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第101話 月祭り5
しおりを挟む「ユウトー。」
「ご主人様ー。」
ムートとリル、アサンが草原を走っている。
ああ、これはムートの記憶なのか。
青年が小さなムートの頭を撫でている。
これが勇者か。
20歳ぐらいだろうか。
金髪碧眼童顔なのか子供っぽさが抜けきらない。
見ようによっては女の子に見えてしまうだろう。
笑い顔はバカっぽい。
思慮深いとは思えない。
リルもアサンもまるで子犬の様に勇者にまとわりついてはしゃいでいる。
まだみんな子供の様だ。
ムートの遠い昔の記憶が呼び覚まされているのだろう。
王国の勇者召喚によってこの世界にきたユウトは初めから圧倒的な力を持っていた。
ユウトは自分が召喚でこの世界に来たとは思っていない様だった。
ギルドに登録して冒険者になってしまう。
ダンジョン攻略でレベルアップするのを面白がっていた。
王家の言う事どころか、全く誰の言葉にも耳を傾ける事はなかった。
王家の用意したパーティメンバーにもあまり関心はないようだった。
ムート達の役割は勇者の移動の為の乗り物の様だった。
勇者はムート達をペットの様に扱った。
ただ一方的に可愛がった。
いろいろなところに一緒に冒険に行ったり。
美味しいものを食べたり。
撫でたり。
一緒に走って、遊んで、眠る。
任務も責務もない。
しかし、それも唐突に終わる。
王家を亡ぼして新王朝を立ち上げた頃。
世界のシステムが変わり勇者の存在感が希薄になって行く。
この世界での勇者の役割が終わったのだろう。
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