転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

文字の大きさ
30 / 117

第30話 スタンピード3

しおりを挟む

こりゃ落ち着くまでほっとくしかないな。

街道を何台もの馬車が連なるように走っているのが見えてきたと思うとあっという間に追い越した。

まあ、先に行って待っていてもいいし、と楽観していた。

前方にダリオスの街が見えてきた。

ダリオスの街はフエツの街の4分の1もない大きさだがミスリル鉱を産出するので結構栄えている。

露天掘りされた巨大な採掘場を取り囲むように街があり、さらにそれを取り囲むように防壁がある。

そろそろ地上に降りんとまずいなとは思うがムートは我を失ったまま暴走状態。

この場合暴飛行状態かな。

ダリオスの向こうに黒々と荒野を埋め尽くすように魔物達がいるのが見えてきた。

さらにまずい。

ムートは街を飛び越えると目に入った魔物達に向けてブレスを吐いた。

「こ、こらムートやめろ。」

わしは慌ててムートの頭をぺちゃぺちゃと叩く。

「え、え、なに、なに。キューっ」

とムートは我に帰ったのじゃがわしに頭を叩かれて脳震とうを起こして目を回してしまった。

ちょっと力かげんをまずったようだ。

ムートが制御不能になってぐるぐると錐揉み状態になって落ちてゆく。

わしは片手でレティシアをつかみ、もう一方の手で真っ逆さまに落ちていくムートの頭を押さえ飛行魔法で落下速度を落とす。

落ちている間にムートに人化させる。

そのままのデカさで落ちると衝撃で街に被害が出そうだし。

ワシ達は荒野の少し小高い丘の上に降りた。

二人は地面に座り込んでいる。

「ごめんなさい。ユウト。」

まあ、しょうがないね。

それよりもとてもまずいことになった。

ムートのブレスで魔物が全滅してしまった。

まあ、バハムートだし仕方がないね。

「ユウト、何がまずいの。スタンピードがなくなって良かったんじゃないの。」

「冒険者や騎士達は3日もかけてやってくるんじゃ。準備にもお金がかかっておるじゃろ。」

「着いたらもう終わってましたじゃまずいじゃろ。」

「冒険者も生活かかっているし騎士も面子があるから手ぶらでは帰れんぞ。」

「ちょっとは戦ったりドロップアイテムを持って帰らんとな。」

「ご主人様ー。ボクなんかやっちゃた。」

ムートが涙目になっている。

「ううん、ムートの逆鱗をわたしが触っちゃったからムートは悪くないの。」

レティシアもか。

「まあ、みんなが着くまで後2日あるからなんとかして見よう。」

「ご主人あてはあるのー。」

「そうだなー、ダンジョンマスターに頼んでみるかな。」

とりあえず大量に落ちているドロップアイテムは集めてインベントリにしまっておこう。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...