめんだ!

諦めずステータスの隅々まで確認し、最後にメニュー最下層にあったストレージを開けて何か使えるものがないかを探した。

「は?」

「ちょい待て! なんじゃこりゃ!!」

そこには何とカタストロフ級兵装五基が収納されていた。

俺から半年前に所有権が奪われた四基と、最後まで俺が持ってた筈の一基。

何で全部のカタストロフ級兵装がここに集まっている!?
しかも所有権は全てルビアに書き変わってるし!?

と、とりあえず謎解きは後だ!

俺はカタストロフ級兵装の「エデンの不死泉」をストレージから出して冷たくなった爺さんに向けて起動させた。

すると爺さんの身体がたちまち美しい天国の様な光に包まれて奇跡が起きた。
光の中から神々しく復活した爺さんはゆっくりと立ち上がり感謝の雄叫びを上げた。

「みなぎっちゃうーーー!!」

よく見ると、爺さんの首から下だけ筋肉隆々でまるでボディビルダー大会優勝者のそれである。

復活した筋肉爺さんはそのまま叫びながらどこかへ全裸で走り去ってしまった。

何がみなぎっていたのかよくわからないがとりあえず元気に復活… というかやばい、ちょっとコントロールミスった。
元々強力なカタストロフ級兵装はルビアの魔力の後押しであり得ない強さになっているらしい。
今後、魔法も含めて扱いには注意しなくては…!

俺は何も見なかった事にして他の村人や冒険者たちの回復を完了。
元の状態よりもHPを多少高めに回復しておいてあげた。俺やさしい!

「エデンの不死泉」も用法・用量を正しく使って微調整すれば、通常の回復魔法や回復ポーションと同等の効果にはなるようだ。
強めにかけちゃった爺さんはどっかいっちゃったけど、まぁそのうち元気に戻ってくるだろう…

さて、まだ怯えが止まらない村人や冒険者にこれ以上刺激をあたえてはいけないし、なんか俺の格好も魔王にしてはアレだし、さっさと立ち去るとしよう。

「え、えっと、じゃ他言無用で!」

そう言うと俺は呆気に取られている人間たちの視線を避けるように自分の自由地区へ飛ぶことにした。

マップ上で記載がある地域へは自動で飛んでいける筈!
マップを開き、住み慣れた自分の自由地区をサーチしてタップ。

その直後、背中から黒い翼が展開されたかと思うと、月ロケットの様な勢いで俺は地面から離陸した。

地上ではさきほどの人間たちが離陸時の爆風で50mくらいコロコロと吹き飛ばされている。

「あ、やばっ… またやっちまった! あれほど魔力の扱いは慎重にって思ったのに」

「HPを多少高めにしておいたから… き、きっとだいじょうぶ! 許して!!」

俺は空中で速度をあげて逃げる様にその場を飛び去った。

そして数秒後には自分の自由地区に降り立っていた。

「あぁ… やっぱりか…」

そこは何もかもが整地され、地面には無機質な灰色のスケール表示が格子状に刻まれていた。
そしてその真ん中には赤文字で書かれた「差し押さえ済」の看板。

「間違いなく完全に俺のアカウントは消え去ったんだな」

こうした形で目にすると、追放という現実がゲーム画面よりも生々しく伝わってくる。

何もなくなった平坦な土地で俺は天を仰いだ。

「俺はいったい何者なんだ」

「アキオなのか ルビアなのか それとも…」

もう一度、ルビアのステータス画面を開く。

Lv9999のままだ。

しかもカタストロフ級兵装五基をストレージに所有。

ステータスを見なくても自分自身のコアに渦巻いている魔力が異常に強すぎるのを感じる。

それにさっきの戦闘で薄々感付いたけど、魔力を行使するときに俺の家にあるクソデカ自作PCとこの身体がリンクして、PCの超高速演算処理能力が流れ込んできているようだ。

