転生勇者の異世界見聞録

第92話 邪神ジェノツマルヤ3

「あーははは、ユールなんか行かせてもそれは探索じゃなくて遠足よ。」

「今頃みんなのお弁当やおやつの準備をしているわよ旅のしおりとかも作ってるかもね。」

大聖女エリミリアは大爆笑している。

「それでいいんじゃないの、勇者に頼んでも同じかもね。」

「お弁当とおやつ。いいわね、私にも持ってくる様に言っておいて。」

ぜーんぜんまともに取り合ってもらえない。

一緒に行ってやろうとかは全く考えてもらえない。

王はまたぐったりとして王宮に帰った。

で、フィリップがわしに相談する事になったのか。

フィリップには世話になっておるからのう。

非公式にならついて行っても良いと答えた。

邪神探索隊は騎士団の兵舎前に集合している。

探索隊は総勢で20人程、フィリップを含めて騎士は15人騎乗しての移動になる。

ユールと従者の二人と、わしは馬車に乗る。

後は馭者が二人。

探索隊長ユールは

「怪我しないでねとか無理しないで無事帰ってくる事。」

などゆるーい演説をして探索隊の緊張感をゆるゆるにする。

さらにお弁当やおやつの入った袋を配っている。

おやつの袋を開けて見るとバナナやせんべい、チョコレートなどの他に旅のしおりも入っていた。

今まではダリオスの街までは馬車で3日、城塞まではさらに3日かかっていた。

今はコスタドガル帝国が開発した転移陣を使えばすぐに着く。

出発点は王都の防壁の外にある。

以前帝国が侵略のために設置したものだ。

まずダリオスの街まで転移して調査を行い翌日城塞に転移する。

自分で直接城塞まで行く事も出来るが遠足気分を味わって見たかったのでフィリップと一緒に行く事にした。

王宮近くにある兵舎から防壁の外まで馬車に乗って移動する。

馬車に乗り込むと既にユールと従者が乗っていた。

ユールはそれが勇者の血統の現れなのかわしと同じく金髪碧眼。

体格はヒョロリとしている。

そしてイケメン、羨ましい。

さらに連れている従者は猫獣人族と兎獣人族。

かわいい。

さらに羨ましい。

「きみ、勇者だろう。ご先祖様なの？」

「わしは勇者のジョブを持ってはいるが過去の記憶がないからご先祖様かどうかはわからないのじゃ。」

ユールはじっとわしを観察する様に見る。

猫獣人族の方の従者が鼻をひくひくさせている。

「間違いないわ、あの勇者よ。ちっちゃいけど。ご先祖様と同じ匂いがするもの。わたしのご先祖様は勇者とメイラの子供なの。」

あっちこっちに子孫がいるんだな。
わしゃ知らんぞ。