皇后はじめました(笑)

ルナ

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月家 1

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 お茶っ葉がなくなった頃、ようやく父上は落ちついてくれた。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、すまない。迷惑をかけたな。」
 やれやれとした顔をする父上。
「驚いただろう。」
ぽつりと呟く父。申し訳なさそうな顔をしている。どんだけ気にしてんのよと思いつつ、
 テーブルにあった茶菓子に手を伸ばしながら
「大丈夫ですよ。夫婦喧嘩なんて良くある事です。」
口に茶菓子を放り込む。うん、山査子の茶菓子だ。美味しい。
「それもそうだが…」
「…あぁ、月家の歴史ですか?」
「そうだ。凛星にも話していなかったからな。」
 あ、美皇后は知らなかったのか。
「そうだな。そろそろ話すべきか。凛星、この話は月家の当主になるものと伴侶になるものしか話てはいけないのだが皇后となったお前にも知って欲しい。」
 目を細めながら聞く父上。真面目な話のようだ。美皇后さえ知らない真実。それを私が知っていいのかわからない。でも
「はい。お聞かせください。」
 きっと美皇后もこう答えただろう。私の返事を聞くと父上は話始めた。


月家。旧姓は儷。龍驤国が出来てから神官として仕えてきた。龍の落とし子である月姫様を守る立場として。月姫様の予言を王に伝える役にもついていたため、星がある所に月現れ国を照らすとも言われた。しかし、国に王がいる限り権力を欲しがるのは当たり前。自分に不利になる予言をされてしまえば王としての立場がないと悟った龍驤国の王は月姫様に「不利なる予言はしないように」と言ったところ「偉大なる父からの信託を誤魔化すことなどできない」ときっぱり言い切った。それに怒った王は月姫様に斬りかかったが、儷家の娘が盾となり死んでしまった。それを悲しんだ月姫様は王にある予言をした。「龍驤国は栄なくなり民は困窮する。そしてお前の子孫達が暴動を起こすだろう。国はさらに落ちぶれる。近々、お前の子供に凶星が生まれてくる。凶星は殺してもすぐに現れるだろう。お前自身は苦しみながら死にゆく。」と言い放った。そんな事は信じないと言った王は月姫様を公開処刑にすると言い残しその場を去った。儷家は、神官としての地位は剥奪されなかったが月姫様の信仰を無くし、宮廷との婚姻関係を持たないと命令した。月姫様に受けた恩を返すことができない、娘まで失ったと嘆く当主に
「凶星が皇位につくまで私は眠りにつく。私の身体は無くなるが魂はこの娘に留まれる。この娘の意識は無いが死ぬことはなくなる。」さらに「そなたの子の中に私と同じ瞳の者が生まれるだろう。凶星が皇位につくまで盲目とせよ。それが寵愛の証になる。寵愛の証が生まれるまで生まれてきた子を天に召し上げなさい」と付け加えて。
 流石に自分の子を殺せないといった当主に月姫様は涙をながしながら「わかってくれ。我が父からの罰なのだ。そなた達は悪くない。子殺しは寵愛の証が生まれてくるまでだ。そのあとは殺めなくて良い。寵愛の証がいずれ大人になり子をもうけるだろう。その時に生まれてくる娘がそなたの娘「星白」の魂を受け継ぎ生まれてくる。そして、国を繁栄に導き未来の王を支えるだろう。」当主は戸惑いながらも承諾した。
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