Lv.1の少女勇者とショタ賢者の異世界冒険記

yahimoti

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第57話 フェレス

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「あっ、あれ?か、体が言う事をきかない。」

ウェストコット侯爵の体がグニャグニャと変形を始める。

「や、約束と違うじゃないか。」

「おまえが侯爵になりたいと言う希望はとうに叶えたけれど?」

「いや、侯爵になって権力を持つのは俺の夢を叶えるための経過に過ぎない。」

だんだん聞き取りにくくなってきた。

「神を降臨させ、勇者や魔王に右往左往しなくても良い世界を作るのだ。」

「神ならすでに降臨しているぞ。」

フェレスがふふふっと笑う。

「どこに....。神がいると?」

答えてもすでにウェストコット侯爵には聞くこともできないだろう。

ウェストコット侯爵の体はドロドロに原型を失ってしまう。

そこに黒いドレスを着た子供が現れた。

「やっぱりフェレスなのね。」

「人間ってバカね。私達を呼び出して何か出来ると思っているのかしら。」

「でも、そこに付け込んで人の魂を奪うのね。」

ジュノツマルヤは言う。

「悪いとは言わないけど。」
 
と肩をすくめる。

神に善悪を当てはめることなんて出来ない。

「私の用事は済んだわ。」

「バカな男の希望を叶える為の貢ぎ者として沢山の無垢な魂とその恐怖と絶望を頂いたし。」

フェレスは嘘をついてはいない。

人がどう思おうとフェレスも神には違いないのだから。

始めから出来ない望みなんだ。
人が神に何かを望むなんて。

神は気まぐれだし人に何かをしなければならない存在じゃない。

畏怖すべき存在なんだ。

「あっ、私はもう帰るわ。」

「あなた方は別に用事はないでしょう?」

すでにこの場に対する関心は失せてしまったようだ。

ぷいっと冷たい横顔を見せるとポンっとフェレスが消えた。

「あっさりしているのね、ムールのカレーぐらい食べていけばいいのに。」

アスタロトが呆れている。

オレはあんたに呆れるけどな。
とムールは思う。

ウェストコット侯爵だった血と肉のぐちゃぐちゃが冷たい石の床に広がっている。

どこからともなく沢山のネズミが現れてウェストコット侯爵も生贄にされた子供達も心臓を捧げた祭壇も真っ黒に覆い尽くして行く。

パエリ達が地下に降りてきた。

「ここもネズミだらけ。盗賊達は私が何もしない間にネズミに食べられちゃったわ。」

「こういう事はペトロニウスの仕事だから。」

ジュノツマルヤが当たり前のように言う。




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