僕らを残したこの世界で笑う

Ran

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プロローグ 偽りの仮面

2. 偽物

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 周りの子達はみんな悲鳴をあげている。泣きじゃくっている子いっぱいもいる。

 あたしも怖くて泣きそうになる。

  ゙非常事態のときほど冷静に。貴方は強いのだから何かあった時はみんなを守るのよ。゙

 あたしは魔術教室で先生に言われた事を思いだしてハッとなる。
 そうだ。こうゆう時ほど冷静に、冷静に。そう心の中で言いつつ深呼吸をする。

 煙が完全に消えてきて、犯人の姿がハッキリと見え始める。

 見てみると犯人は鬼族のもつ角を頭を2本生やしていた。
 けど、鬼族の特徴的な牙がない。
 犯人は鬼と人間のハーフ。つまり半妖。

「これなら…、勝てるかもしれない…」

 普通、どの種族と交わったか関係なくハーフになると、純血の種族の半分の力しか使えない。
 半妖なら鬼の本来の力の半分、人間としての魔術の力も半分しか使えない。けど、多くのハーフは片方の種族の力しか使えない事が多い。

 それなら青規員のあたし1人でもギリギリ倒せるはず…。

 この学校の魔術師で階級が1番上なのは青規員のあたし達。だからあたしが何とかしなくちゃ…。

 そう思い遠距離攻撃しようとすると

ドオオオオオオォォォォォンン!!

「きゃあああああ!」

 犯人が2発目の爆弾を爆発させた。

「君達さー、やかましいんだよ。うるさいヤツらにはお仕置きが必要だよねー? …よし、そろそろ始めるかー。」

 もう片方のメガネをかけた犯人がそう言うと半妖の2人が今までなかった牙をあらわにする。
 そして、 メガネをしてない犯人の方の体がどんどん大きく筋肉が発達していく。

「ウガアアアァァァ!」

 「まったく、もう少し小さい声にならないもの? 耳が痛いよー。じゃ僕もやりますかー。」

そう言い、もう1人のメガネをかけた方の犯人が両手を広げて空をむく。

「雷雲!」

犯人が叫ぶと体育館の中に雲が四方八方から集まってくる。そして大きな雨雲が出来上がった。
 
「いけ雷雲。こいつらやっちまえ。」 

 犯人がそう言うと雲がこっちに向かってきた。それと同時にゴロロロロロ! と大きな雷がみんなの元に何度も落ちる。
 雷が落ち始めたのとほぼ同時にもう1人の大きな体になった犯人がゆうに2mはありそうな大きいな金棒を振り回し、あたし達を攻撃し始めた。

 あの犯人達、実力を隠してたの…! 
 あの強さじゃ私だけじゃとても倒せない…。

 みんなさっきよりも比較にならないほどの大きな悲鳴をあげながら逃げ惑う。 もう大パニックだ。
 けど逃げても逃げても雲はおってくる。金棒をもった犯人も雲の下にいて何度か雷が落ちるが、犯人には効いていない。

 金棒で吹っ飛ばされて動けなくなっている子が何人もいる。雷に打たれて焼けてしまった子もたくさんいる。
 2人共、本当に楽しそうに笑いながらあたし達を攻撃してくる。

 これ以上はダメだ。このままじゃ瑠依にも被害が及ぶかもしれない。それは絶っ対に嫌だ。
 あの子はノンスキルだから自分を守る術もない。もうケガを負っちゃってるかもしれない。
 あたしは青規員なんだから、あたしが守らなくなちゃ…!

 それにこの状況じゃ他の青規員がどこにいるか分からない。…少し怖いけどあたし1人でやるしかない。
 あたしが攻撃に移ろうとすると急に肩をガシッと掴まれた。

「先輩!わかります!? 魔術教室で一緒の冬木っス! 先輩、青規員スよね!? なら一緒にあの半妖達やっつけましょ! 」

 肩を掴んできたのは魔術教室で一緒の冬木創ふゆきそうくんだった。この子も青規員の1人だ。
 2人いれば犯人1人を倒せるはず…。

「わかった、あたしが遠距離攻撃で犯人達の隙を作るからその間に冬木くんは犯人に近づいて攻撃して!」

「分かったっス!」

 あたしは息を吸い、両手を前に出し魔術を発動させる。

光弾こうだん!」

  すると、あたしの左手の紋章が青く光る。
 あたしが出したいくつもの光のたまが2人の犯人に一直線に向かって進む。
 そして犯人にあたって破裂する。

「ぐわああ!」「なんだ!?」

 衝撃で金棒を持った犯人が金棒を落とした。
その隙をついて冬木くんが金棒をもっていた犯人の背後に周り魔術を発動させようとする。

 上手くいった! そう思った矢先

「ちょーしのんじゃねー!」

 雷雲を操っていた犯人があたしと冬木くんそれぞれに向けて雲を飛ばしてくる。
 するとその雲から竜巻が起こり、2人共、体育館の後方に吹っ飛ばされてしまった。

「きゃあああああぁ!」

 吹っ飛ばされは衝撃であたしは全身を壁にうち痛みに悶絶する。隣で冬木くんの「ぐあぁ」と痛みに悶絶している声が聞こえた。
 痛さに耐えながら目を開けると少し遠くに瑠依がいるのが見えた。
 よかった、ケガはなさそう…と思って安心した瞬間、あたしはゾッとした。

 瑠依の目はしっかりと犯人を見据えてこの状況には全く似合わない冷静で冷たい目をしていたからだ。
 周りの人達に流されることなく、落ち着いた表情で立っている。

「ったくよぉ、大人しくやられてれば死なずに済んだかもしれねぇのによぉ。」

 ハッとして気づくと金棒をもった犯人があたしの前まで来ていた。
 もう1人の犯人も雲を出したままあたし達の方へ歩いてくる。

「ヒィッ…!」

「ひゃひゃひゃ、こりゃ傑作だぜ! いつも俺らをバカにして蔑んでるヤツらがこんなにも怯えてやがる! おもしろくてたまんねぇなぁ! じゃあ先にネェちゃんから行くか。じゃあな、おさらばだ!」

 そう言って犯人が金棒を振りかざす。
 死ぬ! そう思い、目をギュッと瞑った。

  その瞬間、キイィィンと何かを切り裂く音が体育館に響き渡った。

 恐る恐る目を開けてみると、犯人の金棒が粉々に切れていて、雲もシールドで包み込まれ雷が落ちないようになっている。

 「まったく、弱い癖に暴れ回って私の仲間を傷つけるなんて。ほんと愚かだね。」

 誰かがそう言うとパチンッと指を鳴らした音がなり、体育館のガラスがパリーーンと砕け散った。
 それが犯人に向かって一直線に進み、ガラスの破片が犯人たちを包むようにしてピタッと止まった。

「なっ…!」

 一瞬の出来事に犯人もあたし達も驚く。
 犯人達はガラスに囲まれ、身動きが取れない状態になっている。

「動かない方がいい。少しでも動いたらケガをする。もし首や頭にガラスが当たったら死ぬよ、愚か者。」

 そう言い、前方からコツ コツ と自然に歩き犯人に近づいてきたのは

「瑠依──…!」
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