そのAIゴーレムっ娘は猫とプリンの夢をみる

第57話 魔国チェルゴス温泉旅行

帝国の旅行会社おすすめの転移ポイントを出ると遠くに煙をあげている火山が見えてくる。
ここから温泉街まではゆるゆる移動して3日かかる。

今の旅行のトレンドはいきなり目的地に転移してしまうのではなく、旅行の風情が味わえる様に目的地の近隣までは転移してそこからはゆっくりと浮動機に乗って移動の楽しみも味わうと言うツアーだ。

今回もデルバート主任に新型浮動機MV2828ビークルを借りて来た。
これ中がゆったりしているから快適なんだ。

山間の棚田で働いたり、山林の手入れをする魔人族の人々と通りすがる。
景色のきれいな場所を教えてくれたり、山のきのこを分けてくれる。
ツノが生えているだけで人間となにも変わらない。

山道の少し広い場所を見つけてテーブルや椅子を出して食事やティータイムをとると通りがかりの魔人族の兄ちゃんやお姉ちゃんが果物をくれたり、獲ったばかりのレッドボアを捌いてお肉をくれたりする。

バーベキューセットをだして魔人族のお姉ちゃん、お兄ちゃんと一緒に食べる。

コージはさっぱりだけどマリタお嬢様やヘルミーネお嬢様のコミュニケーション力が旅を楽しいものにしてくれる。

そうして山道を進んでいくと山と山の合間に建物が見えてくる。
それが湯気に煙っている。

前世でテレビの旅行番組で見た温泉街の風情が出ていい感じ。

温泉街につながる街道をゆるゆると風情を楽しむ。

温泉街の入り口には鳥居の様なものが立っていて熱烈歓迎と大きな文字が書いてある。

その下には旅館やホテルの案内看板がたくさん立っている。

浴衣を着たお姉ちゃんが歩いている。

「温泉卵が売っているわよ。」ヘルミーネお嬢様が駆け寄っていく。

温泉まんじゅうもある。

売っているのはツノの生えた魔人。そりゃ魔国だから当たり前か。

えらく裾の短い浴衣を着たお姉ちゃんもいる。

客引きをしているのはサキュバス。
色っぽい。

旅行会社おすすめの高級旅館を予約してある。
温泉街の入り口までお迎えの車が来るらしい。

しばらく待つと大きなトカゲが客車を引いてやってくる。

「いらっしゃまっせー。この度は当三本角丸屋(さんぼんつのまるや)をご利用いただきたーいへんありがとうござまーす。」

さっきのサキュバスじゃん。

客車を引いているのはデザートサラマンダー。
力が強く大人しいので荷役などによく使われる。

こういう場所ではゴーレムが客車を引くよりも風情がある

旅館は何故か和風。

門から広い庭園を渡って本館に着き、トカゲ車を降りると従業員が並んで出迎えてくれる。

これ、絶対に転生者が関わっている。

勇者御用達って大きな木彫りの札が掛かっている。

サキュバスの中居さんが部屋に案内してくれる。
「猫じゃらしの間？」
まあ、いいか。

「大浴場と大露天風呂があるので先に入るといいだ。そのあいだに配膳しておくだよ。」

この辺の方言なんだろうか？ちょっと訛っている。

中居さんから言えば僕達が訛っているんだろうけど。