8 / 44
第8話●孤児院
しおりを挟むレテは喜んでくれたけど僕は伯爵家に戻るつもりはないんだ。
せっかく貴族の束縛から解放されたのに嫌なこった。
弟のニルスはまだ鑑定の儀は迎えていないけれどジョブは魔法師だしMPも120ある、ちゃんとした天才魔法師だ。
僕は転生者だし他の人のメニュー表示が見えてしまうんだ。
僕は偽名を使っているので僕が孤児院にいて学園に行くのを知っているのは父とレテぐらい。
父は僕の性格をすごく理解しているので僕が魔法師を使えるようになったからって伯爵家に戻す様な事はしないと思う。
レテは僕に爵位がないと嫁げないから他の貴族と縁組するんだろうな。
「で、なんであんたたちそんな服着てんの?なにこの食べ物?ここ孤児院じゃないの?」
子供達はレテルティアをぽかんと見ている。
だから、なんでレテがここに。
「あー。ふうう。」と僕が答え始めるとレテが代弁する。
「え。これが普通の平民の服ですって?結構動きやすいから好き?みんなの分も作った?」
子供達がコクコクとうなづいている。
「ちゃんと王族御用達の腕の確かな仕立て屋さんで平民の普通の服を作ってって頼んだから間違いない?ふーん、そう。」
「袖口や襟周りのフリルを肌触りのいいシルクにした?」
「金糸で模様も入れたからかわいいでしょう?」
「どこの平民の孤児がこんな服を着ているって言うのかしら?」
この孤児院には10人の孤児がいるのでみんなの分に洗い替えも含めて100着ぐらい作った?
もう意味がわからない。
「平民の服なので結構安かった?金貨を300枚も払って安かったの?」
「それでなにを優雅に食べているのかしら?」
「今日はカルナガリア料理のフルコース。サンドワームのエウルチグ風グリル。絶品ですって?」
「凄腕のシェフを雇ったって?」
「みんなも美味しいって喜んでいる?」
「なに言ってんのよ、どこの孤児がピカピカのシルクの服着てカルナガリア料理を優雅に食べてんのよ。」
心配してお菓子や料理を持って来た私の立場はどうなるのよ。
「僕は『あうあう』としか言っていないんだけど。」
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
10
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる