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蘭
皇貴妃記録
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この話は美皇后(姫川瑠璃)が実家に帰った後の話である。
今日は皇后様がご実家に帰られた。そのためかいつもより後宮が騒がしい。
「皇貴妃様ー、皇后様はもうご実家に着かれたでしょうか?」
私の宮に遊びにきている優妃が尋ねてきた。
「どうでしょうね?道中が混んでなければ着いているかもしれませんが…」
皇后様のご実家は城下町から離れた場所にある。そのため、2時間弱かかる。
「それにしても優妃、先程からなにを作っているの?」
「これですか?これは壁掛け飾りというものです。」
「壁掛け飾り?」
聞きなれないものだ。花輪のようだが花や草が全て乾燥している。
「はい!花を乾燥させる事で長期間飾れるらしいです!皇后様に教えていただきました!」
へへへと笑う優妃。無垢で私にとっては癒し部類だ。
「そうだったのね…」
皇后様とは長年一緒にいたがこのような知識を持ち合わせているのは知らなかった。
「(最近の皇后様は生き生きとしていらっしゃる。)」
記憶を失う前は憂いに満ちた瞳をしていた。後宮という場所が嫌になっているのではないかと思う。後宮の管理や業務。日々その繰り返しだ。皇后という立場は後宮に人が増えれば増えるほど悩みも増え心苦しくなる。
周りは皇后様のことを「恵まれた皇后」「幸運の下に生まれた女人」と呼ぶが実際は違う。
「(記憶を失って正解だったのかもしれない。)」
今の皇后様は言葉遣いが時々おかしくなることもあるが本質は変わらない。
「やっぱり皇后様がいないと寂しいです。それに皇后様がいない朝礼は苦手です。」
優妃は作業を止めて呟く。
「…そうね。皇后様がいないだけで朝の朝礼がどれだけ大変か…妃嬪達を抑えられるのは皇后様と陛下ぐらいのものだし」
朝礼は皇后様が仕切る事になるが居ない場合は皇貴妃の位である私が仕切る事になるのだが
「まぁ、今回は皆大人しかったからよかったけどね…」
前に皇后様がいなかった時はむちゃくちゃだった。当時、容貴人が入宮した際に皇后様は月姫様のいる流彗寺に立てこもってしまった。その際私が朝礼を取り仕切ったのだが、周りの妃嬪が「皇后様は病弱」「遊女にも勝てない」等嫌味を言い始めた。私と静妃、清貴妃、賢貴妃で諌めたが容貴人が静妃の母国を馬鹿にしたことで静妃が容貴人を殴り、取っ組み合いに発展。清貴妃が間に入ったが、奏貴妃に「位の低い者は引っ込んでいなさい。」と突き飛ばされ賢貴妃はそれに怒り、「下劣な女」と罵った。朱貴妃は「皇后様が無能なら位の高い者はお飾りね」と言われてしまい熱くなってしまった。それを見た優妃は一目散に逃げ出し陛下に助けを求めた。そのおかげで事態は収まったが何人かは封号を剥奪されたし、優妃以外はみな1ヶ月間謹慎処分になった。数日後に皇后様が戻られ謹慎をとくようにと陛下を説得したのだった。
「(まぁ、無理もない。皇后様は神官の家柄だから。)」
神官の家からしたら体を売って誑かすような事は許せなかったのだろう。輿入れした時嫌いな者は「遊女」と答えていたのだから。
「大丈夫ですよ、優妃。もあのようなことはおきないですから。」
あの時の一番の被害者は優妃だ。あの後、約1ヶ月間ぐらい朝礼を欠席したのだから。
「はい!」
元気の良い返事が聞けてよかった。
「…それにしても雨が降りそうね。優妃、一度中に入りましょうか。」
雲行きが怪しくなり、雨の匂いがする。
「そうですね…あ、じゃあ、皇貴妃様も一緒に作りませんか?」
壁掛け飾りを私に見せながらいう優妃。
