皇后はじめました(笑)

ルナ

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 宮廷に着くと私は走った。皇后が走るなど品性に欠けると言われるだろうが気にしていられない。雨が降り出し、雷がなる。背後から「皇后様!傘を!」「皇后様、危険です!」という声がしたが無視をしながら走りっぱ続ける。何故、静妃が流産にならなければならいいないのか。誰にでも優しく、穏やかな子が。まだ、16歳だというのに。
 
口の中が血の味で蔓延した頃、やっと静妃の宮に着いた。門をくぐると陛下の従者達とマスコットがいた。
「皇后様!びしょ濡れではないですか!」
マスコットは「誰か拭くものを」と内官に声をかけたので「拭くものはいらない」と告げ
中に入り居間へ行くと皇貴妃と優妃、皇太子、鈴音公主、雪華、誠皇子がいた。
「皇后様!」
皇貴妃は私の前に跪いて
「皇后様、申し訳ありません。後宮を任されていたのに関わらずこのような事態を招きました。わ、私は皇貴妃失格です。」
 深々と頭を下げる皇貴妃に
「皇貴妃、立ってください。皇貴妃の責任ではありませんよ。」 
と言うと皇貴妃は立ち上がった。
「皇后様…」
 優妃はよろよろとしながら私に抱きついてきたので「濡れてしまう」と言ったが
「静姉さんが‥‥静姉さんが!」
わぁっと泣き出してしまった。
「…大丈夫ですよ。優妃。」
ぽんぽんと背中を撫でる。よほど怖かったのだろうか。体が震えている。
「…皇貴妃。静妃は?」
「はい。一命は取り留め、先程まで泣き喚いていましたが今は眠っています。…子は助かりませんでした。」
「…そうでしたか。」
ぐっと奥歯を噛みしめる。
「(悔しい。)」
私が居ない時の犯行。誰かが狙ってやったのは間違いないだろう。実家で見た"あの光景"が本当であればたちが悪い。
「庄殿がいるならば陛下は付き添われているねですね?」
「はい。」
「……皇貴妃。陛下がこちらにいらっしゃったら私が来た事を告げてください。そして、陛下に静妃に付き添うようにと言ってください。そして、優妃を今日は皇貴妃の宮に一晩止めてあげてください。」
「承知いたしました。」
「誠、雪華。2人は鈴音公主をよろしくね?」
「わかりました。母上」
「責任を持って預かります。」
私は2人に対して頷き、優妃に目線を合わせた。
「優妃。今日は皇貴妃の所に止まりなさい。明日、また会いましょうね。」
「…はい。」
 目が赤い優妃の頭を撫で「服は着替えるように」と伝え
「皆さん、解散しましょう。明日、朝礼で」
「お母様?」
「鈴音。今日は雪華の所にいてね?」
「お母様は何処に行くのですか?」
「私は、まだやることがありますから。」
「ねっ?」と付け加えると少し考えた後に「わかりました。早く戻ってきてくださいね?」と言ってくれた。本当にいい子でよかった。
「では、皆さんまた朝礼で。」
私はその場を後にした。早く、この場からいなくなりたかった。
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