皇后はじめました(笑)

ルナ

文字の大きさ
27 / 56

やっぱり、妹も強かった

しおりを挟む
陛下達が入ってくるなり、うろたえる李皇子。内心、ざまぁと思いながら「陛下、ご機嫌麗しゅう」と言うと雪華と蓮絡が駆け寄ってきた。
「あ、姉上!!」
「皇后様!」
「お、おう。ル…雪華、蓮絡」
数時間前に泣いた事を思い出す。顔が熱くなるのを感じた。
「(恥ずかしい!やばいって)」
まずいまずいと心内で連呼していると雪華は私を抱きしめ
「事情は聞きました。申し訳ありません、姉上。」
「あ、謝らなくていいのよ?」
「いえ。本当にご心配をお掛けいたしました。」
雪華は私から離れると誠皇子に向き直り
「誠皇子。今までの非礼な振る舞いをお許し下さい。私は嘘をついていました。私は側室の子、庶子として生まれました。そんな私に皇族の正室になるなど考えられませんでした。そして、なにより和平の為、国のためならと誠皇子の好意を受け取る事ができないと思い、求婚を拒みました。」
雪華の目は真っ直ぐだ。あれなら大丈夫だろう。
「求婚をお受けいたします」
「雪華、ありがとう。そなたを幸せにする」
よし!誠皇子と結婚決定!となると
「李皇子。私は貴方とは結婚はできません。姉を侮辱するような方とは尚更です!もう、自分の気持ちに嘘をつくのはやめにします!貴方の事を私は好きではありません!」
はっきりという雪華。それに対して李皇子は
「側室の娘の分際で!調江国の皇子にたてつこうというのか!陛下!今なら無礼に対して目を瞑りましょう。」
「(女一人に振られたくらいでここまで逆上するのか。器の小さいやつだな。)」 
「無礼か。では、先程皇后を殴った事はどう説明する?そちらの方が無礼であろうが。」
「しかし、それは皇后様が「皇子失格」と先に…」
「事実であろう?皇子でありながら振る舞い方がなっていないのだから。調江国の王は皇子達に「無礼」こそが「礼儀」と教えているのか?」
淡々と言う陛下。なんか怖いな。
「そ、それは!」
「それに、皇太子達を狙ったのもそなただろう?庄!奴らを連れて参れ」
「はい!」
庄殿は部屋を後にした。
「陛下、狙ったとは?」
「うむ。よく聞いてくれた誠よ。実はな、皇后の宮に石や矢を投げ入れた犯人が見つかったのだ」
「!」
矢石事件!皇太子に、鈴音にツインズが狙われたあの事件の事だ。
「幸い、我が国の皇太子は有能でな。誰も怪我をする事がなかったのだ」
暫くして、庄殿は護衛と共に男二人組を連れてきた。
「ほら!?顔を上げろ!」
「ひ、ひっ!」
「お、お助けを」
一人は細身の男ともう一人は小太りの男だ。
「この者達が洗いざらい吐いてくれた。李皇子の指示でやったと。」
「き、貴様ら!」
「李皇子!言葉に慎め!」
誠皇子の怒鳴り声が響く。やっぱ、あんた推しだわ。
「皇后、雪華。証拠はすでに揃っている。そなた達の好きにせよ。」
陛下は私と雪華に選択権を投げた。雪華は
「姉上の指示に従います」といったため、決定権が委ねられた。
「雪華がいいと言うなら私が決めましょう。李皇子、私への無礼は許して差し上げますが、雪華や誠皇子、私の子供達の命を狙いましては皇貴妃の双子まで…」
私は李皇子の前までいき
「でも、命を奪うような真似はしません。その代わりに龍驤国の罪人として調江国に送り届けてもらいましょう。」
「?!」
「陛下、いかがでしょうか?」
「皇后がよいなら、それでいいだろう。雪華はどうだ?」
「私は問題ありません。」
「なら、そうしよう。連れて行け」
李皇子は二人組の男と共に引きずられる型で部屋を去っていく。「皇后!いつか呪ってやる!」と吐き捨てながら。
「(なんか、疲れたわ)」
雪華の説得作戦だったのに。
「(まぁ、でも)」
結果オーライだったからいいよね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

処理中です...