僕らを残したこの世界で笑う

Ran

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プロローグ 偽りの仮面

3. 本当の姿

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「なんで、瑠依が……」

 あしたは驚きを口にする。
 そんなあたしに見向きもしないで、冷たい目で口だけうっすらと笑っていながら瑠依が犯人近づいていく。

「ふん、こんなので僕らを止められると思ったら大間違いさ! こい、雷雲!」

 すると、また雲が集まってきて大きな雨雲を作り、また雷が落ちる。そしてもう1つ別の小さい雲が2つ犯人たちの方に寄ってきて竜巻を起こす。
 その竜巻は見事にガラスだけを巻き上げ犯人たちを自由の身にしてしまった。

 「はっ、こんなものか。君さ、ノンスキルでしょ? 魔術師は全員左手に紋章があるはずだもんねー。ないって事はさっきのは剣術でどうにかしたのかな? 剣術しか使えないやつが僕たちに勝てるはずないよ。死にたくなかったら引っ込んでな。」

 犯人がニヤニヤしながら瑠依を挑発する。
 そんな犯人を瑠依は一切表情を変えず、乾いた目で見つめる。

「だあぁ、めんどくせぇ! もうコイツ殺っちまおうぜ! 」

「…そうだね、どうせここにいる奴ら僕たちの力でほとんど死んじゃう予定だし。まぁいいかー。」

「んじゃ、行くぜぇ!」

 そう言うと犯人たちは一斉に瑠依に襲いかかる。
 それでも瑠依は乾いた目で犯人を見ているだけでその場を動こうとしない。

「瑠依逃げてーー!」

 すると、瑠依は口端を少しだけあげてフッと笑うと、犯人の方へ走り出した。
 一瞬で犯人の前まで詰め寄り、瑠依はトンっと軽やかにジャンプしたかと思うと犯人の頭上を通過し、どこからか出した剣を鞘からぬく。それと同時に早口で何かを言い始める。
 そして着地する頃には剣を鞘にしまっていた。
 この間約2秒。

 速技すぎて目で追うのがやっとだった。

 犯人達は身体中を剣で切られているがどれも致命傷ではない浅い傷ばかりだ。
 そして極め付きは、犯人達が魔術で拘束されていた事だった。
 魔力のない瑠依がどうして魔術を使えるの…

「ぐうぅ…。」「クソがッ!」

 犯人達が呻きうめ声をあげている中、みんな呆然として瑠依を見つめる。どうしてノンスキルが青規員でさえ倒せなかった相手を倒せたのか不思議でたまらない様子だった。

 瑠依は相変わらずの乾いた目をあたしに向けて言う。

「知らないの? ノンスキルには2種類いるんだよ。」

 あたしはそれを聞いてハッとなる。
 瑠依の言う通り、ノンスキルには2種類いる。正真正銘生まれつき魔力のないものと、魔力があるのにそれを魔術で封じ込め魔力のない者のフリをする"ノンスキル状態"の者。

 そしておそらく瑠依は"ノンスキル状態"だったのだ。

 でもなんで瑠依がそんなことする必要が…。
 それになんで黒規員がこんな所に─…。

「わたしの仲間を傷つけた代償は払って貰ったよ。目には目を歯には歯を、だからね。次こんな事をしたらただじゃおかない。」

 そう言うと瑠依はくるりと背を向けこの場から去ろうとする。
 あたしの事なんて全然興味無さそうにして見向きもしない。

あかね、ここでの調査はもう終わりにする。行こう。」

 蒐と呼ばれ、保健室の赤石先生が立ち上がる。
 
「なんや、もうええの?」

 そういった明石先生の体は切り傷がいくつかあり、痛々しい姿になっている。

 赤石先生は瑠依の後についていきながらパチンっと指を鳴らす。すると今まで白衣姿だった先生の服が袖が長めの着物に代わり、黒のショートボブが真っ赤な長い髪に変わる。
 今までの優しい大人しそうな先生の雰囲気は全くなく、強気で上品そうな雰囲気が漂っている。

「やっぱりこっちの方が落ち着くなぁ。さっきまでの服は足がスースーしてかなわへんわ。」

 そしてそのまま唖然としている全校生徒を残して、瑠依と赤石先生は体育館から出ていってしまった。
 あたしは瑠依の突然の激変ぶりに驚くばかりで何も声をかけられなかった。 


 そして、2人が学校に来ることは2度と無かった。
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