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第68話 帝国の興隆2
しおりを挟む「あなた、大賢者様よね。」
と話しかけてくる。
わしは聞こえないふりをしてうどんをすする。
「大賢者様よね。私はルチアナ。」
トップスターが「ルチアナ皇帝よ。」
と続ける。
「なんでそんなもんがうどん屋におるんじゃ。いくら変わったと言ってもやりすぎというかもはや変じゃろ。」
「あなたも変よ、誰も気が付かないと思ったの?あの時5万人の兵士達があなたを見ているのよ。」
「それにそんな貴族風の服を着たちっちゃな子供は一人で街を歩かないわ。そして決め手はそのどんぶりと箸ね。」
うどん食べてるだけじゃが。
「あなたがこの街に現れてすぐにみんな大賢者が来たってわかったわ。」
「それで帝国調査室からエイドガーに連絡が来たのよ。私は大賢者がどんな人なのか知りたいの。」
「大賢者様。今の帝国を見てどう思っているの。」
「先のことは分からないが今はすごく良いと思っているよ。」
「じゃがこの発展の陰でどんな弊害があって誰かが犠牲になっているのかはわからん。執政を行う者はこれからそういう事をなくして行くように心がけるのじゃ。」
「わしはあの時思い付きを話しただけじゃ。エイドガーこそがこの国の賢者だとわしは思う。」
ルチアナはわしを見てニッコリと笑う。
うーむ、良い表情じゃな。さらに美人さんじゃ。
「エイドガーに何を褒美としたらいいのかしら?」
「あのおっさんは国や民のために働きたいだけじゃ、ありがとうと言ってやればいいじゃろ。今は好きな様にやらせてやればいいのじゃ。」
「間違えたら?」
わしは黙って悪い顔をする。
「ひひひ。」
「ちっちゃいけどクソジジイなのね。」
わしとルチアナは大笑いする。
従者と思っていたトップスターは帝国調査室室長アーマークと名乗った。
街を案内してくれるらしい。
わしは島で会ったジナルトン管理官の事やロイス邸で見た冷蔵庫や掃除機、洗濯機の事を話した。
アーマークは元は軍属だったのじゃが今は通商省に属して主に市場調査をしているそうだ。
元々魔法師や錬金術師や技術者は軍事に特化して術や武器の開発をしていて存在自体が国家機密だったそうじゃ。
今は兵器のような殺人の道具ではなく生活に役立つものを自由に作れるようになったので嬉々として働いているらしい。
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