そう考えると、召喚直後のルビアのLv値がバカみたく上昇した時、自作PCの稼働率がMAX近くに跳ね上がったのも理解できる。

どうやら俺の作った自作PCの怪物級パワーとこの身体は連動しているらしい。

しかしだからどうしろと…

「はぁぁ… 」

おもわずため息が洩れる。
それがルビアが呆れてつくため息とそっくりだったので俺は苦笑いをした。

確かに俺はルビアに転生したのかも知れない。
ただ、彼女が何を考え、何をしようとしていたのかまでは知る由もないのだ。
あまりある強大すぎる力を待たされたまま、TAKIDAN という異世界にビキニアーマー 一丁で放り出された俺。

「うん、何もかも疲れた! もう限界!!」

この時、俺はもうどうでもいいからどこかで静かに暮らそうと決心した。
もしここが俺の知っている TAKIDAN であるなら… だけど。

メニューのマップ機能で現状を確認する。
「あぁ よかった! メニュー操作や機能もゲームと大体同じだぞ」

マップを広げて現在の TAKIDAN 概要一覧を表示した。
そこで自分の知っている TAKIDAN と情報を擦り合わせしてみる。

* TAKIDAN 概要一覧 *

■TAKIDAN
現実の北海道と同等の面積を誇る大陸。
魔族と人間族が混在。
大魔王をトップとする魔族が人間を支配下に置いている。

■魔族
TAKIDAN 上空の魔王城にて治世を行い、魔物を使役する。
大魔王、魔王、四天王、その他の魔族と魔物で構成され TAKIDAN 世界の支配層。
TAKIDAN 各所に魔族領が存在しているが、人間族との交流はなく、あくまで上位の存在として君臨する。

■人間族
TAKIDAN 各地に人間の国を作っている。
二大勢力のブレスマス帝国とエルガナット皇国はお互いに争っており、この二国以外は小国家で形成されている。
小国家は一部を除いてどちらかの大国と同盟関係を結び存続している。
人間の国は、その大小に関わらず近隣の魔族領から侵攻を受ける場合がある。
そこで魔族や魔物を討伐してある程度のポイントが貯まると、大魔王から勇者認定を受け自由地区を拝領できる。
魔族は自由地区へ侵攻することが出来ない設定の為、商売や安住の地として自由地区の人気はあるが、定期的に開催される防衛戦で三連敗すると自由地区は返上となる。

■人間の二大国

・ブレスマス帝国
軍事国家ではあるが民衆の自由度は高く経済が発展している。
魔王城が領土上空に常に滞空している。(浮遊しているがほぼ座標は固定)
前国王が病死後、ストレゴフ摂政が国政を司る。
前国王の息子アレン王子が半年後に成人した時点で新国王に就任予定。
+(ストレゴフ摂政は次期国王に自分の長男を据えたい為、アレン王子の抹殺を画策している)

・エルガナット皇国
絶対神への信仰を基盤とする封建国家。
絶対神と意思疎通が出来るというヘルゲント家が代々国政を司っている。
領土内に魔王城があるブレスマス帝国を敵として認知している。
+(ヘルゲント家は絶対神=運営という真実を知っており、いつか運営の圧倒的な力を利用して魔族を滅ぼし TAKIDAN の支配者になることを画策している)

■この世界の神
絶対神が存在するがその名前を誰も知らない。
その御使としてさまざまな天使が TAKIDAN に出現することがある。
代表的なのはアキラスと呼ばれる自動飛行物体、ジーゴンと呼ばれる自動人形など。
名前や特徴が未確認の天使も多い。
その殆どが人間や魔族以上の力を有しているが、TAKIDAN 非常時(外部攻撃やテロ発生時)以外は全く干渉してこない。
+(ヘルゲント家だけが絶対神の名=運営であることを知っている)
+(運営という存在は「神」などではなく、実はただの「人間」だ)
+(恐ろしいことに我々魔族は人間に支配されているだけの玩具にすぎない存在なのだ)

……

なんだこれは!!
途中から書き込まれている追記「+( … )」の内容がおかしい。俺の知らないことも書いてある。
というか誰がこの概要に追記を… ってルビアしかいないか。
彼女が調べて追記した内容が残っているっていうことか!?
ということはルビアは一体、どんな目線からこの TAKIDAN を見ていたんだ!?
そもそもあいつ(俺)は一体どういう存在なんだよ!?

「あぁもう!」
限界いっぱいいっぱいになってた俺は頭を抱えて気がついた。

赤いレーザー照準光が自分の頭部にロックオンされていることに。
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