「そうね、私もつくろうかしらね?」
私達は宮に入った。穏やかな昼が終わろうとしていた。
今日は皇后様がご実家に帰られた。そのためかいつもより後宮が騒がしい。
「皇貴妃様ー、皇后様はもうご実家に着かれたでしょうか?」
私の宮に遊びにきている優妃が尋ねてきた。
「どうでしょうね?道中が混んでなければ着いているかもしれませんが…」
皇后様のご実家は城下町から離れた場所にある。そのため、2時間弱かかる。
「それにしても優妃、先程からなにを作っているの?」
「これですか?これは壁掛け飾りというものです。」
「壁掛け飾り?」
聞きなれないものだ。花輪のようだが花や草が全て乾燥している。
「はい!花を乾燥させる事で長期間飾れるらしいです!皇后様に教えていただきました!」
へへへと笑う優妃。無垢で私にとっては癒し部類だ。
「そうだったのね…」
皇后様とは長年一緒にいたがこのような知識を持ち合わせているのは知らなかった。
「(最近の皇后様は生き生きとしていらっしゃる。)」
記憶を失う前は憂いに満ちた瞳をしていた。後宮という場所が嫌になっているのではないかと思う。後宮の管理や業務。日々その繰り返しだ。皇后という立場は後宮に人が増えれば増えるほど悩みも増え心苦しくなる。
周りは皇后様のことを「恵まれた皇后」「幸運の下に生まれた女人」と呼ぶが実際は違う。
「(記憶を失って正解だったのかもしれない。)」
今の皇后様は言葉遣いが時々おかしくなることもあるが本質は変わらない。
「やっぱり皇后様がいないと寂しいです。それに皇后様がいない朝礼は苦手です。」
優妃は作業を止めて呟く。
「…そうね。皇后様がいないだけで朝の朝礼がどれだけ大変か…妃嬪達を抑えられるのは皇后様と陛下ぐらいのものだし」
朝礼は皇后様が仕切る事になるが居ない場合は皇貴妃の位である私が仕切る事になるのだが
「まぁ、今回は皆大人しかったからよかったけどね…」
前に皇后様がいなかった時はむちゃくちゃだった。当時、容貴人が入宮した際に皇后様は月姫様のいる流彗寺に立てこもってしまった。その際私が朝礼を取り仕切ったのだが、周りの妃嬪が「皇后様は病弱」「遊女にも勝てない」等嫌味を言い始めた。私と静妃、清貴妃、賢貴妃で諌めたが容貴人が静妃の母国を馬鹿にしたことで静妃が容貴人を殴り、取っ組み合いに発展。清貴妃が間に入ったが、奏貴妃に「位の低い者は引っ込んでいなさい。」と突き飛ばされ賢貴妃はそれに怒り、「下劣な女」と罵った。朱貴妃は「皇后様が無能なら位の高い者はお飾りね」と言われてしまい熱くなってしまった。それを見た優妃は一目散に逃げ出し陛下に助けを求めた。そのおかげで事態は収まったが何人かは封号を剥奪されたし、優妃以外はみな1ヶ月間謹慎処分になった。数日後に皇后様が戻られ謹慎をとくようにと陛下を説得したのだった。
「(まぁ、無理もない。皇后様は神官の家柄だから。)」
神官の家からしたら体を売って誑かすような事は許せなかったのだろう。輿入れした時嫌いな者は「遊女」と答えていたのだから。
「大丈夫ですよ、優妃。もあのようなことはおきないですから。」
あの時の一番の被害者は優妃だ。あの後、約1ヶ月間ぐらい朝礼を欠席したのだから。
「はい!」
元気の良い返事が聞けてよかった。
「…それにしても雨が降りそうね。優妃、一度中に入りましょうか。」
雲行きが怪しくなり、雨の匂いがする。
「そうですね…あ、じゃあ、皇貴妃様も一緒に作りませんか?」
壁掛け飾りを私に見せながらいう優妃。
「そうね、私もつくろうかしらね?」
私達は宮に入った。穏やかな昼が終わろうとしていた。
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