ハーレム主人公の友達として人類滅亡阻止します

東金ヒカル

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椿芽エーデルワイス

28話 決意

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「……コラ……ろ」

「んん……」

「おいコラ起きろ!!」

「……は!?」
前の席にいた若狭さんに揺さぶられ、俺は慌てて目を覚ました。

「悟くん、うなされてたね……どんな夢見てたの?」
心配そうに椿芽がこちらを覗き込んでくる。

「あ……ああ……ちょっと半裸の男ににじり寄られる夢……」

「あはは……それはある意味悪夢だね……」
椿芽は苦笑いしながら、少し引き気味に笑った。

「いいから起きろ。もう着いたぞ」
若狭さんの冷静な声に促され、俺はようやく体を起こす。

「ああ……分かった」

バスの外を見ると、すでに目的地に到着していた。俺たちは少し遅れてバスから降りる。

「意外と早かったね、朱音ちゃん」
椿芽がのんびりした声で呟く。

「ああ……1時間くらいだったからな」
椿芽と朱音――若狭さんが、たわいもない雑談を交わす。その姿をぼんやりと眺めながら、俺はふと立ち止まった。

普段の騒がしい日常とは違う、穏やかでのどかな空気。海が近いせいか、磯の香りが風に混ざって漂ってくる。その静けさに、妙な心地よさを感じていた――。

(……死に戻りしたんだな……)

この感覚。この景色。そして何より、体の奥底からじわりと湧き上がる既視感。それらが、俺に「やり直し」を実感させる。

(アスレチックで遊んで……カレーを作って……その後……)

楽しいはずの出来事が、一瞬で崩れ去ったあの記憶――。

「おお、お花畑があるね!」

椿芽の弾んだ声が耳に入る。顔を上げると、彼女は目を輝かせながら広がる花畑を見つめていた。

「あれはエーデルワイスだな」
若狭さんがさらりと教えると、椿芽は感心したようにうなずいた。

「へえー」

椿芽と若狭さんが眺める、その白い花畑。だが、俺には――。

(……血に染まった、あの光景……)

脳裏に浮かぶのは、鮮血にまみれた白い花々。真っ赤に染まったエーデルワイス。その記憶が胃の奥を掴むような嫌悪感を呼び起こす。

「大丈夫か?」
隣にいた響が、俺の顔を心配そうに覗き込んでくる。

「ああ……すまん、軽い車酔いだ……」

「なんだよ……気をつけろよな」
響に軽く肩を叩かれながらも、胸のざわつきは消えないままだった。

そのまま歩を進め、俺たちは集合場所へ到着した。現地の関係者や先生からの注意事項が説明されるが、その言葉は頭に入ってこない。

(どうすればいいんだ……)

俺は思考を巡らせる。これから起きる最悪の結末。それを知っていて、それを回避する――そんな簡単な話ではない。

(椿芽の気持ちを無視するなんて、できるわけがない)

椿芽が響に向けた真剣な想い。それを踏みにじるようなことはしたくない。

だが、神が言った通り、邪魔をしなければ同じ悲劇が繰り返されるかもしれない。中途半端な行動では、またあの結末に逆戻りだ――。

(しかも、回数制限があるって話だったよな……)

神に怒りをぶつけたせいで、なぜその制限があるのかを聞くのを忘れてしまった。失ったチャンスを悔やみながら、頭を抱える。

「お前、本当に大丈夫か?」
また響が声をかけてきた。

「大丈夫だ、問題ない」
俺が強くそう言うと、響は少し引いた顔をしていたが、今はそんなことを気にしている余裕はない。

(発端は、あの時だ……)

皿洗いの最中、響が指を切ったあの瞬間――。椿芽が勇気を振り絞り、響の指に唇を触れさせた。そこから全てが転がり始めたんだ。

(あの流れをどうにかしないと……)

彼女の想いを踏みにじらずに、この日を乗り越える。響と椿芽が、あの後も変わらず笑い合える未来を作るために。

「よし」
俺は拳をぎゅっと握り、気合を入れる。

「……今度はやる気入ってるし、なんなんだよお前……」
響が呆れた声でぼそりと呟く。

「やる気スイッチを入れたんだよ」

「……訳わかんねぇよ……」

今日、この日を――完璧にやり過ごしてみせる。
 
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